死にたくないので自分達だけの第三勢力作りました。   作:鬼獣八紅

190 / 192
民守祈視点です。


テスタメント・ラプソディ ─ 改造

 

「菫(すみれ)さんは上から、私は正面から行きます!」

「了解! ベノムアクセル!」

 

 菫さんが足裏から毒を噴射し飛び上がる。

 現在のバルバラの位置は空中、そのままでは攻撃は届きません。

 

「庇護の堕天使(バリア・ルシファー)!」

 

 なので、私も飛びます。

 障壁の聖騎士(バリア・パラディン)の上からバリアの翼を生成し飛び上がる。

 移動速度はバリアポールによる押し出し移動より遅いですが、機動力では断然上です。

 

「っ、上下から─」

「アシッドショット!」

「聖なる剣(ホーリー・ソード)!」

「リフレクト+アンブレイカブル!」

 

 しかし、私たちの攻撃はバルバラの魔法によって防がれる。

 

「っ、やはりその二つの魔法が邪魔ですね」

 

 リフレクトとアンブレイカブル、これらはバルバラが元々所有していた魔法であるため術者開放による使用不可にすることは困難。

 その上、仮に突破できたとしても今のバルバラは再生魔法を所持している。

 アレらを突破するには大元である閉じ込められた一般人の開放、又は同時に使用されても殺害できる方法を探すしかありません。

 

「その言葉、そっくりそのまま返しますよ。エネルギー効率強化+火魔法+風魔法+威力増強+衝撃倍化+サイレント+不可視攻撃+光線!」

「!、菫さん避け─」

 

 て。

 この言葉を言い切る前に、私の隣を何かが高速で通り過ぎる。

 

「っ、外しましたか。やはり重ね掛けのやりすぎはコントロールできませんね。その上エネルギー効率強化を積んでなお効率が悪い」

「…トライアスはこんなのをよく一人で抑えてましたね」

 

 今現在私の脇には何もない。

 まるで巨大な怪獣が通ったように遥か彼方まで抉られている。

 一応障壁の聖騎士(バリア・パラディン)で耐えれはしたでしょうが、当たれば吹き飛ばされて確実に戦線離脱させられていましたね。

 

「民守さん、私が特攻して少しでも削ります! あいつの魔法は、オウル様に届きうる!」

「…いえ、一人で行っても防がれるのがオチです。それに、あの様な攻撃はそう何度も撃てなさそうですよ」

「え?」

「バルバラの腕を見てください、自壊しています」

「あ、本当ですね」

 

 恐らく先ほどの魔法併用使用の反動が身体の耐えられる限界を超えたのでしょう。

 先ほどバルバラ本人が口にした通り、制御できていない。

 

「そして自壊(怪我)をしたら当然再生魔法を使用します。ですが、大きな怪我ならば再生に時間がかかる。その隙を逃す人はいません」

「ギガント・ガベル!」

 

 建物の屋上から跳び出してきたトライアスが巨大化したハンマーを振りかぶる。

 バルバラを狙っていたのは私たちだけではない。

 その隙を見逃すほど、この戦場にいる魔法少女は甘くないですよ。

 

「堕ちろ!」

「無駄です。身体能力強化×3+筋力増強+ブースト!」

 

 ですが、バルバラはトライアスの攻撃を片手で受け止める。

 トライアスの身体能力はかなりのものですが、それでも変身による魔力強化の範囲内。

 魔法で底上げされた身体能力には及びません。

 

「ぐっ…この!」

「無駄ですよ、失敗作が製作者に勝てるわけないじゃないですか」

「トライアス、そのまま競り合っていてください! バリアチェーン!」

 

 鎖状に生成した六本のバリアでバルバラのそれぞれの足と地面を繋ぐ。

 見たところバルバラの再生魔法は肉体にしか作用しておらず、機械の足は再生されない。

 修理する方法があるかは不明ですが、壊されたくはないはずです。

 

「民守?!」

「あなたが協力する気があろうと無かろうと、私たちはあなたを利用させてもらいます!」

 

 バリアチェーンの半分を巻き取りバルバラのバランスを崩す。

 現在バルバラは浮遊状態、踏ん張る足場はありません。

 

「無駄なことを!」

「!、鎖が!」

 

 無理矢理引き抜かれた鎖の一つを慌てて掴む。

 足場が無くてこれですか、どんな力しているのですか本当に。

 これ以上バリア操作で耐えるのは厳しい。

 ならば、直接引っ張るまでです。

 

「アンキロボディ!」

 

 背に甲羅の様な鱗が生成され、尾骨から先の膨らんだ尾が伸びる。

 私がゲノムプラスで得た生物はアンキロサウルス。

 具体的にはアンキロサウルスの特徴ともいえる背中の鱗とハンマー状の尾、一トンほどの体重の増加、そしてこれらを支えるための筋力。

 特に筋力の増加幅は凄まじく、一トンほど体重が増えたのにも関わらず発動前と遜色のない活動が可能です。

 

「逃がしません!」

 

 思いっきり鎖を引く。

 今の私のパワーは素の白夜さんと同程度、並の相手では足を切断しない限り逃走は不可能です。

 と言うか素で同程度のパワーを出す白夜さんは本当に何なんでしょうね。 

 

「っ、本当に面倒な事をしますね。それなら、手っ取り早く一人削りましょう」

「…!、トライアス、避け─」

「ボックスプリズン!」

 

 バルバラの手がトライアスに触れる。

 私が閉じ込められたボックスプリズンは対象に触れることで発動します。

 そして、現状脱出手段は召(しょう)さんの召喚魔法しかなく、強い自我を持つ生命体の召喚には事前承諾が魔力量的に必須。

 つまり、トライアスは捕らえられたら脱出手段がありません。

 

「…は?」

「え…、なぜ?」

 

 バルバラのボックス魔法が発動しない。

 発動条件は満たしているはず。

 私が召喚魔法で無理やり脱出したから魔法の挙動がバグった?

 何にせよ、バルバラにとっても発動しないのは予想外のようです。

 

「いつまで握っている!」

「ぐっ…よくも腕を─」

「今です!」

 

 ですから今がチャンス!

 トライアスがバルバラを振り払った直後に二本目のチェーンを引き更にバランスを崩す。

 

「なっ!?」

「菫さん!」

 

 そして、これまでの行動阻害は菫さんへの布石。

 

 

  「憎悪の断罪者(ヴェノム・パニッシャー)!」 

 

 

 上空で待機していた菫さんが、毒を纏った大鎌でバルバラの半身を溶かす。 

 バルバラの防御を突破する方法、それは魔法と物理による誤差の無い同時攻撃。

 二人で攻撃するとどうしても誤差が生じその隙にアンブレイカブルとリフレクトを発動されますが、一人ならその隙もありません。

 私でも可能ではありますが、今回の様に隙を見ての攻撃なら一撃の威力の大きい菫さんの方がいい。

 その上、毒によるスリップダメージで再生も阻害できます。

 

「ギャアアァァ! 貴様よく─」

「畳みかけろ!」

「聖なる剣(ホーリー・ソード)!」

「がはっ!!」

 

 どんな強者でも身体の半分が欠損すれば怯む。

 その隙にトライアスと私の攻撃がバルバラの腹に突き刺さる。

 

「まだです!」

「逃がさない!」

「くっ…、来なさい! リメイク・トイ・ボディーズ!」

『『『グロアァァ!!!』』』

「?!、まだ残っていたのですか!」

 

 バルバラが呼びだしたアニマトロ二クスや動くおもちゃがその身を盾に私とトライアスの攻撃を防ぐ。

 菫さんの ベノムオーシャンで近辺のは死滅したはずですが、無事だったエリアにいた者や飛行できる者を呼び寄せましたか。

 

「っ、数が多いな!」

「本当にっ、そうですね!」

 

 ぱっと見の数は百前後、そのうち召さん達が戦ったというルーポナータの様な大型の者は十体。

 一体一体は対処できますが、一度には無理です。対処している間にバルバラが逃走します。

 

「面倒だ、私は先に行かせてもらう。フェア・スモーク!」

「なっ?!」

 

 突如トライアスの身体から白い煙が噴き出す。

 煙は辺り一帯を覆いつくし視界を塞ぐ。

 と言うかこの煙は何?トライアスの魔法は槌魔法で間違いない、何せ槌を火種無しで燃やし攻撃していましたし。

 考えられる理由は二つ、一つはレイヴンさんやバルバラの様な複数の魔法を使用できる固有魔法を所有しており、今までそのことを隠し通していた場合。

 そしてもう一つは、先ほどバルバラが話していた何かしらの実験により複数の魔法を扱えるようになった場合です。

 前者なら複数の魔法の使用条件、後者なら実験試料が欲しいところですが、今はそれどころではありません。

 トライアスは煙幕の中でも問題なく動いているところを見るに気流か何かで対象を識別できるようですが、私は一切見えていない。

 音である程度判別できるとはいえ、これではバルバラを追えません。

 

『グロァ!』

「なっ!? 後ろ─」

「アシッドショット!」

「菫さん?!」

 

 突如背後から現れたアニマトロ二クスを菫さんが溶かす。

 

「民守さん、こいつらぶっ殺していいんですよね?! それなら私に任せてください! 煙幕で相手は見えないですが、無差別攻撃は私の得意分野です!」

「それらなお願いします! 庇護の堕天使(バリア・ルシファー)!」

 

 トイ・ボディーズ対処を菫さんに任せ飛翔する。

 煙幕が届かない上空まで高度を上げバルバラを探す。

 

「…あちらですね」

 

 ここら一帯から離れた場所で発生している中から戦闘音の聞こえてくる煙幕、恐らくあそこでしょう。

 ですが、私には煙幕の中にいる相手の居場所を探知する術はありません。

 あの中にいるであろうバルバラだけを探し出すのは…。

 

「…面倒ですね。まとめて潰しましょう」

 

 トライアスには悪いですが、別に味方と言うわけではないですからね。

 まずは障壁の聖騎士(バリア・パラディン)を解除しバリアの量を確保。

 なお庇護の堕天使(バリア・ルシファー)は解除しません、上空にいないと視界が確保できませんので。

 

「バリアプリズン」

 

 次に中から戦闘音の聞こえる煙幕の周りをバリアで囲う、これで中の二人の逃走を防げます。

 ドーム状ではなく円筒状、上空を開けていないと攻撃できません。

 

「最後の準備です」

 

 そして、上空に巨大は魔法陣を描く。

 これで準備が整いました。

 

 

  「食らいなさい、無慈悲なる太陽の光(インフェルノ・レイ)!」

 

 

 煙幕目掛け無数の光の線が魔法陣から降り注ぐ。

 一本一本が鉄を貫くほど強力な光です、そう簡単には防げません。

 たとえバルバラがリフレクトしてきたとしても、発動できなくなるまで物量で圧し潰します。

 

「しかし…中が見えないのでどうなっているか分かりませんね」

 

 バイア内部は相変わらず煙幕で満たされており、中の様子を確認できない。

 一応魔力はまだ待ちますが、いつまでも撃ち続けられる訳ではありません。

 早いところ切り上げたいのですが、途中でやめて殺し損ねる法が面倒です。

 

「途中でやめてバリアプレスに切り替えますかね? いやですが、変更する隙に地面から逃走される可能性も─《ゴゴゴ…》─ん? なんの音で…す…は?」

 

 音のした方に顔を向けて見えたのは、こちらに迫ってくる水の壁。

 かなり距離があるのに目視で確認できるということはかなり高い壁だということが分かる。

 

「あの方向は…白夜さんが担当していたローワー湾! 白夜さん聞こえますか! 返答お願いします!」

『聞こえてるぞ!』

 

 良かったインカムが繋がりました。

 ですが、まだ安心はできません。

 

「白夜さん何があったんですか?!」

『すまねぇ! エルファウルが暴走しだした! それに伴いサファイアもヤバい技を出しやがった!』

「サファイアとエルファウル?」

 

 エルファウルは確かニューヨーク在住の魔法少女だったはずです。

 そして魔法は天候操作魔法…まさか!

 

「…白夜さん、ひょっとしなくてもかなりマズい状況ですか?」

 

 心なしか風が強くなってきている。

 

『あぁ。ニューヨークの街に、大津波とハリケーンが来る!』

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。