死にたくないので自分達だけの第三勢力作りました。 作:鬼獣八紅
「大津波にハリケーンがニューヨークにって…それ大丈夫なんですか?」
確かニューヨークの人口は八百万とちょっと。
下手しなくともかなりの死者が出ますよ。
『知るかそんなもん! 俺はどれだけの一般人が避難してるか知らねぇんだから!』
「…確かにそうですね。現状の被害は?」
『エルファウルが起こしたハリケーンは現在ローワー湾沿岸で停滞、デッドオーシャン海賊団の船団を巻き込みながら勢力を拡大中、一応まだ街を破壊しないだけの理性は残ってるっぽい、だがいつそれも切れるか分かったもんじゃねぇ。サファイアが起こした大津波な沿岸部の建物を飲み込みながら進行中、一応残ってた魔法少女どもが頑張って津波を止めているが崩壊するのも時間の問題だ』
「っ、かなりマズいですね。このままでは私たちの目的が達成できません」
私たちの目的は
この目的の意図はニューヨークという世界最大級の経済都市を敵の手に渡さない、より正確には日本への経済的打撃を出来る限り抑えること。
ニューヨークそのものが崩壊したら元も子もありません。
『やっぱそうだよな。しかも、このハリケーンや津波は術者殺しても多分止まらねぇぞ。制御から外れるだけで波と風が消えるわけじゃない』
「そうなるとやはり、あの津波とハリケーンを消滅させるしかない訳ですが…、白夜さんできますか?」
『無理に決まってんだろ! 俺はタイマンならどんな奴でも勝つと自身をもって言えるが災害は無理だ! 俺の技の中で一番範囲の広い技を使っても相殺出来ねぇ! そもそもの範囲が違いすぎる!』
「っ、それなら私が行きます。攻撃を防ぐのは任せてください」
以前作成された薬、リミットブースターを服用すれば、津波とハリケーンを同時に抑え込めるだけのバリアを生成できます。
リミットブースター自体の調整は終わっておらず、以前の
「その代わり、白夜さんはバルバラやヨーロッパの魔法少女の相手をお願いします」
『わかった、それで行こう。レイヴン事態は把握してるか? 俺と民守の会話ログを見て何するか把握しろ』
『─今確認した。俺が白夜と民守さんの位置を入れ替えろって事だろ。だが、津波やハリケーンの相手は俺たちにやらせろ』
「!?、何故ですか?」
レイヴンさんは高威力広範囲の技を持っていなかったはず。
『今俺とオウルの相手が居なくて手が空いてんだ、対処ぐらいやらせろ』
「…わかりました。対処は任せましたよ」
『了解。だが、白夜と民守さんを入れ替えるってのには賛成だ。自然災害の中じゃ流石の白夜でも下手すりゃ溺れちまう』
『…あぁ、ふがいないことにな。だが、民守なら最悪バリアの中引きこもれば大丈夫だろ?』
「大丈夫ではありますね、酸素の残量に気を付ければですが」
確かに引きこもれば完全にノーダメージでやり過ごせます。
ですが、それは陸地での話。
海中に引きずり込まれればバリア内の空気で耐えるしかありません。
『…言い出しといて何だが、民守さん本当に大丈夫か?』
「問題ありません。最低でも皆さんが目的を果たすまでは耐えましょう」
『じゃあ、とっととバルバラを倒してきてやるよ』
「頼みます。バルバラや魔法少女の魔法は私の戦闘ログを確認してください」
『おうよ』
『じゃあ二人を転送するぞ。
直後、私の視界が切り替わる。
目の前に広がるのは荒れた海、そして船の残骸を巻き上げるハリケーン。
「ここは…モンストルオ・サルバドル号の甲板ですか」
「民守様! 無事ですか?!」
「
「わかりました。現在、船員は一部を残し帰還、
「わかりました。船員を帰還させたのは良い判断です」
相手は人工とは言え災害。
幹部どころか白夜さんですら対処困難な事象に、言い方は悪いですが一般戦闘員の方々がどうこう出来るとは思えません。
それどころか無駄死にしてしまいます。
「それと先ほど話していたリリートックとは誰ですか?」
「恐らくヨーロッパの魔法少女です。確認できた範囲ではありますが、リリートックが起こした事象は自身のテレポートと傷の無効化です」
「テレポートですか…、厄介ですね」
テレポート、と言うよりバリアを無視できる魔法と私は相性が悪い。
災害はバリアで防げますが、空間転位は防げません。
「…エルファウル&リリートックは後回しにしましょう、まずはサファイアからです。
魔法を発動させバリアで身体を覆う。
アンキロボディは…発動させたままにしましょう。
重くなる分沈みやすくなりますが、パワー増加は欲しいですし。
「あ、民守様、こちらを」
「これは…シャボン玉ですか?」
「私の雨雲魔法で酸素を圧縮し空気で包んだものです。これを
「なるほど。ありがたく使わせていただきます」
今回、
「では、行ってまいります」
「お気をつけて!」
ジャイアントストライドエントリーで海中へと飛び込む。
水中は天候が荒れている影響か暗い。
「ライト」
これである程度の視界は確保できました。
しかし、これだけ広い海中からサファイアを探し出すのは骨が折れますね。
「
『え? …あ~、白夜と位置入れ替えたんだっけ。衛星から電波で探してみるよ』
「お願いします」
『了解、…見つけたよ! ナビするから少し動いて』
「わかりました」
確かに電波では私の向いている方向まではわかりませんね。
『おっけ~把握した。今進んでいる方向から右斜め前五百メートルの方向にサファイアが居るよ』
「ありがとうございます」
『それじゃ、頑張ってね』
「はい」
五百メートルとは、割と近かったのですね。
通波さんに言われた方向へ向きを変え進む。
「…いましたね」
私の五十メートル前ほどには腕を伸ばし津波を支えているサファイア。
海流を読み取って位置を把握できるとのことですが、かなり集中しているのかいづいてませんね。
ライトは切りましょう、気付かれかねません。
それと、流石に海中移動速度は相手の方が速そうなので今の内に大きい一撃を与えましょう。
このチャンスを逃したら、次に攻撃を与えられるチャンスが来るか分かりません。
「ブラックバリアマズル」
バリアで筒を生成し、構える。
私の普段のバリアは髪色と同じ半透明の黄緑色です。
ですが、光魔法の光を透過しサファイアにバレる可能性があります。
そのためバリアの色を黒にし、吸光度を極限まで高めます。
「…準備が整いました」
筒の中に生成した魔法陣に魔力の充電が完了しました。
「食らいなさい、
筒の蓋を開いた直後に光のレーザーを放つ。
サファイアはまだ気付いていない。
確実に命中する。
「なっ!? ぐあっ!!」
「よし、命中しました」
今の一撃でサファイアの脇腹が抉れました。
本当は心臓を狙ったのですが、直前で気付かれましたね。
「クソッ! 白夜の野…なっ、民守!? なぜお前がここに?!」
「白夜さんと入れえ変わったのですよっ!
「ッ、鉄砲海流!」
私の終焉ノ残響と海流がぶつかり合う。
やはり脇腹を吹き飛ばされた影響か威力が低い。
これなら押し切れそうですね。
「…ん?」
サファイアがいない?
ライトを消していたのが裏目に出ましたね。
「ライト」
「マリン・フィスト!」
「なっ!?」
下からサファイアの拳により海中から投げ出される。
私が攻撃に対処している隙に下に回り込んだのですね。
ダメージこそ無いですがこの状況はマズい、サファイアを見失ってしまいます。
「くっ、
海中目掛け無数の光を放つ。
下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるという奴です。
それに光魔法は魔法分類名にもあるように光ります。
暗い海中も照らし攻撃と一緒にサファイアを探します。
「どこですかサファイア。早く姿を現し─」
「サンダー・ペセル」
「!?、バリアウォール!」
突然飛んできた槍をバリアで防ぐ。
この槍はエルファウルの物。
となるとここは─
「あなたは…、レイヴンの仲間?」
「エルファウル気を付けろ! あいつは民守祈、先ほどまでバルバラ・B・イノセンティを抑え込んでいた奴だ! ここにいるってことはレイヴンの空間能力で転送されたのだろう!」
「そう…。何にせよレイヴンの仲間なのね、なら殺すわ」
ハリケーンの中央ですか!
「先ほどから物騒な会話をしていますが、私あなたに何かしましたか?」
「レイヴンがガレンゲージを殺した。それ以上の理由がいる?」
「…白夜さん、本当に何言ったのですか」
言わんとしようとしていることはわかりますが、かなり思考が飛躍しています。
怒りに囚われまともに脳が機能していません。
「カレンツ・シーサーペント!」
「っ、このタイミングで仕掛けてきますか」
「そんなの当たり前だろ!」
更に海中からの海流攻撃、こちらにも意識を裂かなくてはなりません。
しかし、この状況は都合がいい。
この場の敵全員が私にヘイトが向いているということは、少なくとも時間稼ぎの目的は確実に達成できます。
「来なさい。全員まとめて相手して差し上げましょう」
「っ、なめんじゃねぇ!」
「…殺す!」