死にたくないので自分達だけの第三勢力作りました。 作:鬼獣八紅
「何をごちゃごちゃと…、死になさい!」
「おいおい芸が無いな!」
再度発射されたレーザーを躱す。
芸がないとは言ったが、実際問題レーザーが一番厄介なんだよな。
発射速度、飛行速度、破壊力、どれをとっても高水準だ。
搾取した魔法の内容が自動的に脳内にインストールされるかどうか知らないが、下手に知らない魔法を発動させるより圧倒的に効率がいい。
だが、金属の触手や手の先からしか発射していないのを見るに発射場所は制限されてるみたいだな。
これなら発射口の方向見てれば他二人も問題なく躱せる。
それはそれとして、このまま攻撃され続けられるのはジリ貧だな。
「
俺を含めた四人によるほぼ全力の攻撃を叩き込んだのにも関わらずバルバラは耐えやがった。
だとしたらバルバラ本人をブチのめすかさっき以上の火力で破壊するしかない。
俺の場合は打ち出の大鬼槌・惑星がほぼ最大火力だったからな、他二人に火力を上げてもらわないと。
「あれより大きいブラックホール作れるけど、そうしたらこの町消えるし私も巻き込まれるからやらないよ」
「さっき以上ともう核しかありませんが、それでも行いますか?」
「流石にそれは止めとけ」
「ですよね」
さっきグラビティ・エレイソンって技で放ったブラックホールでもバルバラに風穴開けてたんだ。より大きなブラックホールを作ったらマジで街一つ消し飛ぶ。
召が召喚するって言った核爆弾はマジでダメだ。放った後の被害が物理的にも情勢的にもデカすぎる。
「…そうだ。こちら白夜、ブラッド聞こえるか? 今現在避難所の方どうなってる?」
『白夜か?! 今コッチかなりマズいことになってんぞ!』
「一旦落ち着け、何があった」
『避難所にいた少女数十名が魔法少女に成りやがった!』
「はぁ?!」
いやまあ確かに理論上はあり得るのか。
こっちの世界での魔法発現条件は命の危機に瀕した時。
この命の危機ってのが肉体だけじゃなく精神でも判断していたとしたら、戦場の雰囲気に当てられて魔法が発現した?
現に民守は落盤に巻き込まれそうになった時にバリア魔法が発現したとか言ってたし。
「クソッ、その魔法少女どもはバルバラの搾取から外れたと見ていいんだよな?」
『多分なっと、少し大人しくしてろ! …すまん魔法少女との会話が通信に入った。で、通信してきたってことはなにかあるんだよな、何すればいい?』
「避難所の中にいる推定制約緩和魔法と再生魔法持ちの二名を確保しろ」
再生魔法は別として、制約緩和魔法はマジで有用だ。
手に入れるとしたら混乱状態の今しかない。
『わかったが…、両方とも発現してるか分からないし、もし発現してても分からないぞ』
「あぁ、だから努力目標だ。まずは避難民をバルバラの搾取から外せ!」
『わかった!』
ブラッドとの通信を切る。
ひとまず指示は出した、後は避難所組に任せよう。
だけどなぁ…。
「ブラッドたちが搾取元を開放するまで待つか地道に削るしかないか」
「あ、待って。トライアスなら一撃で消し飛ばせるかも。確かバルバラ用に何年も溜めてるのがあるって」
「!、マジか!」
いやまあ有り得るか。まだトライアスの全ての魔法を見たわけじゃないし、見せてない魔法でそういう魔法があるのだろう。
「もう知ってると思うから言うけど、トライアスは過去にアレイオス孤児院の地下にある実験施設の実験体だった。実験体1322、ビクス・ザ・ブレイス、四人の少女を一つの人形に押し込めた実験体、それがトライアスの正体だよ」
「…あれ? すいません、トライアスとは三つ組みという意味では?」
「今のトライアスの人格しか残ってないんだよ。他三人を忘れないために
「なら話が速い。トライアスの無事が確認されるまでバルバラを倒す気で削るぞ!」
ブラッドたちが制約緩和魔法と再生魔法の使い手を何とかするまで耐えるのも手だが、多分それよりトライアスの生死が判明する方が速い。
レイヴンの戦闘ログじゃ、アリアスイートのソーダは頭部が切断されても直前に飲んでいれば再生できるっぽいからな。
バルバラ製の実験体と言うことを加味すると、さっきの自爆でも生き残ってる可能性が高い。再生は間に合うだろう。
「だね! エデン・フォール!」
「
セインティの槍と召の薙刀も金属の触手を貫く。
やっぱレーザーと薙ぎ払い攻撃はさほど問題無いな、俺と召はオウルとの戦闘訓練でこの手の攻撃には慣れてるし。
問題はさっきのサイコキネシスみたいに途中で差し込まれる初見攻撃。
咄嗟に対処できるのならいいが、初見殺しだと気合で耐えるしかない。
「サイコキネシス!」
「召避けろ!」
「はい!」
召が脇に逸れた直後、鉄の触手ごと背後のビルがねじ切れる。
やっぱサイコキネシスが問題だな、初動があるとはいえ範囲が広すぎる。
早く対処しねぇといつ当たるか分かったもんじゃない。
「セインティ! お前の技で重力を重くする技無いのか?!」
「あるよ! グラビティ・パトリー!」
「ぐっ…またですか!」
高重力エリアがバルバラを中心に展開され金属の触手が地面に縫い付けられる。
「ナイスだセインティ! 召、一気に破壊するぞ!
「わかりました!
上空から空気の塊と弾丸が降り注ぐ。
普段は巨大な金属の塊を一発で破壊するだけのパワーは無いが、今回は高重力下だ。
重力により落下速度が上昇すれば、当然威力は上がる。
「セインティ! 俺たちが攻撃手段を全て破壊しつくすまで抑え込んでろ!」
「命令されなくてもやるよそれは!」
「…なら、私も反撃しますか」
「!、気を付けろ! バルバラが何か仕掛け─」
「ストローマン、
バルバラが生成した
…ん? ストローマン…、確か藁って英語でストローだったよな。
案山子…藁人形…。
「まさか!」
「…がはっ?!」
「召!」
召の腹からバルバラの槍化した指が飛び出す。
やっぱアレ丑の刻参りとかそっち形の魔法か!
「急いで弾丸を回収しろ!」
「はぁ…はぁ…、
「これでひとまず大丈夫だろ」
召の怪造式アサルトライフル・
恐らく、いや確実に弾丸がさっきの攻撃の核にされてたから回収すればひとまず藁人形の攻撃は大丈夫だろう。
「召、一旦引いて
「すいません…」
藁人形の攻撃は召にもダメージが通った。てことは藁人形を通した攻撃は魂そのものにダメージが入ることになる。
肉体へのダメージは応急措置が出来るが魂は無理だ。時間経過による回復を待つか、セイかオウルに回復してもらうしかい。
しかもあの魔法、魔法の攻撃方法からして防御無視だろ。
あんな魔法があるとわかった以上、下手に接近戦はしたくない。
下手したら血液を媒介にして攻撃される。
「ねぇ、さっきのファントム大丈夫なの?」
「大丈夫か大丈夫じゃないかで言えば大丈夫だ。だが前衛を任せられるほど体力が残ってねぇ」
「じゃあ遠距離ペチペチ戦法で耐える?」
「それしかないだろっ!」
「っ、アンブレイカブル!」
空鬼砲をバルバラ目掛け放つが防がれる。
やっぱもう対処されるか。
と言うかいつまで耐えるんだよいい加減潰れろよ。
「おい、あとどれくらいあの高重力フィールド持つ?」
「…もって後数分かな。想像以上にバルバラが抵抗してて魔力の消費が速い」
「っ、マジでどうすか…」
トライアスを待つと言ったが無事な補償は無い。
もうブラッドの方が魔法元を確保するまで耐える法が確実か?
…いや、発想を変えろ。
「セインティ、瞬間的でもいいから重力の出力上げれるか?」
「え? 出来るけど何する気?」
「別の拘束手段を作るから攻撃に回れ! 磐石崩し!」
バルバラの足元の地盤を緩める。
そうすれば、高重力フィールドと自身の荷重で勝手に沈んでいく。
「なっ!?」
「沈めおらぁ!」
金属の触手で身体を支えようとしているが辺り一帯緩めたから支えられない。
「次! 磐石凝固!」
ニューヨークは地下鉄の路線が多いからあまり深くは沈められない。
だからある程度沈んだ段階で地盤を固め拘束する。
さっきは地中を移動してたが、今の巨体じゃ潜るのは不可能だ。
「拘束完了した! ぶちかませ!」
「グラビティ・エレイソン!」
セインティが放ったブラックホールがバルバラの上半身を消し飛ばす。
「ナイスだセインティ。一応聞くが、今のでバルバラ死んだか?」
「いや、まだ生きてるよ」
「だよな」
マジでしぶとすぎんだろ。
本当にトライアスはこいつを消し飛ばせんだろうな。
「…散々私を虚仮にしてくれましたね」
「いやそれはお前が弱いからだろ」
戦ってみてわかったが、バルバラの奴あんま正面切っての戦闘に慣れてない。
恐らく元々の戦闘スタイルは参謀役、複数の魔法を状況によって切り替える詰将棋、完全初見殺しのどれかだ。
そしてそのどれもが、真正面からの力圧しに弱い。
弱点をカバーしていたであろうリメイク・トイ・ボディーズは菫が全部抑え込んでる。
だから魔法を全部使用しての力圧しにしたんだろうが、今度は大振りになり簡単に回避される。
総評としては、魔法にかまけて応用を御座なりにしてたって感じだな。
まあ、複数の魔法が使えるから応用が疎かになるのは分からなくはないが。
今の戦闘スタイルに慣れたらちとまずかっただろうが、ぶっちゃけ倒せないだけで負けることはない。
「その無駄口、もう二度と開けないようにして上げましょう!」
「っ、火魔法かよ!」
地表を埋め尽くす火の津波を躱すため空中へ避難する。
こいつこのタイミングで最適解引きやがった。
俺とセインティの両方火、と言うより熱に対する耐性が無い。
レーザーはまだ直線に飛ぶから躱しやすかったが、火は躱しても熱でやられる。
「なるほど、火魔法は有効なようですねっ!」
「やっべバレた!」
「白夜! 何か防ぐ技無いの?!」
「あったらとっくに使ってるわ!」
クソッ、躱せはするがめんどくせぇ!
もう一回上から叩き潰すか?
いや、だとしても一時凌ぎにしかならないか。
「おいセインティ! トライアスはまだ見つからねぇのか?!」
「知らないよ! いいから躱すのに集中して!」
「サイコキネシス!」
「?!」
このタイミングでそれはマズい!
周り炎だらけで回避できるスペースがねぇ。それにセインティもこのままじゃ食らう。
クソッ、俺が盾になるしかねぇ、セインティが落ちたら火力が足りない。
「ぐっ…おわぁ!?」
「白夜!」
何とか防ぐことはできた、怪我は多少骨に罅が入った程度か。
防御不可かと思ったが、強度が高ければ防げたんだなアレ。
だけどビルの中まで引き飛ばされた。
今攻撃されたら…。
「今です! ファイアウェーブ!」
「!、ヤバい」
炎の波が押し押せる。
周りは全部壁、躱せない。
「ビスケットシールド!」
「「?!」」
目の前に巨大なビスケットが生成され炎を防ぐ。
この魔法はアリアスイートの魔法。
と言うことは…。
「遅れてすいません! 見つけて来ましたよ!」
「済まない、遅くなった。後は、私がやる」
アリアスイートとトライアスが戻って来たか!
「トライアス! 無事だった?!」
「無事…では無かったな、下半身と片腕吹き飛んだし」
「おいおい、よくそれで全快したな」
それだけの大怪我となると普通の回復魔法持ちでも難しいだろ。
それにアリアスイートの魔法は食材魔法、本職ですらない。
いかれてんだろ魔法の性能が。
「まぁ、魔法は鍛えてますので」
「鍛えてどうにかなるのかこれは。まぁいい、それよりトライアス、マジでアレを一人で相手する気か?」
「あぁ。それに、元はアレイオス孤児院内部の問題だ。ケジメの為にも、最後は一人でやらせてくれ」
「ちょっと! そんな言い方─」
「やめろセインティ。この手の奴は何言っても聞かない」
こういう復讐は外部に頼むとかでもない限り、本人が遂行しないと心の決着がつかない。
「それにこいつ、どうせ人生の大半を復讐に費やしてきたんだろ。人生の目的を取ってやるな」
「…わかったよ」
「トライアス、止めはやる。だが横槍は入れさせてもらうぞ」
「っ、わかった、それでいい」
「トライアス、死なないでね」
「…あぁ。レべリオン・バースト、アンロック!」
直後、トライアスから発せられる威圧が膨れ上がる。
こりゃマジですごいな、俺より強いんじゃないか?
「っ、そんな化けの皮、直ぐに剥いで差し上げましょう!」
「化けの皮かどうかは、その身で確かめてみろ!」
「?!、あいつ早くね?!」
目の前にいたはずのトライアスの姿が一瞬にして消える。
と言うか既に金属の触手を数本破壊してやがる。
これ強化倍率何倍だ? 少なくとも二桁倍は確定だろ。
「っ、威力増強+衝撃倍化+レーザー!」
「リフレクト・ガベル!」
次々と発射される強化レーザーをトライアスは撃ち返す。
やっぱ、魔法も強化されてやがるな。
「まだだ! ギガント・ガベル!」
「この…失敗作が!」
「させねぇよ!」
「なっ?!」
トライアスの背後から迫っていた金属の触手を破壊する。
「白夜?!」
「言ったろ、横槍は入れさせてもらうってな」
「私たちもだよ! エデン・フォール!」
「そうです、少しは協力させてください! ゼリービーンズマシンガン!」
セインティとアリアスイートの攻撃がバルバラの下半身に当たる金属部を削る。
「二人とも…」
「てかこんな場所で油売ってる場合じゃないだろ! チャージ系ってことは時間制限あんだろ! この位置じゃバルバラ本体には届かねぇぞ!」
「!、ありがとう」
一言礼を言ってトライアスはバルバラを登っていく。
俺たちの役割はトライアスが登りきるまでバルバラに何もさせないことだ。
「セインティ、アリアスイート! 三方向から大技ぶちかますぞ!」
「わかりました!」
「トライアスの為だからね、やってあげる!」
三人でバルバラを囲う。
バルバラはトライアスを追ってて俺たちには気にも留めてない。
さっきデカい一撃貰ったことを忘れるくらい鳥頭なのか、はたまた自身の失敗作であるトライアスが俺たちを眼中から外すほど憎いのか。
俺も乱戦だと敵の存在が頭から抜けることあるが、ここまでひどくないぞ。
「ま、だから弱いんだよ」
曇天・幽を構える。
恐らくこいつに対して放つ最後の一撃、最高の一撃をくれてやる。
「
「メントス・コーラキャノン」
「マリア・ビッグバン!」
俺たち三人の攻撃がバルバラに直撃する。
威力は上々、金属の触手を伸ばしてる大本を全て消し飛ばした。
「?!、この羽虫どもが!」
「その羽虫に好き勝手やられてたら世話無いな! それより、こちらに意識割いてよかったのかなぁ?!」
「…まさか!」
バルバラが急いで上を見上げる。
だが、空は見えない。
代わりに目に映るのは、バルバラの巨体を優に超える巨大なハンマーだ。
ハンマーの頭の半分は雲を突き破り目視することはできない。
エルファウルの影響で雲の高度が下がってることを加味してもデカすぎる。
「バルバラ! これまで続いた因縁を、今日、断ち切らせてもらうぞ!」
「っ、製作物が、製作者に逆らうなと言うことを教えて差し上げましょう!」
…あれ? これヤバくないか?
「テミス・ガベル!」
「全魔開法・タルタロス!」
巨大ハンマーと極太レーザーがぶつかる。
直後、衝突個所を中心とした衝撃波が当たりに広がる。
「おいおいおい! 衝撃ヤバすぎんだろ!」
「アリア掴まって!」
「すいませんセインティさん、耐えてください!」
両者の攻撃によって発生られた衝撃波により辺り建物が吹き飛ぶ。
俺だって魔法を最大出力にした上で曇天・幽を地面に突き刺さないとぶっ飛ばされちまう。
「トライアス! 早く決着つけやがれ!」
このままじゃこの辺り一帯更地になるぞ!
「っ、ヤバいですね」
「アリアどうしたの?」
「トライアスさんが、押されています」
「嘘だろ?!」
いや、確かに徐々にだがハンマーが押し返されてる。
クソッ、応用が終わってただけで出力は本物だったって訳か。
「くっ…、この!」
「無駄ですよ! あなたは私の所有物! 所有物は─「逆らってはいけないって?」─?!、だ─《バンッ》─」
お、おいおいおいおい!
「マジかあいつ! マジでやりやがった!」
いつの間にか移動していた召がライフルでバルバラの頭部を撃ち抜きやがった!
確かにファントムである召には魔法じゃない衝撃波は効かない。
だからって真隣まで近づいて撃つ抜くとは、マジで最高じゃねぇか!
「八世召!!」
「
召は巻き込まれないようその場から離れる。
そして、今の一撃により均衡が崩れた。
「死ね! バルバラァ!!」
「この…失敗作が!!」
ハンマーがレーザーを押し切った!
この鍔競り合い、トライアスの勝ちだ!
「クソッ、煙で何も見えねぇ」
ハンマーがバルバラに直撃したところまでは見えたが、その後どうなったか土煙で全く見えない。
「…お、やっと晴れてきた。さてさて、どうなってる…か…、マジかよ」
目の前に広がっていたのは巨大な大穴、それもさっきまでの巨大なバルバラがすっぽりそのまま墜ちそうなサイズのだ。
底どころか落ちたはずのバルバラすら見えないが、何かうっすら光ってんな。
…まさかアレって溶岩じゃないよな? マジで溶岩なら数十キロはぶち抜いたことになるぞ。
「うわぁ…本当にこれトライアスがやったの?」
「セインティか。状況からしてそうだろ。で、その本人は?」
「それならアリアが受け止めに行っ─」
「トライアスさん! しっかりしてください!」
ん? 何だ?
アリアスイートが焦って…、あぁ、そういう事か。
「死にそうって訳か」
「はぁ…はぁ…ごはっ…」
「トライアス?!」
トライアスは口から血を吐き出す。
そりゃあれだけ増強魔法使用すれば反動あんだろ。
「てか、アリアスイートが回復させられんじゃないのか?」
「…すいません、なぜか回復できないのです。ソーダを飲ませても一切の変化が無く…」
「ソーダ? …あぁ、お前の回復手段か。予想だが、身体の限界を超えたからじゃないか?」
普通の肉体は限界を超えればよほどのことが無い限り自然に修復される。
だが、トライアスは言い方は悪いが人工物だ。
製品としての耐久値を超えちまったんだんだろ。
「そんな…、じゃあトライアスはもを…」
「助かんねえだろうな」
「くっ…、トライアス起きて! 死なないよね?!」
セインティがトライアスを揺らす。
だが、そんなことしてもトライアスの容態が良くなるわけではない。
「…セインティ…」
「な、なにトライアス?」
「私と…友達になってくれて…ありがとう…」
「え、と、トライアス? トライアス?!」
一言呟き、トライアスは目を閉じる。
…逝ったか。
ま、少しでも最後の言葉残せただけマシか。
死ぬときはだいたい突然か、言葉を残したい奴が近くにいないことが殆どだからな。
「アリアスイートだったか。この場はお前が何とかしろ、身内だろ」
「…えぇ。今回は見逃しますので白夜さんも早く離れてください。近くに居るとセインティさんが泣き止んだ後が面倒です」
「そうさせてもらう」
アリアスイートに任せこの場を離れる。
後はあいつらが何とかすんだろ。
「ブラッド、そっちはどうなった?」
『おうっ! たった今再生魔法と制約緩和魔法の奴を確保して避難民の開放が完了したぜ!』
「だとしたら惜しかったな、コッチはたった今終わった」
『マジかよ! はぁ…、まあいいか。そっちは結局どうなった?』
「魔法少女一人がバルバラを打倒したが反動で死亡した。こちらの被害は召がダメージ食らった程度か。菫はどうせ無事だろ、あいつがリメイク・トイ・ボディーズ程度の敵に負けるビジョンが見えない」
『リメイク・トイ・ボディーズ? あぁ、あのバルバラ製モンスターのことか。ま、確かにそうだな。じゃ、通信切るぞ』
ブラッドとの通信を切る。
向こうも上手く行ったようだな。
これでバルバラの死亡は確実だ。
…さて。
「
「はいは~い!」
空間が歪み、九縄が姿を現す。
実はこっちに転移する少し前に一点頼んでおいたんだよな。
「さて、頼み事はできたか?」
「ちゃんとできましたよ白夜様」
九縄が懐から証拠品袋を取り出す。
「ていうか白夜様もこっちに来るなら一緒に連れてきてくださいよ。移動だけでも結構大変だったのに」
「悪い悪い」
「本当に大変だったんですよ。後で別途報酬くださいね」
「わかったって」
証拠品袋の中身を見る。
入っているのは人毛だ。
よくあの戦場で確保してくれたよ。
「さて。何か言い感じに死んでいったが、お前の役目はまだ終わってないぞ、トライアス」
お前には、聞きたいことが山ほどあるんだ。
そう簡単にあの世に行けると思うなよ。