死にたくないので自分達だけの第三勢力作りました。   作:鬼獣八紅

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三人称視点です


第五章 現代の伊吹童子
召集命令と現場


 

「手紙?」

「そ、何か急ぎの連絡だったぽいけど昨日は忙しかったから渡すのが遅れた。これがその手紙だ」

 

 優真が環に届いていた手紙を渡す。見た目はファンタジー小説に出てくるような古めかしい手紙だ。

 

「え~と…」

 

『全魔法少女に伝令、8月11日に不法投棄怪人の一斉駆除をおこなう。場所は滋賀県と岐阜県の境にある伊吹山。この手紙を受け取った魔法少女は確実に来るように』

 

「……」

 

 内容は不法投棄怪人を駆除するための召集命令だった。

 

「…環、これ」

 

 環はこの手紙を読んで怒っていた。別に召集命令自体に怒っている訳ではない。

 その理由は…。

 

「夏休みつぶれるじゃねえか!」

 

 そう、召集命令の日である8月11日は山の日、そして環にとっては初めての高校の夏休みのど真ん中なのだ。それに移動とかを考えると2日はつぶれることを覚悟しなければいけない。そりゃ環も怒る。

 

「ドンマイ環、それじゃあセレネ伊吹山の地図出せるか?せっかく情報が手に入ったんだ、これを利用しない手はない」

「承知しました」

 

 セレネは目のカメラから伊吹山の地図を壁に写し出す。ちなみにこのカメラは灰崎が改造して取り付けたものだ。

 

「セレネ、この山についての情報は?」

「はい、伊吹山は滋賀県と岐阜県の境にある標高1377メートルの山です。古くから霊峰とされており、古事記などにも名前が出てきます。山域は琵琶湖国定公園に指定されています」

「よく国定公園に不法投棄なんて出来たな」

 

 国定公園とは文字通り国が管理している公園だ。国が管理している場所に不法投棄するのなら、別の場所に不法投棄する方が良いはずだ。

 

「それが、ネットなどで調べてみたのですがここ数十年伊吹山に怪人が不法投棄されたという情報はありませんでした。今から人工衛星を飛ばして更なる探索を行います」

「おい灰崎さん、いつの間に人工衛星なんて作った?」

「優真が洞窟を周回している間だよ」

 

 そうこうしているうちにセレネが遠隔操作する人工衛星が発射される。

 

「もうすぐ見えるはずです」

 

 発射してから二分足らずで伊吹山の映像が画面に写し出される。

 

「やはり怪人はおろか人もおりません。…訂正、人を発見しました」

 

 壁に映し出された映像には白髪の人が山の中を歩いているところが映っている。

 

「あの人なにしてんだ?」

「わかりません、しばらく追跡します」

 

 しばらく追跡していると、白髪の人は山中の洞窟の入り口の前まで来た。

 

「セレネ、場所の記録は?」

「出来てます」

「おい、何か投げる動作してないか?」

 

 灰崎の指摘どおり、白髪の人は何かを投げる動作をしている。その向きは人工衛星のカメラに向いている。

 

「こちらに気付きましたかね?」

「だろうね、すぐに引き返え『ドゴッ』ん?何の音だ?それに映像も切れてる」

「人工衛星が大破しました」

「…まじで?」

 

 白髪の人の投げる映像を最後に、人工衛星はその機能を停止した。

 

「灰崎さん、人工衛星ってそんなに脆いのか?」

「いや、宇宙空間で稼働できてなおかつ隕石にもある程度耐えれるくらいには耐久性があるよ。おそらく、白髪の人の能力か何かで投げられた物によって破壊されたんだと思う。にしてもあの人、人がせっかく作った物を破壊しやがって」

 

 灰崎が怒っているがそれはさておき、おそらく召集命令の原因であろう人を発見できた。

 

「取り敢えず白髪の人に関しては俺とセレネが現場に行ってくる。幸い来週から夏休みだしな。それと環、元花借りていいか?」

「いいよ」

「ありがとう、そしてアルと一緒に菫の訓練監督もよろしくな。灰崎さんは試作品の研究を続けてくれ。以上、会議を終了する」

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