水星の魔女OG   作:ノイラーテム

11 / 15
第十話

 第二のエリアは無数の攻撃端末にオートで動くモビルスーツが沢山。

ドローンもあれば簡単な自立制御を施されたモビルドールというべき存在もあった。その中を二機のモビルスーツが駆け抜け、あるいは突破していく画像が映し出される。

 

『邪魔だ! 自動追尾開始、スラッシュ・リッパー!』

 ディランザをベースにした機体が大楯を掲げてビームの中を突破していった。

大楯を掲げた態勢なのだが、背中の方から巨大なブーメランか何かが曲射され攻撃端末の一部を対象を切り裂いていく。無数に浮かんでいる中の一部でしかないのだが、搭乗者であるグエルの行く手を阻むモノだけを狙って撃ち落としたのだろう。

 

「ガンダムの方は流石だけどグエルはボッコボッコじゃん」

「いいえ。受けた射撃の総数に比べれば極めて軽微です。おそらく大盾以外にもI・フィールドでもあれば無傷と言ってさしつかえないレベルかと」

 チュチュとラトゥーニがその様子を眺めている。

自分達であればどうやって潜り抜けていくかを計算しつつ、スレッタたちの動きを推し測っている。地球寮のメンバーが雇われて設置した場所だけに何処程度の罠があるかは推測できる。全てを知っているわけではないが、他の仲間の作業量を考えれば大きな差ではあるまい。

 

「I・フィールドねえ。あんなもの手に入れて直ぐ使いこなせんのか?」

「それも含めてAIの性能を競う勝負と言えますね。先ほどのブーメランもそうでしたがジェターク側は可能な限りのギミックを入手して、その中で使いこなせる物のみを前面に押し立ててポイントと同時にAIの経験値入手に当てる心算かと思います」

 チュチュの疑問にラトゥーニが地図を簡単に作成していった。

エアリエルが最低限の侵入で抜けて行ったのに対し、グエルが操る機体はコースをジグザグと移動しながら精力的にギミックを拾っていた。そのほとんどは装甲版やら推進剤などの消耗品であるが、中には有用なギミックも存在している筈である。

 

そして二人は推測もしていないが、これだけ拾えば予め用意されたコードブレイカーなどイカサマの類があったとしても覆い隠すこともできるだろう。

 

「でも……エアリエルの機動……綺麗。まるでオウカ姉さまの動きみたい」

「そうですね。私も短い間ならばこの位の動きは可能です。しかし……長時間動き続けるのであればそうも行かないでしょう。本当にあのガンダムが完全自立型AIであるというならば、おそらく最後までこの調子なのでしょうけれど……」

 ラトゥーニの呟きを近くに居たオウカが拾った。

スクール出身者の中でも最高峰の能力を発揮した彼女ならば今のエアリエルと同じ動きをパーメット抜きで可能である。しかしその緊張感は人間ゆえに長続きはしない。スクールならば躊躇なく薬物を投与したであろうが……レースであればそんな事は出来まい。もちろんギミックの中には非常用として用意されているとしても、だ。

 

「……? やはり何か懸念が?」

「流石ですねラト。確かに私はこのレースが公正ではないと思って居ます。それを発見し、覆すのは彼女たちの役目とはいえ……。もし私達が同じ任務を請け負ったのであれば、どう動くか考え物だと思ったのですよ」

 オウカはパイロット・経営・メカニック全ての分野で能力が高い。

記憶への焼き付けという非人道的な裏技ゆえであるが、その膨大な知識と技術ゆえに現時点で何が起きているかをほぼ正確に把握していた。このレースを仕組んだシャディクと、こうなるように要請したであろうジェターク側の判断を考察したのである。

 

「……? 何か問題あるんすかパイセン?」

「このレースは幾つもの思想が絡み合って居ます。まずは株式会社ガンダム、ジェターク・ヘヴィーマシーナリー、そして決闘委員会。ですがもう一つ……このレース形式自体にも、思惑を付与されているのですよ。それを理解できないのであれば、ガンダム側の苦戦は免れないでしょうね」

 二つの三角形が交差する六芒星。それがこのレースの本質だった。

生き残って自分たちの意志を貫きたいスレッタやミオリネ。泥にまみれた栄光を取り戻し、やがてベネリットを掴みたいジェターク側。そして両者を利用して自分が欲しい物の為に暗躍するシャディク。そしてその様相は……レースのとある仮定にも当然反映されていたのだ。

 

ミオリネが予想したコードブレイカーなどは、その一端に過ぎないのだろう。

 

 目標である第二ポイントは『賊の収容船』がある位置とされている。

当然ながらレースが続く以上は、逃げられて別の場所に移動されてしまうのだろう。無人機のエリアを抜け、二機のモビルスーツを回収したそれぞれの母船は、己が得意なコースで予定地点へと向かっていた。

 

「エアリエルへの推進剤補充を急いで。それと手の空いた人は回収した耐熱性FRP樹脂の解析をやっといて。どこまで信用できるか怪しいけど、特に何も無いなら装甲補修材に使うわ」

 ミオリネは拾ったギミックの中で一番使いそうな消耗品にのみ指示を出した。

他にも拾ったが数が少ない無い事もあり、それほど意味のある物はなかったからだ。サブマシンガンの様な予備兵器サイズならともかく大型ビームランチャーなどエアリエルにはあまり相応しい武装ではないだろう。艦のデット・トウェイトになるなら捨ててしまっても良いくらいだ。

 

「ジェターク艦。暗礁宙域を大回りして予定地点へと移動中」

「向こうは大出力のエンジンで振り回すタイプだからね。イザとなればグエルのみを出して調整する気なんだろう。こっちはどうするの?」

「付き合う訳ないでしょ。少し待ってて」

 観測手からの情報を参謀役のエランが簡単に説明する。

ミオリネにも当然判って居るが、会話の相手というものは居た方が考え易い物だ。特にエランは成功失敗に関わらず、次の戦いを受けてくれれば良いので冷静である。日ごろからの態度のままと言えるが、こういう時は逆にありがたかった。

 

「……こっちは最短ルートを少し逸れて(はす)に向かうわ。……多分だけどギミックの中に点数を付ける『職員』扱いのが有るんでしょうね。予想はしてたけどこれで確定したわ。ジェターク側は移動速度を保つ意味もあるけど、可能な限り取りこぼさないで居ると思う」

「それはそうだね。こっちは対テロのエリート組織というわけ? 随分と皮肉なものだ」

 ミオリネは『標的』の思考を考慮し、ジェターク艦と挟むコースを取った。

収容艦が逃走するという過程で次のコースが移動するのだろう。そしてジェターク側が正規軍に近い動きで『研究所の成果』を回収しながら動くとしたら、ミオリネ達は逆にそういったものに興味を示さない対テロ部隊が採るべきコースを選んだと言える。

 

GANDフォーマットを研究する組織を襲ったのは、その対テロ部隊であるドミニコス隊である。エランはその事を皮肉り、ミオリネは詳しく知らないなりに不快感を覚えた。

 

「想定内容はともあれ、向こうの方針と真正面からぶつかるのも馬鹿馬鹿しいわ。私たちは各ポイントを先に回る方針を採る。ギミックは最低限だけど回収するし、グエルを狙えるなら狙うけど」

「異論はないよ。言いたいことは判るから、方針は受諾する(コピー)

 どうにも敷かれたレールの上を走らされている気がする。

それを判って居て規定範囲から逃れられない状況にはイライラさせられた。ミオリネの気分は判るし、かといって意見するような気力も意欲も湧かない。エランは頷いて特に何も言わないことにした。

 

そして予想通り第二ポイントは移動を開始した。

二隻の船がある程度の距離を詰めたところで『収容船が判断を変えた』ということなのだろう。第三ポイントとしてまったく別のエリアが示され、第二ポイントの方向から少しずつ離れていくのが判る。

 

「話の流れとしては、別の船を調達することにしたって事ね。それでいて収容船をフリーにする訳には行かないから撃沈しろと。シャディクの奴……」

 おおむね予想通りであるが、第三ポイントはジェターク艦の方がやや近い。

時間差でジェターク艦から遠ざかる第二ポイントの移動先を抑えた筈のミオリネだが、『収容艦を諦めて別の船を目指す』という行動内容に歯噛みをしそうになった。確かに自分が標的ならばそんな感じで移動するのだが、これではジェターク側をアシストしてやったようなものだ。たかが決闘ゲームであるのに、そこまで話を作り込まなくても良いのにと思わなくも無かった。

 

それでもミオリネが言葉をそこで止めたのは、指揮官は感情を表さない……からではない。

そこまでミオリネは上に立つ者として出来た人格を持っていない。まだ学生なのだから仕方がないが、だが学生だからこそ自分の為に行動してくれるスレッタに弱みを見せて不安に思わせたくないと思ったのだろう。

 

「ミオリネさん。ど、どうしましょうか?」

「スレッタは敵艦を大型ビームランチャーで狙撃する準備をして! どうせなら使ってしまいましょ。もちろん他のクルーは第三ポイントへ向けて艦を回頭!」

 ミオリネは溜息もつかずに言い切った。

過ぎたことに愚痴を言うのではなく、現状で最も適切と思える行動を選ぶ。収容艦が敵側であり、見逃せば何処かでまた現れるという想定ならば撃沈しない手はない。もし拾ったギミックの中に職員という点数扱いのモノがあるならば、敵艦を撃沈したという点数も稼げるはずなのだから。そしてそれを可能なのはジェターク側ではなくこちらであるのは間違いがないのだろう。

 

「エアリエル、ビーム砲の発射シークエンスに入ります。初撃は観測弾とのこと」

「こっちはこっちで妙に本格的ね。まあ好きにやらせといて。私達は第三ポイントへの最適コースを選定するわよ!」

「「命令を受諾、復唱する(コピー)」」

 やがてターンを掛けるペイル艦から大型ビーム砲が放たれた。

都合二発、一発目はエネルギーを絞った観測射撃。続いて放たれた二発目は、第二ポイントの指定宙域を貫通。ポイントの推移を計算していたマーカーを撃ち抜いた瞬間、ポイントが加算されたと通信が入ったのである。

 

 そして第三ポイント周囲のエリアが本命の戦闘区域だ。

そもそも長丁場のコースを決闘委員会は用意できていないので、本物のレースの様にポイントは何か所も存在しない。また、もしこのレースが『二つの派閥に分かれて追いかけている同じ軍隊』だとしたら? そんな想定があった場合、何度も抗戦することはあり得ないからだ。

 

そしてこのことを予想できるかどうかが戦いの分かれ目となる。

戦いたいのであれば短期決戦を挑む必要があるし、戦いたくないならば離れておくしかない。このことを読めない者は、一方的に相手の脅威にさらされるだろう。

 

「スレッタ。次のエリアでグエルと交戦した場合、時間制限を設けるわ。途中までは好きにして良いけど、何かの通信が入ったら何時でも止められるようにしておいて」

「え? ……? 判りました。よく判からないなりに、指示を受諾します(コピー)

 ミオリネも既に全容を把握している。

このレースはまさに『出来レース』なのだ。発起人はジェタークCEOのヴィムであり、その目的は当然ながらジェターク社の製品を誇示しつつ勝利を目指すことである。だが現時点での関心はAIの性能に移っており、エアリエルから情報を抜き出しつつ、自社のAIを次世代型として完成させるべきなのだ。ゆえに戦闘を真面目にする気はなく、かつ、チャンスがあるならば積極的に狙えるなら狙う程度なのだろう。

 

対してミオリネやスレッタはどうなのか? 勿論どうもしない。

株式会社ガンダムというタイトルを押し付けられ、そのCEOとその目玉としてのガンダムであると定義されてしまった。だがあくまでエアリエルは倫理問題を起こさないAIであり、GANDフォーマットもまた倫理規定に反しないと示せば良いだけの事だった。

 

「そうね。アドバイスをあげるとしたら……。別に撃墜しなくても良いわ。手か足にキツイ警告射撃でも食らわせてあげなさいな」

「そ、それなら問題ありません! やっちゃいますね!」

 具体的な指示に見栄て意味もない言葉。

スレッタはその言葉を聞いてなんだか嬉しく思った。それは指示ではなく、ミオリネがくれた思いやりの言葉だからだ。スレッタの気持ちを和らげて、思いっきり戦わせてくれる配慮に他ならないのだから。

 

「勝たなくて良いの?」

「勝つわよ。今のところ『読み』は私の方が上だし、AIとしては向こうのよりエアリエルの方が何倍も優秀。だったらスレッタに思いっきりやらせてあげればよいだけだと判っただけよ」

 このレース自体は『急場で何か起きた時にどう判断するか?』が重要だ。

指揮官役のミオリネとラウダでは専門のミオリネの方に一日の長がある。ラウダも優秀であるがあくまでパイロット科の生徒であり、色々と詰め込み教育をされただけの話だ。『様々な人物の判断』を考察するなどという問題は経営戦略科にあってもパイロット科にはないのだから。

 

「エアリエル、間もなく第三ポイント付近へ。グエル機も同様のタイミングで接触します」

「素敵なランデブーというところかしら? まさかスレッタの奴、ロミジュリったりしないでしょうね」

「ノーコメント」

 仮想敵の動きを読んで、先ほどのマイナスを挽回した。

結果的に二機は第三ポイントである『仮想敵』と同時に遭遇する事になった。不意の遭遇戦であり使用する機体がまるで異なる派閥であれば、敵味方を取り違えて戦うこともあり得るだろう。だからミオリネは最初の間は自由に戦わせ、途中で問題であると発覚した場合に止めるように指示を出していたのだ。

 

『スレッタ・マーキュリー!』

『グエルさん、勝負です!』

 第三ポイントを回ったという表示が出た瞬間、その表記が一時的に消えた。

不意の遭遇戦が始まり、混乱したという想定の下に一時的にマーカーが消されたのだろう。逆に言えば暫くはフリーの戦闘タイムであり、『実は味方だった』などというくだらない水入りで止められたくなければ早めに決着をつけるしかない。

 

『俺はお前に勝つ! だがそれはミオリネを手にする為じゃない! 俺のプライド、いやお前に勝ちたいという気持ちの為だ!』

 グエルのディランザ改二は専用機に新型機のパーツを組み込んだものだ。

手足を中心に破壊されて中破しており、そこにダリルバルデの手足と意思拡張AIを組み込んだ形である。親でありCEOであるヴィムとしてはダリルバルデそのものを渡したかったらしいが、完全な新型を出して破壊されるとジェターク社へのダメージが増えかねない事。そして乗り慣れた機体を強化する方が、グエルとAIに採って良いと判断されたのである。

 

そしてこのチョイスは今回の戦いにおいて図に当たった。

複数のギミックからグエル向きの装備を調整し、複数搭載した上で『グエルがそお時に臨んだ武器を即座に選べる反応速度を有していた。エアリエルとの差をグエルの経験と、『グエルの反応学習』に特化したことで補ったのである。

 

『ニュートロンビーム! から~の! おうりゃあ!』

『っ! みんな、散って! それは受けちゃ駄目! ……はああ!』

 エアリエルがエスカッシャン陣形でビームを受け止める。

その一瞬でグエルは突撃を掛けた。ビームパルチザンを伸ばしながらの抜刀攻撃! 徐々に伸びることで間合いを惑わせるが、このパルチザンは本体そのものが鋭利な刃と化している。ビームと合わせて二種類の間合いを持っており、狙いはエアリエル……ではなくビットそのものであった。

 

『このモビルスーツ腕が四本あるの!?』

『本当は六本だったんだがな!』

 ディランザ改二はダリルバルデのパーツを使っているが、完全に合一出来てはいない。

ゆえに盾も合わせて六つあるはずの能力は、合わせて四つにまで落ちていた。だが今までの延長上の動きができるという意味ではグエルにとって理が大きい。

 

(……しかし、なんだ今のは? なんで下がる? 奴の秘密か? ……いや、今はそんなことを考えている余裕はない!)

 グエルはドローンを盾として使い切らなかったスレッタに違和感を覚えた。

もしかしたら機体の秘密に繋がるのかもしれない。だが、勝負には程遠い事でもあると直感的に結びつける。エアリエルを倒すためにビットを破壊する事が近道だったとしても、この戦闘で残された時間はあまりにも短いのだ。それはグエルが己の意思を貫き通せる時間であり、やるべきことはもっとあるのだと気が付いたのだ。

 

『残り時間が例え十分だろうが一分だろうが問題ない。俺は俺のやり方でお前を圧倒して見せる!』

 グエルにとって父親に約束された勝利の意味は理解している。

それでもその道を進むのが正解だと判って居ても、自分が自分であるためにはやらねばならない事はあった。相手の足を引っ張っての勝利に意味はあるか? 相手を出し抜いての勝利に意味はあるか? あるのかもしれない、だがそれはグエル自身の努力の上に立ってこそだ。卑怯な手段を用いるとしても、それは彼自身の血と汗の先にあるべきだろう。その先が卑怯な方法ではなく、正道の上にあるならば猶更だった。

 

『予備武器と盾、そして二本の腕。そのどれもが脅威を感じます。それに足も?』

『そうだ。それで正解だ! お前ならどれを防ぐスレッタ・マーキュリー!』

 銃を持った予備の腕、盾を持った予備の腕。グエルはそれらを突撃させる。

同時にパルチザンを振り回しつつ、隙あらば足にあるワイヤーを回し蹴りの要領で飛ばすつもりだった。その全てにタイミングを付け、ほぼ同時タイミングで繰り出せるようにAIへ調整させていた。最初にダリルバルデで試した時はヘキヘキしたものだが、指示通りにモーションを組み立てる性能だけは認めても良いと思った。

 

『銃も盾も打撃に? なら!』

『それを待っていた!』

 エアリエルは高速で突撃して来る予備の腕に体当たりを掛けた。

全てを避けることも防御することも難しいからこそ、体当たりで銃身を破壊すれば最も火力の低い銃を持つ予備の腕を狙ったのだ。しかしそれはグエルもまた想定していた。予測済みの行動は対策にはなり得ない。いや、そもそも彼のオールレンジ攻撃は、このタイミングこそを掴む為であったと言える。

 

『掴まれた?! でも、このタイミングなら!』

『これで終い……銃を持ってない? くそっ!』

 銃を砕かれた予備の腕はそのままエアリエルを掴む。

その腕が逆制動を掛けているうちに、グエルが放ったパルチザンが回転方向を変えたのだ。ディランザ改二の腰回しを使い、柄を回転させる武術の応用である。だがグエルはその好機を棄て、咄嗟に片方のブースターを止め機体を捻る事で窮地を脱出した。

 

片側だけブースターの出力を落としたディランザはスピンを始め、天頂方向から放たれる集中射撃を回避。予備の腕が砕かれはしたが許容範囲だろう。そして身を捻ったことでエアリエルの頭を捉えた筈のパルチザンも相手の肩から肘を斬るに留まったのだ。

 

『まさかこのタイミングで割って入られるとはな』

『エアリエルなら問題ありません!』

 グエルが咄嗟に判断出来たのは、エアリエルが誤射を警戒したからだ。

計算され尽くしたビットの砲撃であろうとも万一があり得るし、AIの倫理問題もまた重要視されている。だから誤爆しかねないビームライフルを事前に手放したし、グエルはその行為を罠の一環だと思って咄嗟に避けたのである。どちらも普通のAIには不可能な組み立てであり、先行するエアリエルはともかく、ジェターク社の方はもっと改良が必要であると思われた。

 

血が沸騰しそうな数分間、それは果たしてグエルだけのものか?

それともスレッタもまた、シュミレータでは不可能な戦いに興奮しているのだろうか? それを判別するまでに発光信号が宇宙を染め上げる。

 

『……ちっ。時間切れか。またな』

『あ、停戦信号ですね』

 敵味方の識別が終了し、共に同じ陣営の別派閥であると判定された。

仕切り直して第四ポイントへ移動することになったが……共に大きな破損をしてしまい、修理可能だとしても、ミオリネもラウダも暫くはこれ以上の戦闘は避けさせるだろう。残る戦いは最後の最後、その時までに修理がどれだけ進むかがポイントであると思われた。




予定外に長引いたので、もう一話追加。
無理に話を終わらせようとして書いたり消したりして、最終的に追加です。
やはり原作にないことをやると、スケジュールが組みにくいですね。

とりあえずダリルバルデ戦でスレッタがAIにやった罠をアレンジ。
グエルは咄嗟に回避して痛み分けに終わった感じですね。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。