またまたネームドキャラを出しました。と言っても、今後あまり登場しないキャラも多いですが……
ランディやセオドアから言われた数日後、俺は課題のため図書室で調べ物をしていると、ミアが自分に向かって歩いて来るのが見えた。しかも、凄く嬉しそうに。
「アル!」
「どうしたんだ、ミア? 随分嬉しそうだけど」
「ふふん、やっぱり分かっちゃいますか。これを見てください」
ミアは得意そうにポケットから一枚の紙を取り出して見せてきた。丁寧に畳まれていることからよっぽど大事にポケットに入れたのだろう。紙に書かれた内容に目を通すと、そこには……
『ミア・ベイカー
あなたはスフィンクスクラブへの入部が許可されました。今後、あなたのスフィンクスクラブでの活躍に期待しています』
と書かれていた。ミアは得意そうに笑った。
「ずっと入部を希望していたんですが、先日やっと許可が下りたんです!」
「おぉ〜良かったじゃないか。おめでとう!」
心からそう言うと、さっきまでの嬉しそうな表情と一転してミアは少し気まずそうな顔をした。
「ありがとうございます。本当はアルがヒッポグリフクラブに入った時にもそうやっておめでとうと言えたら良かったんですが……」
ミアの言葉を聞いて、なるほどなと頷く。俺がヒッポグリフクラブに入った時はミアとの仲がまだギクシャクしていた頃である。あの頃はミアと会話すらしていなかったから、ミアも俺がヒッポグリフクラブに入ったことも知らなかったのだ。
ちなみに、これは後から知ったのだが、一年生がヒッポグリフ・ドラゴン・スフィンクスの三クラブに入るのはかなり難しいらしい。何しろ一年生だとまだまだ実績が少ないからだ。俺自身、ヒッポグリフクラブに入れたのは薬草学や魔法薬学の小テストやレポートの成績が評価されたからというのもあるが、現メンバーのミスティやペニーやリズが推薦してくれたことも大きい。勿論、推薦してくれたミスティ達に恥ずかしくないように勉強を頑張っていくつもりだ。
「まぁ、あの頃はギクシャクしてたからな。仕方ないよ。……あれから大丈夫か?」
「はい、部屋も入れ替えがあって、新しく同室になった人は皆良い人ですし」
ミアの顔を見るに、嘘ではないようだ。
「でも……やっぱりスリザリン生のアルと仲良くしているのを快く思わない人はいますね」
ミアの言葉に、少し気が重くなる。ランディの言っていた通り、やっぱりミアも寮内で言われていたらしい。
「それは……俺達はあまり関わらない方が良いってことか?」
俺が寂しそうにそう言うと、ミアはキョトンとした顔を浮かべる。
「え、え? 何でそうなるんですか?」
「え? 何でって……」
「誰かに言われたからなんて……カッコ悪いじゃないですか。それに私はスリザリン生と友達になった訳じゃありませんよ。私はアルと友達になったんです」
「……っ」
ミアの言葉に何か胸にストンと落ちたような気がした。そうか。そうだよな。
「確かにな。ありがとう。ミアが友達辞めたいって言うかもと思ってさ。少し不安になってた」
「あ……もしかしてアルも……?」
「ああ、俺も寮で色々言われたからさ」
俺がそう言うと、自然とミアと目が合った。お互いに少し笑いが溢れる。
「私達って本当に変わってますね」
「まぁな。でもそれでいいんじゃないかな。ミアの言う通り、誰かに言われたからとかカッコ悪いよ」
「そうですね。それじゃ私達は友達継続ということで」
「ああ!」
クラブの時間になったので、ミアと別れて俺はヒッポグリフクラブの部室に向かうことにした。ミアはスフィンクスクラブで挨拶があるそうなので、少し緊張した様子で部室に走って行った。ヒッポグリフクラブの方も今日は新しいメンバーが入るそうなので、メンバーは全員部室に集合するようにと会長のマイクロフトに言われている。一体どんな人が入るんだろうな。
ヒッポグリフクラブの部室はいつもより人が多かった。普段は忙しくてあまり部室に見かけない先輩もいた。七年生や五年生は学期末に非常に重要な試験があるため、その勉強で忙しく、あまり部室に来られないのだ。
会長のショーン・マイクロフトが部室に入ると、彼は拡声呪文で部屋全体に声が通るようにした上で呼び掛けた。
「よーし。全員、集まってくれ!!」
マイクロフトの呼び掛けに、メンバーは全員部室の入り口近くの広場に集合した。全員集まったのを確認したマイクロフトは拡声に使った杖を下ろすと、
「今日は集まってくれてありがとう。今回は新しく入ったメンバーを皆に紹介したいと思い、集まってもらった。見学にも来てもらったし、面識ある人もいるかもしれないな」
マイクロフトがそう言って合図すると、四人の生徒が入って来た。生徒達を横一列に整列させると、マイクロフトは俺に視線を向けて言った。
「そうだ。バクスター、折角だから君も一緒に自己紹介をしてくれ」
「え? 俺も……ですか?」
「ああ、君も今年入ったばかりだからな。まだ全員から認知されていないし、丁度良い機会だから頼むよ」
「は、はい。分かりました……」
どうやら俺も紹介する流れになってしまったようだ。確かに今日初めて会うメンバーもいるが、知っている人がいる前で今更自己紹介とか気まずいな…… チラリとミスティやペニーに目を向けると、頑張ってとハンドサインを送ってくれている。他人事だと思ってからに。
俺も前に出て四人に並ぶと、マイクロフトがそれぞれ自己紹介するように促す。一人目が前に出た。
「は、はい! 私はアデレード・カトラス、グリフィンドールの三年生です! 占い学が得意でより詳しく学んでいきたいと思います。よろしくお願いします!」
「僕はルーサー・ヒッチェンズです。グリフィンドールの一年生です。魔法薬学が得意です。なので、色々な魔法薬について学べることを楽しみにしています」
「……カルヴァン・メイウェザーです。レイブンクローの三年生です。得意科目は占い学、魔法生物飼育学です。よろしくお願いします」
「あたしはイーファ・アンダーウッドです。ハッフルパフの二年生です。薬草学が得意です。よろしくお願いします」
先に四人の自己紹介が終わり、次はいよいよ俺の番になった。拍手が終わって、静かになると、俺は口を開いた。
「えっと……俺はアルフレッド・バクスターと言います。スリザリンの一年生です。知ってる人も多いと思いますが、一ヶ月前にクラブに入りました。得意科目は薬草学と魔法薬学です。よろしくお願いします」
無難に自己紹介を終えると、周囲から拍手が起こる。全員分の自己紹介が終わると、マイクロフトは頷いた。
「よし。それじゃあ、最後に。ヒッポグリフクラブは魔法薬学・薬草学・魔法生物飼育学・占い学を得意とする者達が集まり、その分野にてより深い理解を得るための場だ。だからこそ、クラブ内に寮内や寮間での揉め事を持ち込むことは固く禁じている。クラブではグリフィンドールだろうと、スリザリンだろうと、ハッフルパフだろうと、レイブンクローだろうと関係ない。クラブに入ったからには、お互い切磋琢磨し学び合って欲しい。以上だ」
マイクロフトはそう締めて、ヒッポグリフクラブの新人歓迎は終わった。
新人歓迎が終わると、五年生・七年生達は試験勉強のため、部室から去って行った。このためだけに集まってくれたらしい。残ったメンバー達は新人達と話をすることになった。といっても、最初のうちは新人達は自分と同じ学年のメンバーと話すことになった。
なので、俺は同級生のルーサー・ヒッチェンズと話をすることになったが、どこか気まずい空気があった。何しろ犬猿の仲の寮同士だ。いくら寮間での揉め事が禁止されているとは言え、気まずさがどうしてもあった。どうしようかと思っていると、ヒッチェンズが切り出してきた。
「や、やぁ。僕はルーサー・ヒッチェンズって言うんだ」
「あ、ああ。俺はアルフレッド・バクスターだ。よろしくな」
「バクスターってもしかしてミア・ベイカーの友達の……?」
どうやらヒッチェンズは俺のことを知っていたようだ。先程の自己紹介で俺の名前を聞いた時、もしかしてと思ったらしい。
「確かにミアとは友達だけど……」
「やっぱりそうか。最近ミアが楽しそうにしているからさ。君のおかげなんだろ?」
ヒッチェンズに言われて、思わず驚いた。てっきり文句とか言われるかと思ったからだ。そんな俺の内心を見抜いたのか、苦笑しながら言った。
「スリザリンって嫌な奴も多いけどさ。ミアの友達だし、そこまで嫌な奴じゃないだろうなって思ってたんだ。……まぁ、ジェイクとかはボロクソに言ってたけどな」
「へぇ、ヒッチェンズはモンドの言うことを信じないの?」
そう尋ねると、ヒッチェンズは飄々とした様子で言った。
「僕はこれでも実際に見てから決めるタイプなんだ。バクスターのこともヒッポグリフクラブの活動を通して、それでどんな奴なのか決めるよ」
どうやら、ヒッチェンズはそこまで嫌な奴じゃなさそうだ。ミアやヒッポグリフの先輩とか、 グリフィンドール生と関わることもあったが、モンドとかの印象が強かったので今まで良い印象が持てずにいた。フェリックスの言う通り、自分の行動次第でその寮の学生全員が同類に見られてしまうのだ。俺もこれからは気をつけないとな。
「そうか。それなら今後ともよろしくな。……あ、そうだ。ヒッチェンズってさっき魔法薬学が得意だって言ってたよな。この間のレポートなんだけどさ……」
「どれどれ……?」
そんなこんなでヒッポグリフクラブには新たなメンバーが入った。そして、その新メンバーとも仲良くやれそうで幸先が良さそうだ。
ちなみに、会長のショーン・マイクロフトはハッフルパフの六年生です。