アルフレッド・バクスターの半生   作:マロニエ19号

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お久しぶりです。少し短めです。


魔法生物検定

クリスマス休暇が終わって数日が経ち、騒がしい日常が戻ってきた。どこもかしこも、休暇中にどこに行っただの、何をしただのといった話で盛り上がっている。小腹が空いたので大広間でおやつを食べていると、セオドアが話しかけてきた。

 

「よぉ、アル。クリスマス休暇中はどうしてたんだ? ホグワーツにいたんだろ?」

「うん? まぁ、気ままに過ごしてたよ。帰省してもやることなんて無かったからな」

「なんだ、それならうちに来れば良かったのに。親も歓迎してくれたと思うよ」

「ま、来年にでも頼むよ。おっと、悪い。これからヒッポグリフクラブに行かないといけないんだ。じゃあな」

「それじゃあ」

 

俺はセオドアと別れて、ヒッポグリフクラブの部室に向かった。ヒッポグリフクラブの部室では、各寮の生徒達がチラホラいた。俺の姿を見て、ヒッチェンズが声をかけてきた。犬猿の仲の寮同士とはいえ、クラブ内に寮は関係ない。

 

「よーす、バクスター」

「おーす。どうだったんだ、クリスマス休暇は? 実家に帰ったんだろ?」

「ああ、まあな。家族からは色々聞かれたよ。皆マグルだから、興味深々でさ。そういうバクスターはどうだったんだ? 家には帰らなかったそうだけど」

「ああ、俺は……」

「あたしと一緒にクリスマスの飾り付けとかしたのよ」

 

ミスティが話に入ってきた。

 

「クリスマスの飾り付け?」

「ええ、大広間に飾るツリーの準備とかね。大変だったけど、結構楽しかったわ。ホグワーツに残ってみるのも案外悪くないわよ」

「へぇ、そうなんだ…… それなら来年のクリスマスはホグワーツで過ごしてみようかな……」

「ところで、ミスティ。その手に持ってる本って何?」

 

ミスティの片手には一冊の本があった。表紙には火蟹のイラストが描かれている。

 

「ああ、これ? 魔法生物検定の問題集よ。これはランクⅢね」

「魔法生物検定?」

「そう。魔法生物学者とか魔法生物に関連する職業に就きたい人なら皆持ってるわよ」

「へぇ、ミスティも魔法生物学者とかになりたいの?」

「まだそうと決まった訳じゃないけど、あたしハグリッドの手伝いで魔法生物の面倒も見てるしね。ある程度知識が無いと大変なのよ」

 

ミスティはそう言って、俺に一冊の本を渡してきた。魔法生物検定の問題集でランクⅠと書かれていた。

 

「そうだ! せっかくだし、アルもこれ受けてみたら? 試験日は夏季休暇中だから受けやすいと思うし」

「それだったら、オレも受けてみたいな。どんな問題が載ってるんだ? ちょっと見せて」

 

ヒッチェンズが、ミスティが持つランクⅢの問題集を借りてパラパラとめくってみる。俺も内容を少し確認させてもらったけど、よく分からない問題ばかりだ。代わりにランクⅠの問題は、比較的簡単なものが多い。元々知っている内容のものばかりだ。これなら俺でも解けそうだ。それにしても……

 

「ランクⅠは、レタス食い虫やパフスケインとか……無害な生き物が範囲なんだな」

「そりゃそうよ。いきなりアクロマンチュラとかキメラを学ぶ訳ないでしょ。危なすぎるもの」

 

ミスティの呆れたような声に、そりゃそうだと頷く。ミスティ曰く、ランクが上がると、出題範囲の魔法生物も凶暴だったり有毒のものになっていくらしい。

 

試験日程日は八月の上旬で、魔法省の魔法生物規制管理部内にある会議室にて行われるそうだ。

 

「この試験は11歳以上からじゃないと受けられないのか……」

 

今までこの試験を知らなかったのも、その年齢制限があったからなのかもしれない。

 

「それなら受けてみようかな……受験料もランクⅠに限っては無料みたいだし」

 

魔法生物検定は、ランクが上がる毎に受験料が高くなっていくが、一番下のランクⅠは無料で受けることが出来るらしい。それも魅力の一つだった。

 

教科書やら何やらは、ジルク叔父さんに買って貰っているようなものだ。アルバイトしようにも、ホグワーツ入学までは雇って貰えるような所も無かったので金を稼ぐことが出来なかった。ただでさえ、色々と買ってもらっているのに、そのうえ検定の受験料まで強請るのは申し訳なさがあった。ジルク叔父さんなら快く払ってくれるかもしれないが、やはり申し訳ない。

 

「よし。それなら俺、夏季休暇に受けようかな。興味あるし」

「オレもオレも! 面白そう!」

 

俺とヒッチェンズがそう言うと、ミスティがニコリと笑った。

 

「よく言ったわ、二人とも。その意気よ! でもその前に……」

 

ミスティはそう言葉を切って、近くに飾ってあったカレンダーに向かって指差した。

 

「学期末の試験を頑張らないとね。特に薬草学や魔法薬学はヒッポグリフクラブの重要科目。ちゃんと合格点を取らないと、あっという間に追い出されちゃうわよ」

「「うぐっ!」」

 

ミスティの言葉に思わず憂鬱な気分にさせられた。まだまだ数ヶ月先の話ではあるが、ダラダラ過ごしていたらあっという間だろう。

 

ヒッポグリフクラブやドラゴンクラブ、スフィンクスクラブは、特定の科目に秀でた者が集まり、更なる研鑽を目的としたクラブだ。当然、学期末試験などで、全ての対象科目の点数が低ければ、問答無用でクラブから追放されてしまう。実際、クラブの先輩の中には、成績が下がったことで追放されたことがある人がいる。その人曰くクラブに復帰するまで滅茶苦茶大変だったと遠い目でボヤいていたのを覚えている。

 

俺達はまだ一年生だから、まだ魔法生物飼育学はないので薬草学や魔法薬学で頑張らないとあっという間にクラブから追放されてしまう。ヒッチェンズもそのことに思い至ったようで、どこか慌てた様子で魔法薬学の勉強しに魔法薬学用のブースに走って行った。

 

俺も薬草学のブースに向かうことにした。魔法生物検定も大事だが、まずは学期末試験だ。頑張らないとな。

 

「頑張ってね〜」

 

そんな呑気そうなミスティの声が背後から聞こえてきた。流石三つのクラブに所属している優等生は余裕だな。羨ましい。




魔法生物検定は、ホグミスで言う魔法動物学者レベルにあたります。
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