アルフレッド・バクスターの半生   作:マロニエ19号

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一年の終わりに

学期末試験が終わってから数日後、ホグワーツでは学年度末パーティーが開かれようとしていた。試験の数日前から、寮の得点を示す砂時計は隠されていて、各寮の得点が分からなくなってしまっている。なので、今自分の寮が何位なのか分からない。その結果が今夜のパーティーで分かるようになるのだ。

 

ランディと大広間に入ると、大広間には緑と銀の旗が掲げられており、蛇が描かれた巨大な大弾幕が教員が座るハイテーブルの後ろの壁を覆っている。緑に銀に蛇。それらが何を意味しているのか、分からない者はここホグワーツにいない。

 

「どうやら、今年は僕達スリザリンの優勝みたいだね」

「ああ、うちは優勝することが多いらしいけど」

 

スリザリンは生徒の性質上、減点になるような行動は控えるため、得点を集める傾向にある。 グリフィンドールの方の席から、こちらを睨むような視線が刺さる。モンドやその一味なんかは何か不愉快そうに、こちらを見ながら話している。俺は、そんなモンド達に若干溜飲を下げつつ、テーブルから現れたゴブレットを手に取り、中身のジュースを煽る。

 

その時、教員の席の方からダンブルドア校長が前に出て来た。

 

「また一年が過ぎ去った!」

 

ダンブルドア校長は朗らかに言った。その声に生徒達は次第に静まっていく。ザワザワとした余韻が無くなると、ダンブルドア校長は続けた。

 

「今年は特に大変な一年じゃったが、それでも勇気を忘れず、めげることなくいてくれてとても感謝している。来年は危険がなく、皆が楽しく過ごせる年にしたい。さて、来年度のことはこれくらいにして、そろそろ今年度の寮杯の勝者を発表しよう!」

 

ダンブルドア校長の言葉に各寮のテーブルから再びザワザワと声が聞こえてきた。そんな様子をよそにダンブルドア校長は発表する。

 

「まずは四位、 グリフィンドール394点! 三位はレイブンクロー、408点! 二位はハッフルパフ、427点! そして優勝はスリザリン、431点! よって、今年の寮杯の優勝はスリザリンじゃ! おめでとう!」

 

次の瞬間、スリザリンのテーブルから嵐のような歓声が上がり、大広間の空気を振動させる。他の三寮のテーブルからはまばらだが、拍手も上がった(内訳としてはハッフルパフが一番多かったと思う)。

 

「ではこれにてこんな形式的なお話はおしまいとする。皆、存分に食べて飲むように」

 

その言葉と共にあちこちから食器を動かす音が聞こえ始めた。俺も早速ローストビーフを切り分ける。今晩の料理はいつもより特別に美味しく感じた。

 

元々、入るつもりなどさらさらなかった寮だったが、一年も過ごせば愛着も湧いてくる。俺もなんだかんだでスリザリンの優勝を喜ぶようになっていた。

 

 

パーティーの翌日に、学期末試験の結果が張り出された。十位以内はレイブンクローの生徒が多かったが、三位にアビゲイルが、九位にモンドの名前があった。三位を取ったアビゲイルは寮内で褒め称えられており、彼女は得意そうにかつ照れくさそうにしていた。

 

そして、俺は十七位に名前があった。細かい試験結果を見ると、薬草学と魔法薬学、変身術が特に良く、それ以外は平均より少し上という感じだった。まぁ、満足のいく結果だったと思う。

 

ここからは、夏季休暇にある魔法生物検定に備える必要がある。受験料も無料だし、問題もそこまで難しい訳ではないが、頑張ろう。そう思いながら、問題集を開いた。

 

 

六月も終わりに近づき、いよいよ明日から夏季休暇が始まることとなった。トランクやバッグに全ての荷物をしまい終えると、ランディと一緒に部屋を出る。実は数日前に通達されたのだが、来年からは俺とランディの部屋に一年生が新しく入ることが決まっている。基本的に寮の部屋は五人部屋で、俺とランディの部屋も例外ではないのだが、人数の関係で五人部屋に二人で使う形となっていた。なので、部屋を広々と使うことが出来たのだが、来年からそれが出来なくなるのは少し残念な気持ちであった。

 

「さてと……空いてるコンパートメントはどこか無いかな?」

 

現在、俺は列車内で空いている席を探して歩き回っていた。最初はランディ達と一緒に同じコンパートメントに座るつもりだったのだが、トラバースとサイフォンが半ば強引に一緒のコンパートメントに座る形となってしまい、仕方なく俺が譲る形となったのだ。ランディやモートンはウンザリした顔を浮かべていたが、俺もあいつらと関わり合いにはなりたくなかった。悪く思わないでほしい。

 

その時、ミアの声が聞こえてきた。コンパートメントを開けると、ミアとヒッチェンズ、ワードがいた。

 

「あれ? アルじゃないですか」

「ああ、ミアか。なぁ、ここ空いてる? さっきから座れる場所を探しているんだけど、中々良い所がなくてさ」

「私は構いませんけど……」

 

ミアが遠慮がちにワードやヒッチェンズの方を見渡す。 二人ともグリフィンドール生なので、スリザリン生を入れて大丈夫か不安なのだろう。そんなミアに対して先に反応したのはヒッチェンズだった。

 

「オレは構わないよ。バクスターとは同じヒッポグリフクラブで、ある程度信用できるってのは分かってるから」

 

ヒッチェンズがそう言うと、ワードの方も渋々ながら納得したようだ。

 

「それならあたしも大丈夫よ。ミアの友達ってことは別に嫌なやつってことはないだろうし。ルーサーが信用できるのなら多分大丈夫でしょ」

 

そういう訳で、俺はミア、ヒッチェンズ、ワードのグリフィンドール三人のコンパートメントで帰りの旅路を共にすることとなった。今までワードとは話す機会がなかったが、こうして話してみると意外とそこまで嫌なやつという感じはしなかった。それは向こうも同じだったようで、最初は俺がスリザリン生ということでどこか警戒した様子だったが、キングス・クロス駅に着く頃にはある程度仲良く話すことが出来るくらいにはお互いに打ち解けるようになっていた。

 

キングス・クロス駅に到着すると、列車から降りた学生達はその場で別れて各々の帰路へ向かう。俺もミア達と別れて、しばらく駅の中を歩いていると、突如自分を呼ぶ声と共にどこかへ人通りが少ない場所に移動させられた。目の前に屋敷しもべ妖精のヘザーが現れた。

 

「うぉっ!?」

「アルフレッドお坊っちゃま! お帰りなさいませ」

「ヘザーか。久しぶりだな。でもどうしていきなり姿くらましなんか使ったんだ? わざわざそんなことをしなくても帰れるのに」

「それは……また住居が変わりましたので、アルフレッドお坊ちゃまが間違えないように、こうしてヘザーがお迎えに来たのです」

「え? また変わったの?」

「左様でございます」

 

どうやら、ホグワーツに入学してまた引っ越すことになったらしい。まぁ、入学前の時点で誹謗中傷の手紙とかが届いてたもんな…… ヘザーなら引越し作業自体はあっという間に終わるのでそこまで苦労はないだろうが。引越しを一人でやらせて少し申し訳なくなる。

 

「そうだったのか。それじゃあ、今度はどこになったの」

「フェルドクロフトでございます。アルフレッドお坊っちゃま」

「……随分辺鄙な場所になったね」

 

フェルドクロフト、確か碌なものがない限界集落のど田舎だったはずだ。まぁ、どうせすぐにまた引っ越すことになるだろうし、それまで我慢だな。

 

俺はそう思いながら、ヘザーの魔法でフェルドクロフトに向かった。マグルや他の魔法使いに見られないように慎重に。




学年成績(一年生67人中)
アルフレッド:17位
ミア:16位
ランディ:28位
エレノア:29位
セオドア:12位
モートン:30位
ユーイン:55位
イスカ:8位
ルーサー:11位

トラバース:60位
サイフォン:64位
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