First Trunks ~セルに殺されたトランクスの物語~ 作:kikoumaster
ゲロとボミと人造人間16号の奇妙な繋がりに驚いていると…
ドクターは俺を見ながら
「さて~剣の少年は人造人間を止める為の手段が欲しいのよね…」
僕の顔を見ながら聞いてくる。
「はい」
僕は素直に答える。
「分かったわ…ちょっと待っててね~」
そう言うと奥にある部屋に入りガタガタと何か漁ってる音がする。
その会話を聞いていた一同は…
「なあ~ピッコロ…この連中、大丈夫だと思うか?」
クリリンさんが不安そうな顔で聞く
「そうだな…16号以外は問題ないのかも知れんがな」
「…」
ヤムチャさんは何も言わない。
「このまま何もなければ特にこちらから手出しする必要はないかもな」
天津飯さんは提案する。
「少年…君はどうする?」
クリリンさんが心配そうに尋ねてくる。
「僕もドクターの話を聞く限り危険性はないと思います。」と率直に告げた
「あ~あったあった~コレコレ~はい剣の少年にプレゼント」
設計図らしい紙束と何かの無線コントローラーのような形状の代物を渡してくる。
「これは?」
「17号、18号の設計図と緊急停止装置のコントローラーよ~多分未来の人造人間も同じもの使ってるだろうからこれを使えば問題ないでしょう。」
「え…いいんですか?」
受け取りながら尋ねる。
「処分しなくて良かったわ~どのみちいつかは廃棄するつもりだったしね~」
「ありがとうございます」
僕はドクターにお礼を言いながら、ようやく見えた人造人間の解決方法が見つかった事に身体が少し震えた。
「ほかに用はあるかな?」
ドクターボミはその他の皆んなを見て告げる。
ピッコロさんが
「16号はどうするんだ?」
ドクターは暗い顔をしながら…
「あ~彼はここでの用が無くなったら本人の希望で封印するわ。それが16号の願いだしね。」
「……」
皆んなは一様にそれぞれを見ている。
「それでいいのか…16号は?」
クリリンさんが心配そうに尋ねる。
「ああ…俺の身体に埋まってる爆弾を取り出さないといつか間違えて地球を壊してしまう可能性があるから…」
16号は淡々としかし危険性があると言う事でやはり封印を望んでいるようだ。
「ドクターが取り出せないんですか?」と尋ねると…
「言ったろう~私はバイオ工学が専門でロボットとか機械関係は無理だしね~封印するぐらいしか手がないし…」
「あの…カプセルコーポレーションのブルマさんに頼めば何とかしてくれると思うんですが、設計図とかあれば多分問題ないかと」と僕は提案する。
「…でも私には伝手がないしね~そっちで口聞いてくれるんなら頼みたいところだけどね~」
そこで電話にて話を聞くことに…
何回かの呼び出し音の後、出てくれたのでブルマさんに事情を説明する。
『つまりその人造人間の中にある爆弾を取り出せばいいのね?』
『はい…ブルマさん、頼めますか?』
『大丈夫よ~父さんにも頼んでおくわ』
『ありがとうございますブルマさん』
こうしてドクターゲロの研究所での用事が終わり16号も一緒にカプセルコーポレーションに行くことになった。
「ドクターボミ…ありがとうございました。」
「まあ~気を付けてね~剣の少年」
「はい」
カプセルコーポレーションに着くとブルマさん達はすぐに人造人間16号の爆弾を取り出す作業をしてくれた。
「凄いな…ドクターゲロは何とも勿体無いのう」
「そうね…この技術だけでも世間に公表すればお金持ちになる事も名誉も思いのままだったんじゃ無いかしら…」
3時間程で爆弾を撤去して作業を終わらせたようだ。
そして一緒に17号達の設計図とコントローラーを渡してあって
「一応、設計図とこのコントローラーを調べたけど〜多分人間ベースに使ってる少ない装置が停止に関係あるんじゃないかな…一応使い方の詳細はメモ付けておくからね」
「ブルマさんありがとうございます」
受け取りながらお礼を言う
「お安い御用よ〜そう言えば君はいつ帰る予定なの…せっかくだし帰る前にパーティーしましょうよ。ちょっと早いけど未来の人造人間を倒す希望が見つかったんだもの~」
「え…いいんですか?」
「勿論よ!」
ブルマさんはやっぱり僕の知ってる母さんそのものだった…
その日、お別れパーティーを行い…
次の日…
「皆さん…本当にありがとうございました。
必ず人造人間達を倒して平和を取り戻します!」
クリリンさんや天津飯さん、ヤムチャさんなどお世話になった人にお礼を言う…
悟空さんはまだ寝てる為、悟飯さんに電話で前の日に話してお別れを告げた。
どうか悟飯さん…平和な世界でなりたかった学者になってください…
ちなみに16号は爆弾を取り出すとそのままドクターの元に帰る事になりブルマさん達と協力してドクターゲロの残した遺物を処分する事に…
16号はこの作業が終われば地球の自然を守っていきたいと言う事で森林警備隊に所属する事になっている。
17号、18号になる予定だった少年少女はカプセルコーポレーションで引き続き世話するそうだ。
記憶の混濁が見られ社会復帰もまだまだ先だそうだ。
そしてドクターボミは…
カプセルコーポレーションのアドバイザー(ブルマさんがボミの年齢を聞いて即雇う事に)となってバイオ関係に携わる事になるそうだ。
そして僕は…
「ブルマさん…ありがとうございました」
「うんうん〜元気でね」
僕の手を両手で握ってくれる…
僕はブルマさんに告げなければと…
「…トランクス」
「え?」
「僕の本当の名前はトランクスです…どうかブルマさんお元気で…」
「そう…トランクス…トランクス…何だろう、凄く良い名前ね〜
「ははは…では…お元気で…」
僕は最後はブルマさんを見られないままタイムマシンに乗り起動…
マシンは空中に上がりながら僕は最後に上空から下を見ると…
みんなが手を振ってくれてる~
僕も手を振り返してマシンは時空間内へ突入する。
時空間移動中
ピッコロさん…
僕は昨日のお別れパーティーの時の事を思い出す。
『トランクス…ちょっといいか』と僕の耳に聞こえるぐらいの小さな声で囁く
『え?ピッコロさんがなんで…』
僕は突然の名前呼びに驚いて固まるがピッコロさんは誰もいない外のバルコニーに歩いていく。
他のみんなは談笑してるのか?僕とピッコロさんの行動には特に気にしてなかったようだ。
僕は同じバルコニーへ向かう…
『すまんなトランクス…3年前に孫悟空との会話を盗み聞きみたいな事をしたからお前の名前と出生を知ってる…』
『…そうだったんですね~いえ特に気にしてませんので…』
『そうか…』
『それでピッコロさん…何か用があるんですよね?』
『トランクス…お前、悟空の心臓病のズレや人造人間の件で、余りにも想定外の事が起きて頭が混乱しているから気が付かなかったようだが大丈夫か?』
『え…』
『ベジータの事だ』
『あ…』
『やはりな』
『すいません…すっかり…』
そう完全に忘れていた…父さんの事を…
『俺も言いそびれてな…それでベジータの事なんだがな』
『…』
『アイツは2年前の修行の最中に事故が起きて…亡くなったんだ』
『え…え……』
僕は突然の衝撃に頭が真っ白になってしまった。
『だから分かると思うがな…ベジータとブルマの間にお前は産まれていないんだ』
『…う…そん…いや…まさ…』
僕が産まれていない…そういえば全然、この家には僕の痕跡がまるでない…ないんだ…そうか僕はこの世界では存在しないんだ。
『トランクス…お前に告げるかどうか悩んだんだがな…知らないまま去って行くのも忍びなくてな…』
ピッコロさんは申し訳なさそうに顔を俯かせている。
『……その…ピッコロさん、教えてくれてありがとうございます。』
僕は何とか顔を向けてお辞儀してお礼を言う…
『元気を出せとは言えないが…すまんな』
ピッコロさんはそう言って空へ飛んでいく…
孫悟空さんの心臓病の遅れ、ドクターゲロの病死、人造人間17号18号が存在してない、16号が代りに存在する…
そして父さんの死~それに伴う僕の誕生が無い事になった事
僕はあの世界に存在すらしていない…
じゃあ…
あの世界のブルマさんは僕の母さんでは無いんだ
僕は…
僕は…何で
コクピット内で俺の慟哭が響く…誰も答える事無くタイムマシンは未来へ戻っていく…
最初のタイムトラベラーは特異点が付与される可能性がある
もしフリーザ親子をトランクスが倒さなかったらまた少し変わった世界になっていたのかも…
そして特異点は移る…しかしそれは今すぐではない…