First Trunks ~セルに殺されたトランクスの物語~ 作:kikoumaster
「我ら!ネオレッドリボン軍に退却の2文字は無い!!進め、抵抗する者達は虐殺だ!!!」
追い詰められた我々を戦車、戦闘車両、歩兵が少しずつ近付いてくる…
「くそ…ここまでか…悪魔《人造人間》がいなくなってようやく平和になったと思ったのに…」
街のまとめ役として復興に力を入れ始めて少しずつ人並みの生活が送れるようになったと言うのに…
近くの街から避難民が助けを求めにきたとほぼ同時に襲いかかってきた愚連隊《ネオレッドリボン軍》…
何とか撤退に撤退を重ねて街の奥まで逃げて生き残った住民達と自警団…
最早、抵抗しようにも手持ちの斧や鍬など武器ですらない…
儂等老人や障害者は処分されるだろう…若い男や女性達は…
考えつく限りの悲惨な未来しか思いつかない。
そんな悲惨で絶望の中、それは起きた…
突然、奴等の車両や悪人が吹き飛ぶ風景が繰り広げられていた。
「あ!?天使様だ!」
「正義の戦士様だ!!」
「金髪の戦士様だぞ!」
我らと悪人の間に…空中に金色に輝く天使?
羽根は無いが空に浮かんでいる…
私には天使どころか神様に見えてきた男性が空中で手を振るう度に吹き飛ぶ悪人達…
「天使モドキだぜ!!殺せ!!!」
「パツキン野郎め!撃て!撃て!!」
彼等はただ空中にいるアノ方に大砲や機関銃、ミサイル、バズーカ、拳銃など手持ちの武器を一斉に撃つ…
が…
何故か吹き飛ぶのは悪人達だった。
抵抗が無くなり中には逃げる悪人には容赦なく天使様からの光の矢のような物が飛んでいき悪人達の頭、足や手が消し飛んでいく…
これは天罰だ…
私はいつの間にか手を合わせ膝をつき天使様に祈っていた。
天使様は地上に降りて抵抗する者には容赦の無い罰を下して悪人達を無力化する。
そして再び空中に上がり去っていった
そこからは立場が逆になり生き残った住民達が悪人達を殺していく…
「アンナをよくも!」
「パパの仇!!」
「息子をかえせ!!」
私はその行動を止める事はできなかった…
私ですら手に斧を持って…
「天罰だ…死ね!」
そう言って私は斧を悪人の頭に振り下ろす…何度も…何度も…
それから死体を集めて燃やし数時間後、西の都から救援隊がやってきて私達はようやく人に戻った気がした。
噂で聞いた事はある…人造人間がいた時にも金髪の戦士が戦っていたと…
そんな彼ですら倒す事の出来ない人造人間だったが、それでも彼らが戦う事で多くの人が逃げる時間を作ってくれた事でいつしか『金髪の戦士』『黄金の戦士』『正義の戦士』…または単純に天使と呼ぶこともあった正体不明の人だが…
人造人間がいない世界で彼は再び現れこうして見返りを求める事無く助けてくれる…まさに天使、聖人、神様と呼ぶ者も多い…
この世界にはもう神様がいないのであろうか?
アノ方が神様ならどうか我らに救いを…
『母さん、救援ありがとう』
「まあトランクスの事だから心配はしないけど…大丈夫?」
『ああ、大丈夫だよ』
「あなたは自分の出来る範囲で助けてるんだからね…サポートぐらいは任せなさいって!」
『分かってるよ、ありがとう母さん…最後に一回りしてから家に帰るよ』
「うん…気をつけてね」
そう言うと通信機の表示が消えた。
私は今、別の町で復興支援で赴いている…ここ1月程、息子の顔を見れないほど忙しい。
それでも通信がこうやってやってきて救援などのサポートの為ではあるが話ができるのは嬉しいし頑張ってるんだなと気合が入るけど…
「はあ…何で世界はこうも複雑なのかしら…」
トランクスが人造人間達を倒してから半年。
ようやく世界は復興に向けて前進していた…のだが、それに呼応するかのようにレッドリボンの残党を名乗るネオレッドリボン軍や元軍人、裏世界の住人たちが復興してきた町や村に現れ始めた。
未だに無政府状態故に警察や軍隊が機能してない世界なので町や村、毎に自衛しなければならない。
当然、トランクスは西の都や近隣の町や村に赴いては、そういった悪人達を排除していく…それでもトランクス1人の為、生存している人達、全てを助けるのは困難を極めていく。
私も各地の町や村の復興のために寝る間も惜しんで活動しているが…
まるで雨後の筍の様に出てくる悪人達が今、もっとも頭を痛めてる事案なのである。
人造人間を倒してからのトランクスは以前と変わらないように見えるが実際は違う…これまで悪人といえども人間を傷付ける行為は悟飯君の教えのおかげだったのか?と今は思うほどに辛辣になってしまった。
救援に赴いたスタッフから報告を聞くとね。
悪人達に容赦のない攻撃は勿論、その後の生き残った住人たちがそんな悪人達を殴殺している報告を聞くと…どこかで仕方がないと思う反面、何とかこの事態を収拾したいと考える自分がいる。
(早急に新政府の立ち上げも考えないといけないかしらね~)
まだ地獄は続いていく…
今はそんな日常がこの世界の当たり前となっている。
(孫くんがいたらまだ救いはあったのかしら…もしベジータが生きてたら少しはトランクスの負担も少なかったのかな?…悟飯君、クリリン君…みんながいない事がこんなに重く伸し掛かるなんて想像もできなかったな~)
いつしか自分が立ち止まってるのに気づいた…
「もう!らしくないことは考えない!!」
私は両頬を叩いてそう言い放つと次の仕事の案件にかかるのであった。
まだ生きている私達が亡くなった人達の分まで頑張らないと…
自分の想像ですが人造人間達が暴れ回ってた頃に一度レッドリボンの残党が接触していたんでは思いますが…ゲロが嫌いな彼らが当然レッドリボン軍を好きな訳ないから叩き潰していたのではと…
で人造人間達が消えて無政府状態で軍や警察がいない世界なので各町は自警団を結成してる。
しかし中には権力を欲する連中も生き残っていれば~とそんな世界かな…
ああ北○の拳だな~