トレーナー君はおしまい!–タキオンの薬で『女の子』になった男トレーナーが担当ウマ娘にお世話される話–   作:カンヌシ

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 ダイヤ編が始まりますー。


サトノダイヤモンド:その1『貴方の名前は』

 

 

 

 

 そこはトレセン学園敷地内のとある場所に設置された東屋、校舎や練習トラックから離れたその場所は雑木林の外れの方にあるため昼間でも少し薄暗かった。

 

 そのせいか、そこに学園の生徒は殆ど寄り付かなかった。だが、人混みが苦手なウマ娘たちには密かにリラックススポットとして人気だった。

 

 

 その日、その東屋に設置されたベンチに腰掛けていたのは『漆黒の摩天楼』の異名を持つ不思議な雰囲気のウマ娘、マンハッタンカフェとそのトレーナーだった。

 

 彼女たちは週に一度は、この東屋で昼食を取るのが習慣となっていた。お弁当を作るのはマンハッタンカフェである。彼女が作ってきたサンドイッチにトレーナーが舌鼓を打っていた。

 

 

「うん! やっぱりカフェの作るサンドイッチは最高だな。本当にいくらでも食べられるよ」

 

「……大した事はありません。サンドイッチくらい、誰でも作ることが出来ます。褒めて頂いても、私が出せるのはコーヒーくらいですよ、トレーナーさん」

 

 

 そう言ってカフェは魔法瓶から小さめのキャンプマグにコーヒーを注いでトレーナーに手渡す。彼はその香りを楽しんでから、一口飲んでほっと息をついた。

 

 

「はぁ……幸せってこう言うものかもしれないね」

 

「……そんな歯の浮く様な言葉……よく言えますね。でも……褒め言葉として受け取ります」

 

 

 カフェは微笑んで自分のマグにコーヒーを注いだ。トレーナーと同じようにたっぷりと香りを楽しんでから一口飲んだ。トレーナーから見えない位置で、彼女の尻尾は揺れていた。

 

 

「ふぅ……それにしても、アレからもう1週間か。何だか昨日の事のように思えるよ」

 

 

 突然の話題にカフェの耳はピクンと反応する。

 

 

「……そうですね。多分、一生忘れられない出来事でしょうね……まさかトレーナーさんが、『女の子』になってしまうなんて」

 

 

 バサバサバサバサッ!とすぐ近くの針葉樹から鳥が飛び立った。2人はその音のする方を思わず見やる。が、それを特に気にする事なく会話を続けた。

 

 

「本当にそうだよ。こんな話、他の場所じゃあ絶対にできないよ。まさか人生の中で異性の身体を体験するだなんて、思うはずもないじゃないか」

 

「ふふっ……そうですね。私は普通の人たちが見ない世界を知っていますが……『女の子』になったトレーナーさんがあんなに可愛いなんて知りませんでした」

 

 

 カフェはまた一口コーヒーを飲む。そして、少しソワソワした様子でトレーナーから目を逸らして言う。

 

 

「そ、そう言えば……タキオンさんはあの薬の改良を続けているそうですよ。とりあえず爆発はしないように調整したとか言っていました……」

 

「えっ、そ、そうなの? あの『イメージトレーニングを現実化する薬』……今のところ、某魔法使いの映画の変身薬みたいなものだよね」

 

「……そうですね。変身したトレーナーさんが、私そっくりの姿だったのは驚きました……まるで『妹』が出来たみたいで……」

 

「ははは、『女の子』になるのはもう勘弁かな」

 

 

 そんな談笑をしつつ、2人は昼食を食べ終えると校舎の方へ去って行った。残されたのは無人の東屋のみ、と思われたが……

 

 

 

 ガサガサとその側に生えている木から音がすると、そこから何者かが飛び降りた。

 

 

 

「とうっ……です!」

 

 

 

 シュタッとヒーローの様な着地を決めたのは、1人のウマ娘だった。亜麻色の長く美しい髪をファサッと靡かせるその姿は、どこかの国のお姫様のようにも見えるが……

 

 

「ゴルシさん主催の『オニ無しかくれんぼ』に参加していたら、とんでもないお話を聞いてしまいました……!!」

 

 

 両手をグッと握り尻尾をパタパタと動かすそのウマ娘は、目をキランと光らせて興奮していた。

 

 

 彼女の名は『サトノダイヤモンド』、この世界では知らぬ者など居ない大企業サトノグループの跡取り娘であり、GⅠレースでの勝利という一族の悲願を背負ったレースウマ娘である。

 

 ブリリアントカットを施されたダイヤモンドのように、将来サトノグループを牽引するリーダーとなる事を約束され、完璧な教育を受けたお嬢様なのだが……

 

 

 

「男性を『女の子』に変えてしまうお薬……それが有れば、私のトレーナーさんも『女の子』に……!! 素晴らしいです!! そうですっ♪ その方法ならきっと私の『計画』をもう1段階、いや2段階は一気に進められます!! ふふふふ……」

 

 

 

 目に怪しい光を携えたその微笑みは、とてもお嬢様には似つかわしくないものであった。

 

 彼女は大企業の令嬢として学園内でも有名だが、その大胆で奇抜な発想と常軌を逸した行動力ゆえに『お騒がせお嬢様』としても有名だった。あのゴールドシップすら慄く突進力により、常人の想像力を遥かに上回る謎の大立ち回りを度々披露していた。

 

 そんな彼女は一部からは『クレイジーダイヤモンド』と呼ばれているとか、いないとか……

 

 

「『機会は死ぬ気で追い詰め、矢で射止めてでも逃すな』! サトノ家の家訓です。そしてこれは、他のチームメンバーを出し抜くチャンスです! トレーナーさんは、必ず我がサトノ家に……!」

 

 

 サトノダイヤモンドも勿論チームに所属している。そして彼女はそのトレーナーに特別な感情を抱いている事を隠していない。

 

 だが……それは他のチームメンバーも同じだった。

 

 シリウスシンボリ……『シンボリ家』

 

 メジロアルダン……『メジロ家』

 

 ファインモーション……とある国の『王家』

 

 それがサトノダイヤモンドの所属するチームの輝かしいメンバーたちである。輝かし過ぎて、一部からは『ザ・ロイヤリティーズ』と呼ばれているそうな。

 

 誰もが倦厭する高貴な身のウマ娘たちを、トレーナーは特別扱いする事なく体当たりで指導し、一流のウマ娘へと成長させて行った。

 

 自然体でやんごとなき身分のウマ娘たちと接するそんなトレーナーに彼女らが惹かれないはずもなく、皆必ず彼を自身の家に婿入りさせる為に日々バッチバチに鎬を削っていた。もちろん、彼の預かり知らぬ所で、だが。

 

 意中の男性を巡って女の子たちが睨み合っている……と聞けば可愛いものだが、彼女たちは『持てる権力、財力、コネクションを全て使ってのバトルロワイヤル』を繰り広げていた。

 

 呆れて物も言えません、とはそんな彼女らを見た『とある華麗なる一族』のウマ娘のお言葉。

 

 

「タキオンって、あのアグネスタキオンさんの事ですよね。あまり会った事はありませんが、噂だと彼女の実験室に近づけばたちまち捕まって実験台とされてしまうとか……これも一種の破るべきジンクスです! ご先祖様方、見ていて下さい! ダイヤは彼女と会ってその薬を手に入れ、トレーナーさんを見事『女の子』にしてご覧に入れます!」

 

 

 色々と問題のある発言とともにサトノダイヤモンドは意気込んだのだった。果たして、彼女のトレーナーの運命やいかに……

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

「ふぅ……今日も1日、頑張ったぁ」

 

 

 夜も更けたトレーナー寮の階段をコツ、コツと上る音が響く。トレーナー業は激務なので、今夜も例に漏れず残業をこなしてサトノダイヤモンドのトレーナーは帰宅した。

 

 

 ガチャ……

 

 パチン……

 

 

 部屋のドアを開けて電灯を点ける。一人暮らし用にしては広い一室のリビングには……

 

 

 

「お帰りなさいませ、トレーナーさん♡」

 

 

 

 制服姿のサトノグループのご令嬢が待ち受けていた。

 

 

「ああ、ダイヤか。どうしたんだ? こんな夜遅くに。門限もとっくに過ぎているだろう」

 

「むぅ、そっけないですぅ……トレーナーさん、昔は驚いてくれたのに」

 

「いや、流石にもう慣れたよ……君だけじゃなくて、シリウスもファインもアルダンも皆んな無断侵入するんだもん。守衛さんを何回買収すれば気が済むんだ?」

 

「守衛のおじ様とは『仲良く』しているだけですよ♪ それよりもトレーナーさん、今日も1日お疲れ様でしたっ! ささっ、こちらにお座り下さい♪」

 

 

 ダイヤはトレーナーの袖を引っ張ってテーブルの席に座らせる。一体何を始めるつもりなのか。

 

 

「今日はいつも残業を頑張っているトレーナーさんにプレゼントがあるのです!」

 

 

 じゃじゃーん!と元気いっぱいな声とともにダイヤはどこからかカラフルなラベリングを施された瓶を取り出した。

 

 

「我がサトノグループの新製品の栄養ブーストドリンクですっ! 滋養強壮、疲労回復、快適睡眠、これを飲めば『生まれ変わった』ような驚きの朝を迎えられること間違いなしです!」

 

「ええ……本当に大丈夫なのソレ? 変な成分とか入ってるんじゃ……」

 

 

 トレーナーは胡散臭い物を見る目つきになる。その反応にダイヤは(まるで)ショックを受けた様子で両手を口に当てる。

 

 

「そんな……私は……いつも私たちの為に身を粉にして働くトレーナーさんを労いたいだけなのに……!」(うるうる)

 

 

 曇りなき眼で見つめられてトレーナーはたじろいてしまう。

 

 

「う……まぁ、ラベルもしっかりしてるし、ダイヤが危険な物を飲ませるはずがないよな。ありがたく頂くよ」

 

 

 キュポンと栓を外して、トレーナーはドリンクに口をつける。ゴクゴクと液体を嚥下する音を聞いて、ダイヤはワクワクを隠しきれない。

 

 

(ふふふ……サトノの子会社に特急でラベリングをお願いしたのはナイス判断でした! 後は手筈通りにやれば……)

 

 

 ダイヤはタキオンとの会話を思い返していた。

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 およそ半日前、アグネスタキオンの研究室。

 

 サトノダイヤモンドがタキオンの研究の支援を申し出ると、協力者に飢えていたタキオンは二つ返事で例の薬をダイヤに渡したのだった。

 

 

「この『イメージトレーニングを現実化する薬』は以前のものから改良を加えていてねぇ。主成分は変わらないから効果自体は同じはずだが、効果時間が24時間から72時間に伸びたよ」

 

「ふむふむ、三日間と……(効果は同じと言うことは、トレーナーさんを女の子にする事も可能ということですね!)」

 

 

 ガガガガガとダイヤはメモを取る。

 

 

「これを飲んでイメージトレーニングをして眠れば、翌朝にはその効果が反映されているはずだ。ただ、一つ問題があってねぇ……」

 

「問題?」

 

「飲むとおよそ5分で強制的に睡眠状態に移行してしまうんだ。だからイメージトレーニングを5分間しか出来ないのさ」

 

「なるほど、5分ですか……」

 

「ああ、そうだ。あと効果は同じと言ったが、強化はされているよ。以前、トレーナー君はカフェを見てヒトの女性に性転換していたが、今回はウマ娘にも成れるかもしれない。ただし、母親がウマ娘のヒト限定だけどねぇ」

 

「まぁ、ウマ娘にも……それは興味深いですね。(トレーナーさんも確か母親はウマ娘と言ってましたね、これはもしや……)」

 

 

「大体把握しました! それでは被験者のデータは責任を持って後日お渡し致しますね。タキオンさん、ありがとうございました!」

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 トレーナーは瓶の中身を全て飲み終わると、ちょっぴりむせたように咳をする。

 

 

「ケホッ……これ、随分と甘いんだな。ありがとうな、ダイヤ。明日起きるのが楽しみだよ」

 

「いえいえ、私も……とっても楽しみです♪」

 

(さて、次は……)

 

 

 ダイヤは再びガサゴソとどこからか大量の雑誌やらピンナップやらを取り出して、トレーナーの前に置いた。

 

 

「トレーナーさん! 実は見て欲しいものがありまして!」

 

「ん? これは……ダイヤが以前受けた仕事の?」

 

「はい! 私、ちょっと写真映りで納得出来ないところがあるんです」

 

 

 ダイヤが次々と雑誌のグラビアページを開いてトレーナーに見せていく、中には歳の割にはかなり大胆に攻めた水着を着た彼女の姿もあった。ウマ娘の中には発育は早い子も多いのだが、ダイヤも特にその特徴が顕著である。出るところは出て、へっこむ所はへっこんでいる。抜群のプロポーションというやつだ。

 

 

「ふむ……こう見るとダイヤは随分とメディアへの露出は多いよな。本当にご両親は心配してないのか? 娘がこんなに肌を晒した水着を着てさ」

 

「私はいずれサトノグループを先導する立場となります。一族の繁栄の為ならなんて事ありません! それよりも、トレーナーさん。もっと良く見て下さい!」

 

 

 ダイヤがずいっと見開きの水着姿の自分を見せつける。それはセパレートタイプで細やかなフリル装飾の施された際どい水着姿だった。トレーナーが一度ダイヤを止めたが、彼女がこれを着ると言って聞かなかったのを思い出していた。

 

 トレーナーは流石にジッと見つめるのを躊躇う。

 

 

「お、おい……一体どうしたんだ、ダイヤ?」

 

「ほら、私の顔も、首も、肩も、その下も、耳と尻尾までも……全部全部見て下さい。私、トレーナーさんになら……私の『全部』を見せても良いと思ってるんですよ……?」

 

 

 ダイヤはジッとトレーナーの目を見つめている。その表情に彼はついドキッとしてしまった。相手はまだまだ子供のはずなのに、大人へと成長してゆく途中の微かな色香が……

 

 

「うっ……!?」

 

 

 トレーナーは突然、まるで貧血になったかのように頭が揺れるのを感じた。

 

 

「何だ……突然……眠気が……ぅ……」

 

「まあ、大変。きっと余りに疲れて体力の限界が来てしまったのでしょう」

 

 

 ダイヤは椅子から落ちそうになるトレーナーを横から支えた。

 

 

「安心して下さい、トレーナーさん。私がついていますから……♡」

 

 

 トレーナーが見た最後の光景は、妖艶な微笑みを浮かべるサトノダイヤモンドの顔だった。それを目蓋の裏に残像として残したまま、彼の意識は深い深い闇へと落ちていった……

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

「う……んんぅ……ん?」

 

 

 トレーナーは眩しさに目を覚ます。いつの間にか朝が来ていたようだ。

 

 

「あれ……これ……俺のベッドじゃない……?」

 

 

 彼はいつものは全く手触りもフワフワ具合も違う、一目で高級品だと分かるベッドの上に居た。周囲を見渡すと、ここはかなり広い部屋の中だった。まるで高級リゾートの宿泊施設のような……

 

 

「何で俺はこんな所に……? うっ……昨日の事が思い出せない……確か残業して帰って来て……」

 

 

 まだまだ眠いと感じたトレーナーは、目蓋を閉じたまま上体を起こし、脚を移動させてベッドの縁に座る。彼は身体中に違和感を感じていた。何だか軽いような、一部が重いような……

 

 

「あー、あー……声も変だ。何でこんな高……い……えっ!?」

 

 

 トレーナーはついに自分の身体を見下ろした。そこには……

 

 

 パジャマを下からこんもりと盛り上げる2つの膨らみがあった。

 

 

「な、なななっ…………ッ!?」

 

 

 トレーナーはそれらを鷲掴みにする。下から持ち上げるようにして離すと、プルンと膨らみが揺れるのを感じた。

 

 

「これ……俺に『付いてる』!? ま、まま、まさか……朝にしては大人しいと思ったけど……まさか……!?」

 

 

 トレーナーは嫌な予感がして、ゆっくりと右手を『ソコ』に持っていく。両脚を気持ち開いて、ぺたり……と右手を押し当てる。

 

 

「な……無い!?!?!?」

 

 

 トレーナーは驚きのあまり大声で叫んだ。身体が硬直して『頭の上』と『お尻』の方でピーン!と何かが逆立っている。

 

 

「…………え…………? 待ってくれ、まだ……あるのか?」

 

 

 トレーナー他にも違和感を感じていた。やたらとピコピコふさふさと動く『何か』の感覚があったみたいで……両手を頭の上に持っていくと……

 

 

「ひっ!? え、あれ!? これ、触れるし……動かせる……!?」

 

 

 そう……なんと彼の頭には、大きな耳が2つ突き出していた。良く聞くと、音の感じ方がいつもと違うのが分かる。

 

 

「……てことは……」

 

 

 今度はお尻に手を持っていく。すると案の定そこには……ふさふさの尻尾があった。それも意識してみたら上下左右に動かせる。

 

 

「お、おお、俺……まさか……!?」

 

 

 トレーナーがワナワナと震えていると、ガチャリと扉の開く音がした。彼がバッと振り向くと、そこには担当ウマ娘たちの内の1人……

 

 

 

 サトノダイヤモンドが立っていた。

 

 

 

「あっ、やっと起きたのね! 相変わらずお寝坊さんなんだから」

 

「ダ……ダイヤ!」

 

 

 トレーナーはダイヤの元へ駆け寄る。身体の色んな所が揺れていたが、今は気にしている場合ではなかった。

 

 

「ダイヤ! 信じてもらえないかもしれないけど……俺だ! お前のトレーナーだ!」

 

 

 トレーナーはいつもと全く違う自分の声に違和感しか感じなかったが、同時にどこかで聞いたような覚えもあって不思議に思った。

 

 

「え、突然どうしたの? 変な夢でも見たの? それともまだ寝ぼけてる?」

 

「寝ぼけてなんかいない! さっき起きたら俺……ウマ娘になってたんだよ! 信じてくれ、俺はお前のトレーナーなんだ!」

 

「信じてくれって言ったって……」

 

 

 ダイヤは首を傾げて、困ったような顔で呟く。

 

 

 

「貴方は生まれた時からウマ娘だったでしょう?」

 

 

「…………………え?」

 

 

 

 トレーナーは茫然自失した。ダイヤが何を言ってるのか、理解ができなかった。

 

 

「もうっ! 本当に寝ぼけてるのね。ほら、こっちに来て!」

 

「えっ、あっ、ちょっと……!」

 

 

 ダイヤはトレーナーの手を掴むと、引っ張って部屋の中を歩き出した。トレーナーはされるがままについて行く。

 

 

(そう言えば、俺の今の身長……ダイヤと同じくらいになってしまってるのか?)

 

 

 目の前を歩くウマ娘と、自分の目線がほぼ一致している事実にトレーナーは気づく。そして2人はクローゼットの隣に置いてある大きな姿見の前まで来た。そこで、更なる衝撃がトレーナーを襲った。

 

 

「………………え?」

 

「ほら、自分の顔が見えるでしょ?」

 

 

 トレーナーは呆然と鏡の中を覗き込む。何故ならそこには……

 

 

 『2人』のサトノダイヤモンドが立っていたからだ。

 

 

 片方のダイヤは緑色のパジャマを着ている。そして恐らく自分の方のダイヤは同じ柄で色違いの青いパジャマを着ていた。

 

 

「貴方の名前は……」

 

 

 サトノダイヤモンドがゆっくりと、そしてはっきりと言う。その事実を彼に的確に伝える意志を感じる。

 

 

 

 

 

「貴方の名前は『サトノトパーズ』

 

 私の双子の妹でしょう?」

 

 

 

 

 

 トレーナーは目を見開いて、鏡面を見つめる。あまりの出来事に思考が一時フリーズしていた。そして……

 

 

 

「……えええええ!?!?!?」

 

 

 

 トレーナーは鏡の中で、自分の耳と尻尾がピーン!と逆立っているのを見たのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 少しゆっくりになると思いますが、頑張って続き書いてます。

 某兄が終了するアニメ、凄いよね…………

 あと、トパーズなのはトレーナーの『ト』から始まる宝石だからです。そんな深い意味は無いです。
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