イコさんっているやん? 作:猫又猫々
なんか浮かんできたネタ。
衝動のままに書いたので初投稿です。
なあ、みんな。
俺は大好きや。
え?イコさんが誰か分からない?
よろしい!ならば説明しよう!
生駒達人、彼はワールドトリガー*1というジャンプスクエアにて連載されている漫画に登場する人物である。
厳つい顔面にチャーミングなゴーグルを装着しており、ユーモア溢れる喋りと、関西弁が特徴的な19歳男子である。
趣味は料理とギターで。
好きなものは、女の子、ご飯屋の新メニュー、サッカー、ナスカレー。
身長は173センチで、誕生日は4月29日。
極め付けは攻撃手6位とかいう、その剣技の凄さ。
もうヤバいやろ。
エグいやろ。
そんなん、俺が女やったら惚れてたわ。
ま、俺の前世男やったけども。
俺、イコさんの事めっちゃ好きなんだ。
中高の時とか、イコさんの口調真似てた所為で口調が変わってしまったし。
その口調をキャラ付けとか言われて、いじめられたりしたけど。
俺、変わらずイコさんの事めっちゃ好きなんだよね。
「生まれ変わったら何になりたい?」って質問に「イコさん」って書いたのがマズかったのだろうか?
っていじめられてた事とかどうでもよくて。
大事なのはこっからですよ。
俺実は、一回死んでるねん。
通り魔とか言うのに背中からグサッと逝かれて「ああ、死んでまうでござるw」とか冗談で言ってたら、ホンマに死んでたねん。
笑える。
いや、笑えんけど?
そんで、気がついたら赤ん坊になってたって訳よ。
世界って不思議だね。
俺死んだらそこで終わりだと思ってたよ。
神様には感謝感謝ですね。
で、ですよ。
転生したって事は、いや、転生させてくれたって事は、俺の願いも知ってくれてる筈なのよ。
「生まれ変わったらイコさんになりたい」っていう願いを。
だから俺は神様に滅茶苦茶期待してた。
どんくらいかって言うと、クリスマス前夜の小学生くらい期待してました。
それがやで?
それが、それが。
「なんで裏切られなアカンねん!!!」
なんでやねん!
「なんで似てないねん!!!」
俺一回死んでもたやん。
一回死んだお詫びに見た目くらいイコさんにしてくれてもええやん!
「可愛い過ぎるやろがぁ!イコさんはこんな……こんなんじゃなかった!もっと厳つくて、こんなクリクリお目目やなかったぁ!!!」
うええええーん。
神様の薄情者ぉぉぉおおお。
酷いよぉおおおおお。
ふざけんなや。
決めたで。
バカヤロウお前、俺はイコさんになるぞ、お前。
え?
今世の目標だって?
俺自身がイコさんになる事だ。
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呪術全盛の時代、平安。
そんな、1000年以上前の時代から栄え続けてきた、呪術界を支える御三家。
その一角である禪院家は、異様な空気に包まれていた。
禪院邸の大広間と隣接した、広大な庭。
しっかりと手入れのされた地面は平らに広がっており、小石一つ見当たらない程であった。
そんな庭に2人の"人間"が居た。
1人は地面に倒れ伏しており、その綺麗な顔の頬に青痰をこさえ、鼻からだらだらと出血していた。
他方のもう1人は、それを見下ろしながら脱力しており、その右手に持つ木刀は今にもその小さな手から落ちそうであった。
「クソがッ!なんでこないなガキに負けなあかんねんッ!?」
その綺麗な顔面を歪めて、目の前の少年に文句をいう青年の名は、
禪院家次代当主筆頭と言われ、本家、分家の人間を問わずにチヤホヤされてきた御曹司であった。
「クソガキやあらへんで。禪院
──ブチッ!
そんな、何かが切れる音が確かに木霊する。
直哉の顔は怒りに歪み、歯を食いしばりながら、キッと目の前の少年──禪院龍人を睨みつけた。
「なんで怒ってるん?え?これ俺が悪いん?」
怒りに震える直哉とは対象的に龍人は、何でやろ、なんて言いながら首を傾げる。
そんな彼の態度が、さらに直哉の機嫌を損ねるのだが、そんな事龍人が分かる訳もなく。
際限無く、直哉をイラつかせていく。
そんは2人の様子を本邸の大広間から眺めるのは、禪院家に属する者達であった。
開いた襖の中心の位置に座るのは、現当主にして、呪術師最速(たった1人の例外を除いて)の男である、禪院
そして、その右隣に座るのはその兄弟の禪院
左隣には2人の甥である、禪院
そして、そこから外へと広がる様にして
彼らが一様にして目線を向けているのは、ちょうど先程戦闘を終わらせた2人であった。
「ガッハッハッハ、あれで10歳とは末恐ろしいな! 俺は彼奴が炳に属する事に異論はないが他の者は?」
直毘人は豪快に笑いながらも、そう口にする。
「異議などある筈がなかろう。直哉を倒したのだ。実力は本物だろう」
「俺も異議なしだ。他の奴らは?」
「「「異議なし!」」」
直毘人に続いて、扇、甚壱が続き、龍人が炳に所属する事を承諾し、甚壱の確認にも他のメンバー達は首肯する。
「それにしても、彼の呪力総量も出力も桁違いですね。こんなに素晴らしい子が産まれたのです。辰彦*2殿も浮かばれましょう」
「そうですなぁ。術式は相伝では無かった事が悔やまれますが、天は二物を与えずとはよく言った物ですな」
「扇殿のお子様が"アレ"であったので心配でしたが、所詮杞憂でしたな」
炳の人間がツラツラと話していく。
龍人の凄さに舌を巻く者、彼の欠陥を惜しむ者、杞憂を嘆く者。
さらには、次期当主筆頭候補であった直哉が負けた事に驚愕する者など。
その様相は三者三様であり、異様な空気がその場を包んでいた。
「……フンッ」
3人目の言葉が引っ掛かったのか、扇は顔を顰める。
その様子に気づいたのか、静まり返る大広間。
当主候補であった、禪院扇の子供は出来損ないの欠陥品である。
今の禪院家では有名な話であった。
それは、扇自身にとっては最悪の汚点。
なまじ当主決定の時期が、件の子供が産まれた後であった事もあり、扇はそれが当主になれなかった原因であると考えており、それが尚のこと彼の機嫌を悪くさせる。
実際のところ、子供の出来の悪さなど関係がなく、当人からすればいい迷惑であるのだが。
それを知るのは現当主と、それを決定した上の代の人間のみであった。
「ではこの時を以て、禪院龍人を炳所属とする!」
その場の空気を締めるかの様にして、直毘人が声を張り上げる。
それに驚いたのか、当の本人は直毘人を直視しながら固まっていた。
「え?嫌やけど」
そうして数秒固まった龍人が、次に発した言葉がそれであった。
「「「え?」」」
この日。
禪院家は異様な雰囲気に包まれていた。
主人公を転生させた神様「なんで勝手に期待されてキレられなあかんのや?」