イコさんっているやん? 作:猫又猫々
前話の禪院の漢字ミスは本当にすみません。
まだ修正出来てない箇所があったら報告お願いします。
恐る恐る鏡で自分の姿を確認した俺は、文字通り発狂していた。
おかしいやろがい!
あかん、このままじゃ俺がおかしくなっちゃう。
「なんでやねん!そこは、見た目完全にイコさんで、『神様最高!転生最高!特典最高!イェイイェイ!』とか言うとこやったやん!!」
もぅマヂ無理。
神様にぅらぎられた。
ちょぉ期待してたのに、ゎたしの存在ゎもぅどぅでもぃぃんだって。
どぉせ俺ゎイコさんになれないんだ。
生駒達人になりたいか?
なりたいと言えええええ!!
「やってやるで!生駒達人に、俺はなる!」
これは、齢4歳の誕生日の出来事であった。
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俺の背中をブッ刺した通り魔のお前!
よくもやってくれたな?
お前の所為でイコさんになれなかったじゃねーか!?
フジャケルナァ!オデノカラダハボドボドダ!
さて、死んでしまった事と、イコさんになれなかった事への熱い八つ当たりは、この辺にしておいて。
取り敢えず今は、現在の状況の整理である。
まず最初に、俺の今の名前は禪院龍人。
読みは、「ぜんいんたつひと」である。
「たつひと」だけ一緒とか中途半端すぎだろ!
しかも微妙に漢字違うし。
キレそう。
てか禪院って何処のお家だよ?
おいらそんな苗字知らないよ。
今世の母親である
因みに俺の父親は禪院
らしいと言うのは、実際に父親に会ったことが無いからである。
俺が産まれる前に任務とやらで殉職したらしい。
最初聞いた時は、殉職!?ってなったけれども、この世界の事について学べば学ぶ程、その驚きは薄れつつある。
色々と学んだ結果分かったのだが、この世界どうやらバトル漫画並みに命の軽い世界っぽいのだ。
というのも"呪い"が本当に存在しており、日本国内での怪死者・行方不明者の数は驚異の年平均1万人超えである。
前世で現代日本を生きた俺もびっくりの数である。
ここで云う呪いとは何か、その事についても整理していこう。
この世界では人間の負の感情からエネルギーが生まれる。
その名も呪力。
これは負のエネルギーとして認識されており、これを自由に扱える者を術師、そうでない者を非術師と呼ぶらしい。
そしてこの呪力が寄り集まって出来た存在が呪霊であり、人間の事を襲う危険な存在らしい。
さらに呪霊には人間の兵器なんかは効かない。
え?それじゃ人間が滅んでるだろって?
そうだね。
俺もそう思う。
でも、そうじゃない。
人々は今日も元気いっぱいに生きているし、サラリーマンは今も精魂尽き果てるまで働かされている。
サラリーマン、労働、残業時間……う、頭が!?
失礼、発作が出た。
人間が現代も生きていけるのは、呪術師達が日々命を張って頑張っているからである。
呪術師とは呪いを呪いで以て祓い、人々を助ける存在らしい。
ボーダーみたいで素敵だね。
さて、ここまでどうして状況整理に費やしていたかと言えば──
「それじゃ、今から5分以内にここに居る呪霊全部祓うか、5分間踏ん張って耐えてくれ」
──勿論、現実逃避の為である。
「え、あ、ちょ」
「死んだら、その程度の器だったって事で。張り切ってイコー!」
張り切ってるのは、お前だけだよ!?
なんでやねん。
なんか6歳の誕生日迎えて数日経ったら、いきなり術式がああだのこうだの言われて連れられて来たのが、大量の呪霊の居る訓練場って、なんでやねん。
「え?俺ここで死ぬん?」
悲報、俺氏ここで死ぬww
ええ?また死ぬでござるかぁ?
そんなの拙者嫌でござるよぉフォカヌポウwww
6歳にこの仕打ちってどうなん?
え?俺の扱いがおかしいだけですって?
そうですか……。
クソ教師がよぉ!
テメェ、俺が転生者じゃなかったらマジで死んでたぞ!
俺が。
バカヤロウ!俺はやる時はやる男だぞ!
今がそのやる時だよ!
やったね真希ちゃん!呪力が扱えるよ!
「
俺の右手に来い!弧月!
とかなんか念じてたら、あら不思議。
なんか右手に確かな重みを感じるではありませんか!
やった!術式は成功だ!
この世界にない筈の弧月ですら再現出来たぞ!
勝ったな(確信)。
恐怖を呪力に回せ。
前を見ろ。
進め。
決して立ち止まるな。
退けば老いるぞ。
臆せば死ぬぞ!
序でに気合い入れる為に叫べ!
俺の名は──
「──生駒達人や!!」
違います。
禪院龍人です。
「──だから生駒達人やで!!」
だから禪院龍人だってば。
この後、滅茶苦茶呪霊を祓った。
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初めて其奴を見た時に感じた恐怖。
それはきっと、いつになっても晴れる事は無いのだろう。
まるで此方を見透かすかの様な冷徹な瞳。
間近で見れば見るほどに、肌へヒリヒリと刺さる圧倒的な存在感。
抑えていても尚強く感じられる、その呪力量。
そして、その顔立ち。
目前の彼のそれは、禪院家において永久の
顔はそっくりであるにも関わらず、その在り方は全くの真逆。
片や、呪力を全く持たない異端の男。
片や、歴代禪院家でもトップの呪力量を誇る少年。
真逆であるのに、その存在感は嫌でも意識に割り込んでくる。
最悪の再来。
家の者は陰で、目の前の幼い少年の事をそう呼ぶ。
なるほど、確かにそうだろう。
皆、この少年に恐怖しているのだ。
私だってその1人だった。
それでも1年も一緒に居れば、嫌でも理解させられてしまった。
この少年のフザケタ本性に。
『禪院龍人や! ところで、俺の好きなカレー……知ってる?』
初めて会った時の第一声がそれであった。
5歳にして辿々しくも発される使い熟された関西弁に、俺と云う見た目との違和感が凄い一人称。
極め付けは、その頓珍漢なお喋りであった。
『正解はナスカレー』
そもそも、自己紹介で好きなカレーを聞いてくる5歳児が何処にいるというのだ?
というか、なんで好きなカレーだったんだ?
他にもチョイスはあっただろう?
というか、5歳児がどうして「俺」なんて一人称を使う?
それに、どうして好きなカレーを答えるのに、そんなドヤ顔をする?
分からない。
俺は目の前の、初めて会った少年について知っている事が少な過ぎた。
それでも、1つだけ確信を持って言える事がある。
それは、目の前の少年、禪院龍人は変人である。
それだけであった。
さて、どうしてこんな変人小僧と会う事になったのか、その事について少しだけ触れようと思う。
そもそも、禪院家にて普通に生活するにあたって、本来俺という人間がこの少年と交わる事などあり得る筈はないのだ。
俺は禪院家に所属する普通の術師だ。
色々とそこらの術師とは違うという自負はあれど、当主などの上の人間からすれば、俺の存在など"
そんな俺が、禪院家の人間とこうして対面しているのには理由があった。
俺は禪院家現当主である直毘人様から任じられたのである。
少年もとい、禪院龍人の教師役として。
それと、監視役である。
どうして俺なんかを教師役としたのか、なんて最初は思ったものだが。
事情を聞いて理解した。
『お前ほど、儂等の融通が効きやすく、教導の上手い人間はおらん』だそうだ。
これを翻訳すると、「お前程、消しやすく扱い易い駒は存在しない」である。
なるほど、俺程都合の良い人間はいない訳である。
さて、彼の教師をする事になった訳だが、上の人間──特に扇様から言われているのは、次に挙げる4つの点だけである。
1つ、禪院龍人を炳に属する術師と同等程度のレベルにする事。
2つ、彼に禪院家への反感を抱かせない事。
3つ、彼の監視を怠らない事。
4つ、任務の失敗、成功は問わない事。
この4つな訳だが、なんともまあ酷いものである。
これ要は、禪院家に離叛する様なら殺してオッケーって事である。
災厄の芽は成長し切る前に摘むのが最適という訳だ。
なんとも酷い話である。
生まれてきた、この子に罪は無いと言うのに。
とまあ、少し暗くなったが、こういう理由から俺は龍人と会う事になったのである。
そうして、出会ってから一年である。
彼が6歳の誕生日を迎えて数日が経った頃。
龍人の生得術式の有無がハッキリした。
そのため今日は、それの確認をする為の日であった。
手頃な雑魚呪霊が居て、実力を測れる場所と言えば武器庫の先にある部屋である。
そこは訓練と懲罰に使われる部屋であり、武器庫の入り口を潜って、簡素な廊下を過ぎ、階段を降りれば到着である。
部屋の中には無数の2級以下の呪霊が存在している。
今回はその呪霊を使って、龍人の機能実験である。
ルールは「5分間耐えるかそれ以内に呪霊を全滅させるか」である。
死んでも別に良いらしいし、多少無茶をしてもいいだろう。
多分。
俺の予想では、呪霊を半数は祓えるがその程度だと思う。
まあ、術式に目覚めたばかりの6歳児なんだ。
1年みっちりと体術を鍛えたとはいえど限度はある筈だ。
良くて半数というのは現実的数値だろう。
「──生駒達人や!」
あのバカはいったい何を叫んでいるんだ?
本当に大丈夫なのか?
ちょっと心配になってきたな。
まあ、いざという時は助けてやればいいだけだな。
「いつの間にか、絆されたな……」
おかしい。
初めは監視対象としか思っていなかったし、無駄な感情を持たない様に注意していたんだが……。
仕方ない、少し切り替えるついでに武器庫にでも行ってこよう。
そうすれば多少はマシになるはz──
「な!?」
おかしい。
「呪霊の気配が……消えた……?」
50はいた筈だぞ!?
その数の呪霊がものの2分足らずで全滅!?
いやいやいやいや。
「こんな化け物なのかよ……」
イカれてる。
「おう、ぎょうさんおったけど、ぜーんぶ切ったわ」
「はははっ……」
顔が引き攣るのを抑えられない。
それでも頬が吊り上がっているのを感じる。
俺は今、ぎこちない笑みを浮かべているんだろう。
でも仕方ない。
これほどの事態に遭えば誰だってこうなる。
「お前、スゲェよ」
「え?マジ?俺ヤバかった?」
「ヤベェよ、マジヤベェ」
辰彦の野郎め。
こりゃとんでもないもの置き土産にしやがったな。
こんな化け物どうやっても、敵対した時点で勝ち目なんかねぇじゃねえか。
こっから成長させろとか、上の連中大丈夫かよ?
ははは。
こんなにヤベェなんて誰が想像してたよ。
「そりゃ、先生の教え方がええからやろ」
「あん?嬉しい事言ってくれるじゃん。よし、今日は飯屋に連れてってやる」
これは、もしかするともしかするんじゃないのか?
コイツがもし、才能の許す限り成長し続けたとしたらば。
それこそ禪院家から、あの五条悟に並ぶ化け物が輩出出来るんじゃねえか?
はは、想像するとヤベェな。
「マジで!?俺、アレ食いたいわ」
「お?なんだ?なんでも食わせてやるよ」
「マグロカツ丼」
「あん?」
改めて思うが、俺はとんでもない者を教導する事になったのかもな。
マグロのカツの丼ってなんだよ!?
「そのまんま、マグロのカツの丼やで!美味そうやろ?新メニューらしいで」
「何処で知ったんだよ?」
「昨日行った時に、店長の爺さんが教えてくれた」
え?
「は?待て待て待て、いつの間に行ったんだよ?」
俺昨日任務行く前に言ったよね?
飯は側付きの人に頼めって。
なんで飯食いに行ってんだよ。
いや、まあ良いけどさ。
「先生が任務でえんかった時やな」
「因みに誰と?」
誰に迷惑かけたんだ!?
吐くんだ。
吐けー!
「直毘人の爺ちゃん」
マジかー。
コイツマジかー。
直毘人様と行ったマジか。
あの人いつも酒飲んでるだけだけども。
コイツ実は何も考えてないバカだろ?
俺、
てか、あの人ただの酒飲み爺じゃなかったのな。
先生:多分今回が最後の出番。びっくらポンの人と迷った結果、名も無きオリキャラに。
みなさん、拙作を読んで頂き大変感謝です。
感想、お気に入り登録、誤字報告、ありがとうございます。