イコさんっているやん?   作:猫又猫々

5 / 12
今日も今日とて雪が凄いので、初投稿です。


第5話 直哉くんは分からせたい

 

 

拝啓。

今世の辰彦さん(おとうさん)朱莉さん(おかあさん)、あの世で元気にしてらっしゃいますか?

俺はめっちゃ元気です。

今日も可愛い双子とサッカーをして遊んだ後に、側使の理子(みちこ)さんに勉強をしこたま仕込まれて大変でした。

最近理子さんの扱いが雑になってきており、俺としても楽な限りです。

お堅いのは嫌いなんだよね。

双子ちゃんも最近は元気にしており、俺としても安心です。

時折り、目線から悪寒を感じるのですが、俺の気の所為ですよね?

後ろから刺されないよね?

とまあ、こっちはこっちで元気に生きて行くので、あの世でよろしくやってて下さい。

それでは、また来年のお盆に来ますね。

 

p.s お母さんの実家の宝剣って奴に手を出す事をお許し下さい。

俺の術式で再現出来る様にするだけなので、あの世でジッとしといて下さい。

ほな、また プシュ!*1

 

「さてと、ほんなら帰ろか」

 

「分かりました」

 

「あれや、帰りに飯屋寄ってくれへん?新作の海老カツ丼食いたいわ」

 

「仕方ないですね」

 

どうも、禪院龍人10歳です。

本日は両親の墓にお参りに来ております。

 

いやー、人の成長って早いね。

俺気付いたら10歳やんか。

時間の流れの速さに2万回驚いたよね。

 

この前なんて、先生から免許皆伝を言い渡されちゃって、もう大変である。

先生が免許皆伝を伝える時は、俺が1級術師レベルになった時だって先生言ってたから、そろそろ炳に所属する為の試験的な奴があるんだよな。

何だよ炳って、暴力集団かなんかかよ?

術師集団だからそんな変わんなかったわ。

 

1級術師かぁ。

なんだっけ、先生が言ってたなぁ。

呪術師は4級から1級、そんで規格外の特級の7段階に分けられてるんだったか。

1番下の4級から、3級、準2級、2級、準1級ときて、事実上の最上位である1級と続くんだよな。

ややこしいわ。

しかも特級は3人しか居ませんってなんやねん。

特級希少種すぎやしやせんか?

 

てか1級術師って、ワートリで言うところのA級隊員とかでしょ?

やだよ、そんなの。

俺はイコさんになるんだからB級くらいの2級術師で居たいのに。

それこそ特級とかマジ論外だよね。

 

あれ?

でもイコさんって攻撃手6位だし、単体性能だけ見たらA級レベルじゃね?

ああ、なら別に1級になっても良いか。

そっちの方がお賃金が一杯貰えるしな。

うおおおおお、イコさん鬼つええ!

このままA級にまで昇り詰めてやろうぜ!

 

んじゃ、禪院家出て行くまで炳に所属すれば良いか。

悩み解決ー。

試験がなんぼのもんじゃない!

炳の奴ら全員ボコしてやるわ!

禪院だけにな!(激うまギャグpart2)

あ、でも直毘人のお爺ちゃんはこの前焼き肉連れてってくれたから、ボコさないよ♡

 

よーし!

そうと決まれば、炳の奴らぶっ倒した後にキメるポーズとカメラ目線の練習だぁぁあ!

爺ちゃんのお陰で、画角の意識と、投射呪法については完璧に理解してるからな。

イコさんのあの謎技術は紐解けてしまったんだよなぁ!

うおおおお、なんかテンション上がってきたぁああ!

 

「よっしゃ、帰ったら先生と戦闘訓練や!」

 

「いえ、帰ったらお勉強の時間ですよ」

 

こんの、クソアマぁ!!!

ふざけんじゃねぇぞ、俺の邪魔すんなや!

なんて嘘だよ♡

いつもお世話してくれてありがとね。

 

て事で、お勉強します。

確か、昨日は古文の敬語表現までをやったから、今日は数学の日で確率までだよな。

てか、これ高校の範囲では?

授業の進捗速度おかしいだろ!

自重しろよ、この教えるの大好き女がよぉ。

お前のお陰で、俺の頭脳が完成しちまうよ。

どんどん実ってくね♡

 

 

 

────────────────────

 

 

そうして迎えました、炳所属試験。

なんかめっちゃ人居て笑う。

いや、笑い事ちゃうやろ。

 

「ぎょうさんおんなぁ」

 

「チビってまいそうなら、俺が連れてってあげるで?ビビりさん」

 

「さっき行ってきたから大丈夫やで」

 

さっきから絡んでくるこの金髪野郎は誰だよ。

こんな派手髪野郎が古き良き禪院家に居るわけないだろ!?

でも、さっきからなんかめっちゃ絡んでくるんよな。

 

一応バトル前だからね?

状況分かってる?

子供に負ける大人って結構恥ずかしいよ?

実際に体験した俺が言うんだから相当だよ?

冗談じゃないよ?

まあ、ええか。

互いに負けられない戦いって奴やんな。

 

「それでは両者、開始の準備をして下さい。今から投げるコインが地面に落ちた瞬間が開始の合図です」

 

「早よせいや」

 

この人偉そう過ぎんか?

なんかめっちゃ他人の事見下してそうで草生えますよ。

 

お、コイン投げる準備始めた。

そろそろ始まるやん。

んじゃ、孤月出しますか。

でもなんかぶった切っちゃったら怖いしな、訓練に使ってる木刀にしとこ。

 

術式(トリガー)発動(オン)

 

「木刀?それが君の術式なん?なんか弱っちそうやね」

 

うるせえ、此処からは一瞬の勝負じゃボケェ!

お前、イコさんの抜刀速度舐めんじゃねぇぞ!

あれだかんな、早過ぎて見えねぇからな。

何が言いたいか分かるか?

お前の負けって事だよ。

 

「「ほな、やろか」」

 

因みに勝負は俺の勝ちでした。

なんやお前よっっっっっわ。

お前こんなんで喧嘩売ってて恥ずかしくないのかよ。

禪院家の恥晒しめ♡

 

 

────────────────────

 

 

あの死ぬほどイラつくクソガキに出会ったのは、奇しくもあの人に出会った時と似たシチュエーションやったな。

ホンマにムカつくねんけど、俺はオマエを見て恐怖したんや。

認めたないけどな。

 

あの人とは真逆の圧倒的な呪力総量、あの人を思わせるそっくりな面に、溢れ出る死の香り。

俺はオマエと出会って死を悟ったんや。

俺の事なんか全く見てすらおらん、その瞳にあの人を重ねたんや。

 

「クソがッ!なんでこないなガキに負けなあかんねんッ!?」

 

それでも認めたなかってん。

こんなポッと出のガキが、俺に無い物持って産まれただけのガキが、アッチ側に行くのが許せんかった。

だってそうやん?

俺が1番欲しかった(もん)全部や、全部持って産まれたんや。

 

そんなのこの俺が許さへんねん。

アッチ側に行くんは俺なんやから。

お前みたいな、あの人にそっくりなだけの偽物やあらへん。

この俺が行くって決まってんねん。

そっちに立つんは俺や。

 

それやのに、それやのに──

 

「その顔で、気安くヘラヘラすんなや!その顔で、その強さで、あんな出来損ないに優しくすんなや!雑魚を気に掛けんなや!」

 

──何でオマエやねん!

 

俺は認めん。

オマエだけは認めん!

オマエはアッチ側になんか行けへん偽物(にせもん)や。

オマエなんかよりも俺の方が──

 

「え?俺いつもヘラヘラしてるん?そんなんただの不審者やん。怖ッ!」

 

コイツッ!

ふざけんなや!

なんやねん、その巫山戯た言動は。

あの人の顔でそんな事すんなや!

俺の憧れを穢すなやッ!!

 

「ブチ殺すッ!!」

 

オマエだけは、オマエだけは俺の手で──。

 

 

────────────────────

 

 

事の発端は直哉の発言から始まったのだ。

俺が試したるわ。

その一言から、直哉と龍人の試合が決定したのだ。

結果的に龍人が一刀の元に沈めて見せるという圧倒的な結果に終わったが、一歩間違えれば龍人が負ける戦いであった。

 

勝因は2つ。

1つは、龍人が直毘人から投射呪法について教えられ知っていたと言う事。

直毘人は龍人を少々甘やかす節があり、それが仇となった結果、自身の息子が負けるという事態になった。

また、投射呪法が韋駄天に似ていたと言うのも大きな要因であっただろう。

 

そして2つ目は、龍人の目が異常だと言う事だ。

禪院龍人という男は才能に恵まれた人間だ。

それは生まれ持った呪力量、恵まれた身体能力、異常なまでの吸収能力。

それらが如実に物語っていた。

その中でも特に恵まれた才こそが、彼の目であった。

それは術式による変異なのかもしれないが、彼は目が異様に発達しており、常人よりも遥かに目が良いのだ。

 

これらの条件が重なった結果、彼は直哉の動きを見切る事に成功し、直哉が移動して来るであろう地点に綺麗に打撃を当ててみせたのだった。

この勝負は、始まる前から直哉が負ける事が決まっていた。

彼の勝利は過去が変わらない限りあり得ないものであったのだ。

 

しかし、そんな事他の人間が気付く筈も無く、龍人は称賛され炳への所属が決定した。

最初はなんとなくで断っていた龍人も、直毘人からのお願いにより、渋々入隊を承諾。

その日のうちに、禪院龍人が新たな特別1級術師に加わる事が呪術高専に通達された。

 

10歳の少年の特別1級術師就任、それは呪術界を震撼させる事となる。

 

とある呪詛師は、第2の五条誕生を想起し怯え。

とある呪術師は、若き才能に驚嘆し。

とあるバカ目隠しは、早すぎる出世にほくそ笑んでいた。

まさか、こんな才能が既に高専に引き抜かれているだろう事実を知らない禪院家に対し、必死に囲い過ぎでしょ、と爆笑していた。

 

さて、そんな呪術界を震撼させたバカはと言えば。

 

「んー、冬はうどんに限るわ」

 

「早よ出ていけや。それに今は夏じゃボケ」

 

「まあまあ、怪我人くんも食べたら?」

 

「殺すッ!」

 

直哉の部屋でうどんを食っていた。

 

なんでやねん。

 

 

────────────────────

 

 

「決めた。私は躯倶留隊に入る。あのバカだけに良い顔はさせてらんねぇ」

 

真希のそんな言葉に真依の顔が歪む。

どんどんと3人の結束が乱れていく。

そんな予感に真依は不安になるのを必死に堪えていた。

 

「私は……」

 

どうしよう?

そんな疑問を解決してくれる人間が、この家にいる訳はない。

それでも真依は誰かに縋りたかった。

龍人という支えが欲しかった。

 

「真依、お前は好きにすればいいんだぞ。別にアイツから訓練は受けてんだろ?」

 

好きにしろ。

言外に突き放されている様な気がして、自分勝手にも不安になってしまう真依。

それでも彼女は気丈に振る舞う。

 

「うん。でも、お兄ちゃんもお姉ちゃんも頑張ってるんだし、私も頑張らないと!」

 

だって、2人を心配させたくないのだから。

 

「真依……」

 

「私は灯に入るよ、お姉ちゃん。お互い頑張ろうね!」

 

「そう、だな」

 

この日、龍人が炳への入団を果たした裏で、2人の術師が覚悟を決めた。

1人は少年に追いつく為に。

そしてもう1人は、2人と一緒にいる為に。

歪んだ依存心という感情(のろい)が双子を縛り、捻じ曲げていく。

 

「私お姉ちゃんよりも強くなるよ。だから、一緒に──────」

 

「ああ、そうだな。私達は3人で生きて行くんだもんな。約束、だな」

 

「うん!」

 

こうして双子は初めての約束を結ぶ。

一緒に強くなって、3人で一緒にいる。

そんな淡い期待に想いを馳せて。

 

後にこの約束が2人の関係、延いては3人の関係性を大きく歪める事となるのだが。

この時の姉妹は気付かない。

 

「なあ、真依?がんばろーな」

 

「うん!」

 

 

 

*1
例のコーラを開ける音




オタクなお爺ちゃんから学んだのは投射呪法についてと、画角についてでした。
後オリ主くんは直毘人お爺ちゃんから、アニメについて熱く語られた事があるそうですよ。
微笑ましいですね。

誤字報告、感想、評価、お気に入りありがとうございます。
励みになります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。