Bullets of the Beast   作:リョウ77

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ポケモンx、メガストーンの入手が時間限定とかめんどくさすぎんよ。
一応ストーリーはクリアしたんで、ひとまず置いといて同時に買ったサンでもやっときます。
やりこみは、時間に自由が出来てからでいいや。別バージョンもいつかは買いたいし。


合理を解く獣の徒

「よしっ、これでオッケー!助っ人頼んでおきましたよ~」

 

そう言いながら、千束は携帯をポケットにしまってたきなと一人の女性のところへと戻っていった。

現在、千束はたきなをつれてリコリコでの仕事を説明していた。

その内容は、主に民間からの依頼の解決だった。

喫茶リコリコはDAの支部だが、千束の方針で民間からも依頼を受けている。

その内容は多岐にわたり、日本語学校や保育園の臨時教師やコーヒー豆の配達などがある。そして、今はある喫茶店でストーカー被害に遭っている女性の相談を受けているところだった。

名前を篠原沙保里と言い、彼氏との写真をSNSに投稿したところ写真を消すようにと脅迫リプが送られるようになり、写真を消してからも変な奴に付きまとわれているという。

沙保里に心当たりはなかったのだが、千束とたきなが写真を確認したところ、その背景に以前の銃取引の現場が偶然写りこんでいた。

そうなると、ストーカーの正体は1000丁の銃を取引したテロリストの一員ということになり、沙保里の命が危うくなる。

そのため、今日から沙保里の護衛をすることになり、その助っ人として電話でカゲロウたちの呼び出すことにしたのだ。

 

「助っ人って、どんな人?」

「知り合いの男の人です。護衛はともかく荒事は得意なんで、大丈夫ですよ~」

「そうなんだ。ちなみに、その人って千束ちゃんとどういう関係?」

「ん~、昔からの馴染み、みたいな感じですかね?幼馴染ってほどじゃないですけど、かれこれ10年以上の付き合いなんで」

「へ~!その子と付き合ってたりするの!?」

「いやいや!私と赤城君はそんな関係じゃないですって。どちらかと言えば、悪友とかそんな感じですよ」

「そうなんだ~」

 

幼い頃からの異性の知り合いということで沙保里のテンションが上がるが、よくある誤解ということで千束は軽い調子で否定する。

その様子を、たきなは何とも言えない表情で見ていた。

というのも、今日会ったばかりで仕方のない部分もあるが、今のところたきなが見たカゲロウは、千束に買い出しを手伝わされた姿とコーヒーを飲んでいるところだけだ。また、先に会った切矢と比べて、カゲロウはどちらかと言えば千束に似たよくわからない印象が強かった。

とはいえ、ストーカーの正体が分かった途端、迷わずにカゲロウに電話したあたり、相当信頼しているのは見て取れた。

ただし、他に気になることがあるとすれば、

 

「ですが、千束さん。たしか、あの人たちって今日は用事があるって言ってませんでしたか?」

「えっ、それって本当?」

「だいじょーぶだいじょーぶ。赤城君も引き受けてくれたし、ちょうど用事が終わったとかそんな感じだって」

「だといいんですが・・・」

 

それから、千束がカゲロウとの思い出話をすることしばらく、喫茶店のドアベルが鳴り、カゲロウと切矢が中に入ってきた。

 

「あっ、赤城くーん!助っ人ありがッ」

 

千束が人懐っこい笑みを浮かべながらカゲロウに近づくと、問答無用で千束の顔面が掴まれた。

 

「おい、錦木。俺、今日は用事があるって言ったよな?なのに、なんでいきなり呼び出して手伝いを押し付けてきてんだ?」

「いやでも、こうして引き受けてくれたってことは問題ないってことじゃん」

「それでもマナーってもんがあるよな?用事があるって伝えた知り合いを呼びつけて新しい用事を押し付けるとか、失礼だとは思わないのか?」

「こんなこと、赤城君にしか頼まないからね!」

「なお質が悪ぃわ!俺なら何を押し付けてもいいって思ってんのか!」

「ギャアアアア!私の可愛いお顔が歪んじゃうー!お店の宣伝できなくなったら赤城君のせいだかんなあダダダダッ!!」

「言ってろバカが!マジで骨格変えてやろうか!?」

 

あながちカゲロウの言っていることに間違いはないとはいえ、お店の中で年頃の少女に容赦なくアイアンクローをかます姿は、たきなと沙保里からして反応に困る絵面だった。

それに対し、切矢はこんな姿は見慣れたものだと2人の痴話喧嘩を無視して自己紹介した。

 

「初めまして。自分は櫻木切矢と言います。あっちで錦木さんを掴んでるのは赤城カゲロウさんです。少し信じられないかもしれませんが、あれでもちゃんと優秀なので安心してください」

「は、はぁ・・・」

 

初対面の沙保里はただ曖昧に頷くことしかできず、たきなに関してはカゲロウどころか千束に対しても「本当に優秀なんでしょうか?」と首を傾げずにいられなかった。

 

 

* * *

 

 

「そんじゃ、私らは急いで準備してきますんで!」

「ホント懲りねぇな、お前・・・」

 

千束とカゲロウの一悶着が落ち着いた後、今日のところは5人で沙保里の家に泊まり込みで護衛をすることになった。

その支度のために、たきなはリコリコに戻ることになり、当然のようにカゲロウも荷物持ちとして同行することとなった。

カゲロウは嫌そうな顔をしているが、それでも結局千束の言うことを聞いているあたり、恋人と言うよりは老年夫婦に近い物があった。

 

「にしても、いいんですか?錦木と井ノ上はともかく、男の俺らまで一緒に泊まることになって」

「うん。幸い、止まれるだけのスペースはあるから。それに、いざって時は千束ちゃんが守ってくれるでしょ?」

「あはは、まぁないでしょうけど、もし襲うようなことをしたら私がボコボコに叩きのめすしますんで!」

「へぇ?言うじゃねぇか。やれるもんならやってみろよ」

「お?いつまでも勝っていられると思うなよ?次こそリベンジしてやるかんな?」

「まぁ、篠原さんがそう言うんであれば、お言葉に甘えて泊まらさせていただきます。それと、自分と赤城さんはリビングで雑魚寝とかでも大丈夫なので、寝場所のお気遣いはけっこうです」

 

千束とカゲロウが2人の世界に入りそうになったところで、切矢がフォローに入る。

一度この2人のスイッチが入ったら長く続いたことが今までに何度もあったため、切矢はいつしか2人の間に流れる空気を読んで衝突する前になだめる術を身につけていた。

今となっては、観察力に関してはDAの中でも五本の指に入るだろう。身につけた経緯が経緯なだけに、切矢としては複雑な心情だが。

 

「そんじゃ、私らが荷物取りに行ってる間は2人でよろしく。それと、あまり無茶な真似はしないようにね。『いのち大事に』だからね!」

 

そう言って、千束はカゲロウの手を引いて喫茶リコリコへと戻っていった。

その様子を、沙保里は微妙な表情を浮かべながら眺めた。

 

「・・・ねぇ、あの2人って本当に付き合ってないの?」

「そうですね。リコリコの同僚や常連にも散々指摘されてますが、あれで本当に付き合ってないみたいです。強いて言うなら、あれでしょうか。距離が近すぎて恋愛感情が湧かなくなった幼馴染、みたいな」

「あぁ、なるほど!たしかにそう言われると納得だわ!」

 

切矢の的を射た表現に、沙保里はそれだと頷いた。

 

「それにしても、千束ちゃんって面白い子ねぇ~。不安が吹き飛んじゃった」

「私は・・・あの人不安ですよ」

 

笑いながらそんなことを言った沙保里に、たきなは言葉通りの不安そうな表情を浮かべながら、2人が走って行った方向を見つめた。

 

 

 

 

「・・・じゃ、たきなちゃんが会うのは今日が初めてなんだ?」

「はい。優秀な人らしいのですが・・・」

「自分は数か月程度ですね。何と言うか、退屈しない人たちです」

「で、たきなちゃんは前のバイトに戻りたいと」

 

沙保里の家まで向かう道中、たきなはDAから左遷になったことをバイトに置き換えて肝心な部分をぼかしながら話した。

知らないとは言えリリベルである切矢の前で話す内容としてはふさわしくないが、沙保里は完全にバイトの話として受け取っているため、この場は流すことにした。

 

「嫌なことがあって辞めたとかじゃなくて?」

「いえ・・・少し誤解があっただけです」

「そんなに戻りたいの?」

「戻りたいです」

 

たきなはそう言うが、現場指揮官や司令の命令を無視して仲間ごと機関銃をぶっ放したことを“少しの誤解”と言えるかどうかは個人差があるだろう。というか、だいたいの人物はやり過ぎだと評価するに決まっている。

それに、もし戻ることができたとしても、仲間ごと撃った事実が消えない以上、前と同じように仕事をするのはほぼ不可能だ。

切矢はそんなことを考えながらふとカーブミラーの方を見ると、徐行しながら走っている車が見えた。

一見はただのワゴンだが、道幅が狭いとはいえ人通りの少ない真夜中でライトを付けずに走っているのはどう見ても怪しかった。

そして、それはたきなも見えており、すぐに表情が引き締まった。

 

「そっか、私も協力するよ!こう見えて・・・」

「そういえば、錦木さんはパジャマパーティーだって言ってましたよね。せっかくですし、コンビニに寄ってお菓子やジュースでも買いませんか?」

「おっ、それいいね!お姉さんがおごってあげる!」

「あっ・・・」

 

たきなが何かを言い出す前に、沙保里は張りきった様子で最寄りのコンビニへと向かう。

そして、そうするように仕向けた切矢に対して抗議の視線を向け、沙保里に聞こえない程度の距離を維持しながら話し始めた。

 

「何をしているんですか」

「いや、襲撃犯が近くにいる以上、依頼人を遠ざけるのは当然でしょう」

「ですが、銃の在りかを知る絶好の機会のはずです」

 

真顔でそう言うたきなに、切矢はまさかと嫌な予感が浮かんだ。

 

「ちょっと待ってください。まさか、篠原さんを囮にするつもりだったんですか?」

「あの人たちの目的はスマホの画像データです。沙保里さんを殺す意図はないと思われます」

 

そのまさかをさも当然のように言ってのけたたきなに、切矢は思わず頭を抱えた。

何が合理的だ。これでは狂犬と言っても差し支えないレベルだ。

なんなら、獣を自称しているカゲロウの方がよほど合理的に思える。

 

「・・・念のために聞きますが、今回の依頼内容は理解していますね?」

「沙保里さんの護衛ですよね?ですが、殺される心配がないなら・・・」

「論外です。護衛依頼とは、護衛対象が死ななければいいというわけではありません。危険な状態から助けるのは最終手段で、そもそも危険な場所に近づけさせないのが基本です」

「ですが・・・」

「それに、彼らが銃の在りかを知っていると断言できますか?1000丁の銃を取引したということは、それを使うだけの人員がいるということでもあります。何も知らない下っ端がいる可能性が高いでしょう」

「彼らがそうだと?」

「もちろん、可能性の話です。そして、どちらも可能性でしかない以上、わざわざ篠原さんを囮に使うのはマイナスにしかなりません」

「・・・なら、私はどうやってDAに戻ればいいんですか?」

 

やはりそれか、と切矢はため息をついた。

リコリスにとって、DA本部で活動することはこれ以上ない名誉なことである。

DAに、半ば洗脳のような形でそう教育される。

それはリリベルでもだいたい同じで、DAからすれば忠誠と向上心を植え付けるために必要なことなのだろうが、それがきっかけで命令そっちのけで暴走するようなリコリスが生まれてしまうようでは本末転倒もいいところだ。

もし機会があれば、虎杖にその辺のことを話してみようか。

そこまで考えて、そう客観的に俯瞰できるようになった自分と、そのきっかけとなった左遷が良いことなのか悪いことなのか、改めてそれを実感して苦笑いを浮かべた。

だが、悪いことばかりではなかったのは確かだ。

そして、おそらくそれはたきなにも言えることだろう。

 

「それに関しては、自分に聞かれても答えようがありません。ですが、その参考のためにも、あの2人の仕事ぶりを見て損はないでしょう。時間的に、そろそろ近くに来る頃合いです。それまでに、あの車も足止めしておいてください」

「・・・分かりました」

 

そう言うたきなの表情はまったく納得していなかったが、DAに戻るために参考しろと言われては頷くしかない。

たきなはバッグから銃を取り出してサイレンサーを取り付け、車が見えた場所へと走って行った。

 

「あれ、たきなちゃんは?」

 

そこで、沙保里はたきながいなくなったことに気付いたが、すぐに切矢が誤魔化す。

 

「井ノ上さんは、向こうで赤城さんたちに電話をかけに行きました。もしかしたら、自分たちが戻るより先にあの2人が着いてしまうかもしれませんから」

「あっ、それもそうね。じゃあ、できるだけ早めに買わないとだ」

 

沙保里には悪いが、ここはできるだけ時間を稼がなければならない。

そのために、切矢は頭の中で様々な行動パターンを組み立て始めた。

 

 

* * *

 

 

「ったく、まさかリコリコに置いといた着替え一式が役に立つことになるとはな・・・」

「泊まりに来てもいいって言ってんのに、赤城君が来ないせいで置き場所圧迫してたからね、これ?」

 

一方、たきなと切矢が別れる少し前。

カゲロウと千束は人数分の着替えが入ったバッグを背負って夜道を走っていた。

ちなみに、リコリコにお泊まりセットを取りに戻った際、ミズキが「千束てめぇそいつの家に泊まりに行くつもりか!!」などと勘違いしたが、「いやこれも仕事だから、ほらミズキも働いて」「自分が男の家に泊まれないからって僻むな、鬱陶しい」と2人がかりで言葉で殴られたため、リコリコではミズキのヤケ酒が進んでいる。

 

「いや、リコリスとリリベルってのを抜きにしても、年頃の男女が一つ屋根の下ってのはどうなんだ?」

「別に、私のセーフハウスじゃないんだからいいでしょ。それに、お店でお泊りってのも乙じゃない?」

「知るか」

「んで、本音は?」

「ミズキさんが鬱陶しい」

「だよね~」

 

そんなことを駄弁りながら走っていると、不意にカゲロウが正面を向いたまま視線を後ろに向けた。

 

「ん?どったん?」

「後ろ、ドローンが飛んでんな。8時、いや7時方向か?」

「お?ほんとだ」

 

カゲロウに指摘され、千束も闇夜を飛んでいるドローンの存在に気付いた。

 

「これってもしかして、例のテロリストのかな?」

「だとしたら、なんで俺らなんだ?監視するなら篠原さんだろ、普通」

「だよね。となると、別口?」

「いや、それもどうだろうな。このタイミングだ、まったくの無関係とも思えんが・・・」

 

荷物を抱えて走りながら、2人は息切れ一つせずに話し合う。

本当の全力疾走ではないとはいえ、荷物を抱えて走りながら平然と会話をしている2人の肺活量は普通ではなかった。

 

「こうなると、篠原さんが不安だな。すでに尾行されてる可能性もあるか?」

「でも、たきなと櫻木さんがいるし、大丈夫でしょ」

「いや、櫻木は心配してないんだが、井ノ上がな。まさかあいつ、DAに戻るために篠原さんを囮にしてテロリストを捕まえようとしたりしないだろうな」

「いや、さすがにそれはないでしょ」

「いやいや、人質になった仲間を助けるために、仲間ごと機銃をぶっ放すやつだぞ?人質になっても最終的に生きてればいいとか思ってそうなんだが」

「いやいやいや、さすがにそれは・・・ないと、いいね」

 

言っている途中から千束の歯切れが悪くなったのは、今日共に行動して、たきながDAに戻りたいと強く願っている様子を見たからだ。

それに機銃乱射の件も合わされば、カゲロウの心配もあながち杞憂とは言えなかった。

 

「・・・急ぐ?」

「その方が良さそうだ」

 

示し合わせた2人は、ドローンを引き連れたままさらに加速した。

 

 

たきなとテロリストが接触するまで、あとわずか。

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