異世界おじさんvs異世界TS娘   作:SEGA機未プレイお兄さん

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7ヶ月前に書いてすっかり投稿を忘れてたものを供養……え? 嘘でしょ? もう7ヶ月前?(呆然)


おまけ ソニック×シャドウジェネレーションズ特別編

 

 

 ──2024年、10月

 

「以上、おじさんと」

「メイベルでした!」

「──お〜じぷ〜ぺぽ〜ん!」

 

 …………よし。

 

「はい、オッケー。二人共、お疲れさま」

 

 カメラのデータを確認すると、すぐに作業を始める。

 もう何回も案件を貰っているが、気は抜けない。二人の発した言葉にワーディングとして適切でないものを切り取ったりしなくてはならないのだ。ここは、編集人の腕の見せ所と言ってもいい。

 

「……ふぅ。今回もコラボ案件、きちんとこなせたな」

「その割には、けっこうウルフがふざけてたと思うんだけど……」

「いやいやメイベルも大概だっただろ! セガ様のゲームをクソチョロ呼ばわりして……!」

「だ、だってチョロかったんだもん! 久し振りのアクションゲーだったけど、難しくなかったもん!」

「ぐぬぬ……!」

 

 メイベルさんは、やはりゲーム全般において親和性が高いらしい。リフィアさんが格ゲーじゃもう勝てないって言ってたぐらいだし、プロの世界とか、そういうのを考えてもおかしくはないと思う。

 

 現実問題、他三人とは違って、メイベルさんはこの六年で就活のシの字も無かった。

 ウチの専売特許であるリアル系VTuberとして、大量の再生数とスパチャ、曲の印税収入などなど、我が家一番の稼ぎ頭として活躍しているので、もう普通に働く事は無いんじゃなかろうか……

 

「ねーウルフー、仕事も終わったしゲーセン行こうよゲーセン」

「おっ、いいな。折角なら、博多までソニックごっこしながら走っていこうぜ!」

 

 ゲームやったのにゲームって、良いんだおじさん……!

 というかソニックごっこって何? 理解が追いつかないんだけど。

 

「やだ、私シャドウが良い! シャドウの方がカッコいいもん!」

「んなっ、ソニックの方がカッコいいだろ! ……だが、頭ごなしに否定するのは違うな。こうなったら、ソニック対シャドウで競争といこうじゃないか。──《創貌変躯(ザックトーラ・ユール・キャトルフ)》」

 

 と思っていたら、おじさんがソニックになっていた。

 嘘だろ、まだ、そんな大きな隠し技持ってたのかよ、おじさん!

 

「メイベルにも掛けてやろう────《貌の精霊よ、彼の者の形を、創られし姿に変ぜよ》」

「こ、これは……凄い、凄いよウルフ! 今なら速く走れそう!」

「だろ? 俺も走りたくてウズウズしてきた……外に出たら早速勝負だ!」

「ようし、今回も勝ってやるぞー!」

 

 おじさんソニックとメイベルさんシャドウが、ベランダからぐるぐる回転して飛び出ると、住宅街の向こうに消えた。

 あっ、近くにいたおじいさんが腰抜かしてる……

 

「……って、いやいやいや! これマズいでしょ、一大ネットニュースになってますます肩身狭くなるじゃん!」

 

 築一年の新居、高丘邸は同居人の数もあって、ここ周辺でもかなりの大きさを誇る住宅だ。

 幸い、かなりの努力によって身バレとか住所バレは逃れているものの、魔法を使わなければ到底成り立たない綱渡りの生活になっている。

 

 ここ周辺が更に悪目立ちしたら、俺達の生活は一気に破綻してしまう。メディアに追われる日々、厄介ファンの自宅凸エトセトラエトセトラ……

 

 ああもう、どうすればいいんだよ……!

 

「大丈夫だよ、敬文くん。ギリギリ二人に透明化の魔法掛けておいたから、あのおじいさん以外は、なんか凄まじい突風吹いたぐらいにしか思ってないはず」

「り、リフィアさぁん……!!」

 

 この人は天使か、天使なのだろうか。いや吸血鬼なんだけど。

 リフィアさん無しに、もう我が家が回る気がしない。

 

 おじさんはアレだし、メイベルさんは引きこもりのゲーマー、エルフさんとアリシアさん、澄夏は仕事があるから平日の日中はいない。

 そうなると、こういう素早い対応ができるのは、家事を一挙に引き受けているリフィアさんぐらいになる。

 

「まあ、楽しそうで何よりだけどね。四十超えたいい大人で、あれだけ夢中になれるのは、ある意味羨ましいなぁ」

「あれ? リフィアさんだって、暇な時はずっと部屋に篭って絵を描いて、3Dモデル作ったりしてるんじゃないの?」

「もー、そんな熱中してないってば。あくまで趣味の範疇だよ。他所様から仕事受けたりしないし」

 

 本人はそう言ってるけど、現在まででいせおじチャンネルに登場した、おじさんやエルフさん達のVTuberモデルは、原画から何から何まで、全てリフィアさんが担当したものだ。

 髪型や顔の造形を忠実に再現しつつ、局所にデフォルメと二次元化を施した事で、生映像にも劣らない迫力を生み出している。

 

 実際、それでV界隈との導線が生まれたし、コラボやグッズの商品化といった話が持ち上がるようになった。

 おじさんがGiGOのプライズに並んでて、思わず笑ってしまったのは記憶に新しい。

 

「へぇ〜、これが撮ってた動画……なんかめっちゃ無駄無駄言ってるし、ザ・○ールドしてるし、現代に生きる吸血鬼の先生が怒っちゃうよ? 大丈夫なの?」

「それは、後でSEGAさんを通して向こうに確認取ってみるよ、うん……」

 

 少し前に、デ○オ様の台詞朗読大会とかやってたからだと思うけど、それにしても影響受け過ぎている。

 

 あまりのはしゃぎっぷりで、元気な子供が二人仲良く遊んでるみたいな、そんな動画になっていた。

 リフィアさんは、画面に張り付いたまま、余す所なく目に焼き付けている。二人のおかしな言動に、ふふっと笑っては、眺めて、それを飽きずに一時間もずっと見続けていた。

 

 動画を見終えて、ふーっと一息つく。

 コーヒーを差し出すと、それをぐびっと飲み干して、柔らかな笑みを浮かべる。

 

「変わらないなぁ、二人とも」

「……だね」

「中身は変わんないのに、ほんと歳ばっか取っちゃって……」

 

 その言葉の裏を察した時、ずんと空気が重みを増した。

 

 いずれ来るだろう悲劇の運命。抗いようのない種族の差。

 何年考えても決着のつかない答えに、俺は閉口するしかなかった。

 

 現実は散々で、どこまでいってもハッピーエンドになってくれない。そんなのは分かっていたつもりだ。

 

「…………エルフも、ずっとこんな気持ちなんだろうなぁ」

 

 好きな人と結ばれる事が、決して幸福になるとは限らない。

 エルフや吸血鬼が長命種である以上、寿命の問題は切っても切り離せない。

 

 それを回避する手段を、リフィアさんは持っている(眷属化)はずなのに。

 

「じゃあ、ちょっと二人の様子見てくるね」

「あ、うん」

 

 ベランダから飛んでいったリフィアさんを眺めながら、コーヒーに口をつける。

 

 ……悩みがあるのは、俺も同じだった。

 

 しかも、リフィアさんの様に、悩む時間すら無いかも知れない。

 なにせ、俺はもう二十代後半で、アラサーと呼ばれる年齢だ。

 

 おじさんと出会って、もう六年近く。

 動画の編集者としての立場に立ち続けているけど、家はあっても定職は無いし、YouTubeもどこまで続けられるかは分からない。おじさんも、体力の衰えを感じて遠い目をするようになってしまった。

 

 収入も十分で、蓄えもある。でも、この大所帯ならそれも長続きはしないだろう。

 

「…………異世界、行けないかなあ」

 

 もう帰ることはできないと、リフィアさんやエルフさんが言っていた。

 

 この世界にも魔力のようなものは存在していて、精霊もいるが、世界を亀裂を生み出すほどの力を発揮するには足りないのだとか。

 

 できたとして、たぶん二百年はかかるだろうと言っていた。

 生きているわけがない。気の遠くなるどころの話じゃなかった。

 

「…………俺、このままでいいのかな」

 

 いつも、俺は逃げてきた。今も、自分自身から逃げようとしている。

 

 今までは、現実から目を逸らすことが正義だと信じてやまなかった。

 そうしないと、この現実はひどく息苦しかったから。人間のあるべき姿なのだと思った。

 

 でも、もう俺だけじゃない。

 

 エルフさんは、おじさんを養う為に勉強をして仕事を始めた。

 アリシアさんは、勇者として誰かを助けたいと思って看護の道に進んだ。

 メイベルさんは、仕事はできずとも自分の能力を活かして歌い手やVtuberになった。

 

 リフィアさんは、生活能力が欠如している皆の為に家事を引き受け、暇な時はパートに励んでいる。

 

 澄夏は、自分の夢の為にお金を貯めてるとか言ってたっけ。

 

 おじさんは言うまでもなく、ゲームを買う為にゲーム実況やYouTubeの撮影をしている。

 

 みんなが、それぞれ自分のやりたいことを見つけているのに。

 俺は、ただこの日々を漫然と過ごしているだけ。

 

 動画の編集も、成り行きから技術を高めていったものだ。

 流れるままにそうなっただけで、お金に余裕がある今は、大層な目的も無い。

 

「やりたいこと、かぁ……」

 

 苦しい現実を忘れたくて、おじさんの魔法に頼っていた。

 

 異世界の話を聞いて、そこに浸りたかった。

 

 今までは、それで良かった。

 

「…………そうだ」

 

 自分のような人間は、世の中に沢山いる。

 

 フィクションに心救われた。

 ラノベに、アニメに、マンガ。あの夢のような世界が無ければ、今頃生きる意味すら感じていなかっただろう。

 

「創ろうよ、異世界」

 

 なら、今度は自分が夢を与える番ではないか。

 

 小説の書き方も知らない。漫画みたいな絵が描けるかも分からない。

 

 でも、それで救われる人がいるのなら、喜んで創ってみせる。

 

「俺だって、俺だってやってみせるよ! 新人賞獲って、異世界モノ作家として成り上がってやるんだ!」

 

 ……一ヶ月後。

 

「俺に文才も画才なんて無かったよ……」

「あれ? もう筆折ったの?」

「感想が辛かった」

「ユーチューバー大丈夫なのに……?」

「アレはおじさんへの言葉だから……」

 

 やっぱり、現実は現実でした。

 

 ……それはそれとして、誹謗中傷してきた奴、後で全員特定してやる。絶対に。

 

 




半分くらいコラボ案件と関係無かったよ……

それはそれとして、『ソニック×シャドウジェネレーションズ』、2024年10月25日より好評発売中!(7ヶ月前)

そして、本編でもホットなセガと任天堂のコラボレーションがまたも実現! NintendoSwitch2版は2025年6月5日発売予定となっております。
Switch版よりもさらに美麗になったグラフィックをぜひお楽しみください(ダイマ)
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