異世界おじさんvs異世界TS娘   作:SEGA機未プレイお兄さん

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まず異世界おじさんという作品を宣伝しなければと思った。

なのでタグを増やした。効果があるといいな……(願望)


俺もついに、スク○ェアのゲームに手を出す時が来たらしい

 

 

「あの、さっきのやつ、続き観てもいい?」

「「…………」」

 

 現在、拗ねに拗ねまくった二人組がここに居る。

 

 片方はおじさん。

 生粋のセガハードゲーマーだった、現在は多様な機種に手を出す、ただのオールジャンルゲーマーである。

 

 片方はリフィアさん。

 今日、彼女も生粋のゲーマーだと言うことを再確認したばかりである。まさかこの人があそこまで駄々を捏ねるとは予想もつかなかった……

 

 ゲーム6時間宣言が宜しくなかったか、二人は子供のようにつーんと拗ねて、ガン無視を決め込んでいた。

 リフィアさんに至っては頬がぷくぷくに膨らんでいる。

 

 おじさんが無言で頬をつついて、リフィアさんがプフーッと弾けた。

 藤宮が、それを見てブフッと噴いた。

 

 なんだろう……やってる事は小学生レベルなのに、妙に熟れてるというか、熟年の友達感というか。

 でも夫婦までいかないのが、この人達らしい。

 

「たかふみさ。例の件だけど、あの二人をくっ付けられるとか、段々考えれなくなってきた」

「……それ、俺たちが最初から思ってた事だよ」

 

 ……なんかもう、このままで良いんじゃないかな、うん。

 

 本人達、至って幸せそうだし。

 

 俺はラブラブ?な二人を傍目に、画面の再生ボタンをタップした。

 

 場面は、おじさん達が魔水竜の秘密を暴いた所からだ。

 

『……だが、どうする? 倒せないと分かった以上、なんとか二人で撃退するしかないぞ』

『陽介』

 

 おじさんを呼び止めると、大鎌の先を魔水竜に向けながら、リフィアさんは不敵に笑った。

 

『負けイベントは、勝つ為にあるんだよ』

 

(リフィアさん何言ってんの!?)

(違う、趣旨が違う! 絶対そんなもんじゃねぇだろ……!)

 

 ガバッと現実のリフィアさんを見ると、うんうん頷いていた。

 この人も、もう手遅れだったみたいだ。

 

『F○4は特に負けイベントだらけだった。私も、夏休みを使って、暗黒騎士のままレベルを99まで上げた事があるよ。……でも、リメイクのD○版だとどうやってもできなくて、お父さんのスー○ァミで成し遂げた』

 

 どんだけ負けイベントに勝ちたかったんだ、リフィアさん……!

 

『だからね、悲しいんだ。最近のRPGの殆どの負けイベは、HP無限だったり、そもそも開幕から殺されたり、問答無用なのが多過ぎる。私、いくら強敵演出でも、倒せる余地が一ミリもないのは良くないと思う』

『そうなのか……そういうのをやって来なかったから、少し実感が湧きにくいな』

『なら、F○一緒にやろうよ。私なら、進行状況とか覚えてられるし』

『それは頼もしいな! いやー、俺もついに、スク○ェアのゲームに手を出す時が来たらしい……っと!』

 

 魔水竜が、長い尻尾を鞭のようにして海岸に打ちつけてきて、それをおじさんとリフィアさんが上に飛んで躱した。

 

『『《ワーグレント・スラドセルド(疾風駆送)》!』』

 

 リフィアさんは紅い大鎌、おじさんは光剣で斬り掛かる。

 

 魔水竜がおじさん目掛けて尾を垂直に振り下ろし、それでバランスを崩したおじさんは、魔水竜の表皮を軽く傷付けるだけに留まった。

 

 続いてリフィアさんが、鎌の柄の端を握り、三日月を描いて鮮やかに舞うと、またも魔水竜の首を刈り飛ば……

 

『硬っ!?』

 

 ……せなかった。

 

 金属同士が激しくぶつかり合ったような高音と火花を散らす。

 反動で、リフィアさんが空で逆さまになって、待ち構えていた魔水竜の口が、一吞みにしようと開けられる。

 

『──《バライブート・フォルグ・バストール(炎鳳殲滅)》!』

 

 その寸前、おじさんの炎の鳥が、魔水竜を直撃して、リフィアさんをふわりと浮かび上がらせた。

 

『よっと……』

 

 そのまま難なく砂浜に着地してみせると、燃え盛る魔水竜を前に、うーんと首を傾げた。

 

『さっきまで効いてたのに、急に硬くなった』

『俺の魔法は問題無いみたいだが……時々物理攻撃が無効になるのか?』

『多分違うかな。物理無効、魔法有効なら、どこかのタイミングで物理有効、魔法無効があるはず』

 

 海水に戻って、何事も無かったように浮上してきた魔水竜に、おじさんも眉を顰める。

 

 魔水竜の口に水が集まり、周りにもいくつもの水玉が浮かんでいる。

 ブレスと魔法攻撃の兆候だ。

 

『来るぞ!』

 

 二人が全力で前に回避すると、上スレスレを、水流ブレスが薙ぎ払ってくる。

 だが、周りに浮かんでいた水玉から魔法陣が現れて、二人に照準を定めた。

 

 おじさんとリフィアさんが襲い来る水の弾丸を、走りながら武器で弾いていく。

 

『──《レイベリオ・ガルラ(氷嵐在現)》』

 

 おじさんが海を凍らせて、魔水竜の下へ駆けていく。氷から、幾つもの水の蛇が突き破って出てきて、おじさんを襲ってくる。

 

『《クローシェルギド・リオルラン(闇剣顕現)》!』

 

 収納魔法から大振りな短剣を取り出しつつ、水蛇を闇剣で消滅させる。

 そして、右腕に持ったそれを逆手に持ち、腰を屈めて突き出す。

 

「あっ!? あれって、確かおじさんと暮らし始めて直ぐの時に見せてもらった……!?」

「おおー、そんな前のことよく覚えてたな。そう、所謂ドラゴンキラーって類いの、そこそこ珍しい魔剣だよ」

 

 あれ、こんな所で活躍してたんだね。

 俺なんて、収納魔法動画のアイデアを生んでくれたアレぐらいの印象しかなかったよ。

 

『《レグスウィッド・ザルドーナ(機動纏身)》!』

 

 海面に出ていた魔水竜の胴体を斬りつけると、短剣の長さに合わない傷が広がっていって、魔水竜が悲鳴を上げる。

 更に数回もドラゴンキラーで攻撃すれば、その部分が腐り落ちるように壊死して、バラバラに解体された。

 

 かと思うと、海面に連なるように出ていた魔水竜の体が、あっという間に切り刻まれていって、おじさん以上の数の胴体がボトボトと海に落下していった。

 

 魔水竜の解体ショーだ、これ。

 血とか噴き出てるけど、あまりにバサバサ落ちていって、楽しくなってる自分がいる。

 

 魚の解体ショーとか、自分が買う訳でも無いけど、ついつい見たくなっちゃうよね。

 

『やっぱり、ブレスとか魔法使ってる時は物理が有効だよ』

『らしいな。それと、ドラゴンキラーで傷付けた部分は再生が遅くなるらしい。……再生の核は見つかったか?』

『今確認してる。…………あ、見付けた! あそこ、両端から再生してる!』

 

 ……再生の核?

 

 おじさん達、そんな会話なんかしてたっけ?

 

 藤宮と顔を見合わせると、ふるふると首を振られた。

 

 不思議がる俺たちに、おじさんが言う。

 

「あー、ほら、奴は再生する時、頭からじゃなくて、胴体の首から頭を生やしただろ? それなら、胴体のどこかから水を取り込んで再生し始めてるって自然に分かる。リフィアなら、とっくにそう考えてるだろうと思ってな」

「息の合い方がツンデレさん並……!?」

 

 あ、リフィアさんの顔がちょっと赤くなった。

 

 そんな感嘆も束の間。

 再生の核にあたるらしい、胴体の一部を見付けたリフィアさんが、上空から海に勢いよく飛び込んだ。

 

 ──《レイローカ・スラドセルド(轟水駆送)

 

 水流で加速し、鎌を振るう。

 だが、弾かれてしまう。例の物理無効状態だ。

 

 ──《ワーグレント・グラッカ(疾風断刃)

 

 リフィアさんも負けじと、魔法を発動するも、威力はどうにも足らず、浅い傷が刻まれて、直ぐに再生してしまった。

 

「……私の魔法って、支援専用なんだよね」

 

 ずっと黙り込んでいたリフィアさんが急に話し出して、俺が振り向くと、苦い顔で溜息を吐いた。

 

「根源魔法は、精霊との対話で発動する。でも、私が使えるのは、自然属性だと氷、水、風、光、闇。根源魔法は本人の魔法的素質は絡まないからどんな属性でも使えるのに、私はそもそも、そんなに精霊に好かれてなかったんだ」

 

 初めての異世界魔法の話。

 それは、想像以上に重い話の切り出しから始まった。

 

 簡潔に説明すると、精霊を感じ取れる吸血鬼族は、精霊と対話する根源魔法でほぼ全ての属性が扱え、かつ普通の魔法より強力なのが一般的。

 おじさんは精霊と直接的な対話ができるから、より強い魔法が使える。

 

 ただし、リフィアさんは出自が出自だからか、上手く対話できないんだそうだ。

 

「……だから私は近接専門。魔法は補助代わりにしか使えないから、その他で戦うしかなくってさ」

 

 息が足りなくなったリフィアさんが海面に上がっていこうとすると、背後から幾つもの影が迫ってきた。

 

 見た目は、小さな魔水竜。人のサイズはあるそいつらがリフィアさんの脚に噛み付こうとして来るのを、鎌で追い払い、海に浮上した。

 

『《ワーグレント・スラドセルド(疾風駆送)》』

 

 そして、またおじさんのいる海岸へと戻ってくる。

 

 だが、そこにも地獄絵図が広がっていた。

 

 海中にいたあの小さな魔水竜が、うじゃうじゃと海岸を囲っていて、おじさんも手が離せなくなっていた。

 

『リフィア! こいつら、切り落とした胴体からいきなり現れてきたぞ!』

『……そういうカラクリなのか。どちらにせよ、このままじゃキリが無いよ』

 

 復活する魔水竜に、体を切り落とす度に増えていく雑魚。

 

 攻撃こそ激しくないけど、そもそもこれまで、どうして撃退できていたのがおかしいくらい、生命力が高かった。

 

 魔水竜の噛み付きを回避し、尻尾の薙ぎ払いを武器で受けきる。

 

 ただ、今は、もう一つ脅威が増えていた。

 

『っ!? 陽介!』

『え?』

 

 ミニ魔水竜が後ろから噛み付こうとして来るホラー映像に、おじさん! と叫びそうになって……

 

 ミニ魔水竜が爆散した。

 

『修羅徹甲!! って、意外と柔らけぇな』

 

 おおっ、ライガさんが来た!

 

 この人が来たって事は……

 

『ハッ、ハッ……! お、遅くなりましたぁ!』

『海竜と交戦中の二人組はいるか!?』

 

「やっぱりアリシアさんとエドガーさんだ! あの三人、こんな所まで来てたんだ!」

「そうなんだよ。あいつらもバカンス予定だったんだが、急に海竜が動き出したって事で調査してたから、近くに居たんだ」

「勇者パーティーって、何気に毎回良いタイミングで居るよな……」

 

 温泉の時といい、魔炎竜の時といい、エルフさんぐらい遭遇率が高いんじゃないだろうか。

 

『って!? 戦ってる二人って、クロキとリフィアじゃないですか! まさか、お二人でここを守って……?』

『えーと……久しぶり、なのかな?』

『アリシア、来てくれたのか』

 

 ちゃっかり、アリシアさんとも知己なリフィアさん。

 

 おじさんが美少女ホイホイだから、その子達同士で仲良くなってる事がやたらある。

 ツンデレさんとメイベルさんとか、特にそうだ。

 

『……怪我は、その、見た目からして私が聞くまでないと思いますけど、大丈夫ですか?』

『ああ、今のところは無いな』

『うん、腕消し飛ばされたけど』

『そ、そもそも水着で海竜に戦うって、普通に考えて頭おかしいですからね?』

『うん。正直、めっちゃ胸痛い』

 

 リフィアさん、生々しい。

 そう言うのサラッと言うのはやめよう。

 

『まあ、とにかく手伝ってくれる? 雑魚片付けてくれたら、後はこう、ちゃちゃっとやるから』

 

 おじさんが広範囲に落雷を落としたり、リフィアさんがブーメランの様に大鎌をぶん投げて、周囲のミニ魔水竜を一網打尽にしているのを見て、アリシアさんが肩を竦めた。

 

『一応、魔水竜タイダルドラゴンって、不死の竜って言われてるんですけど』

『そんな事言ったら、私もだよ?』

『……も〜、リフィアったら。皆にバレても知りませんからね』

『うーん、それは勘弁かなー』

 

 楽しそうに会話してるのに、画面ではリフィアさんは大鎌振るってるし、アリシアさんは飛び膝蹴りしてる。

 会話内容と映像がまるで繋がってない。声だけ聞けば穏やかそのものなのに、グチャッとかザクッとかしてるし。

 

『倒せそうなら倒しちゃって下さいね。そしたら、晴れて勇者の称号は私なんかじゃなくてお二人のものに……』

『名誉名声、押し付けダメ絶対』

『むー、それ、クロキに言ってあげて下さい。勇者じゃなくなっても、箔がついてる分大変だったんですから』

『んー? アリシア、今俺に何か言ったかー?』

『クロキへの愚痴です!』

『……えっ、マジ?』

 

 そう話しているうちに、いつの間にか海岸を囲んでいたミニ魔水竜は倒されて、また魔水竜だけが残った。

 

 振り出しに戻ったけど、二人で戦ってた時に比べれば、戦力は充分過ぎるほどにあった。

 

『うっし! 次はあの野郎でいいんだよなぁ!』

『ああ。魔水竜タイダルドラゴン……魔炎竜に続いて、本物の竜と戦うとは。師匠……じゃなくてリフィアが居るとはいえ、気が重いな……』

 

 子分を全て倒されたからか、魔水竜が行動を始める。

 胸ビレをヒラリとさせて、頭と尻尾を海面から出して、天を仰ぎ、咆哮した。

 

『ギュェェエエエエッッ!!』

 

 それと共に、魔水竜の上空に、大きな魔法陣と水の玉が現れて、青い輝きを放った。

 

『これは────みんな、走れ!』

 

 おじさんが叫ぶと、魔法陣が空を覆って、水の玉から、大量の水のレーザーが地上に撃ち込まれ始めた。

 砂の地面に穴を空けてるくらいの威力で、避けないと怪我は避けられない。

 

 最後の最後で、必殺技を使ってきたんだ。

 

『クソッ、この魔法を撃ち返してる内に、俺の剣が折れる……! 俺のヴァルトゼーミュラーはまだ新品なんだぞ! やめてくれ!』

『ちょおまっエドガー、俺はただ避けるしかねぇんだが!?』

『それ、私の台詞ぅぅ!!』

 

 逃げ惑う三人に対して、おじさんとリフィアさんは、冷静に躱しながら魔水竜の方に向かっていく。

 

『どうする? 海に逃げるのも手だけど』

『それはトドメを差す時にしよう。息が持たないし、海面に上がったら直ぐに殺されるぞ』

『そしたら、再生の核の場所をもう一回見つけてからじゃないと』

 

 それが、中々難しい。

 しかも、簡単に近付けないから、攻撃を与えるのも難しい。

 

『このっ……インパルスキャリバー!!』

 

 エドガーさんが技を放つと、刃が飛んでいって、魔水竜の尻尾をスパッと斬り裂いた。

 修行の成果なのか、はたまた経験か、どちらにしても、魔水竜の尻尾が斬れるくらいの威力がある。

 

 それにビックリしたのは、画面の向こうでも同じだったらしい。

 

『あっ、今の! エドガーが使ってる《身技》!』

『あ、ああ、インパルスキャリバーのこと────』

『それ! インパルスエッジだかソニックキャリバーだか!』

 

 ちょっとリフィアさん、一体何を聞いてたんだ。

 名前がちょっと掠ってるけど、どっちもなんか違くなってるよ?

 

『いや、あの、インパルスキャリ────』

『ソニックキャリバーって海の中もいける!?』

 

 …………。

 

『あっ、はい。ところであの、俺の技の名前は、インパル──』

『どうしたリフィア!? ソニックか? 青いハリネズミが居たのか!?』

『全然違う! ただのブラッドアーツだよ!』

『…………』

 

「「え、エドガーさん……!」」

 

 しかも、リフィアさんは結局、自分で呼び方を決めてしまってた。

 

 しかも……ブラッドアーツ? とかなんとかの技らしい。

 吸血鬼族が持ってるスキルとかかな?

 

「ずっと、インパルスキャリバーって言ってたんだね……私、必死過ぎて脳内変換してたよ」

「でも、エドガーの奴、あれくらいから名前をソニックキャリバーに変えてたぞ? 俺、エドガーがあれ使う度、ソニックの名前叫んでくれるから、実はちょっと嬉しかったんだ」

「お、Oh……」

 

 リフィアさんがまた沈んだ。

 今ようやく気付いて、罪悪感がのしかかったらしい。

 

「自分の黒歴史で自滅してくよな、リフィアさん……」

「逆に、こういうの見ても何も思わないおじさんが変なんだよ」

 

 おじさんは普通に変だ。

 リフィアさんもその兆候あるけど。

 

『アリシアも使えるよね?』

『いけますよ──ソニックキャリバー!』

 

 救世のロッドを居合のようにして振り抜くと、魔水竜の体が更に切断される。

 

『あ、ああっ、アリシアァァァ!!』

 

 エドガーさん、心の叫び。

 まさか、幼馴染にも裏切られるとは思わなかったんだろうな……

 

『こ、この、このぉっ────ソ、ソニックキャリバァァァァ!!』

 

 鬼の形相で放たれた……ソニックキャリバーは、四つに分裂して、海の中にあった魔水竜の体を次々に破壊していった。

 その技のキレは、怒りのせいか、何だかさっきよりも良くなっていた。

 

 皆、そうして水のレーザーを少なからず受けながらも果敢に切り落としていった。

 そして、ようやく……

 

『おーい!! 両端から再生してるの見つけたぜ!』

『!? 私に任せて!』

 

 水に当たるのを気にしようともせず、リフィアさんが直線距離で駆け抜けていく。

 

『うぐっ……』

 

 身体を何度も貫いていった。脚をやられて転びそうになったり、頭を貫かれて、一時的に思考停止しそうになりながら、吸血鬼の再生能力でゴリ押して、ライガさんが指差した方へ飛び込んだ。

 

 続いてライガさん、エドガーさん、アリシアさんも海に飛び込んで、四人で再生の核のある方へ泳ぐ。

 

 勿論、リフィアさんが魔法で加速する。

 

 すると、前にリフィアさんが潜った時のように、斬られた胴体からミニ魔水竜が作られて、リフィアさん達を邪魔しようと襲いかかって来る。

 

 だけど、ここには仲間達がいた。

 

 ──修羅徹甲!

 

 ──ソニックキャリバー!

 

 アリシアさんらが相手をしてくれている間に、再生の核を見付けると、その中心部に鎌の刃を突き刺そうと振り下ろす。

 

『……!?』

 

 でも、あの時と同じように弾かれた。

 火事場の馬鹿力なのか、魔法を使っているはずなのに物理無効になっていた。

 

 再生していく身体。

 これを逃せばまた振り出しだ。でも肝心の刃が通らないのであれば、どうにもできない。

 

 引き返すか、と思った時、リフィアさんは何を思ったのか、紅い大鎌の刃に手を添わせ、

 

 

 ──姿を顕せ(神威解放)、喰神剣

 

 

 自分の腕へ、突き立てた。

 

 赤く染まっていく海水。そこにあった血液すら吸収していった大鎌は、生物のように蠢いて、魔水竜の核のある胴体に食らいついた。

 

 ──《レイローカ・スラドセルド(轟水駆送)》!

 

 ジェット噴射で、胴体を食ったままの鎌ごと引っ張って、海上に飛び出すと、鎌ごと空に放り投げた。

 

『陽介ぇぇ────!!』

『トドメは任せろ!』

 

 風で急加速したおじさんが、宙を舞う再生の核に、ドラゴンキラーを突き立てた。

 

 まだ魔法陣は空にあるまま。

 おじさんは、体に穴が空けられようと、ドラゴンキラーを手放さずに、気合いのままに力を篭める。

 

『うぉぉぉおおおお!!』

 

 鱗を突き破って裂けたそこに、エメラルドに輝く結晶があった。

 

 結晶部分に刃が刺さって、ピキピキと音を立てて、割れた。

 

 おじさんが落下する胴体から飛び退いた瞬間、生き物になった大鎌が大きくなって、魔水竜を平らげる。

 元の鎌の形に戻って、砂浜に突き刺さった。

 

 魔水竜が作った魔法陣や水の玉も無くなって、砂浜が、途端に静かになる。

 

『……ぷはっ! おーい、魔水竜はどうなったんだー!』

『ごぼぼぼっ!! ぶはぁっ!? い、息切れると思った……』

『……もう、ソニックキャリバーでいいか』

 

 海面から現れたライガさんの声に、傷だらけのおじさんとリフィアさんが、笑顔でサムズアップした。

 

 魔水竜との戦いが、終わった。

 

『おい、クロキの奴らやりやがったぜ!』

『あっ!? クロキ、リフィア! 穴まで空いて、傷だらけじゃないですか! ──神よ、彼の者らに癒しの光を』

『おお、破れた水着まで治った。アリシア、上達してるじゃないか』

『吸血鬼も回復できるんだ……』

 

 っていうか、あれ。

 

「リフィアさん、どうして体が再生してなかったんだろう」

「あー、アレは神機──じゃなくて神器、喰神剣使ったからだね。力を使うのに血が必要で、予備の血が取られたから、体を保つギリギリしか血液が残ってなかったの」

 

 あの大鎌、なんとなくそんな気はしてたけど、神器だったんだ。

 メイベルさんの凍神剣とか、ダンジョンで拾った、やたら取り出しにくそうな王神剣とかのと同類なら、使いにくそうな性能なのも合点がいく。

 

「あと、私からもう一つ突っ込ませて下さい。……喰神剣の剣要素どこですか?」

「知らん」

「神様のネーミングセンスっ……!!」

 

 多分、神様が名前に合わせたかったからだと思うけど。

 

 喰神鎌でも母音同じだし、響き良いと思うけどなぁ。

 

『……何にせよ、これはギルドに報告だ。魔水竜討伐ともなれば、国を挙げての祝祭になるだろうしな』

『祝祭! じゃあ今日の夜ご飯は決まりだね!』

『アリシア、そりゃ流石に気が早ぇぞ』

 

 三人で談笑していると、アリシアが大声で、まだ砂浜にいるリフィアさん達に催促した。

 

『クロキー! リフィアー! 早く一緒に行きましょうよー!』

 

 刺さったままの喰神剣を回収したリフィアさんが、大声で返した。

 

『あー、ごめんねー! 荒れた砂浜直してから行く!』

『それなら、私もやりますよ!』

『いいの。先にギルド行ってて!』

『……分かりました! じゃあまた後で!』

 

 戻っていくのを見届けると、ドラゴンキラーの短剣を収納魔法に入れていたおじさんに、歩み寄って、後ろから両肩を掴んだ。

 

『ね、続き、しよ?』

『続き……? ああ、そういえば、まだやってなかったな』

 

 夕方の空の下。

 

 おじさんとリフィアさんは、楽しく海水浴をした。

 

『ちゃんと息を吐いて……そう! なんだ、やれば出来るじゃん! ちゃんと教えれば、運動神経は悪くないよ』

『ぜ、はぁ……そ、そうか。嬉しい誤算だな』

 

 ひとしきり練習すると、水でバシャバシャして遊んだり、持ってきたビーチ用具で、日が暮れるまで遊んだ。

 とても楽しそうな異世界青春ラブコメが、そこにあった。

 

 

「……とまあ、こんな具合だ。魔水竜も倒せて、水泳もできるようになった。あれは良かったなぁ」

「それを忘れてたのは、どこの誰なんだかねぇ……?」

「わ、悪かった、悪かったって。でも十年以上前だと、色々思い出すキッカケが無いとだなぁ……」

 

 肩を人差し指でグリグリとしながら、おじさんを詰っていた。

 

 確かに、俺も十年以上前と言われたら、藤宮と遊んだ事以外、あんまり思い出せない。

 学校自体に、そこまで思い入れが無かったのかもしれないけど。

 

「そう言えば、おじさん達は祝祭ってやつには行かなかったんですか?」

「ああ、あの一週間後にやっててな。アリシア達と王都に行ったよ。飯もたんまり貰えるし、祭りの空気も嫌いじゃないからな。ただ、俺達が行ったのは前夜祭だけだ」

「……前夜祭だけ?」

 

 どういう事だろう、とオウム返しする。

 

 するとおじさん達は、軽いノリで衝撃的な事実を曝露した。

 

「祝祭当日は、魔水竜を討伐したパーティーに、国王から直々に報酬が貰えるらしいんだが、貴族にさせられたり、国に引き留められても面倒だと思ってな……」

「陽介と私で、前夜祭の内に馬車で夜逃げした」

 

 映像に、馬車でスタコラサッサするおじさんとリフィアさんが映っていた。

 

 翌日、アリシアさん達が、泣きそうになりながらお偉いさん方に弁明している姿も、ついでに映されていた。

 

 ……このおじさんにしてこの友人あり、かぁ。

 

「……たかふみ。ここが嫌になったら、いつでも私の家に来て良いんだからな」

「助かるよ、藤宮。多分、将来絶対そうすると思うから」

「あれ? 私達、捨てられかけてる……?」

 

 今の所、この暮らしにストレスは感じてない。

 ただこの二人なら、いつかあまりにあんまりな事をやりそうなので、その時はきっと藤宮の家が駆け込み寺になるだろう。

 

 やっぱり、持つべきは友人だと、心の底から思うのだった。

 

 

 

 

「えーっと、次はどこからだっけな」

「F○4? それなら、次はあれかな。磁力の洞窟に行って、ダークエルフからクリスタルを取り戻すってところ」

「それだ。やっぱ、なんか忘れちゃうんだよなぁ」

「……あ、それなら前回やった時の記憶をイキュラス・エルランするとかどう?」

「そいつは名案だな! ストーリーを思い出すのにも丁度いい。……《イキュラス・エルラン(記憶再生)》」

 

 今日のおじさんは、RPGに勤しんでいた。

 

 魔法を使って、プレイがかなり楽になったそう。

 

 俺も、あんな平和な魔法の使い方をしてみたいなと、純粋なおじさん達を少し羨ましく思った。

 

 





やべぇ、作者の性癖(曇らせ)が読者にバレとる……!

やっぱ作風から滲み出てるのかな……普段よりかなりライトな方だと思うんだけど(白目)

これからも、少し湿度高めな異世界おじさんを宜しくお願いします……

おじさんは愛を手に入れられるのか?

  • 友情こそ全て。愛など要らぬ。
  • エルフ以外ありえないんだが?
  • メイベルたん可愛いよメイベル
  • やっぱそこはアリシアちゃんだろJK
  • たかふみ、藤宮の計画再始動。
  • ハーレムなんて選択肢はありません。
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