異世界おじさんvs異世界TS娘   作:SEGA機未プレイお兄さん

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葬式をしたり受験をしたり、セールだったオートマタに明け暮れたり、色々忙しかったこの頃でした。

P.S.時間が経ってあとから話の整合性が訳わかんなくなったので、色々変更してたりしてなかったり。


死にかけるなら、人の知らないところでだ

 

 

 リフィアが陽介に助けて貰い、一緒に森を抜けてから一旦分かれて、八日。

 

 手に持った地図の印の場所と家とを見比べていた。

 

「焼け落ちた家……これかな」

 

 リフィアは、もう一人の父代わりであるキルロから、別れ際、相棒サリファの言伝と手紙を渡されていた。

 力尽きて、陽介に介抱してもらったのは、その道半ばの事だった。

 

 サリファとキルロが財産を隠したと地図で示した所には、炭のようになった大きな家の残骸で、手紙には、『元々は親父と住んでた家だった』と書いてある。

 

 その証拠に、家の玄関らしき場所に、【カルネイア】と表札らしき木札が落ちている。

 

 残骸の中を、足元に気を付けながら、跨いで進んでいく。

 

「家の真ん中の地面は……」

 

 辺りを見渡し、おおよその当たりをつけて残骸や煤を退かしていくと、頑丈そうな金属の扉が現れた。

 開け方は、この手紙をかざすこと。

 

「お、おお〜……!」

 

 音を立てて地下への階段が開いていく様は、どことなくダンジョンに入るような興奮感があって、緊張しながらも入っていく。

 

「《キライド・ガルラ(光輝在現)》」

 

 照らしてみると、この地下はそれなりの空間があったが、入口の大きさからしても、そこまで大きな物は運べないようだ。

 それ故か、あまり物は多くない。

 

 すぐ近くにあった箱の中身も、リフィアの目には価値が分からない古い品々であったり、危なさそうな魔導具であったり、古言語で記された難解な石版であった。

 

 だが、最後の方にあった新しい箱に、【サリファ】や【キルロ】と書かれている物があり、遺産であろう貴金属の類や、かつてリフィアが二人にあげて、大事に使ってくれた思い出の物が詰め込まれていた。

 

「私が作った毛皮のアクセ、まだ持ってたんだ……あんな粗雑なの、捨てて良かったのに」

 

 死後、聖十字騎士団に接収されないようにと、ここに置いていったのだろう。死を覚悟している人間の行動だった。

 リフィアも目頭が熱くなって、二人は死んでしまったという事実を、改めて受け入れた。

 

 落ち着いてから、この部屋の最奥に目を向けた。

 

 この地下室に入った時から目に付いていた、それ。

 

 厳重な魔法の封印が施された、紅い大鎌。

 

「なんだろ、これ……」

 

 近くに書見台があって、古びた紙が置かれている。

 リフィアがそれを手に取って埃を落とすと、『我が息子へ』と題されていた。

 

 内容は、これは人を喰らう魔導具であることと、人に扱える代物ではないこと。

 そして、吸血鬼族が住んでいた痕跡があった遺構に残されていた武器だということ。

 

『もし……お前が伝説の吸血鬼族と出会い、交友を結ぶ事があればこれを託してやって欲しい。

 そして、どうか忘れるな。人間の欲望が為に歴史の闇に葬られた、彼の者達の真実を』

 

 そう、最後には締め括られていた。

 

 偶然にも、出来すぎた話ではあったが、リフィアは疑わなかった。

 この父が居たからこそサリファがあり、結果的にリフィアを匿ってくれるようになったのだから。

 

 サリファ達との出会いは、或いは神からの贈り物だったのかもしれない。

 

「……神、か」

 

 神は、自分を日本から異世界に送った。

 日本に戻れたりも、するのだろうか。

 

 少なくとも、陽介がその気だった事を考えると、もしいつでも帰れるのなら、自分が生きる場所はどこにあるのだろうと思った。

 

 異世界か、地球か。

 

 どちらも、リフィアには息苦しい世界だ。

 

「居場所なんて、元々無かったなぁ……」

 

 人と関わる必要が無い場所でひっそりと暮らすのなら、そこに異世界も地球も無い。

 後は一人で生きていく力さえあれば、障害など無い。

 

「……なら、武器は必要だよね」

 

 リフィアは迷いなく、大鎌を手に取った。

 

 手にチクリとした痛みが走ると、鎌に真紅のラインが走り、魔法の封印をいとも簡単に破壊してみせた。

 

 手によく馴染む。

 使ってきた訳でもないのに、身体が使い方を覚えているような気がした。

 

 仕舞うよう念ずると、カシュンと折り畳まって、腰に提げられる程に縮小した。

 

「……凄い、ライ○ニングみたい」

 

 オートギミックはロマンである。

 

 メインウェポンと、幾つかの財産を手にしたリフィアは、また旅に出る。

 今度は、別れた陽介を探しに行く旅に……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……リフィアさん、ライ○ニングって?」

「閃光の人だよ。知らない?」

「……閃光?」

「あ、でも、ならない言葉をもう一度の方じゃないからね。別に踊りもしないからねっ!」

「……???」

「あ、しまった、未来ネタが……ま、まあ、ここに取り出したるはF○13……これをP○3に挿入します」

「いつの間にゲーム機とディスクが!?」

 

 やってみたところ、XⅢは普通に面白かったので、後で続きをやろうと思う敬文であった。

 

「ライ○ニングさんの武器、いいな……」

 

 

 


 

 

 今日もリフィアさんは家を留守にしていた。

 行き先は法務局じゃないとは言っていたものの、言葉を濁してたから、あまり聞かれたくないことなんだろうと悟って、深くは聞かないことにした。

 

 あるよね……そういうの。

 

 俺の高校の友達なんか、年齢偽ってまでコミケ行ってたのが親にバレて死にそうになった事があるとか。

 

 オタバレは辛いよ……

 

「って、おじさん、また新しいゲーム買ったの?」

「おっ、気になるか?」

 

 見るからに、セガではない。

 

 というか、かなり最近のゲームに見えた。

 

 ゴシック衣装の女の子が、でっかい刀をぶん回している。

 なんか凄そうだなぁ……

 

「リフィアに勧められてな。Unde○taleと同じマルチエンディングなんだが、エンディングがA〜Zまであるらしい」

「あっ……これ去年から話題になってるゲームだよ」

 

 なんか、鉛筆の記号みたいな名前してる人が主人公だった記憶がある。

 確か……2◯(ニビー)だっけ? あれ、なんか違うような……

 

『……これで全部のはず』

『報告:依頼されていたアイテムの目標数到達を確認。推奨:依頼人への報告』

『案外簡単な任務でしたね〜、2○(トゥ○ビー)

 

 ……あっ、そこトゥーって読むんだ。

 

 主人公達が突然そう喋ったのは、何やらアイテムを集め終えたからのようだ。ピコンと音が出て、アイテムが目標まで集まったとのお知らせが表示される。

 

「いやー、やっぱ最近のRPGはいいな。受けてるお使いクエストが一覧で表示されて、何を集めるのかも、どこに戻ればいいのかも一発だ」

 

 嬉しそうにゲームをするおじさん。

 

 こうして、セガのゲーム機以外でゲームをプレイしているのを見ていると、なんだか感慨のようなものを感じてくる。

 

 いつも、事ある毎にセガの話が口から出るけど、もしかしたら、『F○が……』とか『N○eRの……』とかを言い出すかもしれない。

 

 そんな無駄な期待感を覚えていたからだろうか、おじさんは思い出したように語り始めた。

 

「しかし地球外の侵略者と言えば、やっぱりエイリアンストームだよなぁ。ベルトスクロールアクションなのも高評価だが、何より観てて飽きないし、爽快感があるんだ。爽快感なら、このゲームも中々のものがあるけどな」

 

 案の定、セガのゲームを。

 

 いや、それ(N○eR Aut○mata)とエイリアンストームを比較しちゃダメでしょ、おじさん……

 

「でも、主人公が妙に肉感あってな……ちょっと目のやり場に困る」

「それくらい慣れようよ……」

 

 確かに脚とかムチッとしてるけど、所詮そんな程度だ。

 それに、多少官能的な方が客層的にもマッチするからね……

 

 そうやって僕が見ている中、おじさんはストーリーを進めていた。

 

 どうやら、このゲームは侵略者の機械生命体と、人類側であるアンドロイドの戦いとその葛藤を描いているらしい。

 

 黙々と進めていくと、急にシューティングゲームが始まったりしたが、なんとか巨大ボスを倒したり、行方不明の相棒を探したり、真っ白な街に来たりしていた。

 

 そこの最奥で、人型のボスのア◯ム君が現れて、戦っていると、攫われた相棒(9◯)が出てくる。

 

 激昂する2◯(トゥ◯ビー)さん。またもや戦闘が再開された。

 

「あ、痛い! やめて!」

 

 操作をミスったのか、キャラが瀕死に追い込まれて、視界がモノクロチックになる。

いや一撃であれだけ持ってかれるって、どんな難易度してるんだこのゲーム……

 

 そのまま瀕死でゴリ押したおじさんは、なんとか人型の敵を倒し、ムービーに入ることができた。

 

 おじさんが3Dのアクションゲームに慣れる時代が来るなんて……今更ながら、おじさんのプレイスキルの高さに驚かされる。

 元々独学で鍛えたのだから、攻略サイトなんか見てしまえば、向かう所敵なしなんだろう。

 

 攫われた瀕死の相棒を抱えて、白い街から出ていく所で、ムービーが終わる。

 

 ふぅー……と息を吐き出したおじさんが「そう言えば」と突然語り始める。

 

「俺が異世界で得た教訓があるんだ。いいか敬文。死にかけるなら、人の知らないところでだぞ。人知れずひっそり死にかけるんだ」

 

 人知れずひっそり死にかけたら、それって普通に死ぬんじゃないかな……

 

 そんな突っ込みを飲み込んでも、あまりに意味の分からない教訓だった。

 

「それどんな教訓なの……絶対使えないよ。死にかける状況とかそうそう無いし」

「全然そんな事は無いんだ、これが。──《イキュラス・エルラン(記憶再生)》」

 

 そう言って、いつものように手をかざして、画面を投影した。

 

 わらわらと集まり、おじさんを取り囲む人達。その白い甲冑姿は、とても見覚えのあるもので……

 

「こいつは確か、俺が異世界に来て五年くらいの頃か。訳あって、聖十字騎士団と対峙した俺だったが……」

「その訳あっての部分で何があったのさ……!?」

 

 スルーか……いやいいんだけどさ。

 

 画面では、二人の男がにじりよって来ている。

 この二人、どこかで見たなと思ったけど、前におじさんがリフィアさんを隠した時に話してた人達だ。

 

『お前が噂の、人語を喋るっつうオークか。へぇへぇ、人様みたく服を着ちゃってなぁ。一丁前に人間アピールってかぁ? 無様だよなぁ、おい』

『……まぁ、顔の善し悪しは兎も角としても、彼の悪評はたまに耳にしますからね。我々としても、貴方を見逃す事はできないのです。どうか恨まれる事の無きよう……』

 

 剣を引き抜きながら、穏やかな口調の、細身の男の方が袋を放り投げた。

 

 それを、チャキと一閃すると、紫色の粉塵が舞った。

 

 何だろう……と思っていると、敵さんが丁寧に解説をしてくれた。

 

『魔封鳥の吐息を封じ込めたものです。貴方が得意とする魔法は、これで封じさせて貰いました』

『ま、俺達も魔法は使えなくなるが、あくまでも俺らは神聖魔法の使い手なんでな。魔法封じも意味ねぇってな』

 

 魔封鳥。

 温泉宿が攻め入られた時に、おじさんを苦しめたあの魔物だ。

 

 あの時は、なんとか呪符を使って乗り切ったけど、今回は人間相手。

 

 どうするんだ、おじさん……!

 

「こんな風に、初手で魔法を封じられてな。後はまあ、この通り……」

 

 画面を三人称にすると、おじさんは騎士達に足蹴にされていた。

 

 えっ。

 

 あ、うん……半ば分かってたようなものだけど、本当に何もできなかったんだ……魔法の補助が無いと体育の成績2なだけはあるよ。

 

 あっという間に無力化されて、ただのぼろ雑巾だ。

 

 見てるこっちが痛々しいよ……!

 

 これには、騎士団のお二人も口をあんぐりと開けていた。

 だよね。おじさん、普段は普通に強いし。

 

『えっ、弱、よっわ! 魔法使えないとこんな弱いのかよ!』

『……これは、少し予想外でしたね。並々ならぬ術師であるなら、多少の護身術程度は持っていると思いましたが』

 

 おじさんの身のこなしって、本当に魔法ありきだから、護身術も身に付けられなかったんだ。

 体育の授業だって柔道とかあるけど、おじさんの成績から見たら、その技量はお察しだ。まずできなかったんだろう。

 

 そうして無力化したはいいものの、あまりに呆気なかったから、騎士達も顔を見合せて、『どうする?』『処す?』『見世物小屋に売る?』と話し合っている。案は出るだけで、結論は一向に出ていないけど。

 見世物小屋に売ったら、二束三文(銅貨三枚)で買い叩かれる未来しか無いだろうから、やめた方がいいよ……

 

『ウェンスよぉ。コイツどうする?』

『いずれ魔法封印の効果も無くなりますからね……早めに殺しておいて損は無いかもしれません』

 

 マジ? と聞き返した粗野な方の男は、ウェンスさんとやらが頷くのを確認すると、おじさんの髪を掴んで引っ張り上げて、右手に構えた剣を首元に突き立てた。

 

『じゃ、死ね』

 

「あっ……おじさん!」

 

 これもおじさんが経験したリアルなのだから仕方ないのかもしれないけど、

 

 画面を見てる自分さえ、ギュッと目を瞑ってしまった。

 

 過去のことで、おじさんが殺される事は絶対に無いとは思っているのに、恐ろしさのあまり唾を飲みこんでしまう。

 

 恐る恐る目を開ける。

 

 おじさんの首を叩き切ろうとした剣の位置はまるで変わっていない。

 ただ、振り抜こうとした先で、フリルの着いた傘と火花を散らしていた。

 

 え?

 

 傘?

 

『お、お前は……!!』

 

 男の視線の先に、少女が一人。

 

 どこかで見たような紅い眼と、どこかで見たような銀髪の……

 

 小学生くらいの、ゴスロリファッションな女の子だった。

 

『フィリア=ドラクリア=ダキア……!』

『ご丁寧に紹介ありがとう。久し振りね、ターレス』

 

 いや名前まで微妙に違う!

 リフィアさんの妹的な何かなのか!?

 

 なんにしても急展開で、ちょっと頭が混乱してきたよ!

 

『なっ、どこから……!』

『今まで知覚してなかったぞ!?』

 

 ざわめき出す騎士達。

 どうやら、おじさんが殺されるギリギリで、突然現れたみたいだ。

 

『……よぉ、吸血姫(ヘマト・フィリア)。まだ夜にはちっと早いってのに、もう男漁りか?』

『それを言うなら女漁りね。男の血なんて不味くて飲めたものじゃないし』

 

 そういえば、リフィアさんが冒険者の血を飲んでいた時も、不味いって言ってたっけ。

 

 でも、おじさんの血は美味しそうに飲んでたし、俺の血もなかなか悪くない味だったとか。

 

 男って言っても、人によりけりなんだろうか。

 

『んじゃあ邪魔すんなよ。お前に関係無いだろ』

『大有りだから邪魔してるの。そんな事も分からない?』

『あぁ? このオークとだぁ?』

 

 胡乱げにおじさんを見る。

 

 おじさんとその子の関係がよほど不思議なようだ。

 

 眉間に皺を寄せるターレスさんに、フィリアさんが昏い笑みを浮かべながら答えた。

 

『フォウは、私の特別なの。そのフォウを痛め付けてくれた分を、全部貴方たちに返してあげる』

 

 あ、うん。

 リフィアさんだ、この人。

 

「リフィアさん、何やってんだ……」

「おっ、よく分かったな。なんでも、吸血鬼として活動する時の表の顔とかでな。12から17歳まで自在に変えられるらしいから、12歳の姿を隠れ蓑にしているんだ」

「……この口調は?」

「お嬢様ロールだな。吸血鬼でゴスロリの少女と言えば、古今東西お嬢様キャラと相場が決まってるとかなんとか言ってたな」

 

 それ絶対東の方に影響されたんだろうなぁ……

 

 だが、どうにも優しさが無いというか、滲み出る雰囲気からして別人だ。

 おじさん以外の人間はゴミクズ以下みたいな、そんな高慢さまで感じられる。

 

『へぇ……このオーク野郎とデキてるのか。でもな。俺が少しでも力を込めれば、コイツは死ぬぜ?』

『……貴方が、私の力に勝てるとでも?』

『ッチ、後悔しても知らないぞ! オオァッ!!』

 

 ターレスと呼ばれていた人が青筋を立てて反抗するも、剣はピクリとも動かない。

 火花がおじさんの首に当たり続けて、少し痛そうだけど……

 

『ち、くしょうがぁ……っ!!』

『──アハッ』

 

 フィリアさんが口を歪めると、男の手から剣を叩き落として、目にも留まらない速さの回し蹴りを顔面に直撃させた。

 

『ふぐぉっ!?』

 

 画面から一瞬で消えるターレスさん。視点を少しずらしてみると、取り囲んだ騎士達の一部を吹き飛ばして、二十メートルぐらい先で倒れていた。

 

『ふ、副団長っ!?』

『おいおい嘘だろ……』

 

 前見た時から強者ムーブをかましていたから、まさかこんなアッサリとやられるとは思わないよ……

 

 そんな失望感もちょっぴりと感じつつも、視点を元に戻す。

 

 フィリアさんが回し蹴りの残心を終えて、高く上げた脚を地面に着けると、コンコンと音を立て、ヒールに踵を嵌め直した。

 

 強者の余裕という奴だろうか。そんなプレッシャーが、画面からひしひしと伝わってくる。

 

『それじゃあ……いつでも掛かってきなさい。お好きなように、ね?』

『くっ、どうなっても知りませんからね! ……お前達、行くぞ!』

 

 ウェンスさんが剣を高く上げると、騎士達は喊声を発してフィリアさんに雪崩込み……

 

「よし、これから三十分後っと……」

「お、おじさん?」

「ん? ああ、この後、ひたすら騎士団がボコボコにされるだけなんだけど……見たい?」

「あ、いや、いいです」

 

 きっと、飛ばしてくれた方が有難い。

 見るからにフィリアさんは近接格闘系だから、多分グロい所じゃ済まない気がする。

 

 シークバーを動かして、画面が切り替わった。

 

『う、うぁぁ……』

『ぐぉ……』

『あひ、うひゃ……』

 

 その様、死屍累々そのもの。

 

 血溜まりの中に立っている人は、フィリアさんとおじさん以外に誰も居ない。

 

 フィリアもフィリアさんで、指に付いた血をペロりと舐め取って、妖艶に微笑んだ。

 

『もうおしまい? フォウが受けた傷や痛みは、こんな程度じゃ済まないわよ?』

『この、やろ……ぐふぉっ……!!』

 

 最初に倒れていたターレスさんも復活していたのか、倒れている場所はまた違う所だった。

 結局また倒されてしまったようだが、その彼に向かって、フィリアさんは何度も傘で、嬲るように叩いてる。

 

 傘を振るう度に、血飛沫が舞う。

 

 普段のリフィアさんの姿からは想像もできないような、残虐な哄笑を上げて、痛めつけていた。

 

 ……異世界で、おじさんやリフィアさんが受けた仕打ちを見てきたからだろうか。

 

 リフィアさんがこうなってしまうのも当然なのかもしれないと思う自分が居た。

 

 おじさんはその画面を見つめたまま、ふと語った。

 

「リフィアは、復讐がしたかったんだろうな。この世界で、自分を大切にしてくれた家族を殺した仇を打ち負かして、とうとうタガが外れたんだ。……ずっと、耐えてきたものから解放される。この時のあいつにとって、それは何よりも代えがたい悦楽だったに違いない」

「……じゃあ、リフィアさんは」

 

 あんなに卑屈になってしまった理由の一端を知ってしまった気がした。

 それでも、軽蔑なんてできる筈が無い。法が絶対じゃない異世界で、復讐しようと思うのは、多分、ごく自然なことだ。

 

「……俺だって、復讐とかも考えたことがあった。若い頃は自制も利きにくくて、何度か、この手で殺めそうになったよ」

「でも、おじさんは……」

「ああ。その度に踏みとどまったよ。人の命は、俺みたいな奴が背負うには重過ぎるからな。誰かを殺したら、多分、耐えられなくなるって、心のどこかで感じてたんだろう」

 

 ……力があるなら、僕は迷うことなく復讐に走りそうだ。

 

 自分を虐げてきた人間を見返してやりたい。同じ苦痛を味わわせてやりたい。

 

 そう思うのは、きっと自分だけじゃなくて、人間の性だと思う。

 

 比較にするには烏滸がましいかもしれないけど、有名な小説投稿サイトのランキングを見ても、逆転劇とか、復讐譚の類の人気は凄まじいものがある。

 所謂、ざまぁとか、追放とか、悪役令嬢とか、そういうジャンルだ。

 

『ぐふっ……おっ……!!』

『アハッ、アハハハッ! そうやって這い蹲って死んでくれたら最高!』

 

 復讐は空しいだけとはよく言われていることだ。

 

 でも、自分の身に起きて、本当に復讐せずにいられるか。画面に映るリフィアさんを見て、とてもそうだとは思えなかった。

 

 あんなに優しい人が、仇の前にはこんなに豹変するのだから。

 

『リ、フィア……』

 

 おじさんがふらりと立ち上がった。ボロボロになった体で、復讐にしか目が向いていないリフィアさんの下へ歩いていく。

 

『そうだ、ここでいっそ全員殺しちゃおっか!』

 

 キヒッ、キヒヒヒッ。

 

 口を裂いて笑うリフィアさんは、吸血鬼と呼んでも何ら違和感が無い。

 

『駄目だ、やめろ、リフィア……!』

 

 おじさんの、捻り出すような声すら、今のあの人には届いてはいない。

 

 目を覆いたくなる。

 

『一人ひとり血を飲み干していって、いつ自分の番が来るか怯えながら、干からびて死んでいくなんてどうかなぁ。例えば、こんなふうに、この五指を腹部に貫かせて──』

 

 

『リフィアッッ!!!』

 

 

 リフィアさんの鋭利な指は、騎士さんのお腹を貫く前に止まった。

 

 だらんと下げた髪に隠れて、表情は見えない。

 

 おじさんは、足を引き摺りながらも、片腕を抱え込みながらも、必死に訴えかける。

 

『……そいつらを、殺していいのか』

 

 ピクリ、と肩が震えた。

 

『……お前に、人の命が背負えるのか』

 

 突き刺そうとする腕が震えて、握り拳に変わる。

 

『それでも殺すのなら……俺が、死んででも止める』

 

 おじさんは、そう言って、辛うじて無事な右手に光の剣を迸らせた。

 

 リフィアさんは、よく知る十七歳の姿に戻りながら、喰神剣を取り出すという行為でもって応えた。

 

 そこにあるのは、リアルそのものだった。

 夢も希望もない、俺が最も嫌う展開。

 

 この前のエルフさんのときよりも、ずっと酷い展開だった。

 

 鬱な気分でいると、リフィアさんはふらふらと覚束ない足取りで歩き始めた。

 

 瞬間、姿が掻き消える。

 

 でも、おじさんは一切の動揺も見せずに、真後ろに向かって剣を振り抜いた。

 

 キンッ、という鋭い音を立てて、紅い大鎌が宙に円を描く。

 

 それでもなお、リフィアさんは諦めていなかった。

 一歩も動けないおじさんに近づいて、拳を振り下ろす。

 

 ……ただ、その音で表すなら、ぼすっ、という感じだろうか。

 

 無抵抗なおじさんに振り下ろされたものは、なんとも、力無い一撃に見えた。

 もう一発、残った片方も振り下ろしても、おじさんにダメージは無さげだった。

 

 さっきの鎌の攻撃も、きっと本気ではなかったんだろう。

 

『言わないでよ……』

 

 結局、縋り付くような姿勢のまま、震えた声で、恨みがましそうに。

 

 リフィアさんは、泣き顔を露わにして、吐露した。

 

『殺していいのかとか、人の命とか……そんな事言われたら、殺せなくなるに決まってる……!』

 

 そう明かすリフィアさんは、とても苦しそうだった。

 

 何も考えず、敢えて目を逸らしていたのに、殺す直前になって言われたら……

 

 ある意味、おじさんは酷い事をしたと言えた。

 

『サリファもキルロも殺されたのに、何も出来なくて、ずっとやるせない気持ちで……それ以上に、また隣からみんなが消えてくのが怖かった……』

 

 だから、おじさんも殺そうとした聖十字騎士団を倒そうとしていた。

 

 憎しみと恐怖のままに倒そうとしていたから、あんなにもリフィアさんが狂っていたんだ。

 

 正気なら、絶対にできないような事だ。

 

『陽介まで居なくなったら、私は────!』

『……それでも』

 

 おじさんは、片腕でリフィアさんを胸に抱き寄せて、そっと諭した。

 

『それでも、一度でも殺したら……性根から優しいお前の事だ。後になって、自分が許せなくなるだろ。俺はお前に、そんな人生を歩ませたくない』

 

 いい……!

 

 いいよこれ……!

 

『なぁ……お前のやりたい事はなんだ、リフィア』

 

『お前が、本当に笑って生きられる人生は、なんだ?』

 

 いつになくおじさんがキレッキレだ!

 

 鬱展開を吹っ飛ばして、友人を悪の道から引き戻すなんて、最高の主人公ムーブだよ!

 

『私の、やりたい事は……』

 

 リフィアさんも、そんなおじさんの真っ直ぐな言葉をぶつけられて、やりたいことを考え始めていた。

 

 でも、ずっと黙り込んでいるリフィアさんを見て、おじさんは俄に慌て出した。

 

『あ、いや、でも、さっきはそんな人生とか言ったが、別に復讐自体が悪いって訳じゃなくてだな?』

 

 どうやら、リフィアが復讐の為に生きていると思ったらしい。完全に否定してしまった事を後悔しながら、あれこれと言い繕って……

 

『その、手段というか、やり方が向いてないだけで……実際、ゴールデンアックスのティリス・フレアなんかもデス・アダーに復讐していた訳だし、心霊呪殺師太郎丸の操作キャラ、円海だって……』

『陽介』

『え、あ、なに──』

 

 映されてるのは、二人の足下だけ。

 

 分かる事と言えば、リフィアさんがつま先立ちをしている、という、微妙な様子だけ。

 

 でも、これだけで十分に察することはできる。

 女の人が、男の人に身長を合わせようと背伸びする理由なんて、一つしかない。

 

「おじさん! これ、視点もっと上にできないの!?」

「え? 視点? えーと、どれどれ……」

 

 指でピンチインしようとぐいぐい動かして……ギリギリ、上半身が入らないくらいの、ほぼ下半身までしか表示されていなかった。

 それ以上やっても、反応すらしていない。

 

「……どうやら、記憶の精霊が、リフィアはこれ以上映るのを許可してないからって理由で、見せれなくしているらしい。あいつも、なんだかんだで精霊と話せるもんなぁ」

「嘘でしょリフィアさん……!!」

 

 これを藤宮が見たら激昂するだろうなぁ……と、リフィアさんの何とも言えないヘタレ具合に頭を抱える。

 

「でも、そんな大した事はされてないぞ? 記憶が確かなら、唇にイタズラされたんだ」

 

 唇にイタズラ。

 

 どう考えたって、キス以外の何物でもない。

 

 え? おじさんにとって、キスってイタズラ程度なの?

 

 幾らなんでも、それはおかしくないか?

 

『今、のは』

『……い、イタズラ。察しの悪い陽介へのお仕置きだよ』

『なるほど』

 

「ほら、イタズラだって言ってるだろ? こんな時にイタズラとか、あいつもお茶目だよなぁ……」

 

 それで納得するおじさんの神経が分からない……!

 

 真実を教えようかと悩んでいると、画面はちゃんと二人の上半身を映していた。

 

 周りは相変わらず悲惨なままだけど、リフィアさんが顔を真っ赤にして、全力で顔を逸らしていた。

 

 明日にでも、この事を全力で問い詰めよう。藤宮と。

 

『……あの、そろそろ話終わりましたか』

 

 あまりのイチャイチャっぷりに耐え切れなくなったのか、屍のようになっていた、もう一人の副団長ことウェンスさんが割り込んで話しかけた。

 

 そのまま死んだフリしてたら、忘れ去られたままだったろうに……

 

 ウェンスさんの言葉で、現状に気付いたリフィアさんは、取り敢えずおじさんと顔を見合せて……

 

 一拍。

 

『『記憶、消そうか』』

『は、え?』

 

 僅かに意識のある騎士たちも、呆気に取られていた。

 

 記憶を消す。

 そんな芸当ができる人は、この異世界でそう多くない。

 

 というか、この二人くらいなんじゃないかな……

 

 ただ、騎士団員の数が数なので、おじさん達も、一人一人イキュラス・キュオラするわけにもいかず。

 クーラーや千秋くんの一件でもお世話になった、特別対応を取っていた。

 

『あ、どうもすみません嶋嵜ですぅ……突然すみません記憶さん、少々大掛かりな記憶消去をしたくて……あ、はい、そうなんです……』

『あっ、夜分遅くに失礼致します、記憶の精霊様ですか? お久しぶりですー、旧姓夜野のリフィア・カルネイアなんですが……あ、そうですそうです! 夜野晃輝ですー! いやもう、記憶の精霊様もお人が悪いですねー。記憶を司ってるのに、全然私の名前覚えて下さらないんですからー、あははっ』

 

 虚空に向かって談笑を始めた二人に、とうとう気が狂ったかと騎士たちが怯え始めた。

 

 でも、二人は至って真面目だった。

 

「リフィアさん、普通に精霊と話してるような……なんか前に聞いた話と違うんだけど」

「いや、そう違わないと思うけどな。俺は全ての精霊の力をフルに貸してもらえるが、あいつは全ての精霊が使えるわけじゃない分、一部の精霊に限って特に親しい仲になれるんだ。吸血鬼族の特性らしい」

 

 吸血鬼族の特性多いな!

 

 なんかもう、おじさんのチートと釣り合いが取れてない気もするよ。

 

「ええと、じゃあリフィアさんは特化型ってこと?」

「そうだな。エイリアンソルジャーで言うなら、フレイムフォースかランサーフォースみたいな役どころだ。ピーキーだが、ハマる時にはハマるのが良い」

「どっちも射程短いし弾切れ早いもんねー」

「おっ、エリソルやる気になった?」

「あはは……また後でやるよ」

 

 あれ、一回やるだけでかなり疲れるし……

 

 楓さん、全然倒せないし……!

 

 ……そろそろ本気で投げ出そうとしているゲームはさて置いて、画面に戻る。

 

 未だ交渉している為に、空に向かって笑いかけるおじさんとリフィアさん。

 

 身の危険を感じたウェンスさんも、最早どうすればいいのかも分からず……

 

『ま、待って下さい! き、記憶を消すって、そんなこと、古代の魔法でもなければできるはずが────』

『──《イキュラス・キュオラ(記憶消去)》』

 

 バタン、とウェンスさんが気を失った。

 相変わらず、記憶消去に一切の躊躇いの無いおじさんだった。

 

『あ、すみません、少し邪魔が……はい、はい、分かりました。ではそういう条件でー……本日はありがとうございました、今日の所はこれで失礼致しますぅー……はーい、ではではー……』

 

 会話を終えたおじさんが、同様に交渉を終わらせていたリフィアに向き直った。

 

『そっちの記憶さんとはどうだったんだ』

『問題無し。いつものよしみで、タダでやってくれるって。こっちは七十人まとめてできるから、そっちは三十人でいける?』

『済まないな。お言葉に甘えよう』

 

 二人が片腕を空に掲げると、目を閉じる。

 

『『記憶の精霊よ。忘却の彼方へ消し去れ──《イキュラス・キュオラ(記憶消去)》』』

 

 

 

 

「……こうして、全員から俺や自分自身に関する情報を消した後、リフィアが大規模神聖魔法で全員を回復させて、気絶しているうちに逃げたって訳だ」

 

 台に置いたコーヒーを啜りながら、魔法を閉じた。

 

「まあ、つまりだ。友達が傷付けば、黙っちゃいない奴もいるって話だ。たかふみも、藤宮さんの事になると、つい過剰になりがちだろ? 世の中、そういう心の優しい人は、案外いるもんだからな」

 

 さて、続き続き〜、とゲームを再開した。

 

 

 

 

 


おまけ

 

 

 2023年2月10日。

 

 物価高やコロナに対する政府の対応が問題となっているこの頃、僕ら高丘家もその煽りを受けに受けまくっていた。

 

 いやそんな事はどうでもいい。本題は他にある。

 

「……『404 GAME RE:SET(エラーゲームリセット)』? スマートフォン向けRPG?」

 

 所謂、ソシャゲと言われるジャンルのものだ。

 

 なんだか、殺伐とした世界観っぽいけど……おじさんがこういうのに興味を持つなんて、『ぷよクエ』以来かもしれない。

 

「ああ。セガが大々的に発表していてな。一体どんな中身かと思って見てみたんだが……」

 

 まぁセガ絡みだよね、と思いつつ、スマホでポチポチと検索してみると、ホームページが公開されていた。

 

 サイトを開いて、内容をチェックしてみると……

 

 ……まずストーリーからして、かなりの異色だった。

 

 セガが世界を支配しているという、IFの現実が舞台となっていた。

 自社をゲームに出して悪者にするって、どういうこと……?

 

「驚くにはまだ早いぞ。出てくるキャラは、流行りの擬人化なんだが……擬人化の対象が、なんとセガのゲームなんだ!」

「……はい?」

 

 ……???

 

 ちょっと言ってる意味が分からなかった。

 

「公開されてる情報によると、『バーチャコップ』に『アフターバーナー』、『アウトラン』があるらしい。俺、正直擬人化の文化ってどうなんだかなーとか思ってたが、こうも名だたるタイトルを並べられると、ファンとしてやらずには居られなくなる……くっ、流石セガさん、俺の弱点を的確に突いてくる……!!」

「いやおじさんの為に作られたんじゃないからね!?」

 

 確かにセガ公認だけど!

 

「う〜ん、でも開発はセガなんだ。おじさんに言っちゃ悪いとは思うけど、セガが出してるので、あんまりソシャゲで良いイメージはないんだよね」

「えー。『ぷよクエ』とか『プロセカ』とか成功してるじゃん」

「『ぷよクエ』はともかく『プロセカ』は開発別でしょ……」

 

 でも、色々見ていると、一番下に気になる文言を見つけた。

 

「クリエイティブディレクター、ヨ□オタ□ウって……あのN○eRの!?」

「その通り。いやー、今思い出してもオー○マタは面白かったな。もう発売から六年経ってるが、アニメもやり始めたらしい。……データもとっくに消えてるし、もう一度全ルート回収でもしようかな」

 

 今回のセガは、どうも本気を出してきたらしい。

 道理で自社が悪役なんてぶっ飛んだストーリーが生まれる訳だね……マルチバッドエンディングなんてものを採用するヨ□オさんならやりかねない。

 

「敬文くん、陽介、ご飯いらないのー?」

「あっ、今行く!」

「食べます、食べまーす!」

 

 リフィアさんに呼ばれたので、一旦スマホをやめて食卓に着き、お昼ご飯に舌鼓をうつ。

 

「……そういえば、なんの話で盛り上がってたの? 陽介がやたら興奮気味だけど」

「あー、それはだな……」

 

 おじさんは掻い摘むどころか、熱中して話し出しそうとしたので、例のゲームのことは食後に話すことになった。

 

「あっ、あれが出る時期なんだ。懐かしいなぁ〜……」

「リフィアさん、もしかしてやってたの?」

「残念だけど、ちょうどトラックに轢かれたのが今年の二月だから、まだ事前登録のときだったよ」

「えっ」

 

 軽いノリで言われたけど、それってかなり重大なんじゃ……

 

 深刻な顔をしていたのが丸分かりだったのか、リフィアさんはクスリと笑った。

 

「別に、こっちの世界の自分にはあんまり興味ないからね。まあ、多分大丈夫でしょ、大丈夫」

「それ絶対大丈夫じゃない奴だよ……」

 

 いや本人が気にしないなら良いんだけどね……

 

「にしても、その……『404 GAME RE:SET(エラーゲームリセット)』? だっけ。せっかくなら、ネタ代わりにYoutubeで軽く宣伝してみたら良いと思うよ。異世界おじさんチャンネルの影響力、贔屓目に見てもかなりあるし、おじさんのセガ語りだけで視聴者集まるよ」

 

 伊達に登録者数二百万はいってないのだ。

 ちょっとしたインフルエンサー気取りはできる……はず。

 

 セガさんに頼まれて、『ソニック・フロンティア』の実況プレイするぐらいには知名度があると信じてる。

 

「ハッ……!? 名案だリフィア! こうしちゃいられない。たかふみ、撮影機材をセッティングしてくれ! 俺は……エルフになる」

「いいけど……最近、エルフになるの躊躇わなくなったよね、おじさん」

「……セガの宣伝の為なら、俺は幾らでも自分を捨てる覚悟があるだけだ。間違えないでくれ、たかふみ」

「セガへの忠誠心が凄すぎる」

 

 それ、やりたいことを貫く力が強さとか言ってた人の言葉じゃないよ、おじさん……!!

 

 

 

 

 令和5年2月10日。

 

『もし今セガのゲームが公開されたら──』

『君の役はただ見ているだけの一般民衆か? それとも……!?』

 

 編集後、公開されたおじさんの動画は、この一言で締めくくられた。

 

『かわいい』

『エルフかわいい』

『ヴァンパイアちゃんは?』

『おじさんを出せ』

『事前登録します』

『エミールの顔かわいい』

『脚本ヨ□オタ□ウやんけ!』

『ゲームの擬人化と聞いて』

『鬱は見たくないのでやらん』

『勇者ちゃん待ってます』

 

 などのコメントで埋め尽くされていたので、寧ろ宣伝が逆効果だった可能性も否めないが──

 

 おじさんは、

 

「どんなゲームに仕上がるのか楽しみだ」

 

 とニコニコ笑いながら、『ホグワーツ・レガシー』で爆弾に変身させた敵を容赦なく相手にぶつけていた。

 

 




事前登録よろしくお願いします!(え

おじさんは愛を手に入れられるのか?

  • 友情こそ全て。愛など要らぬ。
  • エルフ以外ありえないんだが?
  • メイベルたん可愛いよメイベル
  • やっぱそこはアリシアちゃんだろJK
  • たかふみ、藤宮の計画再始動。
  • ハーレムなんて選択肢はありません。
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