黒歴史1話「一人でいる時も常に誰かに見られてると思った方がいい」のテスト期間前辺り
自分の名前は
髪はインナーに緑いれてるウルフカット、校則?バレなきゃいいんだよ!まあ緩いから見逃されてるだけだね。
高校デビューとして髪染めたりピアス開けてみたはいいものの、見た目が変わっただけでコミュ力が上がるなんてことはなし、友達なんて居ないわけですよ。なんなら髪と耳のせいで距離置かれたまである、悲しい。
そんなことはさておき、今日は短縮授業とやらで学校が昼までだったんだよね。何を短縮してんのかは知らんけど昼で帰れるのは楽だね!!
そんで今は、音楽が好きなのと家が近いという理由だけで応募したバンドハウス『CiRCLE』でせっせとバイトをしております。バイトの接客と友達をつくるのは違うから、コミュ力なくても接客はできます。嘘です、客と目合わせるとか無理です。だってここの店のお客さんたち美少女ばっかなんだもん……。緊張しちゃうよね!!
「あ、いたいた〜。陽向くんちょっといいかな?」
そんな愚痴?をこぼしてると背後から声をかけられた。
おのれ!なにやつ!と、振り返るとこのバンドハウスのオーナー、まりなさんがいた。
「まりなさん、お疲れ様です」
「うん、おつかれ〜。それでなんだけど、今暇だったりする?」
「暇ですよ。平日の真昼間であんまりお客さん来ませんし、店内清掃もついさっき終わったとこです」
「それなら良かった、ちょっといいもの見せてあげるよ」
「いいもの?まりなさんのブロマイドとか?」
「え、何?私の写真見たいの?」
「いえ、全く。これっぽっちも、1ミクロンも」
「そこまで否定されると傷つくんだけど?」
「ごめんなさい」
笑顔で返されたけど全然目が笑ってなかった、というか背中に般若の面が見えたので速攻謝った。
小さい頃は父さんによく言われたなー。女の人を怒らせたら怖いからすぐに謝れって。母さんに怒られてた後に言われたから説得力しか無かったな。
「それで見せたいものってなんです?」
「そうだった、この部屋の映像なんだけどね」
「さっき来てた人が使ってる部屋ですけど……、なんかあるんですか?」
「そう!この子面白い演奏するんだよね。陽向くんと同い年なんだよ、浅尾愛斗くんって言うんだよ」
「個人情報って知ってます???」
「あ、ほら始まったみたい」
まりなさんに言われ、カメラの映像に目を向ける。
そして、目を奪われた。
「これ音声聞けたりしますか」
目は画面から離れずに、まりなさんに問いかける。
今すぐにこの人の演奏を聴きたいと思った。なんなら部屋に乗り込んで生で聴きたい、さすがに急に知らんやつが入ってきたら演奏どころじゃなくなりそうだしやんけど。
「はいどうぞ」
「ありがとうございます」
まりなさんからイヤホンを渡され、礼を言いながらつける。その瞬間流れてきたギターの音に鳥肌が立つ。
演奏してるのはメーベル。ところどころで歌ってるのは無意識なのかは分からないけど、ただ1つだけ確かなことがある。
「楽しそうに演奏するなぁこの人……!」
その楽しそうな姿に、目を奪われた。
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演奏が終わり隣を見ると、ニヤニヤと見てくるまりなさんが目に入り少しイラッときた。
それはそうと。
「なんでこの人……、浅尾くん?の演奏見せてくれたんですか?」
「?、暇って言ってたからだけど?」
「軽っ?!そういえばそうでしたね……」
「まあ本当は中の映像とか見ちゃダメなんだけどね!」
「ダメなんかい?!」
おいこの人もうダメだよ、プライバシーのプの字も知らないよ絶対。はいそこてへぺろじゃないから、許されると思うなよ???
「でも陽向くんも乗り気だったじゃない」
「それはそうですけど……」
「共犯だね!」
「そうですね……」
「バレなきゃいいんだよ!!」
「どの口が言うか!」
なんでこの人オーナーやれてんのか不思議で仕方ない。見ちゃったのは仕方ないけど今度話す時あれば謝ろ……。
そう思いつつ映像をちらっと見ると、また違う曲を始めた見たいなので、もうここまで来たらせっかくだし、という理由でバイトが終わるまでの数十分、浅尾くんの単独ライブを見ることにした。
後日話す機会があったので、とりあえずまりなさんと一緒に謝った。まりなさんは全く反省してないようで浅尾くんにさらに怒られた。