モブが愛斗くん信者になるお話   作:フィン.s

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時系列
「プロになれるかは正直運次第」


初ライブでスカウトされるのはセンスの塊

 はい、ミニライブ当日ですね。楽しみすぎて夜しか寝れんかった!健康体!

 今回参加するのが、えーと?……Poppin’PartyにAfterglow、Roseliaと来て、……え?愛斗くん達トリなの??初ライブで、Roseliaのあとでってプレッシャーすごそう。ちなみにまりなさんの独断で決めてるらしいから、まあそういうことやね。

 

 んーと、とりあえずライブで必要な機材の準備とかは終わったかな?

 照明も大丈夫そうだし。アンプもマイクの調子も……『あ、あ〜〜〜』うん、大丈夫そう。さて、あとは何しようかな、参加するバンドの人たちもチラホラ集まってきたみたいだし、案内と演奏順伝えたら、まりなさんに他に仕事あるか聞いてこよ。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

『トリをやらせてもらいます。Black historyです。よろしくお願いします』

 

 

 ミニライブも始まってあっという間。愛斗くん達、black historyの番が回ってきた。蘭ちゃん達が驚いてるけど出ること教えてなかったんかな。

 バンド名で少し笑ってるお客さんもちらほら、隣にいるまりなさんは大爆笑してる、そんなに面白いか。

 前がRoseliaだったってこともあるしお客さんは満員御礼、熱量は仕方ないけどちょっと下がったっぽい。まあ今から始まる演奏でどうせまたぶち上がるし大丈夫でしょ!!と、後方ならぬ、ステージ袖腕組み古参ヅラしてる。チラッと見えたけど、モカちゃんも後方で同じよなカッコで頷いてた。

 

 お、準備も終わったみたいで始まりそう。愛斗くんが隣のギターの人に声をかけると、ドラムの人の3カウントからゆらゆらとしたイントロ。そこから他の楽器隊が一気に入ってくる。

 

 

『頭でわかっては嘆いた 転がってく様子を嗤った』

『寂しいとか愛とかわかんない 人間の形は投げ出したんだ』

 

 

 歌、キーボードのメロディ、ドラムのスネアが際立つAメロ。お客さんも、イントロの辺りからちょっと前の熱量がぶり返してきたみたいにリズムに乗り出してきた。

 

 

『「ワタシ」なんてないの どこにだっていないよ』

『ずっと僕は 何ものにもなれないで』

 

 

 Aメロじゃまだ大人しかった右手が、Bメロに入った途端に忙しなく動き出す。目線は正面、手元なんか見ずに弾けて当たり前。マイクがある分いつもより大人しいけど体はリズムに乗って止まらない、そのくせミスタッチはないと。ギターボーカルなのにリードギターバチバチにできてんのはやっぱ染み付いた演奏技術かなぁ。

 

 

『僕ら今 さあさあ 喰らいあって 延長戦サレンダーして』

『メーデー 淡い愛想 垂れ流し 言の愛憎』

『ドラマチックな展開を どっか期待してんだろう』

 

 

 だんだんと上がっていった熱量が、待ってましたとばかりに炸裂する。

 クソうま演奏はキープしたまま、歌ってるその顔はハチャメチャに楽しそう。

 

 

『君も YES YES 息を呑んで 采配は そこにあんだ』

『ヘッドショット 騒ぐ想いも その心 撃ち抜いて さあ』

『まだ見ぬ糸を引いて 黒幕のお出ましさ』

 

『その目に映るのは』

 

 

 やっぱり楽しそうに全力で何かしてる姿ってのは人を惹きつけるよね。お客さんもノリノリ、もうみんなこのバンドのファンになる気がするわ。

 まあ、最初で最後かもしれないこの楽しい時間が、まだ続けばいいのになって思うのは、仕方ないよね!

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 愛斗くん達の演奏が終わったあと、お客さん達からのアンコールを受けた結果戸惑いながらこっちを見てきた愛斗くんに、ユーやっちゃいなよ!的なノリで即ゴーサインをだしたら、それはもうクソかっこいいロケットサイダーが飛んできたもんで困っちゃったぜ……!

 

 ミニライブも終了し、各バンドのメンバーの人が集まって駄弁ってるのを横目に、せっせと片付けるスタッフ陣であったとさ。てか愛斗くんナンパしてるけどそんな度胸あったんや、以外だー。

 

 そんな聞き耳を立てながらも片付けも終わり、一息つこうと置いてた水を飲んでると、騒がしい輪の中から愛斗くんがフラフラと。声でもかけて見ようかなと近づこうと思った矢先、まりなさんが先に愛斗くんに声をかけ、どこかに連れてっちゃった。まあお疲れ様って言うだけだし後でいいかと思いつつも、手持ち無沙汰になってしまったので何をしようか。

 

 

「暇そうだね陽向くん」

「あれ、まりなさんさっき愛斗くんとどっか行ったんじゃ?」

「あぁ、見てたの?」

 

 

 背後から声をかけられ振り向くと、先程愛斗くん連れて控え室の方にいったはずのまりなさんが。愛斗くんは戻ってきてないみたいだけど、どこいったんだろ。

 

 

「愛斗くんは?」

「控え室の裏の方で話してるんじゃない?あの子に会いたいって人がいたから取り持ってあげてたのよ」

 

 

 そう言われて控え室の方に少し移動すると、見えにくかっただけですぐ近くに愛斗くんはいた。その横にはまりなさんが言ってた人であろうスーツの人がいて話してるみたい。こんなとこで畏まった格好してる分だいぶ目立つ。愛斗くんはなんか焦ってるみたいだけど、どうしたんだろ。

 

 

「まりなさん、あの人どっかのお偉いさんですか?」

「まあお偉いさんって言われたらそうだね。Pastel*Paletteってバンド知ってる?」

「まあ名前だけは……。ってことはそこの事務所の人ってこと?」

「そうそう、ちなみにスカウトを担当してるってさ」

「あそこって芸能事務所ですよね?え?愛斗くん芸能界入んの?!」

「さぁ?本人の意思じゃないかな〜。そういえばこれ、さっきのライブの演奏データね」

「まあそれはそうか、想像つかないなぁ。データあざます」

 

 

 愛斗くんをテレビで見るようになったりすんのかな。とか思ってると話が終わったのか、いつの間にか愛斗くんがこっちに来てたみたい。気づかんかった。

 

 

「愛斗くんライブお疲れ様」

「ガチで疲れた、でもめっちゃ楽しかったからまたやりたいわ」

「まじ?次またライブ参加する時言ってね、絶対見に行くから」

「おう、そんときゃ言うわ」

 

 

 やったぜ、最初で最後のライブじゃないみたいで嬉しいってばよ。このままどんどんライブに出て、あわよくばオリ曲とか出して欲しいな、作詞作曲できるんかは知らんけど。

 

 

「そういえば愛斗くん、スカウト来たんだって?受けるの?」

「あー、まりなさんから聞いたんか。まあスタジオミュージシャンとして来ないか?ってさ。まあ即決出来んかったから連絡先だけ交換した」

「そうなんだ?てっきり受けるのかと、好きなことで食ってけるなら楽しいじゃんね」

「それはそうなんだけどなぁ。今でもRoseliaとAfterglowのコーチしてるから、そっからスタジオミュージシャンの仕事も入るってなったらちょっと余裕が無いんよね」

 

 

 改めて考えると愛斗くんってすごいな。15歳で演奏技術買われて2つのバンドのコーチして、今日なんかスカウト来てんだもんなぁ。

 

 

「まあ愛斗くんがしたいようにすればいいと思うよ。別にどっちも続けれないって訳でもないだろうしね」

「……それもそうだな。ちょっとは気が楽になった、あんがとな」

「それはよかった。あ、ほら呼ばれてるよ?行ってきたら?」

「おう、んじゃまたな」

 

 

 バンドメンバーの集団の方に行った愛斗くんを見送ってると、他のスタッフから片付け手伝って〜とお願いされた。アルバイトらしく労働に励むとするかー、と伸びをしながらヘルプの方に向かった。

 

 

 

 

 

 結局、アルバイトとして雇ってもらったらしく、曰く雇用額がうちの2、3倍あるみたいで普通に羨ましい。しかも楽器別で更に追加であるってよ!!!技術職はやっぱ給料高いなぁ、とりあえず愛斗くんには今度飯奢ってもらお。

 あ、ついでに言うと初対面のPastel*Paletteにノリノリ演奏を見られたらしくて、黒歴史がまた増えたって泣いてた愛斗くんでした。どんまい!!

 

 

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