「……ごちそうさま」
ウィングローストチキンなる料理を食べ終わった俊介は、食器を置くと同時にそう呟く。
シスター・イートがこの辺りで美味しいと評判と言っていただけの味ではあった。刑務所の外でもこれほどの味の料理を作る店には早々出会えないだろう。
ただ……。
「完食してくれたようで何よりです」
先に料理を食べ終わっていたシスター・イートに食べるところを凝視されていたため、緊張で少し味がぼやけてしまったのだ。九つの大皿に乗った料理を一気に平らげる姿は見事と言うほかなかった。
俊介は口元の汚れをナプキンで拭い、彼女に憎まれ口を叩く。
「てっきり、俺が食ってる途中に何かしてくると思ったけどな」
「先ほども言いましたが、私はお食事を粗末にすることは致しませんよ。まあお話くらいはしようと思いましたが、小さな口で頑張って食べていらっしゃったので……声をかけるのを躊躇ってしまいました」
俊介は彼女の口ぶりから、自分は物凄く子ども扱いされているのではと感じた。
さっきの身の上話からして、シスター・イートが前世で死んだ時の年齢は確実に17歳より下だろう。まあこちらの世界に来てからの年数を含めれば俊介よりも年上にはなるが……。
少しもどかしい物を心に覚えながらも、俊介は口を拭いたナプキンを皿の上に置く。
「食べ終わった今なら……何かしてくるってことか?」
「では改めて、あなたを食べさせていただけますか?」
「絶対に嫌に決まってるだろ」
「そうですか……では仕方ありませんね。残念ですが今はやめておきましょう」
そう言うと、あっさりと引き下がったシスター・イート。
先ほど殺気を滲ませていた時とは全く違うその様子に俊介は訝し気な視線を送った。
「さっきは本気で殺意を向けて来てたくせに……何だその変わりようは?」
「お腹がいっぱいになりましたので。どうせ美味しい物を食べるなら、お腹が空いていた方がいいではありませんか」
次腹減ったら食い殺しに来るってことじゃねーかこの野郎。
「料理店で暴れるのもあまり良くありませんしね」
「お前が話をするためとか言ってここに連れて来たんだろうが」
「元々ここで暴れるつもりは更々なく、お話だけで済ませようとしていたのですが……ノリと勢いで
「つまみ食いなんて可愛い表現じゃ隠しきれないからな」
闘技場で見た、口の端から臓物を垂らしながら血を啜ってる光景をまだ覚えてるんだからな。
子供が見たら一発でトラウマ確定だったぞ。
そんな風に考えながら、誰が見ても分かるほどの嫌な顔を浮かべる俊介。
シスター・イートがそんな俊介の顔をじっと見つめ……耳元まで裂けた口端から少量の涎を零した。
それをすぐに右手の親指の根元で拭い、据えた目を俊介に向けながら舌なめずりをする。
「ああ……でもなんだか、あなたの顔を見てたら少しだけお腹が空いてきた気もします。……右手か左手の小指だけでもいただけませんか?」
「よっしゃ帰るわ俺! お前の奢りだろ! じゃあな!!」
これ以上ここにいると危険なことになりそうな匂いを感じ取った俊介。
椅子を大きく引いて立ち上がり、シスター・イートから決して視線を外さないように扉の前まで移動する。
「ええ、勿論。最初のお約束ですから。この場の代金は私が持たせていただきます」
「…………」
微笑みを携えながらそう言う彼女に俊介は何も言わず。
理解の及ばない狂女から目を逸らすように、部屋の外へ出て扉を閉めた。
無言のまま大股で店の中を歩き、店外へと出る。
そして暫く歩いた所で人気のない脇道に入り、周囲に誰もいないことを確認してから立ち止まって、大きく息を吐いた。
「はぁ……。やっべえな、アイツ……」
誰にも聞こえないような声量でそう呟いた。
今までの人生で巻き込まれた事件の最中、常人の理解が及ばない狂人とは何度か出会ったことがある。
シスター・イートは恐らくその出会った狂人たちの中でもトップクラスの部類に入るだろう。ちなみに殿堂入りは榊浦美優、これだけは間違いない。
しかしまあ、ただ狂っているだけなら幾らか対処法はある。
いくらシスター・イートが強いとはいえあの怪物騎士ピュアホワイトよりは遥かに弱い。ピュアホワイトがマジでヤバかったのは狂気のダークナイト推しだった上に、厄介すぎるほど高い実力を持っていたからだ。
実力に物を言わせてボコボコにするか、サイコシンパスの声で完全に無力化するか。
その他にも色々……。とにかく叩きのめすだけなら方法はあるのだ。
ただ……。
「大丈夫か、クッキング……」
『……ごめんなさいね。心配かけちゃって』
「いや、気にすんなって。流石に事情が事情だろ……。俺も不用意に視線を向けすぎたせいで、クッキングが俺の中にいるってバレちゃったし……」
ヘッズハンターに肩を担がれる、完全に足腰から力が抜けた様子のクッキング。
今までに見たことがないくらい憔悴したその姿にドールがおろおろと落ち着きなく歩き回り、サイコシンパスが何かを考えているように視線を右往左往させている。
俊介はヘッズハンターにクッキングを座らせるようにハンドサインで伝える。
そして壁にもたれかかるように座った彼に対し、頭が同じ位置になるように膝を突いて問いかけた。
「クッキング……。初めて出会った時からシスター・イートの正体が何となく分かってたって言ってたよな? なんでだ?」
『……グリモアちゃん……いえ、あのシスター・イートは体が大きい割に足音がとても静かだったでしょ?』
「ああ、そうだな」
『あの子ね……前の世界でもそうだったのよ。足音を消すのがホントに上手で、よく後ろから驚かすように声をかけてきてたから、何となく……本当に何となくそう思っただけだったの』
話している途中で、彼の声に嗚咽が混じり始める。
長い間料理の修行を積んだことが窺えるゴツゴツの手で顔を覆い、そのまま首から力を抜くようにだらりと下を向いた。
『グリモアちゃんは孤児院の中でも人一倍食い気が強くてね。私が用事をやってたら後ろから驚かしてきて、いつも元気に笑いながら早くご飯が食べたいって強請って来てた子なの……』
「……そうか」
『分かってたの、分かってたのよ。私が死んだあと、孤児院のみんなが食べ物がなくてどうなったかなんて……。戦争が終わる気配なんて全くなかったから、きっと飢えて死んじゃったんだろうって分かってたけど、考えないようにしてたの……』
「ああ……」
俊介はただ優しい声色で返事をし続け、クッキングの中に渦巻く激流のような感情を吐露させる。
完全に勢いを止めることはできないだろうが、口から吐き出すことで少しは楽になるはずだ。
クッキングは喉をきゅっと締めたような声で更に言葉を吐く。
『でもまさか、あんなに優しかった子が人の味しか感じられなくなって、食人鬼になってるなんて……。あの子が一番楽しみにしてた食事を奪うなんて、私は本当に、なんてことを…………』
喉の奥から絞り出すような声でそこまで語り終わったクッキング。
その後は膝の間に頭を隠すように丸まり、肩を揺らすほどの嗚咽を漏らしながら黙りこくってしまった。
俊介は彼の体に触れられないため、そのすぐ背後にある壁を優しく労わるように叩いて音を出す。
そしてドールとサイコシンパスと目を合わせ、クッキングの身を案じるようにアイサインを出した。二人は理解したように頷く。
眉間にしわを寄せたまま複雑な顔をするヘッズハンターにハンドサインを送り、クッキング達から十メートルほど離れる。
そして中から他の人格達を全員呼び出し、真剣な面持ちで話し始めた。
「……クッキングとシスター・イート。確実に関係者だよな」
『ここまで来て間違いだった方が恐ろしいだろう』
「だよな」
ガスマスクの肯定の言葉に俊介は頷き返す。
シスター・イートの語った『コック』という人物とクッキングの身の上話は一致しているし、彼女の本名である『グリモア』という名もクッキングは事前に分かっていたらしい。
改めての確認だったが、やはり二人は前世で関係を持っていたことは間違いなさそうだ。
俊介は右手で髪をかき上げるように額を押さえる。
「…………」
『……なあ、これってそんなに重い空気で悩むような問題か? シスター・イートはクッキングっつーか、俊介の体を食い殺そうとしてんだろ? 早いとこボコボコにして吊るしちまえばいいじゃねえか』
ハンガーが人指し指でわっか状にした縄をくるくる回しつつ言う。
その言葉にヘッズハンターが口を出した。
『アホか。そういう問題じゃないから悩んでるんだろ』
『誰がアホだってんだよ。クッキングが自分で覚悟決めて人を殺して、そんで孤児達に食わせてたんだろ? 元孤児のシスターってのが人殺しとか食人鬼とかになってようが、あいつ自身が選んだことの結果だ。だからあいつに泣き言吐いて俊介を困らせる資格はねえ』
『…………』
『俊介の身の安全を考えるならシスターをボコってサイコシンパスで精神ぶっ壊すのが一番だろ。それをクッキングが『嫌だ』なんて言ったら俺がぶん殴るぞ』
ハンガーの強い口調にヘッズハンターは押し黙る。
荒々しい言葉と内容ではあったが、それは反論しようもないほどに『当たり前』のことだったからだ。
例え戦争で酷い貧困に追い込まれ、その日に食べるようなものが無い生活が続いていたとしても。
人を殺して調理し、孤児達の飢えを満たすという選択をしたのは他ならぬクッキング自身なのだ。
その選択を覚悟を持って選んだはずなのに、今になって『状況が悪かっただけで自分に責任はない。だから何とか自分に都合の良いようにしてほしい』なんて理屈は通じない。
人を殺すというのはそれほど重いことなのだ。決してその罪は帳消しにはできない。
その重みは大量の人を殺した殺人鬼達と、そんな彼らと7年共に過ごした俊介が一番分かっていた。
俊介はハンガーの言葉に首を微かに縦に振りながら声を出す。
「……確かに俺の身の安全ってだけで話すなら、ハンガーの言った風にするのが最適だと思う」
『だろ?』
「ただ、これもまた俺の我儘になっちゃうんだけど……。クッキングとシスター・イートには何かの形でケリを付けさせてあげたいと思ってる」
『おいおい……マジかよ俊介。別にそんな優しくする必要なッわぷっ』
話し続けようとするハンガーの口にフライヤーが指を突っ込んだ。
そのまま舌を人指し指と中指で挟むように引っ張って無理やり黙らせる。そして低い声で『黙って話の続きを聞きな』と囁いた。
俊介は何かを思い出すように右手を見た後、力強く握りしめる。
そして殺人鬼のみんなの顔を見回しながら強い言葉で話し始めた。
「ヘッズハンターと、ピュアホワイトの中にいた小日向真昼さんのこと……。俺は今でも、何か助けられる方法があったんじゃないかと後悔してる。せっかく死んだ後に奇跡的に会えたのに、また死別するなんて……」
『…………』
ヘッズハンターが悲し気に顔を逸らす。
その表情を見て俊介は更に右拳を固く握りしめながら、言葉を紡ぐ。
「死後の世界で死別した人と再会できるなんて、まるで御伽話みたいな『奇跡』だ。確かに俺がシスター・イートをただ叩きのめすことはできる。でも……せっかくクッキングに訪れたこの奇跡を、俺は今度こそ最高の形でケリを付けさせてあげたいんだ」
『最高の形、とは具体的にどういう意味ですか?』
エンジェルが羽を少し動かしながらそう問う。
俊介は頭の中で考えと言葉を纏め、彼女の問いに答える。
「クッキングが納得できるような、前世の未練を受け止めて前に進めるような形が最高だと思う。シスター・イートとクッキングが腰を据えて話せるような状況でも作れたら、そこからはクッキングが自分でケリを付けるはずだ」
『そんなことができるでしょうか。私ほどではないですが、あのシスターの力は強いですよ。この刑務所で手に入る物で拘束できるかどうか……』
「そこら辺も色々考えなきゃな。……とにかく俺は、みんなにはこの世界で前の世界の人と再会できた奇跡を、大切な物にしてあげたい」
そこで俊介は言葉を切り、マッドパンクとキュウビの方を向いた。
「マッドパンクとウィザード、キュウビと知雫。二人にも何かの形でケリを付ける機会をあげたいと思ってる。……ウィザードはかなりの悪人だから難しいかもしれないけど……それでも、何とかしてあげたい」
『……俊介』
その言葉にマッドパンクが少しだけ物悲し気な顔をする。
たとえ未来革命機関という組織を率いていた極悪人だったとしても、彼にとっては肉親の妹なのだ。何も思わないところがない訳がない。
できるならマッドパンクだって何かの形でウィザードと話したいはずだ。それも叶えてあげたい。
……と、そんな真面目な空気の中。
『いや別にわらわと知雫って前の世界でそんな関わりなかったし、ぶっちゃけどうでもよいぞ。というか今すぐ焼き殺してほしいのじゃ』
「ええ……」
キュウビがこめかみに青筋を浮かべながらハッキリとそう言い放った。
俊介が困惑の声を上げた瞬間、彼女は他の殺人鬼から連続で肘打ちを入れられる。水を差して空気をぶっ壊すような発言をするなという意思表示だろう。
弛緩しかけた空気を締め直すように、俊介が咳払いをする。
そして再び強い決意を込めた言葉を紡ぎ始めた。
「この先の人生で、今はまだ前世の関係者と出会ってない人でも偶々再会する可能性は充分ある。その奇跡の再会を最高の物にするには一人の為に俺達みんなが一致団結して力を合わせなきゃならない」
「だから、シスター・イートが食人鬼で俺の命を狙ってるなんて理由で『諦める』って前例を作りたくないんだ。それを作ってしまうとマッドパンクとウィザードでも、他の誰かと誰かでも、少し困難な状況に陥ったら簡単に諦めるようになってしまう」
言葉をいったん区切り、俊介は殺人鬼のみなを強い意思を込めた瞳で見回す。
そして一度長めに瞬きをした後、言葉を吐いた。
「7年も一緒にいるみんなが幸せになるためだ。その『奇跡の再会』には俺の命を懸ける価値がある」
「クッキングとシスター・イートがどういう形でケリを付けるかは分からない。だけど……俺は全力でクッキングの助けになってあげたい」
「だからみんなにも、どうか全力で協力してほしい。それが回り回って、みんなの奇跡を最高の形にする助けになると思うから……!」
そこまで言い終わった所で、俊介は殺人鬼達に向かって頭を深く下げた。
そんな風に頭を下げたのが数秒か、数十秒か、それとも数分か。
自分自身でも分からないくらいの緊張の中で頭を下げ続けていると、パチパチと一人分の拍手が響き始めた。
『良い演説だったでござるよ、俊介』
顔を上げると、ニンジャが手を叩いていた。
俊介が彼の顔を見ると同時に手を止め、人差し指を顔の前で振りながら憎たらしい声色で言う。
『高校生のコンペコンテストにでも出たらいい所まで行くんじゃないでござるか?』
「おい、茶化すなよニンジャ」
『いやいや今回はマジで言ってるんでござるよ。お見事お見事、でーじでーじって感じでござる』
「どう考えても態度が馬鹿にしてるだろお前」
こめかみに青筋を浮かばせる俊介。
ニンジャは肩をすくめながら飄々とした態度で声を出す。
『……実際のところ、拙者達の前世の関係者が今すぐ殺すべきなどうしようもない悪人の可能性もある。もしかするとウィザード以上の悪人か、もしくは敵対者か……。だからまあ、俊介のその理想をどこまで貫き通せるかは分からんでござる』
「……そうかもしれないけど、でも……」
『でもまぁ、『挑戦してみるだけOK!』ってことでいいんじゃないでござるか? 失敗を恐れては何もできんでござるし! 夢みたいな理想論バンザイ!』
「……お前さ、そんな軽い雰囲気で話を纏めないでくれよ。せっかく頑張って話したのに……」
俊介ががっくりと肩を落とすと、殺人鬼達が各々違った笑みを口から漏らした。
先ほどまで頑張ってカッコつけていた俊介の空気は消え去り、何とも緩やかな雰囲気が漂い始める。
「……でも、みんなのことを心から大切に思っているのは本当だよ。一般人の俺に7年も、体の主導権を永遠に奪う事もせず付きあってきてくれたしさ」
唐突に口を開いた俊介の言葉に、殺人鬼達の笑い声がピタリと止まる。
「みんな知ってると思うけど、俺が命を懸けて何かやるなんて怖いことをするのは殆どない。でも、みんなの為なら命がけで頑張るくらいなんてことないんだ。ちょっぴり恥ずかしいけど……本当に大切な家族だと思ってるからさ」
少し顔を赤らめながら、改めて感謝の言葉を説く俊介。
そしてピタリと時が止まったように動きを止める殺人鬼達。
これまた少しの静寂が流れた後、キュウビがハッと気づいたように目を見開いた。
『あれ、もしかしてわらわ今口説かれた?』
「え?」
『よっし――――いやいやゲホンゴホン、全く俊介は仕方ないのう。どれどれ、サービスショットを御開帳じゃ!』
彼女が服の襟に手を掛けてずり降ろそうとした瞬間、マッドパンクが勢いよく飛び蹴りを決めた。
ガスマスクがキュウビの体を背後から拘束して壁に押さえつける。
『なんでこいつ最近すぐ服脱ごうとすんだよ! 馬鹿じゃねえの?!』
『ヤメロー離せー!! 俊介はわらわのことを口説いたんじゃ! 良い女として魅了してしまった者の願いには応える義務があるのじゃ!』
『どう考えてもお前個人に吐いた言葉じゃなかっただろ! というか口説いていなかっただろうが!』
『馬鹿者! 貴様らは言葉の裏に隠した真意というものを知らんのか! あれは俊介なりの奥ゆかしい心情表現――――』
ギャーギャーと騒ぎ始めたキュウビの周りから目を逸らす。
最近キュウビが愉快なキャラに変わってきていて不思議な気分だ。
前はもっとこう、メンヘラ狐とか言われるような性格をしてたのに、最近は面白い方向に舵を切っていってる気がする……。
『馬鹿が一人早とちりしたようですね。俊介』
「ん、エンジェル。……アレは馬鹿じゃなくて、愉快って言うか……」
『いやいや馬鹿だよねえ。全く勘違いも甚だしいよね』
いつの間にか隣に立っているエンジェルとトールビット。
俊介の二人の顔を見回しながら話していると、不意に肩のあたりに手を回される。
『ちょっと離れようか。大丈夫大丈夫、お姉さん怖くないよ』
「何言ってんだトールビット。怖くないって言うか、そもそもお姉さんって自称する年じゃ」
『は?』
『ですが、少し騒々しいのは確かです。少しそこの物陰にでも入りましょう』
「? いや確かにうるさいけど、別に物陰に移動するほどじゃ……」
『まあまあまあまあ。いいじゃん俊介』
「ハンガー!? いつの間に俺の背中に……」
トールビットとエンジェルに何故かやたらと物陰に誘導される。
そしていつの間にか背中にべったりとハンガーが張り付いているのに気付いた。
俊介は頭の上に疑問符を浮かべながらも二人に誘導されるまま、ふらふらと物陰に歩いて行く。
『おーいゴラー! 他の女共を止めろー!! わらわより危険じゃーッ!!』
『何であんな真面目な空気からこんなギャグみたいな状況に変えるんだよお前らはッ!!』
ヘッズハンターがそう叫びながら、物陰に誘導しようとする三人組を止めに掛かった。
ヘッズハンターの幼馴染が死んじゃったのが悲しくて、最近真面目な展開の後に雰囲気をぶち壊すような明るい展開を入れるのが癖になってる気がします。
よくない癖ですね。
いずれギャグじゃ済まない状況に叩き落とすので、今だけはどうかお許しください。