殺人鬼に集まられても困るんですけど!   作:男漢

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小話 そういやみんな、何歳だっけ……?

 

 

 

 

 

「今日で16歳かぁ。なんか、もうそんなに経ったのかって感じだな……」

 

 俊介は自身の誕生日である夏の終わり頃に、自室の中でそう呟いた。

 両親は案の定仕事でいない為、駅前のスイーツ店で一人分のケーキを購入し、自室でもそもそと食べている。

 

「はぁ~……。夜桜さんと一緒にケーキ食べれたらなぁ……」

『俊介ちゃん、最近その夜桜って子にお熱よねん。告白とかしちゃったりしないの〜?』

「いや流石にさ……。身分が違いすぎて、ちょっと無理っていうかだ……」

『あらま。でも分かるわ~、身分の違いを乗り越えるのってとっても怖いのよね〜。だからこそ、身分違いの恋の物語が人気なのだけれども』

 

 ケーキを食べる俊介の傍ら、クッキングが頬杖を突きながらそう言った。

 

 俊介は高校での初めてのテストにて、既に夜桜との邂逅を済ませていた。勿論一目惚れも完了している。

 しかし夜桜との関係が始まるのは二学年時からであり、今は俊介が一方的に思いを寄せているだけの、他人に近い関係性である。

 

 

 俊介はケーキを食べ終わり、ふと思い出したように言う。

 

「16歳……あっそういえば、クッキングって何歳なんだっけ?」

『私? 34歳よ、もう良い歳なんだから。まぁこの姿になってから、全く年を取ってないけどねん』

「……そう言えば俺、みんなの年齢って全然知らないな。ヘッズハンターが18歳ってのは知ってるけど」

『まぁ年齢なんて特別聞く必要もないものねえ』

 

 

 クッキングとお互い顔を見合わせる。

 

「なんかちょっと気になってきたな」

『良い機会だし、聞いちゃいましょうか』

 

 

 男組から1人ずつ、呼び出して年齢を聞いて行くことにした。

 ここで言う年齢は元の世界での物であり、俺と一緒に過ごした6年間は含めない。

 

 

 

 

 

 

 ―――ニンジャ。

 

『なぜトップバッターが拙者でござるか?』

「厄介なのは一番最初に済ませて手元で監視するに限る」

『酷い言いようでござるなぁ。あ、拙者は2()6()()でござるよ』

 

 

 

 ―――ガスマスク。

 

『俺の年齢か? 2()6()だ』

「ニンジャと同じか……」

『部隊では若い方だったけどな。年下も一応居たが』

 

 

 

 ―――マッドパンク。

 

『僕の年齢? 2()4()だよ』

「結構行ってんな……」

『それもしかして僕の身長見て言ってる? いくら俊介と言えどキレるよマジで』

 

 

 

 ―――サイコシンパス。

 

『私の年齢か? 確か、2()0()歳になったばかりだったはずだ』

「若ッ!」

『まあ私は生まれつき体が弱かったからな。医者からも20歳辺りが寿命だと宣告されていた。若いのも仕方あるまい』

 

 

 

 

 男組は既に知っているヘッズハンターとクッキングを除いて聞き終わった。

 

 意外とサイコシンパスが若かったな……。

 元々虚弱で病死したって言ってたし、そんなもんなのかな……?

 

 次は女組か。

 ちょ、ちょっと怖いな……。

 

 

 

 

 

 ―――ドール。

 

『どしたのお兄ちゃん? 私の年齢? 1()1()()だよ!』

「……11……。……ドール、後で俺と遊ぼうな……」

『? うん!』

 

 

 

 ―――ハンガー。

 

『俺の年齢って……悪いけど、数えた事もないな』

「数えた事がない?」

『俺は生まれも育ちもスラムの中でも特に酷い所でさ、勉強をした事がねえから数の計算が出来ないんだ。でもまぁ……今の俊介とおんなじ位だったと思うな』

1()6()()()()って事か……」

 

 

 

 ―――キュウビ。

 

『わらわの年齢ぃ? 俊介、突然そのような事を聞くとは、ちとデリカシーが欠けておらぬか?』

「それはごめん」

『全く……わらわの年齢は2()2()()じゃ。それよりも俊介、最近夜桜などという女にうつつを抜かしているようじゃが、アレの中身は悪鬼の類じゃ。今すぐ離れてわらわの方にシフトチェンジ―――』

 

 

 

 ―――エンジェル。

 

『私の年齢……? なぜそんな事を聞くんですか?』

「興味本位で」

『知って何が面白いのか分かりませんが……。私は1()9()()です。確かその辺りだったかと』

「ヘッズハンターの一個上? マジ……?!」

『……そんなに老けて見えますか……?』

「ごめん」

 

 

 

 ―――トールビット。

 

『どうかしたのかい俊介? ……わ、私の年齢? アハハ、面白い事を聞くねえ。な、何でそんな事を聞くんだい?』

「興味本位で。嫌なら言わなくてもいいよ」

『いやぁハハハ、嫌なんて事はないよ。そう、私は……3()……2()3()()さ。嘘じゃないよ』

「疑ってないよ」

 

 

 

 

 ―――フライヤー。

 

『年齢? 俺の? 何で?』

「会話の流れでふと気になってさ」

『変な事を気にするもんだな……。俺はちょうど2()0()()だ、まぁ死んでから6年も経っちまってるけどよ。結構若い方じゃねえか?』

「いや、女性陣では上の方かな……」

『……年齢なんて気にした事なかったが、そう言われるとなんかちょっとムッとなるな……』

 

 

 

 

 

 性別不詳枠。

 

 ―――ダークナイト。

 

1()7()

「本当に?」

『( ´∀`)b』

「わか……え、17……? マジ……? 俺の一個上?」

『( *´艸`)』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……全員分の年齢をひとまず聞き終わった。

 なんか改めて聞いてみると、イメージと全然違う若さの奴もチラホラいたな。特にダークナイトとか、もっと年上だと思っていた。

 

 まぁでも、ちょっと面白かったな。

 今までドールを除いて殺人鬼達は遥かに年上だと思ってたけど、もう追いつきかけてる奴もいると知れた。俺ももう16歳……自覚はないけど大人になりかけてるんだ。

 

 今まで以上に気を引き締めて生活していこうと考えていた、その時――――。

 

 

 

 

 ニンジャがバン!と机を手のひらで叩き、大声で叫び始めた。

 

『ちょっと待つでござる! 拙者、この場で告発を行うでござる!!』

「は?」

『せっかく俊介が質問したと言うのに、年齢を誤魔化した嘘つき年増がいるんでござるよ……!』

 

 なんか始まった。

 ニンジャはバンバンと机を叩きつつ、息を小刻みに吸いながらすらすらと悪意の籠った言葉を並べていく。

 

『その嘘吐きは実年齢より遥かに若い年齢を申告し、人目に付くのすら恥ずかしい自身の痛いファッションを若さ故の過ちで誤魔化そうとしたマジでずる賢い考え方の加齢臭漂うオバハン!』

『ちょ、ちょっと流石に言い過ぎじゃないかい!?』

 

 トールビットが焦った様子で言葉を出し……『あっ』と開いた口を手で押さえた。

 ああ、やっぱり誤魔化してたのか……。何となくそんな気はしてたけど……。

 

 

 彼女が顔の前で手をわたわたと動かし、否定の言葉を口にする。

 

『いや、違う。今のはだね、その……私じゃないけど、言われてる人が可哀そうだと思ったからだね?』

『他人に押し付けるのはもっと最低でござる』

『ごめんなさい、嘘吐いてました』

 

 暴いても誰も幸せにならない嘘をわざわざ指摘する方が何よりも酷いんじゃないだろうか。

 俊介はそう考えたが口にはしなかった。

 

 

 喜々としてトールビットを弄り倒すニンジャを横目に、少し優しい声色で言う。

 

「別に言いたくないなら言わなくても良いんだけどな。いきなり聞いた俺も良くなかったし」

『まあそうでござるな。トールビットはアラフォー(40歳前後)、言わなくても分かってるでござる』

『違う違う違う違う! そこまで行ってないから、そんなに年取ってないから!!』

 

 彼女が物凄い剣幕で否定する。

 そして仮面で隠しきれていない顔の下半分をりんごのように真っ赤にしながら、口を尖らせ、小さく言った。

 

 

『ホントは……3()0()()……に、なったばかり、です』

『はい、()()()()と』

『お前マジで殺すぞニンジャぁ!!』

 

 何処からともなく取り出した黒い手帳に『アラサー』と書き込むニンジャ。その様子を見てトールビットは勢いよく吠えた。

 しかしニンジャは肩をすくめ、人を舐め腐った口調で言い返す。

 

『30歳にもなって体のラインが出る服着て、黒うさぎの仮面付けて、王子様みたいな少しカッコつけた口調の痛いアラサーに何言われても効かんでござる。

 もしかしてその服と仮面、私的な趣味で着てるでござるか? だとしたら尚更救えんでござるよ』

 

『お、お前の服も似たようなもんだろうがぁ……! 26歳のコスプレニンジャぁ……!』

 

『まぁコスプレと言われればそうでござるが、一応これ、仕事服としての機能も兼ねてるでござるし。拙者こう見えて公務員だったんでござるよ?

 そもそも拙者が言っている問題は30歳の身でそれらを6年間ずっとノリノリでやり続けていた癖に、今になって何を思ったのか年齢を誤魔化そうとしてモロバレした事でござる。もはや痛いを通り越して、触れるのすら可哀想なほど哀れでござるよ』

 

『ぐぅぅぅ……!』

 

 こいつマジで言いすぎだろ。ホント最低だな。

 

 ニンジャの言葉にノックアウトされたトールビットが、顔を真っ赤にしながらその場で三角座りをした。顔を隠す為か膝の間に頭をうずめている。

 

 そんな彼女の様子を見て、げたげたと悪魔のような声で笑うニンジャの後頭部をクッキングが叩いた。

 

 

『いくら何でも言いすぎよ』

『む……。失敬失敬、ちょっと大人げなかったでござるな。いや、年上に大人げないとはこれ如何に……?』

『ちょっと黙りなさい』

 

 クッキングがニンジャの首を後ろから絞め上げた。クッキング相手ならばニンジャが本気を出せば一瞬で抜け出せるだろうが、甘んじてその首絞めを受け入れている。

 

 

 三角座りのまま落ち込み続けるトールビット。

 そんな彼女の肩を傍に居たサイコシンパスがポンと叩いた。

 

『ま、気にするな。30歳などまだ若いだろう』

『にっ、20歳に言われても何の慰めにもならないよ……。ふぇぐっ、アラサーでごめんなさい……』

『そもそもその恰好がなんだ。俺達の姿は俺達と、俊介にしか見えないんだ。俊介が良いならそれで良いだろう。なあ?』

「え?」

 

 いきなり話がこっちに飛んできた。

 唇を嚙みしめているトールビットがこちらに顔を向ける。サイコシンパスの方に目をやると、何か意味ありげな表情でゆっくりと頷かれた。励ませって事か?

 

 まあ年齢を聞こうなんて思いついたのは俺だし、責任は俺にあるか。

 ゴホンと咳払いをし、声を整える。

 

「いや……い、良いんじゃないの? 黒スキニーズボンに白ワイシャツとサスペンダー、あと黒い兎のマスカレードマスク……。

 うん……。まあ、俺は嫌いじゃないよ」

『ほ、本当かい……? 30歳でもOK……?』

「30歳でもOKかは知らないけど、別に似合ってるから良いんじゃない? 好きな物を好きに着てればいいよ」

『しゅ、俊介ぇ……!』

 

 

 四つん這いになっていたトールビットがゆっくりと立ち上がる。

 彼女は未だに顔を真っ赤にしたままだが、少しだけ自信を取り戻したのか、胸をポンと手のひらで叩いた。

 

『ま、まぁ30歳でもいいよね。色々と……包容力も生まれる年齢だから、少しくらいはね! これくらいの服は許容範囲!!』

『言動が支離滅裂。そも、包容力の生まれるマトモな30歳はそんな恰好しな……ぐえっ』

『黙ってなさい、良い具合に纏まりかけたんだから』

 

 

 トールビットがある程度の自信を取り戻し、これからもその恰好で暮らし続ける事を決意した所で、今回の年齢騒ぎは幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 …………。

 俊介は黒のスキニーズボンとか、白のワイシャツにサスペンダーとかは何も思わなかった。ニンジャの言う通り、服のサイズが合ってないのか少し体のラインが出すぎているのも何も思わなかった。

 

 

 ―――でも。

 

 

 30歳で黒兎のマスカレードマスクだけは、ちょっとヤバいかなと。

 そう思ったが、口には出さず、心の中でその言葉をゆっくりと噛み砕いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





年齢よりも気にすることあんだろ!
殺人歴とかさ!











でも弱点多めのよわよわな30歳ってとってもエ〇チ……エ〇チじゃない……?

作者が書くときにいつも思い描いている姿はこんなんだけど


【挿絵表示】


こんな30歳と10歳の頃から7年間も一緒に居たら健全な青少年の性癖歪んじゃうだろ! いい加減にしろ! でも俊介は歪んでないんだよなぁ……。



AIで絵出力した方がよかった(冷静)

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