『始まりの冒険者』は世界を回る   作:くろこんチャン

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1話 起床

DMMO-RPG『ユグドラシル<Yggdrasil>』

ユグドラシルとは西暦2126年日本のメーカーが満を持して発売した、仮想世界内で現実にいるかのように遊べる体感型ゲームである。

数多存在するDMMO-RPGの中でも燦然と輝くタイトルとして知られているゲームであり、日本国内においてDMMO-RPGといえばユグドラシルを指すとまで言われる評価を受けていた。

 

人間種、亜人種、異形種と実に700種類にもなる豊富な種族と基本や上級職業等を合わせて2000を超える職業クラスによる無数の組み合わせで、意図的を除いて同じキャラクターはほぼ作れないだけのデータ量。6000を超える魔法の数々。

 

外装ビジュアルについても、自身のアバターの外装やアイテムの外装・内包データ、保有する住居の詳細な設定等が別売りのクリエイトツールを使用することで変化させることが可能だった。

 

そしてプレイヤー達の前に広がるのは九つある世界からなる広大なマップである。ユグドラシルは無限の楽しみを追求できるDMMOーRPGとして、今まで戦闘が主になっていたDMMO-RPGとは一風変わった遊び方、懐の深さを持っているのである。

 

ゲームを楽しむために製作元が望んでいたのは未知を楽しむ事。そのため様々なことが謎に包まれており、色々な事を試してほしいということだった。最初期はコンソールの使い方ぐらいしか情報がない状態で世界に放り込まれたほどである。

 

 製作会社から膨大なデータと弄りがいのあるシステムを用意され、マップに関してろくな情報は無し、ダンジョンの難易度などもご丁寧に教えてくれるはずもなく、鉱石の発掘方法・加工の仕方、ポーションの材料、食材、飼える魔獣等々、様々なものが不親切なほど未知であり全て自分たちで調べていく必要があった。あまりにも未知な事が多すぎるのでプレイヤーからは「製作元まじ狂ってる」とか「糞運営」などと呼ばれ、「限度という言葉をどこかに忘れてきたのだろう」とも言われていた。

 

しかし、これらも一昔前の話であり、2138年にそれまで12年続いたユグドラシルも幕を下ろす事となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

『スサノオ』

 

自分のキャラクターであり、今は自分自身であるそれとこの世界に来たのは何年昔のことになるか、最早思い出せない。

 

この世界に来て沢山の人々と出会った。

 

戦った。

 

話した。

 

殺した。

 

敵対したものもいたし、親友になったものもいた。

 

そんな多くの人々の顔も、記憶も、段々と薄れて行く。

 

戦いを繰り広げ、その逸話は英雄譚となり、人々から忘れ去られを繰り返すうちに不死である自分が疲れ切っていることに漸く気付き、私は眠ることにした。

 

 

 

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頭が痛い、最初に思ったのはそんなことだった。

 

手がどこでも無いどこかへ行こうと勝手に動く、もう一度寝たいと思いながら目を瞑るも、あぁもう寝ることは出来ないなと頭のどこかで拡散していた。

 

数十分後の葛藤と眠れという無駄な抵抗の後にベッドから起き、スサノオは辺りを見回す。

 

寝た時と何も変わっていない、不自然なほど豪華で王族が住んでいると言っても通じそうな自分の部屋を見回し、次に自分の、この部屋の豪華さに比べるとあまりに質素で変わらない姿を見てため息をついた。

 

部屋を出て、屋敷の中を進む。

 

最後に寝てから何年経ったのだろう、そう思いながらうろうろしているとスサノオは掃除をしている美しい女性を見つける。

 

スサノオが作った拠点の1つ、その管理をしていたNPCだ。

 

「108年と6ヶ月と6日ぶりの覚醒、おめでとうございますスサノオ様。直ぐにお食事の準備をしますね。」

 

「ありがとうタキリビメ、変わりは無いかな?」

 

「変わりありません、スサノオ様の第五拠点は恙無く運営されております。」

 

と言いながらタキリビメはてきぱきと準備をしながら準備が出来たら呼びます、と言い残し厨房へ歩いて行く。

 

スサノオは窓の外から、久しぶりの世界を見つめていた。

 

第五拠点はかつて何も無い荒野の中に小さく砦の様に作った場所だ。

 

エセ神社っぽいな、とスサノオが思ってる理由がその高さにある。なんとこの建物、3階建てなのだ。

 

その最上階から見る景色は、スサノオが見る前とかなり変貌していた。

 

食事をしながら、今後のことについて考える。

 

「旅に出ようと思う」

 

「承知致しました、お帰りをお待ちしております」

 

タキリビメを見ながら、スサノオは他のNPCのことを思い出す。

 

この世界に来てから、随分と時が流れた。

 

もう、元の名前も、元の世界の記憶も朧げにしか思い出せない。

 

ただ目的も無く、目標も無く、初めのうちにあったこの世界への憧れも、まだ見る世界への希望も無くこの世界をスサノオは生きていた。

 

そんな自分を咎めるように、腰に穿いた刀が震え始める。

 

ワールドアイテム

 

ユグドラシルから落ちた葉であり、つまり世界一つと同等の存在である。

 

 そのため強大な力を持つという設定であり、実際に異常すぎる力を持つものが多い。

 

「バランスブレイカーすぎるのではないか」という意見も多々あったが、「世界の可能性はそんなに小さくない」と開発元が断言し、決してパッチを当てようとしなかった。(糞運営だ!とその際はスサノオも運営を批判した)

 

公式発表によると全部で200種類存在し、中でも二十と呼ばれる20個の使い切りのワールドアイテムはさらにとんでもない力を秘めている。

 

「草薙剣(くさなぎのつるぎ)」

 

スサノオの持つ装備のうち、このアイテムこそ、そのワールドアイテムと呼ばれるものだ。

 

そしてそんな草薙剣が震える時は、、、決まって厄介ごとが起きる時なのだ。

 

 

 




こんにちは。

くろこんと申します、久しぶりなので拙いところも多いと思います。

暖かく見守って頂ければ幸いです。
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