『始まりの冒険者』は世界を回る   作:くろこんチャン

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17話 マジックキャスター

真価

 

「おお・・・おおおおお!」

 

1人の老人の咆哮が聞こえる。

 

フールーダ・パラダインは帝国一のマジックキャスターであり既に200年以上の時を、そして6代の皇帝に仕えており帝国に多大なる貢献をして来た。

 

その老人は、気付いていた。

 

否、悟ったのだ。

 

『彼は、魔法を使ったのでは無い。解除したのだと』

 

戦士としての強さは姿勢、風格により大凡図ることが出来る。

 

ガガーランなどがそれに当てはまる。

 

だが、フールーダには生まれつきのタレントが備わっていた。

 

タレントーー生まれながらの異能と呼ばれるそれは、簡単に言えば才能である。

 

生まれた時に得る能力であり、選択したり、変えたりできる能力ではない。

 

そのため噛み合わないことも多く、全ての人間が持つわけでもなく、自分に合っている能力を選択する訳でもない。

 

故に、自分のタレントに生涯気づかないという場合も多く、個人に噛み合うのは奇跡である。

 

だいたい200人に1人と言われ、能力も「天気予報」など日常生活に便利なものから、「魔法適性」といった戦闘に特化しているものなど大小様々である。 

 

そんな中、フールーダのタレントは魔力系魔法詠唱者が使用できるオーラを見ることが出来るというものである。

 

スサノオを見た時のフールーダの心境は、今までに見たことが無いものであった。

 

(これが、神・・・使える位階は、第9位階?否、より大きな、、、)

 

子供が100万円と1億円の違いを理解し得ぬ様に、フールーダは今までに見たことも無い魔力の本流に目を奪われていた。

 

それは、輝ける星の煌めき。

 

全てを、フールーダは身をもって体験していたのだ。

 

「魔を司る小神を信仰していましたが、今我が信仰は消え去りました。貴方様こそ我が神、どうか私にその深淵の一端を!私の全てを捧げます故!」

 

それは、ジルグニフにとっても予想外のことだった。

 

ジルグニフに魔力を感知する能力は無い、ただ宮中に蔓延する緊張感が明らかに増したことと、それがスサノオから発せられていることで何かが行われていたことには気付いていた。

 

(じいが勝負や、対等など可殴り捨てて師事を願う相手だと!?まずい、計算がかなり狂った!)

 

優秀な戦士である程、優秀なマジックキャスターにはなり得ない。

 

それがこの世界の常識だった、帯剣しているという情報や前情報からスサノオが戦士としての戦闘を行うのは明白であったが故、戦士としてもマジックキャスターとしてもレベルの高い冒険者。

 

それこそがジルグニフの想像したスサノオ像であった。

 

(だが、現実は私の予想を遥かに超えていた様だ)

 

「断る、弟子は取らん。私よりも早く逝く人に興味は無い」

 

「そ、その様なこと仰らずに!何卒!」

 

足元に這いつくばり、逃すまいとばかりに、今にもスサノオにしがみつこうとする素振りすら見せるフールーダに、流石にジルグニフも一言言わざるを得なくなった。

 

「そのあたりにしておけ、じい」

 

「陛下!私が追い求めた深淵の一端!それを諦めろと仰いますか!!!!」

 

フールーダから発せられるこの世界最高峰の覇気に、流石のジルグニフも冷や汗を掻く。

 

これが足元に這いつくばるのを止めようとすることでは無かったのならば良かったとジルグニフは内心思いつつ、助けを求める様な視線をスサノオに送る。

 

スサノオも流石に哀れに思ったのか、それともただの気まぐれか、フールーダにこんな助言をしていた。

 

「トプの大森林に墳墓が出来ている、そこにいるアインズ・ウール・ゴウンというマジックキャスターを頼るが良い、スサノオからの紹介と言えば良い筈だ」

 

「我が神よ、ははっ!今すぐに!」

 

面倒になったスサノオは、全てを投げることにした。

 

フールーダが身を翻し、部屋からバタバタと出ていくのをポカンとした顔で見つめている。

 

「て、帝国主席魔術師の非礼を詫びよう。彼は少々、魔法に傾倒する悪癖があってな」

 

気にしないで下さい。

 

スサノオはそれだけ答え、帝国を後にする。

 

ジルグニフもフールーダの一件で思う様に攻められず、またスサノオも頑なにその手の話を断り続けた結果。

 

そして最後に冒険者として、そしてこの後フールーダが知らせて来たアインズ・ウール・ゴウンの情報を聞いてそれどころでは無くなった結果、スサノオは完全に諦められた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かつて、魔術に傾倒した友がいた。

 

彼は位階魔法をより良くしようと努力した。

 

ただ、彼には才能が無かった。

 

故に、スサノオの魔法を学び、それを自分でも出せる魔法にすることで誰もが簡単に才能さえあれば魔法を使える様にした。

 

低位階魔法の誕生である。

 

「君たちみたいなドーン!も格好良いけど、私は・・・皆が、少し豊かになれる魔法を、いや、勿論深淵を見られないのは残念だよ?でもそれもまた、奇跡だろう?」

 

フールーダの必死な顔に、絆されたのだろうか。

 

何も感じないスサノオの心が、少しだけ晴れやかになった気がした。

 

 

 

帝国はその後、王国との戦争を行わなくなる。

 

以後、アインズ・ウール・ゴウン魔道国の属国となり、併呑されるまで両国は平和を保ち続けることとなる。

 

ジルグニフは、スサノオをあの時手に入れることが出来ていればと後悔することになるが、それはまた別の話である。




法国編

竜王国編

最終章

まで駆け抜けます!
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