『始まりの冒険者』は世界を回る   作:くろこんチャン

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少しずつゆっくり書いて行くのでご了承下さい。

4/21 誤字修正ありがとうございました。


2話 戦闘

ローブル聖王国

 

リ・エスティーゼ王国の南西に位置する半島にある人間の国である。

 

代々の国家元首は『聖王』と称され神殿勢力が国政に参与しており、神殿勢力の総本山たるスレイン法国ほどではないが、非常に宗教色の強い支配体制を築き上げている。

 

このため、昔から協力関係にある近海に住む人魚(マーマン)や一部のドラゴンを例外とした人間種以外に対する風当たりも、常日頃から異種族と正面から争っている法国に次いで強いが、六大神を信仰する法国と四大神のみを信仰する聖王国とは宗教的な価値観において溝があり、異種族への危機意識のお陰で対立関係に発展する事は避けられているものの、進んで協調しようとはしない。

 

 東側にある多数の亜人の紛争地帯であるアベリオン丘陵を警戒して、万里の長城のような大きく長い城壁で国土を囲っている。

 

そんな聖王国の外れ、『神の住む社』とまことしやかに噂されている社を中心とした、とある村は現在襲撃を受けていた。

 

襲撃者はバフォルクという種族である、彼らは山羊の様な見た目と銀色の体毛を持つ亜人種と呼ばれる生物である。

 

「人間は皆殺しにせよ!我らバフォルクの武力を見せつけてやるのだ!」

 

村にある貧相な門番を瞬く間に殺し、村人の虐殺を先頭で見つけるバフォルクの名はバザー。

 

バフォルクの王と呼ばれる亜人種の王である。

 

アベリオン丘陵

 

ローブル聖王国とスレイン法国の間に広がる巨大な丘陵地帯である。

 

 様々な亜人種の部族が日夜戦いを繰り返している場所で、

そこには十傑と呼ばれる亜人種の王たちが勢力争いに明け暮れていた。

 

魔爪と呼ばれる獣身四足獣(ゾーオスティア)のヴィジャー・ラージャンダラー、魔現人(マーギロス)ナスレネ・ベルト・キュールが有名である。

 

 『豪王』の二つ名を持つバザーもその1人である、彼は突破不可能と呼ばれた聖王国の城塞を驚くべき手段で突破していた、それは闇小人の持つ魔道具である。

 

 彼らの作る魔道具の力で、バザーは闇夜に紛れ城壁の下に穴を掘り道を作るという画期的手段で聖王国に侵入を果たしていた。

 

(人間の国を滅ぼし、我らバフォルクの力を見せつける!)

 

そう思い蹂躙を続ける、城砦があるからと安心し平和ボケに染まりきった聖王国の村々を蹂躙し、食料を奪ったことによりバフォルクの食糧事情はかなり潤っていた。

 

これ以上は持って帰れるかも怪しい、いかに人間が惰弱とは言え軍で襲い掛かられてはこちらも被害は免れないだろう、そう見込みバザーはこの村を最後の蹂躙と決めていた。

 

そして、それが彼らの運命を決定づけることになる。

 

「バザー様、何かが物凄い速さで接近して来るそうです!」

 

「ハハハ!まさか、かの聖王国最強の聖騎士が来たのか?良いだろう、その首をもって他の者どもの手土産としてやるとしよう!」

 

そう言いながら、バザーは配下のバフォルクが指し示す方向を見る。

 

次の瞬間、バザーの戦士としての勘が、生存本能が緊急事態を知らせた。

 

ゾワリ

 

寒気がする、身体中の毛が逆立ち、今すぐここから逃げろと叫ぶ。

 

否、逃げることすら不可能である。

 

バフォルクとしての勘が、戦士としての勘が、そして何より生存本能がそう訴える。

 

『砂塵嵐(サンドストーム)!!!』

 

剣から吹き上がった砂が壁の様に広がって、相手に襲いかかる、バザーの持つ魔道具である砂の射手からの魔法である。

 

また亀の甲羅(タートルシェル)を発動させる、これは半球状の光の膜が着用者の周りに現れ、射撃武器の威力を減退させる効果がある。

 

そして更に、防御姿勢を保ちながら横っ飛びに飛ぶ。

 

これが、バザーの持つ防御の全てであった。

 

「グァァァァァァァァ!?!?!?」

 

そして、その甲斐は確かにあった。

 

バザーの右腕と右足が吹き飛ぶ、遥か後方に吹き飛ぶ。

 

酩酊する意識の中、バザーが見た景色は地獄そのものであった。

 

先程まで後ろにいた配下の殆どが、恐らく反応すら出来ずに死に絶えていた。

 

遠くでは配下の叫び声が聞こえる、最精鋭のものたちだ。

 

声を上げるぐらいは出来たのか、となんとも阿呆なことすら考えてしまう。

 

何者なのかもわからない、何故攻撃されたかもわからない。

 

ただ、これだけはバザーは理解していた。

 

我々は死ぬ、碌な抵抗も出来ず、今まで自分たちがして来た様に死ぬのだ。

 

「まだ生き残りがいたのか」

 

透き通る様な声を聞き、バザーははっと顔を上げる。

 

そこには、超越者がいた。

 

白を基調とした服、整った顔。

 

そして、、恐怖。

 

「神、とでも言うのか、、、、!?」

 

バザーの視線が、顔から下に動く。

 

首にかけられたネックレスを見て、バザーは驚愕の声を漏らす。

 

「アダマンタイト、だと!?馬鹿な、聖王国にアダマンタイト級の冒険者はいない筈だ!」

 

「・・・・・そうか、この国は聖王国と言うのか。そしてこの世界には未だ、冒険者がいるのだな」

 

超越者の声を聞き、バザーは思う、生きたい、と。

 

だが、この空間に漂う殺気、これが全て自分に向けられていることをバザーは瞬時に理解した。

 

抵抗する術どころか、放っておいても死ぬかも知れない自分が生き残れる可能性はゼロに等しかった。

 

「・・・亜人種の中でこう言われている、首元にアダマンタイトを付けた者がいる。そいつらには近づくなと。古き時代に起きた人間の反抗、その先頭にいたのはアダマンタイトを付けた戦士であったと。老人の戯言と聞き流していたが、、、」

 

「・・・・・」

 

「助けて下さい、何でもします、貴方の望むものなら何でも差し出します!」

 

何か気が聞いたことは何も言えなかった、その程度のことでこの男が自分を見逃す筈が無いとバザーは確信していた。

 

「私はバフォルクの王です、私の種族は貴方に下るっいえ、降ります!」

 

清々しい程の命乞いに呆れる様に超越者は周りを見る、そこにはバフォルクの死体だけでは無い、人間の死体も転がっている。

 

「別に人間の味方だとか言うつもりは無い、亜人も人間も仲良くなんて夢見ていた時期もあった。だが、、、、あるがままに、がツアーの望みだ。」

 

そう言うとスサノオは、バザーを殺した。

 

十傑の1人は、この世界でも超越者の踏み台として死んだ。

 

「誰も居ないし、ツアーもいない。起きた後の調子を確かめる意味もある。使うか。」

 

そう、自らに言い訳をする様に言いながらスサノオは自らの剣を取り出す。

 

『真なる蘇生』

 

先程、バフォルクが殺した人間たちだけが、蘇って行く。

 

真なる蘇生とは死者を復活させる魔法。<蘇生リザレクション>よりも高位の復活魔法であり、復活時のレベルダウンをより緩和できる。

 

スサノオはソロプレイヤーとして戦士系と種族の関係で特殊な信仰系の魔法を幾つか納めている。

 

その能力を持ってして彼は村中の人々を1人残らず蘇生させていた。

 

 




「やれやれ、また厄介な友人が目を覚ました様だ。100年の揺り返しも近いのに困ったものだ」

「なんじゃツアー、まさか彼が目を覚ましたとでも言うのか?」
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