『始まりの冒険者』は世界を回る   作:くろこんチャン

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3話 聖王国

 

 

聖王国首都、ホバンス

 

聖王国の信仰の中心である神殿があり、政治の中心たるその

大聖殿の一室にて、3人の女性が集まっている。

 

「報告は聞いています、十傑の1人が討ち取られていたというのは本当なのですね」

 

「ええ、既に九色の1人、オルランド・カンパーノ班長が確認しているそうです。現在はそのまま当時の状況と村人への聞き取りを行なって貰っているかと」

 

「神、だと!そのような存在が我が国にいたのか!ケラルト、何故教えてくれなかったのだ!?」

 

「姉様、言ったこと直ぐに忘れるから、、、」

 

ローブル聖王国の当代聖王であるカルカ・ベザーレス

 

ローブル聖王国の最高位神官であり、神官団団長であるカルカ

 

ローブル聖王国の聖騎士団を率いる、同国最強の聖騎士。『九色』の白を戴くレメディオス・カストディオ

 

ローブル聖王国を支える3人が、この場に集っていた。

 

「そもそも、姉様は彼の『開拓者』の逸話をご存じなのですか?」

 

「1つもわからん!」

 

堂々と自らの無知を晒すレメディオスに、ケラルトはため息を吐く。

 

レメディオスは決して頭が悪い訳では無い、ただ自分で考えるより優秀なケラルトやカルカがいるせいでそれらに頼り切りになってしまい自らで考えるというところが蔑ろになっていた。

 

これが終わったら剣のみに生きる姉をなんとかしようと決意しつつ、ケラルトは説明を始める。

 

「私も逸話程度しか知りませんが、、、彼の方の成した偉業は幾つもあります。冒険者として人類圏の拡大、かつて優れた能力を持つ亜人種により家畜並みの扱いを受けていた人類を主導し、亜人種を追い払いし者、その後は世界を巡り数多の発見をした「冒険者」の神と呼ばれています」

 

「6大神とはまた違った神、ということよね、あくまで冒険者の中で語り継がれる伝説の存在ということかしら?」

 

カルカの質問に、ケラルトは同意の意味で首肯する。

 

「そもそも、当時は冒険者という名前すらありませんでした。故に冒険者組合の設立時、規格外であり頂点に位置するスサノオ様を冒険者初のアダマンタイト級に任命したという方が正しいですね。」

 

そして、そんなスサノオが拠点としたと言われる場所は様々な地域に残っている。

 

 帝国、王国、スレイン法国にも。

 

「冒険者組合によって神格化され以降、冒険を見守る神様として親しまれて来ました、まさか存命だとは、、、」

 

「偽物、という線は無いの?」

 

「勿論それはありますが、十傑の1人を打ち倒す様な存在ならそれなりの実力者ではあります。バフォルクは軍勢であったと報告を受けております、そして」

 

「蘇生の力、ね。それも1人や2人じゃ無い」

 

蘇生

 

ローブル聖王国においてはケラルト・カストディオが使えるとされている死者復活(レイズ・デッド)が存在する。

 

彼女は第4位階魔法の使い手と公言しているが実質第五位階魔法まで使用が可能である。

 

 そんな彼女が使える死者復活は復活魔法としては最低位で、復活時に膨大な生命力を消失させてしまうため、鉄(アイアン)クラス以下の冒険者はほぼ間違いなく灰となってしまう。

 

また、蘇生させる際、近場に死体がないと難しく、損傷が激しいと蘇生が難しくなるという欠点もある。

 

「はい、間違い無く私よりも上位の信仰系魔法の使い手。これだけでも戦闘力とは度外視の脅威です。」

 

「そうね、ね、ケラルト。なんとか彼の方を聖王国に仕えさせることは出来ないのかしら?」

 

悩ましい顔をしながら、カルカはケラルトに問いかける。

 

 現在の聖王国は決して盤石の状態では無い、王国程では無いにせよ聖王国はある程度平和な状態を維持しており国政の腐敗が進んでいた。

 

 中でも聖王女を中心とした北部と貴族を中心とした南部は対立とは言わずとも徐々にその動きを強めている。

 

 現状が維持できているのは、眼前にいるカストディオ姉妹の政治力と武力の賜物と言って良い。

 

 今回の件はカルカにとってまさに千載一遇のチャンスだったのだ。

 

 弱き民に幸せを、誰も泣かない国を

 

 彼女はそう思い、そう願い国を導いて来た。やや優柔不断なところは否めないがそれでも彼女の歩みに曇りは無い。

 

「スサノオ様は人類にとって味方、の筈でしょう?貴方なら不可能では無い筈では?」

 

「・・・・・」

 

 ケラルトは即答に困っていた、確かに伝承通りの方ならば聖王国に組みしてくれる可能性はあるのかも知らない。

 

 ただ、聖王女は知らないが神殿の中で埋もれた歴史の中にはこんな記述もあった。

 

「嵐神は時に人間にも牙を向いた、彼の怒りは2つの国を瞬時に破壊した」

 

伝承だ、これから呼ぶことになるであろう者がスサノオ本人であるという保証も無い。

 

 ただ、良いのだろうかとケラルトは考える。

 

 相手は最低でも聖王国の一軍に匹敵する戦力、下手をするならば完全にこちらの敵に回る可能性すらある。

 

 (やるならば、慎重に、少しずつ情報を集めなければなりませんね、ふふふ)

 

ケラルトが初めて腹黒い笑みを漏らす、それを見ていたレメディオスは言う。

 

「なぁケラルト、聖王国には徴兵制がある訳だろう?その神は聖王国内にいる訳だから聖王国の民ということでは無いのか?カルカ様もこう言ってるし徴兵してしまえば良いのでは無いか?」

 

 ケラルトは、レメディオスだけはスサノオに合わせまいと決めた。

 




短くてすみません、短く少しずつ出して行きます。
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