『始まりの冒険者』は世界を回る   作:くろこんチャン

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聖王国編最終回です


7話 地獄

地獄だった。

 

この言葉を伝え聞いたケラルトの衝撃はどれだけのものであっただろう。

 

伝説により伝え聞いた神

 

冒険者の神、人間の地位を高めし英雄。

 

その猛威を目の当たりにしただ震えていた。

 

「そうか、私とどちらが強いかな」

 

「・・・間違っても勝負を挑もうとするのは辞めて下さいね」

 

あまりに人智を超えたそれに対して、まるで現状を把握出来ていないレメディオスの言葉がケラルトを幾らか冷静にさせる。

 

「取り込もうとか考えてる場合じゃ無いかも知れないですね」

 

「・・・どうして?あの方に六色に入って頂ければそれだけで今後の亜人種の対策にもなるし、貴族家への圧力にもなり得る。それが貴方が提案した案だった筈でしょう?」

 

「カルカ様、それは忘れて下さい。私たちは予想以上にあの方を甘く見ていた、あの方は伝記にて語られている以上の存在だった。ということです」

 

確かに、内政面で見れば亜人種への安全の担保、聖王国に対して独立心旺盛な貴族家への圧力は彼1人で事足りると言っても良いだろう。

 

 はっきりいって足りすぎると言っても良い。

 

 あの戦場を見て、あの戦場跡を見て誰が彼に逆らうと言うのだろうか。

 

 伝え聞いただけでもその猛威は測り知らない。

 

 つまり、強すぎるのだ。

 

 「外を見て下さい、今度は我らが脅威と見做されかねません」

 

聖王国はそこまで外交が盛んな国では無い、ただ王国を始めとする近隣諸国にそれなりの繋がりは存在している。

 

 そんな中で、人類圏で間違い無く頭1つ抜けた武力を聖王国は保持することになるのだ。

 

 そのデメリットは果たして賭けに吊り合うと言えるのだろうか?

 

「あの方がその気になれば、聖王国どころか近隣諸国の誰も敵わないでしょう。なす術も無く滅びるに違いありません、近隣諸国最強と謳われるガゼフ・ストロノーフですれ足元にも及びません、姉様もそうです。」

 

はっきり言って、聖王国にはもう武力は必要無い。

 

 亜人種は最早壊滅に近いほどのダメージを与え再建には時間がかかるだろう。

 

 貴族家にはレメディオスがいる。

 

 近隣諸国に睨まれる危惧をわざわざ犯してまで、竜を身内に入れるメリットは無いのだ。

 

「私たちはあの方の脅威を感じているから対応を間違える可能性は無いでしょう、ただ貴族たちにそれを徹底させることは出来ません」

 

それは龍の逆鱗を撫で回す行為に等しかった。

 

 何が彼の勘に触るかもわからない、何が気に入るかもわからない。

 

 ただその圧倒的な力しかわからない。

 

 そんな相手を入れる訳にはいかないのだった。

 

 「報酬はかなりの額を用意する必要があります、ただそれ以上はあちらから求められない限りはということにしましょう」

 

交渉ごとのテーブルに着くには、互いの実力が同等に近く無いといけない。

 

 そんな単純で、当たり前のことをケラルト・カストディオは良く理解していた。

 

 結局、スサノオは提示された報酬も受け取らずにこの地を去った。

 

 元々力を貸したことすら彼の気まぐれだったのだ、無理も無い話である。

 

 ただ、自分のギルドのことを頼むとだけ言い残しスサノオは聖王国を去る。

 

 その後姿を、聖王国首脳の3人は静かに見守っていた。

 




レメディオス
「お前は聖王国にいたのだから聖王国の民だ!徴兵に従え!」

とかだと聖王国が滅んでました、良かったね。
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