「聴講生ってなんです?」
処分発表から半日後。午後の授業を終えて遅めの昼食を食べていたジョージに、セセリアが煽るわけでもなく、不思議そうな顔をして尋ねてきた。
「どの授業や実習を好きに受けてもいい生徒ってことかな?」
「それって、処分になるんです?」
「その代わりどれだけ良い成績をとっても、課題を出しても評価は公式には残らない。ここで頑張ってもプラスの評価されないけど、頑張らなかったり、成績を悪くすればマイナスの評価はされるってことかな。所属していた学科全てでね。」
「晒し者ってわけ?ジョージ先輩はメカニック科、経営戦略科、パイロット科に所属してたから、全部の科で好成績をとれってことですかぁ?うわー。悪辣……って、その割にはショックを受けてるようには見えませんが?」
「やりすぎたしね。罰は罰でシッカリ受けるよ。」
「ふーん。」
殊勝な態度で処分を受けたジョージに、セセリアは興味なさそうに返事をする。
「それで?本音はどうなんだ?」
ジョージとセセリアの座る席に、グエルが座って尋ねる。この自称・常識人の非常識の塊が大人しくしてるわけがない。そう確信しているという態度だった。
「やることは今までと変わらないよ。ソレ以外は内緒、内緒。商売敵になる相手だからね。」
バイバイと手を振って、グエルとセセリアから離れていくジョージ。周囲の生徒たちは、そんなジョージを見てバカにしたり、蔑んだ目で見る。
『ヴァックストン家から追い出される脱落者。』
『晒し者の1年間が終われば、出世もない。』
『偉ぶって、好き勝手やってたバチが当たったんだよ。アーシアンを守るナイト気取りのキチガイが。』
と、声を気にせずに嘲り、見下し、貶める。中には石を投げる相手もいたが、ジョージは気にした様子はない。ニコニコと笑いつつ、自宅がある森林エリアに戻る。
しかし、唯一の居場所であった森林エリアにある家が炎上していた。それでも、ジョージは気にせずに広大な学園の一部で野宿することになった。
『出世の目はない。終わった男。』
処分から一日足らずで、ジョージの立場はなくなった。
………が、その落ちきった評価は処分から一日後。立場を失って半日と少しが経過した
『ジョージ・ヴァックストン・インダストリーと、ロナ社、ファルネオ社は合併し、新生ヴァックストン・インダストリーとして出発する所存です。』
日を跨いで直ぐ、夜の闇が深まった頃にロナ社のカロッゾ代表(本物)が、ガックリとうなだれたファルネオ社代表と共同声明を発表。これにより、ジョージはモビルスーツ開発の零細企業から、モビルスーツ本体・船舶製造・他社への部品提供を行う企業に躍進。
『ヴァックストン・ベンチャー・カンパニーは、次期代表にジョージ・Y・ヴァックストンを指名し、そのための活動費として、グラスレー社、ジェターク社、ペイル社を始めとしたグループ内部の株を公開・販売する予定を発表します。』
続けて、切り捨てると思われたジョージを改めて、次期代表に指名するとグループ内部に発表したヴァックストン社の一族と役員たち。
グループ内部の各企業への金庫番てして、仕込んでいた株を公開するだけじゃなく、グループ外部にも販売すると圧力をかけた。
『1年前に発表したハイザックの後継機として、我が社内部で極秘に開発していた試験名・ロゼットをマラサイとして発表します。』
さらに続けて、先日バラ撒いたハイザックにウハウハしていた中堅企業たち。そんな中で発展機の発表が行われた。
この発表にグループ内部だけではなく、他企業も動きを見せた。
そして、ベネリットグループ内部はまたしても同じ考えに染まった。
『何が目的で、何がしたいのだ?アイツラは。』と。
「どういうことだ!」
つい先日、ベネリットグループの査問会。いや、意見会が行われた会場では、グループ内部利益の上位30社。その経営代表が、先日、プロスペラが居た場所に立っているヴァックストン社代表であるエイジ・ヴァックストンを見据える。
今回はカテドラル機関の面々は居らず、純粋にグループの経営陣の集まりであった。
「そうがなり立てるな。ワシの耳はそこまで衰えておらんよ。」
机を叩いて怒鳴るヴィムに、エイジは耳をほじりながら適当に返事をする。
怒鳴るのはヴィムだけだが、サリウスやニューゲンを含む『御三家』の表情も硬くなっている。
「株式の公開予定に、新型モビルスーツの発表。さらに処分を受けたはずの貴様の孫を後継者に指定し公表。どういう意図があるかハッキリ説明してもらいたい。」
ヴィムに続き、サリウスも問いかける。しかし、エイジは取れた耳糞を吹き飛ばして、答えない。それどころか…
「自分で考えればええじゃろうが。わざわざ地球から呼び寄せて。そんな事を聞くために呼んだのなら、サリウス。お主も衰えたもんじゃよ。それとも、美男子の養子を得てからボケたか?」
煽り、挑発する。間違いなくこのクソジジイは、あのキチガイの血縁者であると納得する。
「まだ、自分で考えておるニューゲンの方が、見込みがあるわ。」
「あら、どうも。でもワタシとしても、どういう意図か知りたいわね。アナタのことだから、『やりたかったから。』と、返すでしょうけど。」
「お!惜しいな。」
「おい!そんなことでグループの中身を乱すのか?!この男は仮にもベネリットグループで五本の指に入る組織の長だぞ。いや、コイツラには普通というのは通じないのだな。」
エイジとは、少しばかり付き合いの深いペイル社のニューゲンの言葉に、ヴィムが立ち上がり声を上げる。
しかし、声は語尾に向かうほどに自信がなくなり、声も小さくなる。
「普通。普通ねぇ。非常手段を取ろうとする面々が、普通を語るねぇ。」
ニヤニヤと、『オレは知ってるぞ?』と、経営陣を見据えるエイジは、身体検査をされているにも関わらず、ナイフと葉巻を取り出すと、
「はぁ…。旨い。」
プカプカと吸い始める。ナイフを見た警備員が取り上げようとするのだが、エイジは反発することもなくナイフを渡した。
「ああ、行動の意図ね。」
「グループへの反抗か?」
反抗。そう言われてエイジは吹き出す。
「まさか。ヴァックストン家はこれでも、ベネリットグループに愛着はあるし、
葉巻の火を消したエイジは心底、バカにした顔をする。今までのような何処か楽しむような。茶目っ気があるような顔ではなく、
『その程度か。ガッカリだよ。』
そうハッキリと顔に書かれていると判断できる顔だった。
「とりあえず、オレは帰るわ。温かい椅子に座って、尻で椅子でも磨いてれば?」
止める経営陣を無視して出口に向かい、本当に帰るつもりだったエイジだが、振り返る。
「とりあえずヴァックストン社は、今の組織内部が気に食わないので、好きにやらせてもらうよ。ああ、事業はいつもどおりやるから。ご贔屓に。」
深々と頭を下げ、言うことだけ言って満足したように本当に帰っていった。
「い、一企業が何ができると言うんだ?」
少なくとも、その言葉をそのまま受け取れる人物は居なかった。
「いいんですか?旦那。いくらヴァックストン社が」
地球へ向かうシャトル内でエイジの側近が心配する。
「バカヤロウ。グループと戦うわけじゃねぇんだよ。好き勝手やってるバカを殴るだけだ。総裁には話を通してるんだよ。心配する事はねぇ。精々ウチが潰れてグループが腐るか。グループが立ち直るか。そんなもんだよ。」
「ひええ。どうやってもウチは潰れるんすね。」
「勝てば残るさ。サリウスやヴィム、ニューゲンたちもアホじゃあるまいよ。」
エイジが大言壮語だけでないのが分かるのは数日後であった。
殊勝でニコニコのジョージ。久々に表に出てきて含みを持たせるエイジ。今までモビルスーツ以外で大きくグループの物流や、活動を支えた指折り企業が、選民主義・家柄主義に傾き、腐りつつあるヤツラの横っ面を殴りに向かいます。
付録のつもりが3000字超えてしまった…。あと一日。本当に休み明けまでにキリの良いところまでいきたい。
5話見ました。三脚のモビルスーツがマジで出たよ。しかも、強化人間枠かつ拗らせ枠も出たよ。悪い予感しかしない。
あと、プロスペラ。いやぁ、怖いな。なんというか。何も見てないのか。何かしか見てないのか。
グエルだけが何かと救いに見える。
ジョージさんの最初の餌食は誰だ!
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いいキャラですね。グエルさん。
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強化人間枠だった。エランさん。
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腹黒だけど現在理解不明。シャディクさん。
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FA計画と提携は?!スレッタさん。
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次の後継ぎだから、殴る。ラウダさん。
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地球?宇宙?強いもん勝ち。チュチュさん。
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あ、量産機のテストしなきゃ。モブたち!
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G伝説は初代。モブたち。