ペイル社から門前払いを受けたジョージは自社に戻ると、情報を集めたのだが結局わかったのは、
『決闘の対戦カードはジョージと、エラン。』
と、漠然としたものだけだった。決闘委員会に連絡しても反応がないところを見ると、セセリアの言うことは事実であり、決闘は決定事項で、覆すことが出来ないモノだと言うこともジョージは理解した。
そこで、自分の祖父が『ほぼ、間違いなく関わっている。』との疑惑から、『上も巻き込んで、何かをやっている。』という確信に変わった。
「爺さん。何してんの?」
『連絡してくるのが遅い!・・・なんての。別に何もしとらんぞ。』
祖父に連絡したジョージを一喝!・・するフリをして、エイジはニヤニヤと笑う。こりゃ、犯人だわ。と、ジョージはすんなりと納得した。そして、犯人ではあるが証拠は絶対に残してないことも理解した。
『石は投げたが、それ以降はなんにもしとらん。』
「ホント。何してんのよ。」
『さてなぁ。本当に、ワシは石しか投げておらんよ。不安か?』
ニヤニヤし続ける祖父だが、ジョージには嘘をついているように見えなかった。もしも、なにかしていても今回の決闘に関しては関わっていないのだろう。
「わかったよ。爺さん。対応できるようには何時もしてるから驚いただけだから。時間とらせてゴメンな。」
『なに。気にするな。』
祖父との通信を切ったジョージは、仕事机から取り出した三冊の書類を取り出し、
「どれにしようかなぁ。っと。」
先日までの困り顔から、一転して楽しそうに選び始めた。
「デリング様からの依頼は終了。また、コチラからの依頼も了承をいただきました。」
「よろしい。これで、ペイル社にもダメージを与えられる。」
嘘をついていないように見えたジョージの目ではあったが、祖父の腹芸と悪巧みを見抜くことはできなかった。石を投げると言って、輸送部隊を壊滅させるジジィは一石だけでは済まず、次々に
この腹黒ジジイ。身内にもいい顔をしつつ、理解を示し、助けながらも何食わぬ顔で身内なども関係なく、悪い事をしている。この辺りが、フランクやジョージとは違う方向で『好き勝手』出来る手段なのかもしれない。
エイジは、ヨッコイショと立ち上がり、戸棚から数枚の冊子を取り出し、
「どれにしようかのぉ。ジョージにも一皮向けてほしいから、チョイと巻き込むのも面白かもしれんなぁ。」
ジョージとは違い、とてもとても、悪い笑顔で選び始めた。
「御用命の通り、茶番を済ませてきました。ですが、総裁。あの老人の好きにさせてよろしいので?」
「かまわん。その辺りの舵取りは間違えん。あの老人も引き時は知っていよう。」
「しかし、このままではヴァックストンの一人勝ちになるのではありませんか?」
ベネリットグループの総裁室で会話するデリングと、側近のラジャン。
ラジャンとしては、自分の主に好き勝手している『御三家』を始めとした面々の発言力を削るための『茶番』には反対しないが、そのためにヴァックストンが力をつけて、『第二の敵』になる可能性は見過ごせなかった。
軍人出身であるラジャンからすれば、忠誠を尽くす主の身内とはいえ、所詮は利益で動く商人との思いが頭から抜けない。
「ヴァックストンが頂きに上る事はない。そのための舵取りは間違えん。…そう言ったが?」
「失礼しました。」
デリングはラジャンをにらみ、その視線に背筋を伸ばし頭を下げるラジャンではあるが、納得できない不安が隠せていない。
「あの老人からすれば、この騒ぎも結果的にはベネリットグループの利益になる行動なのだ。しかし、いざというときには動いてもらう。それで良いな。……下がれ。」
そんな側近に『頼みにしている。』と、珍しく言葉で働きかけ、
「数少ない有用な身内だ。少なくとも、今はな。」
警戒はしている。と、ラジャンに告げると、デリングはラジャンを総裁室から下がらせた。
「ままならんな。」
と、デリングは自分でも気が付かない言葉をもらし、仕事に戻っていった。
「アナタは、ヴァックストン社の代表に勝てるかしら?」
「??」
ペイル社の一室では、エランが珍しく調整室以外で、面と向かってニューゲンを筆頭とした共同CEOと面談をしていた。
エランは、ニューゲンが放った言葉に理解が追いつかず、無表情の表情に珍しく戸惑いを示しつつも、言葉を返そうとしたが返せなかった。
「質問が遠回りだったかしらね。アナタは、ジョージ・ヴァックストンと決闘して必ず勝てるかしら?」
「やってみないとわからない。相手は昔とはいえ、グエル・ジュタークに勝ち続け、現在でも評価対象外の面々とは言え、多数相手に完勝している。……。」
淡々と話すエランに、淡々と受けるニューゲンたち。しかし、言葉が止まった。
「こちらは気にせずに。そのまま続けなさい。」
「不明な要素が多すぎて評価できない。分かっているのはモビルスーツパイロットとしても、開発者としても、一流だと言えることだけだ。先日のように事前情報もなしに、鳥のような機動兵器を出された場合は……厳しいといえる。」
「他には?もしも、確実に勝てるとしたら何が必要かしら?」
こんなにエランから意見を聞くということは本当に珍しい。いや、もしかしたら始めかもしれない。また会話を躊躇したエランではあったが、言葉を続けることにした。
「………確実に勝てる方法はわからない。しかし、勝率を高めるのであるなら、相手の機体、パターン、対戦する地形。……ともかく、事前の準備を重ねるしか思いつかない。」
「初見での戦闘では勝てないということね。」
「勝てないとは言わない。ボクの腕とファラクトは勝つために調整された。…ただ、かなり厳しく、運に頼ることになる。」
自分でもかなり喋ったとは思うエラン。彼の前に座るCEOたちは数分ほど会話をすると結論が出たようだ。
『まずは将を狙わず、馬を狙うところかしら?』
と、聞こえた気がしたが、それ以外の言葉はハッキリとは聞き取れなかった。別に興味があったわけでもないので無表情のままのエランだったが、そんな彼に対して、ニューゲンは感情を示すこともなく、ただ淡々と彼の目を見て話し始めた
「ヴァックストン社との決闘は決定事項になっている。何時になるかはわからない。しかし、アナタは何時でも決闘になっても大丈夫なようにしていなさい。話はコレで終わりよ。」
ニューゲンたちを照らしていたライトが消え気配が消える。残ったエランだけが暗い部屋に残されるのだった。
ヤッパリ投度に間が開くと、自分の作品ながら流れがつかみにくい!こんな未熟な作品ではありますが、毎度の感想、評価、お気に入りなどありがとうございます。
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