「はっはっはっは。ザマァ無いな。グエルさんよ!」
「なんでここにいるんだよ。お前は。」
ジェターク社の最奥にあるプライベートルームに謹慎させられていたグエルのもとに、ジョージが何事も無いように入ってきた。
「ゲルマン忍法に不可能はない。……いや、どうやって使えてるのかとか。理論とかは自分でもわからんのだが、使えるんだからしょうがないだろ!」
「急にキレるな!」
色々と後ろ暗い事が多い経営陣。しかも、そのトップのプライベートエリアといえば、ベネリットグループでも有数の警備状況ではあるが、色々と手札があるジョージからすれば容易いものだった。
「それで?俺を笑いに来たのか。」
「いや、全く。そんな暇じゃないし。」
不貞腐れるグエルに、真面目な顔をして否定するジョージ。先日のスレッタとの決闘に関して、彼を責める気はまったくなかった。
「むしろ、責めるべきは自動操縦や自動戦闘なんて、エレガントの欠片もないモノを作ってやらかしたこの会社だろ。……今更だけど自重せずに、爆破するか強請っとけば良かった。」
何か思い出したのか。イライラした顔で舌打ちをしたジョージ。
「やめろ!どんな経緯とはいえ、負けたのは俺だ。」
「だから、何もしてないんだよ。そういうと思って。」
「なんでもお見通しみたいな態度は、昔から変わらないな。お前は。で?なんでここに居るんだよ。」
「差し入れよぉん。好きな男にね。」
「やめろ。気持ちが悪い。」
尋ねるグエルに、シナをつくって端末を渡す。受け取るグエルは本当に気持ち悪そうだ。
「なぁに、本当の事だよ。」
「何だこれは?」
「だから!差し入れ。使うか。使わないかは任せるよ。」
それじゃ!と、手を振り、羽織っていたマントを大げさに振るとジョージの姿は消え去った。
「差し入れか。アイツのことだ。つまらない物じゃないだろう。」
ジョージが消え去った後、グエルは『差し入れ』の情報端末を期待しつつ、少し嬉しそうに開く。
「反応に困るもの送りやがって!」
そして期待以上の内容に驚き、頭を抱えるのだった。
「なんだって?」
「決闘委員会としても、グラスレー社からしても、そちらに損はない。」
「それはそうなんだけど…。」
グエルが頭を抱えていた頃、グラスレー寮ではエランがシャディクにある要望を行っていた。その内容に、シャディクは端正な顔を珍しく笑顔以外の表情にしていた。一番強いのは困惑であろうか。
「決闘の先送りなんて聞いたことがない。」
「決闘すると決まっている以外は未定。なら、別の決闘を優先しても問題はないはずだ。」
淡々としながらも、珍しく押しが強いエラン。
「グラスレーとしても、このままペイル社が地位に残ることも、ヴァックストン社の一人勝ちも避けたいはずだ。」
「君の考えだけではない。と、考えてもいいかな?」
「明言はしない。」
つまりはペイル社としての考えがあるのだろう。しかし、表立って関わっていないのだから、シャディクとしては悩むところだ。コチラとしては『前例がない』以外に規則的には断る部分はない。会社の役員としても、輸送部隊の破壊の調査と、復旧をする時間が稼げる。
規則。ルールとして違反していないのなら、あのジョージも不満は言うかもしれないが、反発まではしない。
(聴講生になったから、決闘委員会からも関係者であっても、会員ではない。決まったことを覆すのは簡単ではないだろう。エランの言う通り、『ジョージに勝つための時間稼ぎ』だけなら受ける以外はないんだけど。)
話がうますぎる。グラスレーの目が『
「本当にそれだけかい?」
「決闘の先送りが認められないなら、別の方法を取るだけだよ。」
「わかった。何とかしよう。」
ここは動きが見える分、マシかな?シャディクの悩みの天秤は条件を飲むことに傾いた。
話がまとまったとなると、エランは挨拶もせず、さっさとグラスレー寮を出ていった。
「やりにくい相手が増えて困るな。今まではジョージだけだったのに。」
少しばかり苛立ちシャディクではあったが、頭の中では、仮想敵に対する活動方法の思案に働きを加速させ、
「ジョージ。エランとの決闘だけど。ちょっと話があってね。今、いいかい?」
まずはエランとの条件を果たすために行動を開始。まずはジョージに連絡と、
『日にちが決まったのか?』
「残念。延期になったよ。エランのスポンサーが、ちょっとね。」
『決闘の延期なんて聞いたことがないんだが?』
「これから説明しに行くよ。」
直接の説明を行うことにした。予想通りにジョージは通信の向こう側で、あからさまに不満な声をしていた。
2日だけのゴールデンウィークだー!あるだけマシかー。意識したらミオリネとスレッタの出番が全然ないことに気がついた!
とりあえず、後2話投稿を予定しております。
アスティカシア学園の場所は…
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