ジョージは自称・常識的な凡人さん。   作:強力イソジン

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 ※ジョージたちの小話 その三
  実はジョージを人間的属性に合わせるとしたら『善寄りの中立』

 


そこまで人間やめてないよ!?

 

 「システムのアップデートだと……?」

 

 弟からの朗報とも呼べる連絡だったが、ディランザを駆るグエルの眉間のシワは深くなり、頭も痛む。

 ラウダは頭の回る兄思いの弟ではあるが、偶に視野の狭くなることがあり、今回もそうなっているのだろう。

 

 (戦闘中に、機体の最適化なんて出来るわけがない。)

 

 眼の前の化け物に戦闘……と、言う名の対応するだけで情けないが精一杯なのだ。戦闘中に自動アップデートなんてすれば改善終了まで棒立ちになるエラーもありえる。

 そんな事をすれば結果は火を見るよりも明らかだろう。大型ビーム砲で試合終了になる未来がハッキリ見えた。

 

 「ディランザのマニュアル内部を検索!……ぐぅ。」

 

 そんな恐ろしい結末を振り払うように、ディランザは物陰に飛び込む。1秒前に自分が居た場所は多数のビームに焼き払われた。

 なにか別の手段はないか?と、検索をかけるが、

 

 「手動なら可能だと?……可能な案を出せ!このポンコツが!」

 

 理論上は可能というモノしか出てこない。常に物陰に隠れ続けれるならともかく、遮蔽物を破壊したときの瓦礫や砂埃、電磁波によって少しの時間しか、その場に留まれない現状では無理というもの。

 グエル自身も、その辺りの能力は最低限の知識と技術しか無いことを自覚している。

 

 「大馬鹿者(ジョージ)なら出来るだろうけど、常人には無理な方法だろうが。」

 

 そこまで人間やめてないよ!?と、このつぶやきを聴いてたら、グエルの言う大馬鹿者は『素』でハッキリと遺憾の意を述べるだろう。別の世界線の『反則級のコーディネーター』なら出来るが、彼の経験はジョージにはない。

 父親からの助言もあり、『皮』の被り方を見直した彼だが、最近は『素』の成長もあり、表に出やすくなって……まあ、今は関係ないので、場面を決闘方面に戻そう。

  

 「カミルが居なかったのが、痛かったな。無理に着けさせたツケってやつか。」

 

 自分の乗るモビルスーツをキッチリ仕上げてくれる友人はダリルバルデ破損の報告で不在であり、今日の決闘も急遽決めたこともあり、ラウダのディランザの最適化も間に合っていない。

 バックパック。もとい、ウェポンパックもポン付けでの強化できると考えたため、後輩たちに無理に頼んで着けさせたものだ。

 ヴァックストン社製なので、後輩たちは制止したが、

 

 『無駄なものをアイツは作らない。』

 

 と、押し通した。……直ぐに使用できるものでないとは、グエルも後輩たちも思いもしなかったが。デッドウェイトにしかならないバックパックの表示を忌々しげにグエルは見ていた。

 

 「………待てよ?」

 

 しかし、ジョージが『システムのアップデートしないと使えない』。そんなモノを作るわけがない。裏技めいた方法があるはずだ。

 

 (そうじゃなきゃ、名前を使わない男だ。そういう事がわかるぐらいの付き合いはしている。……はすだ。)

 

 グエルの脳裏にジョージとの、それなりに長い付き合いが思い浮かぶ。7割ぐらい煽られ、ボコられ、やりたい放題された記憶であったことに、イラッとしたが信頼できる部分を彼は裏切らない。…多分。

 

 「考えろ。使い方を。」

 

 グエルは端末でメッセージを送信すると、攻撃を捨てて回避に集中することにした。

 

 

 

 

 

 (ああ。とてもイライラする。)

 

 エラン・ケレスの名前と役割を渡された人士4号の苛立ちは、時間とともに激しくなっている。理由は色々浮かんでくるが、今の最大のストレス源は目の前で、不格好に攻撃を避け続けるグエル。と、いうことだけはハッキリしている。

 そんなストレス源を破壊するために、持てる火力の大半をぶつけているのだが、破壊できない。相手が攻撃してこなくなったことで回避や防御の動きもよくなったのか。遮蔽物の利用と回避の切り替えが上手くなったように見える。

 

 (遅い。)

 

 見た目よりは俊敏なファラクト-Dではあるが、彼が求める速度では動けない。否、今のエランにとっては、どんな速度で動いても不満を覚え苛立つ。否、どんな状況も久々に感情を発露したエランの苛立ちを高めるだろう。

 

 「問題ない。少しばかりの遅れは続いているが、見ての通りだ。」

 

 ベルメリアの報告や心配にも、上のような同じセリフを返すだけのエランは攻撃を続ける。大型ビーム砲で障害物を破壊し、小型のビーム砲でグエルの逃げ場を削る。

 『氷の君』『マネキン王子』そんな別名が似合う表情はそのままに、中身は真逆の激情によって動き続ける。

 

 『グエルをすぐに倒したい。でも、タダでは倒したくない。』

 

 別の時空であるなら、GUND-ARMに乗る少女に興味を示し、助け、関わり、期待して、失望し、成長して死ぬ。そんな道もあっただろう。しかし、ペイル社に使われ続け、目的のために『バケモノ』を操る。それが今のエランなのだろう。

 そんな他の時空や彼の立場や感情を見抜く人間はこの場にはいない。

 

 (まだ隠れるのか。でも、いつまで持つ?)

 

 エランは再びビームを発射し、グエルが隠れていそうな遮蔽物に破壊した。少し気が晴れたが、舞い上がった土煙と、決闘場を構築する電磁波等によって、レーダーの精度が更に下がった事に、またもや苛立ちが増した。

 

 

 

 「そもそもバックパック(コレ)は、どうやって開けるんだよ!」

 

 一方、グエルの方も返信がないため、自分でバックパックの使用法を考えつつ、まずは中身を確認するために四苦八苦していたのだが、

 

 『いいのかい?後ろを向いた状態でまっすぐ飛んで。』

 

 「しまっ…」

 

 エランからの通信と共に放たれた多数の小型ビーム砲がディランザの背後に命中した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 思ったより、長くなっているグエルVSエラン。エラン(4号)ファンには申し訳ない流れになってるなぁ。
 追記・次回の投稿は5月21日頃になりそうです。

グエルVSエランの結末はいかに!?

  • エラン勝利(データ破損前予定)
  • グエル勝利(再構築するしなぁ)
  • ダブルKO(甘えるな考えろ)
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