「思ったより硬い壁だ、なぁ!」
足が数本吹き飛び、胴体に複数の斬撃を浴びていながらもファラクトとガンビットを守るためにグエルの前に立ちはだかるD装備。大型兵器らしい頑強さと、無人兵器らしい犠牲や消耗を考えない対応でディランザの攻撃を防ぎ続ける。
主を守るために身を挺するD装備ではあったが、その姿は潰れかけの多脚の虫が藻掻くように行動を続ける様に見え、おぞましさが先に出てしまうのだが、グエルは怯むことなく攻撃を続けた。
ファラクトやガンビットからの攻撃は続くが、ココまで接近してしまえばD装備の巨体が逆に邪魔になり、グエルにとっては利になる。少し前までエランの装備や攻撃に翻弄されて、ボロボロになっていたグエルとは思えないほどに、勝負の天秤における勝利はグエルに傾いていた。
「案外飛び込めば、なんとかなるもんだな!なぁ、エラン。」
『調子に乗るなぁ!』
エランの叫びが、グエルの耳に入る。聞いたことのない鉄面皮であるはずのエランの叫びにグエルは思わず動きを止めてしまい、反応が遅れた。エランの絶叫と同時に、D装備が大爆発を起こし爆風がディランザを飲み込んだ。
『落ち着きな―――』
余裕も冷静さも失ったようなエランは、パーメットスコアをさらに一つあげた。体にかかる負担と苦痛も知らないと言ったように、ディランザとグエルに向かっていった。
「グエル!」
『エラン……なのか…。本当に?』
決闘前や平常におけるエランとは同一人物とは思えない姿。優勢な状況や、余裕、計算などに勝り状況を変えていくグエルを噛みちぎるような感情を前に出してファラクトはD装備の自爆に巻き込まれたディランザを蹴飛ばした。エランの豹変に戸惑っていたグエルはディランザを身構えることが間に合わず蹴りを受けてしまった。
自爆に巻き込まれたディランザは、幸いにもブレードアンテナや、プラネイトディフェンサーは無事であったが、ビームキャノンや追加装備のジェネレーターは破損し、構えても反応しないのか。ディランザはビームキャノン自切して、ヒートアックスを構えてプラネイトディフェンサーを展開した。
そんなディランザに対して、ファラクトは蹴りを一撃入れたあとは空中に戻るとガンビット。いや、コラキと呼ぶのが正しい妨害兵器と、ビームアルケビュースによって遠距離からの攻撃を行うことに徹した。
激してガムシャラに攻めるかと思っていたグエルとしては、またもや想定外の行動に頭が追いつかない。しかし、体の方は脳の不甲斐なさを叱るように3度目の轍を踏むことはなかった。
『ちっ!』
体が反応し、ビームを回避したグエルは舌打ちをした。さきほどまでグエルに傾いていた勝負の天秤が、エランに傾き始めた。………多分、勝負の天秤が実際に見ることが出来たのなら大忙しで揺れ動いていることだろう。たった一回の決闘で、何度の驚きがあっただろうか。
『エランのヤツ。どうなってやがる。』
「はぁ…。はぁ…。」
適応し成長しているグエルに対し、エランはパーメットスコアを上げたことによって負担と疲労によって、グエルより消費していた。先ほど通信を叩き切り、拒否していたがベルメリアはエランの支援はしてくれているようで、分かりやすいように身体のデータを送っている。
(まだ、まだ大丈夫。負けるわけには…。)
激しきったエランは、グエルに対する嫉妬と羨望を自覚して何度目になるか分からない歯ぎしりをしつつも感情を落ち着かせて正確な攻撃を行い始めた。
(あの爆発で中遠距離武器がオシャカなのはマズイな。飛びかかって斬る以外にどうしようもない。)
まさかジョージ印の追加武装が破損するとは思わなかったグエルであったが、プラネイトディフェンサーが無事であり、D装備がなくなったことによりファラクトの攻撃は防げていた。しかし、ヒートアックス以外に有効打がない状況と優勢からひっくり返されたことに、苛立ちと焦りが再びにじみ出てくる。
「ちっ。」
戦況や感情がジェットコースターの様に上がり下がりすることに舌打ちをしてグエルはスキを伺って一撃にかけることにした。だが、乱雑さが消えたエランの攻撃に手が出せないでいた。
(耐えろ。我慢だ。怒るな。)
重量や破損を感じさせない軽快な回避を続けていたグエル。エランがたまに挑発のために移動や降下する事に、飛びかかってやろうかと考えるがグエルは耐える。
耐えて。耐えて。耐え続けていたグエルだったが、何度目かの挑発の移動を行った時、ファラクトの片足が爆発して体勢を崩した。ディランザを蹴飛ばしたことによって、破損していたのかもしれない。
「もらった!」
急なバランス変化によって回転しながら降下するファラクト。その隙にグエルは飛びついた。プラネイトディフェンサーでコラキの妨害を防ぎつつ、ブースターを全開にしてファラクトを両断するつもりでヒートアックスを構えて突っ込んだ。
全推力を消費したと言っても良い速度でディランザはファラクトに迫り、ヒートアックスを振り下ろした。
「な、なんだ、と!」
……ところで、ディランザのモニターが死に、重力に飲まれるように地面に叩きつけられた。
「「「………」」」
決闘委員会の面々は再び唖然とする。グエルのディランザがトドメを振り下ろしたところで、そのまま落下して地面に叩きつけられたのだから理由が分からない。
地面に落下して装備や装甲が散らばっているディランザは身じろぎもしない。データを確認するとエラーが多量に発生していた。
ファラクトのコラキの電磁ビームが命中したのか。それとも、マシントラブルかはわからないがディランザは結果的に動くことはなかった。
『僕の勝ちだ。』
下半身が両断されているファラクトが落下の衝撃で歪んだビームアルケビュースを投げ捨てると、ビームバルカンをディランザに向けたが、そのまま沈黙した。
『両機体の稼働不能を確認。』
と、一方は機体が、一方はパイロットに問題が起きていることを示すデータが送られてきたことに決闘委員会は更に困惑するが、判定はくださないといけない。
先に行動不能になったのはグエルではあるが、決着のためのブレードアンテナの破損もない。一方で、エランの方は下半身は大破している状況ではあるが、機体は稼働する状況である。しかし、パイロットの方はバイタル異常を示した反応の後に、データ送信が行われていない。
反応を正しく見るなら、エラン本人が封鎖したわけではなく、ペイル社側の誰かが行ったのだろう。そうすると、第三者の介入ということになる。
「この勝負。審議とする!」
ともかく結果を出さなければならない決闘委員会は、この勝負結果を『パイロット及び企業技術保護』という名目で、一時棚上げとすることにして決着とした。
天秤はどちらに傾くことなく、た御三家同士の決闘はあっけなく、開始当時の盛り上がりも消え去り、終わることになった。
(これから面倒だよなぁ。)
そんな結果を出すしかなかった面々の中で、結論を出さねばならぬジョージとシャディクは頭を抱えつつもコレからの対応をかんがえるのだった。
ようやく決着かぁ……。心境的に半端に終わらせてしまったと嘆くべきか。進めて良かったと考えるべきか。とりあえずグダグダしていたこの章も一段落です。
やられ量産機と言えば…?
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