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「どうしよ。」
まだ結論が出ないジョージは、床に転がっているデスクの残骸に腰掛ける。デスクの破砕音を聞いた別室の部下たちが様子を見に来たが適当に相手をしつつ、部屋の片付けを頼んで応接室に足を向けた。
「どうしよ。いや、ホントに。」
応接室に到着してもウダウダ、グダグダとしていたジョージ。どうにも踏ん切りがつかない。これが殺るか殺られるか。会社や一族の存亡がかかってるのならスッキリ、スッパリ結論をだせるんだろう。…が、そんな危機感は湧いてこない。
しつこく言うが、部下たちからすればジョージらしくない。黙って俺についてこい!系のワンマンとは言わないが、結論や方向性を只只と迷って、流されるようにするタイプでもない。
「うーん。どうすっかな。」
グエルの頼みも了承するも、しないも結論を出さずに待たせているし、六時間あれば。と、余裕をかましていた。……訳でもないが、どうにも本調子ではない。
企業としても、個人としても仲間外れにはされているが、明確な敵意も悪意も感じることができるほど接点のない今の状況がジョージとしては珍しいのと、カボチャダンスの悪夢の影響を引きずっていることが原因でもあるのだが本人がソレに気がついてないのも不調を継続させてしまっている。
「若ぁ?」
正直、本調子であるならグエルとエランの目茶苦茶な決闘も介入して鎮圧してただろうし、何か横から言われても一喝するか、買収してただろう。そう考えると、この状況の一因はジョージにもあるが彼に自覚はない。………何せ、総会でコスプレしたり、やりたい放題する人間だ。自覚があれば改善してぶっ飛ばしてるだろう。
気が付かずに燻り、少し八つ当たり的に爆発しているジョージであるから今現在、こんなグダグダしてると言える。
部下も心配しているが、察せというのも無理な話。なにか切っ掛けがあれば…
「若旦那。ちょっといいですかい?」
悩んでいたジョージと、その姿を見て肩を竦める部下のいる応接室に別の部下―強面の男―が入ってくる。ノックもないが、いつものことだ。
「若旦那?」
「若は、こんな調子っすから、変な話はナシっすよ?」
「アホウ。そんな暇があるか。現場はヒマじゃない。」
相性が良くないのか。少しギスギスした態度でやり取りをする部下たち。しかし、あとから入ってきた強面の部下が相手にしてられないと言わんばかりに手で制すると、紙の束をジョージに渡した。
「んー?……ん?」
グダグダとしていたジョージはその紙に書かれている内容を見て、動きを止めた。紙束全部に目を通すと、ヴァックストン本社と自分の端末データと見比べた。
「ほーん。」
ジョージは、軽く流すように気の抜けた声を出すが、先程までのようにウダウダ、悶々としていたのとは違う。どこかホッとして、どこかリラックスしているような力の抜け方だったろう。
「本格的に喧嘩を買ってくれたのか。それとも、ようやく反応が出たのか。ドッチでもいいかな。」
「悪い顔してるっすね。若。」
今のジョージの顔を例えるなら、ホーホッホと笑顔を絶やさない怖いセールスマンの様だ。内容はともかく、どうにも悪い顔。楽しそうな顔をしてたのだろう。
送られてきたデータ等々には要約すれば、
『グラスレーの仲介により、ジェターク・ペイル社が連携協定。他社とも輸送部門や施設部門の新設・協力予定。グループ内の人事・人材確保への介入予定。』
『ヴァックストン本社との多数の連絡あり。』
と、書かれていた。目的や協定の中身は分かっていない。しかし、ヴァックストン本家との繋がりを持とうとしているところを見ると、まずはジョージを始めとした『はみ出し者』たちを、どうにかしようとしてるのだろう。
悩んだり、結論が出ないと結構悪い方向に突っ走ることが多いジョージではあったが、殴る相手が見つかったのなら、あとは殴り方を決めるだけ。
あちらが学園としてのルールを超えて、グループ内部での企業政治や競争をするのなら、コチラももう少し過激にできる。
「先ずはグエルからかな?」
今までもエキセントリックではあったと思われていたが、ヴァックストン家の跡継ぎではあるが、今はあくまでも『学園の聴講生』兼『子会社の社長』でしかない。
「さてさて。何をしようかなぁ。」
しかし、御三家全体から見れは小粒の彼は、今までの頼み事でも、弁護・防衛でもない。確実ではないが、学園とそのルールの外からの『ちょっかい』に心が弾むような感覚になり、カウンターパンチの準備を始めるのだった。
次々回ぐらいから久々に、話が派手になっていく予定です。やはり、個人のグダグダよりも、組織のグダグダからの揉め事のほうが面白い。
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