「おい……」
「なんスか?ボブさん?」
椅子に座るグエルを別人であるボブに変えるためのメイクをしているジョージ側近のオリバー。本職ではないが器用な彼は気負うこともなく、何時もの軽い感じでサクサクと仕事をこなしていく。
「ここまでやるのか?」
「マダマダやるッスよ?音声や指紋なら簡単にごまかせるッスけど、今や、モニター越しにも、骨格や網膜を調べられるッスし、強硬策で皮膚や血液を取られてもマズイッスからね。念には念を入れるッスよ。」
「鏡で見ても、オレの面影も無いように見えるんだが…」
「念には念を入れるって言ってるッスよ?別にアンタがどうなろうと構わないッスけど、若から頼まれたッスし、バレて飛び火されるのも面倒ッスからね。」
鏡に映っているはずのグエルは彼の言う通り、どこからどう見てもグエルには見えない。髪はサラサラ。肌は褐色。体は一回りゴツい。これ以上ドコをどう変えるというのだろうか?
「新しい身分に、資金、拠点、モビルスーツに商品。至れり尽くせりとはこの事だな。」
「そりゃ若のやる事ッスよ?最近は不調ッスけど、問題はほとんど無いはずッスよぉ。」
「万能の男だな。全く頭が下がるよ。」
ニコニコと自分の主の自慢をするオリバーに、ジョージと自分を比べてしまったのか。ため息を吐くグエル。しかし、オリバーは真顔になって首をひねった。
「何いってんスかぁ?若は万能じゃないッスよ?そもそも『悪い事』は本職じゃないッスしね。ま、何かにしろ準備をするのは元々そういう性格ッスから。」
「………本職じゃない?アレだけできるのにか?」
「アレ?御三家の皆々様とは、深い付き合いとか聞いたんスけど。」
グエルの弱音にオリバーが何の気無し言葉を返したが、グエルの反応を見て、余計なことを言ってしまった。と、口を閉じた。グエルもオリバーの反応を見て動きを止めた。
「それで。そのジョージはドコに?」
「仕事中ッスね。引っ切り無しに文句や疑問が来てるんスよ。あー…」
雰囲気を変えようと話を振ったグエルだが、途中で言いにくそうにオリバーは口ごもった。あー。とか。うー。とか。唸ったあと、
「今は、ジェタークの親分ッスわ。連絡をしてんの……」
再び無言の時間が続くグエルとオリバー。
(どうすれば良いッスかね。)
(だまっておくべきだな。)
そのまま二人は、黙々とメイクと偽装を行い、受けることで少し気まずい時間を過ごすことになった。
そんな気まずい状況になっているとは知らないジョージは別室で各方面からの通信を受けていた。
「知りませんなぁ。」
そんな中、本日何人目になるか分からない通信。しかし、最大級の罵詈雑言をぶつけてくるジェターク社のCEO・ヴィムを相手にして、ラウダの時とは比べ物にならないほどの嘲りの対応をしていた。
『貴様!抜け抜けと!』
「何にも知りませんなぁ。アナタの御子息に関しての現在地や状況はねぇ。そもそも、追放した相手。何をお怒りなのですかね?」
ホジホジと耳垢を掘り出したジョージは、過去最大の大爆発をしているヴィムを相手にしている。いや、正確には相手にせずにトボけていた。
そんな態度に更にヒートアップし、罵詈雑言に絶叫。そして、八つ当たり。モニターの先では暴れまくるヴィム。もし目の前にジョージが居るのであれば襲い掛かってきただろう。
『き、き、き、貴様ぁ!!』
頭のテッペンから足先まで真っ赤になっているであろうヴィムは、頭に血が上りすぎて、口が回らず、足元もフラフラしている。その態度からジョージが思っている以上にヴィムなりにグエルのことを心配し、愛情をもっているのが分かる。
「何もコチラが返答できる質問が無ければ、失礼しますが?」
しかし、そんなん知らん。近年のヴィムは私人としても、公人としても、目先の欲に流され、実力行使をすることこそが正義と考えているフシがある。御三家の中でも、もはや悪い意味での独裁と積極性で有名となっている。……かと言って、ジョージが正義の行いをしたわけでも、ヴァックストン家が真っ当というわけでは決してない。
エランとグエルの決闘の後始末に関しても、日が経つごとに『上手くやってない』状況となっているのにも気がついてないのだろう。
『今すぐに!グループ本部で説明をしてもらう!!その義務ぐらいは知ってるだろう!貴様もグループに席がある人間なら!』
ヴィムは偉そうに言ってるが、呼び出したのは総裁のデリングであり、説明の内容もヴィムが望む『グエルの居場所や状況の詳細』ではなく、『新会社の内容。グループへの利益や影響。』である。
「はい。はい。わかりましたよ。直ぐに行きますから。」
『覚悟しておけよ!!おま―』
聞き流しているとは言え、少し耳が痛くなってきたジョージは話の途中で通信を切った。面倒ではあるが、自分がやったこと。自分の尻は自分で拭かねばならん。祖父も父も連絡もつかないということは、孤軍奮闘は決まりだろう。いまだに連絡がないのはどうした事だろうか?
「若旦那。準備ができたそうです。……本当に、ウチの船じゃなくていいのですか?」
「流石に大丈夫だろう。」
強面なイーサンが心配するが、移動中に何かやらかすほどアホではないと思う。何せ、ベネリットグループ専用の航路で、ベネリットグループの本部に向かうための船。しかも、総裁が用意したモノを襲えば、結果は火を見るより明らか。
そんな事をすればヴィムが大切にしている『ジェタークのすべて』を失うことになるのだが……、
「どうしてこうなったんだろうか?」
ヴィムとの通信から18時間後。グエルに対しての準備を終えたジョージは、実戦仕様のディランザによって襲撃されて、宇宙漂流することになった。
これからグエル=ボブになります。紛らわしくなるかもしれませんが、お許しください。
ボブさんの初陣戦果(6/4 昼12時まで)
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5機(さすがの元・王者)
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8機(吹っ切れ初めた天才)
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10機(ヤダ。敵弱すぎ?)
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12機(待って?学園大丈夫?)
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15機(ガンダム+エース+才能!)
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18機(愚連隊多い!次世代不味い!?)
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20機(ヤダ。キモイ…)