「シャアァァ!!イェヤ!!」
ボブの大暴れによって、地球寮サイドの面々はお祭り騒ぎ。ハイパー・メガ・カノンでハイザックを薙ぎ払ったときなど奇声とも絶叫とも取れる声を出して、両手を天に掲げたヤツらも居た。
同様にやりたい放題されていた決闘委員会のセセリアとロウジも手を叩いて喜んでいた。誰も好き勝手たヤツらが呆気なくブチのめされるのはスッキリするのだろう。
「数も半分切ったよ。」
「……もしも、このペースで倒していったらボブさん。年間半期の撃墜数トップになるわね。」
「え?うそ。グエル先輩超え?」
怪獣のように暴れるボブの活躍に女生徒たちも喜び、驚きの声を上げる。ここまで目立ち、戦い方を見ていれば、そのボブがグエルだと気がつく人間が出そうなものだが、ボブの戦い方はグエルとは似てるようで違う。
機体のスペックと技量で押し込むのがグエルだとすれば、機体の性能を活かしつつも、フェイントを多用してから出来るだけ省エネで倒すのがボブだと言える。……ハイパー・メガ・カノンをぶっ放し、大出力・大容量の機体に乗っているので、そうは見えないだろうが。
今のボブならば連続戦闘を行ったとしても、昔に比べても格段に無駄が減っているだろう。ボブ自身も意識しているために昔の仲間でも簡単にはイコールでつなげることは出来ない。
「転校生が学園叩き上げのエリートたちをブッとばす。こりゃ、荒れるかもな。」
ヌーノのつぶやきは誰の耳に入ることはなかったが、聞こえてたとしても否定する人間は居なかっただろう。
「白兵戦も、射撃戦も、モビルスーツの操縦ですら半端ですね。」
ボブは誰かに聞かせるわけでもなく言葉をこぼした。数によって誤魔化していたのだろうが、意識や注意を1機、1機に向けることができるようになると、技量の低さがはっきり分かる。
射撃や格闘の狙いはマシン頼り。回避や防御に関しても反応が鈍い。そこに想定外の被害による劣勢も重なって、素人よりマシ程度になってしまっている。
「消化試合の様相になってますが、ここまで圧倒的だと……」
そんな状態でもボブは手加減も油断もなく、次々に撃破していく。残りのハイザックも3割を切っているが、プライドか。意地か。逃げることも降参することない。……それでもどんなに頑張ってもボブのモビルスーツには傷をつけることは出来ない。
半端者たちの通信が聞こえたとしても、醜く見苦しい声が聞こえるだけ。スレッタたちもハイザックを撃破しており、ハイザックの数は片手を切った。
「……あとが怖いですね。」
力を出せると少しは期待していたボフは不完全燃焼の不満と、決闘後のゴタゴタが予想されることに苛立ちつつ、もはや片手間といった感じで3機同時撃破を行う。
『あ!逃げんな!喧嘩売ったのはテメェ等だろ!』
ここまでくれば残った2機は、どうしようもなく逃げ出した。降参すれば少なくとも醜態をさらすことはなかったろう。
『は〜い。終了。終わり終わり。』
逃げだした2機も背後から撃ち貫かれ、バカバカしいこの決闘は、バカバカしい結果。地球寮の勝利――アーシアンの完勝――となった。
セセリアも終了の宣言は、どうでもいい態度ではあったが、とてもスッキリとしており、半端者達からの迷惑も吹き飛ばされたようだ。
『勝利者はホルダー率いる地球寮。初陣のボブ・バルダーは撃破数20機を記録。ちょっとここまですると気持ち悪いわね。…ともかく、この勝利の報酬は後日。敗北者達はホルダーの地位に見合う代償を支払うように。』
ボブの暴れっぷりに引きつつも、好き勝手やっていた半端者たちに、好き勝手やってきた代償を支払うように告げた。ここまでの敗北と醜態をさらしてはなかったことにも出来ず、協力していた企業や親族たちも罰則を受けることになるのは必然。
半端者達は大層青い顔をしているに違いないが、勝負の世界には無かったことには出来ない。今頃、調子に乗ってたことを離開しても遅すぎるのだ。
『以上。んー!スッキリしたわ。』
最後の最後に本音が出てしまったセセリアはニヤニヤしつつ、放送を終了するのだった。
「勝利に乾杯!支払いは任せとけ!大穴当てたからな。」
無理だ無理だ。と言っていた賭け狂いの二人だが結局、地球寮に賭けていたようだ。懐は潤って左団扇でいるようだが、いつまで銭が持つのやら。やんや、やんやと騒ぐ地球寮の面々から少し離れたところでボブとスレッタ、マルタンの3人がミオリネに呼ばれた。
「こっち。ついてきなさい。」
どうやら聞かれたくない話のようで3人を引き連れて別室に移動した。席についたミオリネは数分の沈黙の後で重いため息をつくと話を開始した。ボブはなんとなく予想がついているのか。残りのスレッタ、マルタンのように想像もつかずに慌てていない。
「少し良い話と、悪い話ととっても悪い話。どれから聞きたい?」
「こういうのって、良い話と悪い話じゃないのかな?」
物騒になってきたなぁ。と、もはや諦め気味であったマルタンが最後の抵抗とばかりに言葉を返す。しかし、普段ならガツンと言い返すミオリネから言葉が全く返ってこないことで、これは本当にマズイ内容なのか?!と震えはじめ、舌も回りきらない緊張の中で、
「じゃじゃじゃじゃじゃあ、少し良い話で…」
少しは機が晴れるのではないかと思われる選択肢を選ぶ事ができた。
「おめでとう。今回の勝利で各寮から半端者たちを締め上げたことでお礼が届いているわ。」
あ、良かった。マルタンはホッとした。アーシアンが勝利したことで反感を買ってるかと思っていたが、そんな事は無さそうで何とかなりそうだ。
「続いて悪い話ね。地球寮の勝利。つまりはアーシアンの勝利によって各方面から狙われることになったわ。おめでとう。ある意味対等に見てくれるようになったのかもね。」
しかし、続いての悪い話でマルタンの安堵は吹き飛んだ。ついでに言えば、今までは『アーシアン程度』と格下だと思っている油断や、『まだ余力があった』も、敗北での言い訳があったが、今回の勝利で、
『自分たちの寮のツケを払わせた事による恩を被った。』
『地球寮のヤツラは、他のアーシアンと違うのかもしれない。全力で潰す。』
と、スペーシアンのプライドに火をつけてしまった形になり、ガッツリと目をつけられることになったと知り、マルタンは滝のように汗を流した。
「最後にとっても悪い話よ。」
「これ以上悪い話があるんです?」
マッサージ機の様にブルブル震えるマルタンが、かすれるような声なんとか聞き返す。隣りにいるスレッタは話について行けてないようだが、『大変な状況』とだけは分かる為かガタガタ震えている。
「これから表立って企業の横槍が入るわ。学園の様相も一変するかもしれない。いえ、一変するわ。学園の自治にも各企業の思惑が今まで以上にかかわってくるから。」
「えーっと…?」
理解できないのか。理解したくないのか。マルタンは宙を見据えた。目が回っている様に見えるのは見間違いではないだろう。
「このままだと、地球寮は吹き飛ぶわ。後ろ盾になる企業……。」
企業がないからね。と、言い切る前にマルタンはひっくり返った。
「ミオリネさぁん。ど、ど、どうするんです?」
「どうしたら良いのかしら。」
ぶっ倒れて泡を吹きそうになっていたマルタンを介抱しつつミオリネに先のことを尋ねたのだが、ミオリネとしてとどうしていいのかハッキリとは言えない。
ミオリネにこの現状をひっくり返す力はなく、ボブ。いや、グエルも会社を持ってはいるが、弱小も弱小。グエル自身も表に出るわけにはいかない。たとえ、シン・セー社と組んだとしても下から数えた方が早い。
「でも何もしないわけにはいかないでしょ。」
ミオリネとボブは
一方。大変なことになりつつある学園から遥かに離れたジョージは……
「上下回避!対空砲火を固めろ!」
「ニコラス!モビルスーツはまだ出すなよ!」
「ご安心を!出世したからと安穏とは出来ない会社ですので!」
「そりゃなにより!」
決闘から少しだけ時間が進んだ頃に、火星の海賊施設周辺で正体不明の戦闘艦数隻と戦闘を行っていた。
一応、地球寮の勝利とボブ無双はかけたと思う。どうにもスッキリしないので加筆や修正するかも。次回よりジョージさんの出番が少し増え、大人たちも出てきます。そろそろ含み?(含めてたかは不明)のあった企業たちの動きも書いていきます。
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