ジョージは自称・常識的な凡人さん。   作:強力イソジン

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 途中保存は大事だね。20時頃に投稿しようと思ってたらできなかった。とりあえず、悪い大人というものは物事を難しくして煙に巻くと思うな。


大人たち。動く。(上)

 

 『ヴァックストン火星支部の活躍により、海賊に拉致されていたジョージ・Y・ヴァックストンを保護。現在、海賊の残党を駆逐しつつ、帰還中。』

 

 と、言った何とも事実よりズレた内容がベネリットグループ本部に連絡され、ジョージの無事が同施設内にすぐさま広まった。死亡説まで出始めていたが、幸い五体満足で大した怪我もないというではないか。

 

 「くぁwせdrftgyふじこlp!!!」

 

 大多数の内心舌打ちしたい面々と、少しばかりの喜ばしいと喝采をおくる面々とは違い、一社だけ怨嗟の声が漏れ、いや、爆発していた。

 言うまでもないかもしれないが、その一社とはジェターク社。特にラウダは奇声を上げて、デスクを蹴っ飛ばした。激昂したら何かに当たるのは言葉は悪いが親子だと言えるかもしれない。

 

 「ウチの製品を鹵獲しただとぉ?!」

 

 グエルが行方不明になり、ジョージに相手にされず、感情がどん底になっていたラウダの変貌と暴れっぷりに少し引いていたヴィムだったが、ジョージ生還の報告の続報で、ジェターク社の製品・ディランザを海賊が使用したうえ、ソレをジョージが捕獲したと聞いたことでヴィムも爆発。

 

 「「うがぁああ!!!」」

 

 気がすむまで暴れ、ジェターク社に割り当てられた部屋は多数の破片と残骸が転がることになる。

 

 「あの狂人どもめ!もう許さん。我が社を陥れるためにここまでやるとは。本当に目にもの見せてやるわ!」

 

 もはや、見つけ次第ブッ殺すと書いていそうな目つきと雰囲気を纏うヴィムが再び決意を込めて雄叫びのごとく言い放つが、ジョージとしては陥れるとかではなく、単にどこからアンタらのモビリティが流れたか知りたいだけなのだ。

 ジェターク社側が憤る気持ちもわかる。今までヴァックストン側がヤッてきたことがヤッてきたことだけにジェターク側の神経を逆なでした事も、悪ふざけが過ぎて目に付く事が多かった。

 その苛立ちや不満が溜まり続けてグエルの引き抜きという暴挙に爆発した。……と、言うのは何度かお話したかもしれない。しかし、それはジェターク側の都合だ。

 

 

 

 

 

 

 

 『跡継ぎ1人すら御せないで、何が当主か。何が企業の長か。』

 

 『子供はある程度好き勝手やらせてやるものだ。』

 

 『道を作って歩かせるなんて、生っちょろい。』 

 

 モビルスーツ開発の黎明期からベネリットグループに参加して、裏方を仕切っているヴァックストン家の都合とすれば、『ここまでやってんだから、やる事はやるなら上手くやれよ。』と言いたいのだろうか。いや、オブラートに包まないで良いのなら、『どっからどう見ても、お前ら悪いことする頭無いだろ?』になる。

 

 「実行力と決断力は十分だが、数手先を考えて動かす人間ではないじゃろう。なぁ?」

 

 「私からは何とも言えませぬなぁ。しかし、言わせていただけるならば。御当主様の手のひらではよく転がるかと。」

 

 「フフフ。こやつめ。」

 

 ベネリットグループ本部に向かう巨大艦の艦橋でヴァックストン家当主であるエイジが、鉄仮面を脱いでカロッゾと茶を飲み、雑談をしながら航路の暇を潰していた。

 

 「それにしても、若はどれだけ作っているのですかな?こんな船があるとは人が悪い。」

 

 「ジョージが色々作って、地球や月に置きっぱなしにしておるからな。使わせてもらっておるわ。許可は貰っとらんがな。」

 

 なんか無許可とか聞こえたカロッゾだったが、人が悪いと言いながらも口元が緩んでしょうがない。

 生まれてから常に船に関わってる彼からすれば、開発時でほとんど(・・・・)完成してたサラミス級やコロンブス級の登場ですら驚きなのに、続けざまに登場したアガメムノン級の各支部への配備。さらに表に出せないがドコス・ギアやアレキサンドリア級の投入で、船乗りとして笑いが止まらない状況。そこにさらに新型艦が出てくれば開いた口が塞がらなくもなるというものだ。

 

 「まだ、あるので?こんなものが?」

 

 「まぁ、のぉ。」

 

 しかも、エイジの言い方ではまだまだモノがあるらしい。少しばかり信じられないと言う思考が浮かんだが、カロッゾを強化し、各支部の支部長に専用機を配っていた事を思い出し、

 

 「それにしても、大した乗り心地でございますな。」

 

 実態を知ることの出来ない存在をカロッゾは受け入れることにした。ベネリットグループ本部に向かうヴァックストン家当主が座乗する新型艦は大きさだけで、護衛であるバーミンガム級よりも一回りも二周りも大きく、 戦闘艦としてヴァックストン家の主力製品であるサラミス級の3倍近く大きい。

 

 「ゼネラル・レビル。この船はそう言った名を付けられている。」

 

 「レビル将軍??聞かぬ名ですがドコかの偉人。もしくは軍人ですかな?」

 

 「少なくとも歴史上の資料や個人登録、戸籍にも調べれる限り見当たらなかったな。」

 

 菓子をかじりながらエイジが艦名をカロッゾに教えるが、覚えのない名前に首をひねる。不勉強さを恥じるようなカロッゾではあったが、エイジは調べられる限りで『レビル将軍』と呼ばれる人間が存在しないと助け舟を出した。

 

 「何処を見ているか。わからんやつよ。ふふふ、周りから見ればヴァックストン家(わがや)全員がそう見えるじゃろうな。」

 

 見事に惑わされておるわ。と、菓子を咀嚼しながらニコニコと笑うエイジ。しかし、目は笑っていない。

 

 「何かなされるつもりですな?」

 

 ゴクリとツバを飲むカロッゾ。長い長い付き合いではあるが、鬼才怪人(ヴァックストン)当主(おやだま)で、悪辣な手練手管(ぼうりゃく)の限りを尽くす政治屋の態度に少しばかり怯えを覚えた。

 

 「何かはするさ。先ずはベネリットグループをもっと揺さぶらねばなぁ。そろそろ危ないから備えておけよ?」

 

 今までの秩序をガタガタにするような考えがあるのは間違いない。しかし、自分の主の考えを読みきれないカロッゾは無言で頷き、ヴァックストン艦隊に警戒の強化とモビルスーツの準備を行わせた。

 

 「正体不明の熱源確認。熱源からの予測………。モ、モビルスーツ29機!?戦闘艦もしくはMS母艦らしき大型熱源8!!さ、更に増えます!」

 

 「来たのぉ。任せるぞ。ああ、面倒になるから実弾は使うな。」

 

 「ぎ、御意に。」

 

 完全に準備を終え戦闘行動が万全になった頃。狙いすましたように。いや、謀ったようなバッチリなタイミングでヴァックストン艦隊は敵を感知した。 

 確認されているだけでモビルスーツ2個中隊規模。艦船の量も自艦隊以上であることに慌てるオペレーター。しかも、数はまだ増えると言うではないか。

 

 「全砲門ロック解除。対空戦闘の開始はモビルスーツ部隊の発進後。その後の艦隊は密集隊形に。」

 

 慌てるオペレーターや部下たちに命令を下すカロッゾ。戦術モニターには統一感のかけらのない動きをする敵。そして、望遠と熱量によって予測された機体の種類が表示されていた。

 

 「全砲門。斉射!」

 

 ゼネラル・レビル、バーミンガム級2隻、サラミス級2隻から放たれる大出力のビーム砲が釣瓶打ちに襲撃犯を襲う。元の世界では『大艦巨砲主義の亡霊』『時代遅れ』と陰で言われ、呆気ない最後であったバーミンガム級ではあったが、艦隊戦と言う活躍の機会があれば水を得た魚。 

 正規の戦闘巡洋艦を一撃で吹き飛ばす艦砲は、多少の障害や装甲など意に介さず貫通し、消し飛ばす。

  

 「我が方。損害軽微!」 

 

 「モビルスーツ隊。直掩は要らんから前に押し出せ!」

 

 そこらの海賊や、横流し品を使った企業の犬が改造に改造を重ねようが格が違う攻撃力と防御力を誇るバーミンガム級。ソレの発展級の改良型であるゼネラル・レビルも合わせて盾になれば、対ビームコーティングも合わさり被害など一笑に付す程度になろう。

 

 「全艦。密集隊形で前に出るぞ!敵の火砲は想像以下。押し出せぇ!」

 

 「敵艦4隻撃沈!ですが、敵モビルスーツは未だ健在。敵増援の詳細は戦闘艇。もしくはモビルポッド。データ送ります。」

 

 カロッゾの強気の命令に慌てていたオペレーターも冷静さを取り戻し、他のブリッジ要員と連携してモビルスーツ隊の支援も再開する。

 

 「射線には移動するな!訓練通り行えば中古のハイザックやザウォート程度では相手にならない。連携を意識しろ。」

 

 ゼネラル・レビルから発進した〝マラサイ重装型〟中隊は数に勝る『襲撃犯』を機体スペックと連携。接近してくるヴァックストン艦隊の圧による援護によって押していく。

 パイロットたちも、グエルの様に単騎無双の活躍をする者はいなかったが訓練を重ねてきたことによる高い基礎を活かして面白みはない戦い方ではあったが、被害を出すことはない。

 

 「勝ったな。」

 

 「まだ敵は退いておりません。」

 

 グイグイと押し始めたヴァックストン側を見て、エイジが勝ちを確信したのをカロッゾが諌める。鉄仮面を被らなければ全力は出せないが、その分の余裕と冷静さがある。

 

 (御当主の言う通りなのは違いないが…。)

 

 エイジを諌めたカロッゾだったが、数に勝っていた敵は艦砲とモビルスーツ隊によって少しずつ削られていき、モビルスーツは半数を切った。戦闘艦は全滅し、MS母艦に見える船も1隻を残すのみ。

 

 「敵艦反転。戦場を離脱する模様。」

 

 「御当主。」

 

 敵のMS母艦は逃げるために全速力で反転し、戦場から離脱を開始した。その姿を見て士気が崩壊したのか。敵のモビルスーツ隊や戦闘艇、モビルポッドも戦闘をするよりも逃げに変わった。 

 追撃するかどうかを尋ねたカロッゾではあったが、ここでエイジは珍しい判断をした。

 

 「追撃はしなくて良いわ。先ずはグループ本部に向かわねばな。しかし、射程内にいる限り射撃は継続せい。」 

 

 普段なら殲滅命令が来るのだが…。と、少し驚いたカロッゾではあったが、当主の命令に不満を述べることもない。

 

 「敵。レーダー探知範囲外に離脱。敵影及び熱源なし。」

 

 結局、逃げだした敵のMS母艦はゼネラル・レビルの艦砲で撃沈。それ以外のモビルスーツや戦闘艇も散り散りに逃げていたが、容赦のない射撃によって増強小隊の規模の戦力以外を喪失。『襲撃犯』の攻撃はなんとも呆気なく、ヴァックストンの実力を見せつけるだけに終わることになる。

 

 「モビルスーツ隊を回収した後に前進します。」

 

 「うむ。任せた。ワシは一杯引っ掛けたら寝る。」

 

 カロッゾからの報告を受け終わったエイジは後処理を任せて、どこか胤重に艦橋から出ていった。航路の安全と武装勢力の撃退。そしてモビルスーツと新型艦船の性能を見せつけるという『土産』を持って、ヴァックストン艦隊は目的地への前進を再開するのだった。

 

 




 いつもの倍ぐらいの長さになりましたが、ジェタークとヴァックストン本家の部分は描写できました。(ジェタークがオマケになってしまったけど。)次話はペイル社とフランクさんの出番を予定(未定)しています。
 次回は水曜日までには投稿したい。今週から出張もあるので水曜までに投稿できなかったら来週の火曜日以降になります。 
 
 ※ゼネラル・レビル
  ドゴス・ギア級2番艦。…なのだが、この世界ではドゴス・ギアより早く開発・生産されている。徹底的な対ビームコーティングとジェネレーターの換装・増設によって原型機よりも火砲の回転率と防御力を強化している。
 現在、臨時でヴァックストン本家艦隊の旗艦として移動中。積載数は48機+モビルアーマー2機程度。

 ※マラサイ重装型
  ヴァックストン社新型のマラサイを強化した機体。外付けのジェネレータ、増設した装甲とプロペラントタンク、バッテリーによって戦闘時間を維持しつつ、防御力と機動力を強化した。武装もビームライフルやビームサーベルといった標準的なものモノの他に、主兵装として大型バッテリーを装着したメガランチャーを装備している。
 現在はゼネラル・レビルに1個中隊配備されている。

分かりやすい技術の変革と言えば?

  • 見た目で分かる可変機
  • 大火力。ジェネレータ直結武器
  • そりゃムーバブル・フレーム
  • 基本の基本。ミノフスキー粒子
  • 悪魔の兵器・ガンダムよ。(ボッシュ風
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