ファミレスは家族連れや学生たちの談笑で賑わっている。そんな中、俺たちがついてる席だけは静かでどことなく空気が重いように感じた。
結局、俺と後藤さんはこれまでの出来事を素直に全部話した。後藤さんがアー写の日に分裂したことから始まり、俺が後藤さんを拾ったこと、喜多さんともう一人の後藤さんと色々と話し合ったこと、元に戻るために路上ライブを始めたこと。
山田さんは魚介スープパスタを黙々と食べながら話を聞いていた。一通り話が終わって初めて口を開く。
「ぼっち、やっぱり面白いね。まさか分裂するなんて」
「あっへへへ……」
俺は口にしたチキンのチーズ焼きを飲み込んで山田さんに話しかける。
「えっと、信じてくれるんですか? 我ながら信じがたい話だと思うんですけど」
「うん、ぼっちと郁代が他人を巻き込んでそんな嘘つくとは思えないし」
そう言って彼女は後藤さんに視線を向ける。ちょうどチーズハンバーグを口にしてもむもむと咀嚼していた。
「それに、目の前で弾けたぼっちを見てるから」
なるほど、と納得する。確かに目の前で弾けるところを見ていれば後藤さんの分裂も受け入れやすいか。……いや受け入れやすいか? 今の俺には人が弾けて分裂するって事象が、受け入れやすいことなのかどうかよくわからなかった。なんだか後藤さんの非人間性に影響を受けて俺の中の常識が揺らいでいる気がするな?
「でもあの演奏じゃチヤホヤされるのはキツイよね。ぼっちは突っ走ってたし、君もぼっちに合わせようとしてるのはわかったけど追いつけていなかった」
と山田さんに耳に痛いことを言われて少し眉尻が下がってしまう。
後藤さんも「う"っ……」と呻いて俯き、胸もとを手で抑えた。
「おっしゃる通りです……緊張してしまって動画の時みたいにちゃんと演奏できなかった」
「動画?」
「え、あ、えーっと……これです」
興味を示した彼女にトゥイッターに上げたセッションの動画をスマホで見せる。山田さんは俺に一言断りを入れてイヤホンを差し、演奏動画を再生した。
最初に少し目を見張って、それからは演奏が終わるまで特に反応がなかった。
やがて演奏が終わって「そっか」と口にすると山田さんはグラスを口に運ぶ。グラスの中身をゆっくり飲みながら何か考えている様子だった。
しばらく周囲の喧騒だけが聞こえていて、やがてグラスを口から離した山田さんが言葉を放つ。
「これから一緒にカラオケに行こう。近くに楽器可の店があるんだ」
唐突な提案に後藤さんと俺はポカンとする。
「ベースをロッカーに預けてるからちょっと取ってくる」
そう言ってこちらを意に介さず山田さんは財布を開き、瞬きを二つした。顔を上げてこちらを見る。
「……ごめん、お金がなかった。ご飯代とカラオケ代を貸してください」
口調は申し訳無さそうだが、初対面の相手に金を借りようとしているとは思えないほど堂々としていた。いや、マンガやアニメでそういう人だとは知ってたけど実際に目にすると、こう……こういう種類の人間に会ったのが初めてなのもあって「マジかお前」って顔になっちゃうな……。
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結局、山田さんにお金を貸して三人でカラオケにやってきた。
ディスプレイと照明が仄暗く照らす個室の中で、楽器のチューニングや機材の設定を終える。タイミングを見計らっていたのか「さっきやってた曲を弾いてみて。一番だけでいいから」と山田さんはスマホを弄りながら言った。
意図がつかめなかったが後藤さんと一緒に素直に楽器を奏で始める。
路上ライブと同じ失敗をしないよう、後藤さんに合わせることを意識して弾く。失敗したライブの直後で不安もあったが、赤の他人の目がないからかちゃんと指が動いてくれた。なんとかミスなく弾き終えて安堵のため息を漏らす。
「……うん、やっぱり」
山田さんは何か確信を得たような表情を浮かべる。スマホの画面をタップしてそれをこちらに差し出した。
「今の演奏を録音した。君たちの動画と聴き比べてみて」
そう言って彼女は演奏を再生した。
最初は聴き比べる理由がよくわからなかった。自分がわからないだけでどこかミスしてしまったのかと不安になる。
しかし録画と動画、二つの演奏を聴き比べているうちに首を傾げた。先ほどの演奏にミスはなかった。だけどどちらも同じ人間が同じ曲を弾いているはずなのに、両者から受ける印象が違うのだ。
先ほどの演奏は確かにミスはないがどことなく音が硬くて、そんな雰囲気の曲じゃないのになんだか聞いてる方に緊張を強いてしまう。一方、動画の方は些細なミスはあれどのびのびと演奏できていて、手前みそながら聴いていて楽しいと思った。
さっきの演奏は路上ライブと違ってミスをせずに弾けたのになんでこんなに音が違うのか。俯いて考え込むが見当がつかず、思わず眉をひそめてしまう。
そうして視線を落としてしばらく考え込んでいたら山田さんに声をかけられた。
「ぼっちはもうわかってるし、君も知ってるはずだよ」
その言葉を聞いて後藤さんに目を向けると、山田さんの言う通り答えがわかったのかハッとした表情をしていた。
「実際にやってみせた方がわかりやすいかな」
そう言うと山田さんはさっき俺たちがやった曲を弾き始めた。原曲を丁寧になぞる演奏ではなく、ところどころでタイミングや強弱が微妙に異なる。彼女独特の"遊び"が演奏に表れているのだ。しかし不快には思えず、そういうアクセントのように思えて耳に心地いい。
少しして後藤さんが山田さんに合わせてギターを弾きだした。ベースで紡がれる山田さんの音の世界に、彩り鮮やかな彼女のギターが咲き誇る。
動画のように万全のギターではないけれど、それでも重なった旋律は軽やかだ。
二人の演奏を聴いて思わず身震いしてしまう。
かつて何度も聴いて、今生でも聴くことを楽しみにしていたバンド。その半分、ベースとリードギターが楽しそうに音を重ねている。
ライブに行った経験がないからか。画面越しでない生の演奏、それも複数人で音を重ねた旋律は、こんなに気持ちがダイレクトに胸に響くのかと鳥肌が立ってしまった。
二人の音に当てられて無意識にベースを構え直す。しかしそのまま弾こうとして弦に触れたところで、指を止めた。
――こんな綺麗な音の世界に自分という不純物が混じってもいいのだろうか?
そうしてしばらく指先に弦の冷たさを感じていたところで、「前島」と呼ばれて顔を上げる。目の前のベーシストがこっちを見つめている。
その目は「君は一緒に弾かないの?」と語りかけていた。俺が勝手に感じていた音の壁の向こう側から、まるで手を差し伸べるように。
恐る恐る手を取るように、一小節ごとにルート音を四度ずつ弾く。
俺と山田さんのベースでユニゾンして低音が強くなる。基本的に低音が強いと高音が目立たなくなってしまうが、後藤さんのギターはその限りではなかった。低音が強くなった分、『私はここにいる』と叫ぶかのように強烈にギターが主張して、むしろ演奏が重く厚く部屋いっぱいに響く。
また、時には山田さんもメロディを奏でた。俺がルート音を弾いて演奏の土台を担当する分、彼女に遊ぶ余地ができたからだ。後藤さんのギターと山田さんのベースが奏でるメロディで演奏がより華やかになる。
しばらくはおっかなびっくりに弾いていたが、だんだん気持ちがノッてきた。やがて一小節当たりに弾くルート音が八つに増える。こうしたらもっと彼女たちの演奏が輝くんじゃないかと、自分が良いと思う音を自然と指が奏でていた。
仄暗いカラオケの個室にギターとベースの音が瞬き煌めく。音を重ねるのがただただ楽しくて、まるで星空の中にいるようなフワフワした心地になっていた。
「中学の時、文化祭でライブしたんだ。マイナーな曲を弾いて会場をお通夜にしてやったけどね」
「正直、今でも偶に夢に見る」と何曲かセッションした後、山田さんがこぼした。原作でも『後藤ひとり』が文化祭ライブに出るかどうか悩んでいた時に口にした話だ。
「……でも後悔はしてないんだ。だって私はその時、その曲をやるのが楽しいと思ってやったから」
そう言った彼女は恥じることなどないと言わんばかりに、堂々とした表情をしていた。
「ぼっちは知ってるよね。『音は気持ちが表れやすいから下手でも楽しく弾こう』って」
その言葉に後藤さんが「あっ……はい」とゆっくり頷く。
「演奏する方は出来るだけ観客を楽しませるべきだと思うよ。時間や、時にはお金をもらって演奏を聴いてもらうわけだし。――でもそれより前に、自分たちが自分たちの音を楽しむべきだ」
山田さんはテーブル上にある彼女のスマホを指す。RockYouMonster名義で上げた、俺と後藤さんのセッションの動画が映っていた。
「路上ライブしてる時と違って、動画の演奏や今の演奏は楽しかったよ。特に動画の演奏は、『音を合わせるのはこんなに楽しいんだ』って感情を衝動的に吠えてる感じがして、こっちまでその気持ちが伝わってきた」
そう言って山田さんはスラップでワンフレーズ分のメロディを奏でる。
「――まずは自分たちが音を楽しもう。そしたら楽しい気持ちが相手にも伝わるから」
その旋律を耳にして思わず目を見開いた。だってそれは前世で何度も聴いた、しかしこの世界にはまだないはずの、いつ生まれるかもわからない曲の一部だったから。
「今のメロディは……」
「ん……なんか思いついたから弾いてみた」
新しい曲に使うのもいいかも、と山田さんがつぶやく。
かつて一番影響を受けたのは『後藤ひとり』だった。だけどそのメロディを耳にして、俺がベースを選んだ理由はアニメのオープニングで奏でられるこの人のベースに惹かれたからだったなと、ふと思い出していた。
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カラオケでのセッションを終えた後、駅前広場に三人で戻ってきた。すでに夜が降りて辺りは街灯に照らされている。
俺と後藤さんは今日二回目の路上ライブに挑もうとしていた。観客も幸い一回目と同じくらい立ち止まってくれている。
機材のセッティングを終えて後藤さんの様子をうかがう。山田さんにアドバイスを受けたといえど気質は簡単に変わらない。人見知りのためか、一回目の路上ライブの時と同じように緊張している様子だった。
後藤さんの名前を呼ぶと「あ、はい……」と不安が滲んだ声を小さく返しつつ、彼女は俺の方を向いた。
正直、俺も不安がないと言ったら嘘になる。しかし山田さんとのセッションを通して『まずは自分たちの音を楽しむこと』だけを意識しようと考えているためか、一回目の路上ライブほどは緊張していない。
一回目の路上ライブではそれすら出来ていなかった。だったら今回の路上ライブでそれが出来れば成長できているということになる。
そうやって一歩ずつ成長していけば、もし今回もダメでもいつか、だけどきっと近いうちに観客に喜んでもらえる。そう思えていた。
「最初のセッションとかさっきのカラオケみたいに、二人で楽しんじゃおう」
人と当たり障りなく接するための取り繕った笑顔じゃない、これから楽しいことをするんだという心からの笑顔を彼女に向けてそう言った。
カラオケで山田さんが弾いたワンフレーズを真似して奏でる。それを目にした後藤さんは、ぎこちないながらも笑みを浮かべてコクリと頷いてくれた。
そうして、観客への挨拶もそこそこに演奏を始める。
夜の駅前広場ということもあり、アンプを通して控えめに増幅された音が響いていく。曲が始まって最初は原曲通りのペースで、やがて徐々にギターがアクセルを踏み込んでいった。
ギターの加速にベースとボーカルの速度を合わせる。音は重なって一つの旋律になった。
『後藤ひとり』が原作で初めて路上ライブをした時は『廣井きくり』のおかげで、敵なんかいないと知れて過剰に怯えず演奏できていた。
俺が後藤さんに同じことを言っても、借り物の言葉では説得力を持たないと思う。説得力を持たせるだけの背景が俺にはないから、その言葉をそのまま伝えても意味がない。
結果、このライブでは前を向けず、俯いたままで自分のギターしか見られないかもしれない。
今はまだそれでもいい。だって、今チヤホヤされるためだけならそれはまだ必要ないと思ったから。
今はまだ、モンスターみたいに独りで咆哮をぶちまけるような大暴走な演奏でも構わない。
だって後藤さんのギターは、三年間独りで磨き上げ続けたその音は、それだけで人を惹きつけられるほど強烈で鮮やかなのだから。チヤホヤされるだけならそれで十分だ。
誰のためでもないひとり善がりの奔放な独奏でも、俺が合わせて合奏にできる。
例え今回も失敗してもいい。何度失敗して転んでも構わない。その度に反省してまた挑めばいいから。
きっと後藤さんなら、そうして転がって傷つきながらも一歩ずつ前に進んでいける。やがてひとり善がりじゃない、人の音に寄り添った演奏だって出来るようになる。
元に戻って結束バンドのみんなとバンドを続けて色んな経験をして――きっとそうして夢を叶えて、最高のバンドになるんだ。
俺はそこにはいないけれど仕方のない話だろう。もともと居なかった人間なんだから。
一抹の寂しさを覚えたがベースの低音で押し流す。ただひたすらに、音を合わせる一時の楽しさに身を任せた。
結論から言うと、二回目の路上ライブは成功した。
最初の曲が終わってみんな拍手してくれて。最後の曲まで何人も残ってくれたし、ライブ後に去っていく人たちも笑顔で楽しそうにしていた。
後藤さんも観客の笑顔を見て小さく口元をほころばせている。彼女の頬を流れる汗が街灯を反射して、流れ星みたいに小さくキラリと光っていた。
「二人ともお疲れ。夕方のライブより全然良かったよ」
人が去った後、山田さんにねぎらいの言葉をもらう。
「特に前島は別人みたいに演奏が安定してた。ていうか、あんなに突っ走るギターに合わせるなんて……ホントに私の一つ下?」
信じられないと表情に出す山田さんにあははと苦笑いだけ返す。前世からベース弾いているので、なんて言えないだろう。
「今日はありがとうございます。山田さんのおかげでなんとか路上ライブが成功しました」
「あっ、ありがとうございました」
「ん、私も楽しかったからいいよ」
俺と後藤さんのお礼に、山田さんは構わないと手をひらひらさせる。そのまま言葉を続けた。
「辛いことも厳しいこともあるけどさ、それでもやっぱり楽器を弾くのって楽しいことだから」
一瞬、少し遠くを見るように彼女は遠い目をした。しかしすぐにこちらに視線を向けて、わずかにニッと口角を上げる。
「がんばれ、後輩」
思わずポカンとしてしまう。直後、頬が熱くなって思わずそっぽを向いてしまった。
初めてこの人の笑顔を見たが、暖色の街灯に照らされたその顔があまりに綺麗だったから。
その様子を見たからか、ニヤリと不敵な笑みを浮かべた山田さんが言葉を続ける。
「それに、一応は先輩だしね。まあどうしてもっていうなら、またご飯を奢ってくれても構わない」
その言葉を聞いて頭の熱が引いた感覚がした。一つ息を吐いた後、笑顔を貼り付けて彼女に返事をする。
「いや、ナチュラルに今回の分を奢りにしようとしないでください。うちも余裕あるわけじゃないんで」
残念、と口にしながらも先輩は愉快そうに小さく笑みを浮かべていた。
山田先輩と別れて街の喧騒の中、後藤さんと家路につく。二回の路上ライブとカラオケでやったセッションの疲れが出たのか、ベースと機材はいつもより重い。しかしどこか気持ちが浮ついて、その足取りは軽かった。
「あっ前島くん……その、帰ったら少し一緒に弾きませんか?」
不意に、後藤さんの言葉に沈黙が破られる。彼女の方に顔を向けた。
「あ、えっと……私たちのライブで、お客さんが笑顔になってくれて、嬉しくて……これからたくさんライブして、もっとこんな顔が見れたらいいなって……。そ、そう思ったら今日はまだギターを弾きたいなって思ったんです」
俯きつつもそう口にする彼女の表情には熱がこもっている。きっと後藤さんも、路上ライブでの興奮が残り火のように尾を引いているんだなと思った。
「えっと、ど、どうでしょうか……?」
「うん、もちろん喜んで」
胸の内に熱がくすぶっているのは俺も同じで、渡りに船だと言わんばかりにその提案を快諾した。
街の明かりに溶けておぼろげだったがいつか見たそれよりも、空には星々が少しだけ密に瞬いていた。
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翌日の前島家で、彼女は出来立ての卵焼きをよく噛んで味わい、飲み込んでから口を開いた。
「ご飯は美味しいしスタジオもあるし私の通学路からも割りと近い。最高だね、前島の家」
「だからって普通、昨日の今日で来たうえ朝ご飯を出してもらいます? メシ代とスタジオ代、取りますよ?」
後藤さんと朝のセッションをしていたら山田先輩からロインがきた。彼女の質問に素直に答えて家の場所を教えたら、五分後に我が家に訪ねてきてしまった。昨日雑談しているうちにどの辺に住んでるのかをつい口にしてしまったのが運の尽きだろうか。
「……前島、後でセッションしよ」
「話題を逸らさないでください。誤魔化されませんからね」
半目でじっと見つめつつそう言うも、山田先輩は構わずに言葉を続ける。
「昨日は前島がルート音を弾いて演奏を支えてくれたから、ルート音とメロディの好きな方を好きな時に弾けて新鮮で楽しかったんだよね」
山田先輩は頬杖をついて微笑み、こちらをじっと見つめながら口を開いた。
「前島が一緒に弾いてくれると嬉しいな。君となら、ツインベースも悪くない」
「なっ……」
その言葉に気分が高揚して思わず頬がゆるんでしまう。
「し、しょーがないですねえー! しょうがないから後でセッションしてあげますよっ!」
「ふっ……前島、チョロい」
そのセリフを聞いてハッと正気に戻り(こっ……このクズベーシストがよぉ……ッ!)と負け惜しみが胸の内に湧き上がる。しかし山田先輩に『一緒に弾きたい』と言われた喜びの方が不本意にも勝っており、顔がニヤけるのが止まらない。
(あっ……前島くんもこんなにわかりやすく感情が顔に出ること、あるんだ)
後藤さんは真顔でそんな俺をじっと眺めていた。
「あっ、いや、えっと……」
(ち、ちゃうんや! 山田先輩が誤魔化そうとしていることはわかるけど、この人ならまあ騙されてもいいかって一瞬思いかけただけで……ぶっちゃけ見た目だけなら結束バンドで一番好みだし……ていうかベース始めたきっかけの人にこんなこと言われて断れるだろうか? 無理でしょ……!!)
などと口に出せないうえ弁明にもならないことを内心で思いながら、おかしそうに小さく笑みを浮かべた後藤さんに連続でじっと見つめられてしどろもどろになっていた。
「次回、【#4 友情と勇気と怒りのアームロック】」
「怒った虹夏がクズベーシストが成敗するらしいよ」
「それってリョウ先輩のことですか?」
「? 私ほど人間が出来てるベーシストはいない」
「あっ、私まだリョウ先輩にお金返してもらってないですけど……」
「……次回までに返すから待ってて」
「青ざめて震えてるリョウ先輩も素敵ですっ」