審議の結果、着順はそのままとなった。
やっぱりか。
まず外野からは私がスパートをかけようとしたけど妨害されたことはわからない。
わかるのは私と鞍上の武井さんだけ。
あとはオルフェーヴルのときと比べてタックルが軽いもので故意的ではなく事故的であったと判断されたか。
かなり近い距離で競り合いしてたからぶつかるのはしょうがない……かも。
武井さんは無茶苦茶怒ってたけど。
心なしかジェンティルドンナの騎手さんも落ち込んでたし。
このタックルに関しては、例えるならサッカーだろうか。
肩が少し当たっただけでシュート体勢が崩れ、シュートできなくなった……みたいな。
まあ負けた私が悪いよ。
だからそんなに怒らなくても大丈夫。
ジェンティルドンナも何か異様な空気を感じ取ったのか顔が曇ってるし。
「気にすることはないよ。勝者は貴女だよ、ドンナちゃん」
「でも、岩井さんが……」
「貴女は少なくとも何も悪くない。大丈夫、操縦性が高いことは長所だからね?」
気性に問題があってやらかした、という感じではない。
むしろ彼女は"いいこ"すぎる。そのぶん騎手の力量が問われるのだろうが。
三連敗か、キングジョージはなんとか勝って流れを取り戻したいね。
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2013年 7月27日
キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスステークス
芝 12ハロン (堅良)
「よしっ……おっと?」
いつものようにスタートを切ったが……
史上三頭目の連覇がかかってるせいかマークがひどい。
幸いスタートはうまく行けたので先頭には立ててはいる。
……が、凄まじいプレッシャーと視界に入るか入らないかぐらいのいやらしいマークをしている。
恐らくだがノヴェリスト。
ふむ、ならペースを上げてみよう。私と一緒にスタミナ勝負だ。
ラップタイムは今までより遥かに速いのを感じる。
私の意思を武井さんが感じ取ったのか……止めることはしないみたいね。
重畳。
さあて、このペースであの坂はきついでしょう?
私はこのぶんも計算してペースを作ってたけど、貴方たちはどうかな?
私は先頭のまま坂を登り、直線に入ってさらにギアを上げた。
もしかしたらレコード、狙えるかも?
中山の直線は短いことで有名だが、その短さで7馬身も突き放した馬がいるらしい。
なら、それより長いこの直線なら、もっと……
カチリ、と何かのスイッチが入る音がした。
もう、私を止めることはできない。
オルフェーヴルだって
ゴールドシップだって
ジェンティルドンナだって
刮目しなさい、これが日本のブルーモルフォだ!!!
『ブルーモルフォ堂々のレコード一着!二着のノヴェリストとの差はなんと18馬身!?最後の坂で一気に後続を突き放してさらにスピードを上げました!去年のリベンジ、打倒オルフェーヴルに燃えています!』