レイパパレ「付き合いたいとは思うけど結婚はしたくない」
アカイイト「うーん、なんだろうこの残念感。かなりモテるけど……」
マリリン「つまりは残念なイケメン。」
ユリシス「お前ら……揃いも揃って!いいもん!俺アメリカでハーレム作るもん!!(リーディングサイアー)」
ブルーモルフォ「(まあオルフェーヴルも綺麗な栗毛のイケメンだけどモテなかったしな……)」
「最初はどこ行く?」
「そうっスね……ん?」
グラウンドに人だかりができている。もしかして大きなチームがいるのだろうか?
「あの……すみません、ここって……」
「あ!二人来たよ!ちょうどよかった!」
「どういうことスか?」
顔を出したらぐいぐいと恐らく先輩であろうウマ娘に腕を掴まれ、ゲートの後ろに行かされる。
え、どゆこと……?
「ゴメン!実は新入生たちの模擬レースをしようって思ってたんだけど、あと二人病欠というか回避というか……取り敢えず二人足りなくて!」
「このままだとレース不成立になっちゃうんだ。お願いします!出てくれないかな?」
ぱちん、と手を合わせてお願いされた。
うん、別にレース一回走るくらいなら……。
「オルフェはどう?」
「アタシも別にいいですけど……でもいい走りできるかなあ。この人だかり全員トレーナーっスよね?」
「ホントだ。カノープスの南坂トレーナーにスピカの沖野トレーナー、リギルの東条トレーナーまでいるわね。」
確かに大きなチームとなると選抜レースもある。だがそれに出ない強い素質のあるウマ娘もいるから……こういう生徒が主導したイベントは見るのだろう。
「今回避って言ってましたけど、なんでですか?」
「あー……えっと、それはね?」
「大丈夫です。聞いても今さら逃げたりなんてしませんから。」
「ならいいか、どうせわかるし……。実はね、このレースあの無敗の三冠ウマ娘も参加するの。」
「……ハァ!?」
思わず口をぽかんと開けるオルフェ。私も内心かなり驚いていた。
だって新入生とのレースにそこまでの大物使う?
「もしかして、ディープインパクト先輩ですか?」
「すごい!なんでわかったの?」
「ディープインパクト先輩は走るのが大好きらしいですからね。シンボリルドルフ会長は性格上新入生とのレースに出るような人じゃない。自分との実力差を知ってるし、自分の走りに圧倒されてその後のキャリアがうまく行かなくなる……なんてこと想像しそうですし。」
実はシンボリルドルフ会長とは浅からぬ縁だ。
だから全ウマ娘の幸福を強く願ってることも知ってる。
「ハンデは貰えるんですよね?あと距離は?」
「距離は芝2000m、ハンデは……ディープインパクトは実力の四割しか出さない、らしいです。」
紙をペラペラと捲った先輩はそう答えた。
四割か、それでも圧倒できるんだろうな。
「あの、モルフォ。怖くは……ないんスか?」
「怖い?全然。ディープインパクトが終始実力の四割しか出さないのなら……勝てるよ。」
「!?!?」
舐められるのは嫌いだ、こき下ろされるのも嫌いだ。
負けるのはもっと嫌だ。
「うん……大丈夫。」
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「あら、結構速かったじゃんハーツ」
「はあっ……はあっ……モルフォが、模擬レースに出るとは本当か?」
「えぇ、かの令嬢が模擬レースに参加するからうちのトレーナーさんはわざわざ見てきてるんだよ?」
キンカメから連絡を貰って全力疾走してきた。
現役時代ならこんなに息切れすることもなかったのに……。
「その模擬レース、あのディープも出るんだろう?よく許可が下りたな……」
「四割しか出さないことが条件……ディープのトレーナーさんがかなり厳しくしつけたみたいだからね」
「それでも他を圧倒できるだろうあのバカは」
クラシックレースで全部やらかしてて完璧なレースとは程遠いのに無敗三冠とったウマ娘だ。
「ちょっと新入生たち可哀想だよね。あなたの同室……ブルーモルフォちゃんも、流石に負けるよ」
「それは、どうかな」
息をようやく整え、グラウンドのほうを見た。
可愛いあの子は、とても集中してるように思える。
その友達の……オルフェーヴルとやらはかなり緊張しているようだ。
注目を浴びているディープインパクトはいつも通り、楽しそうだ。
スタッフのウマ娘が旗を上に上げて……勢いよく下げた。
その瞬間、ゲートが開き、新入生と三冠ウマ娘がスタートする。
「あらっ……」
「まったく……あのバカは、少しはモルフォのスタート見習え」
「すごいね……問題なくスタートした他の新入生たちが出遅れて見えるくらい」
出遅れたディープ、まずまずのスタートの新入生、あまりにも完璧すぎるスタートのブルーモルフォ。
絶好のスタートをきったモルフォは、そのまま前へ。
ディープインパクトは、後方へ。
逃げをとったモルフォはそのままぐんぐん突き放していく。
「大逃げ……?」
「本来の適正は先行だろうな。あまりにも他の新入生と実力差がついてるからだな。マルゼンスキータイプだ」
モルフォの行動に驚いたものの二番手を追走するオルフェーヴル。
きらきらと目を輝かせるディープインパクト。
「あいつが終始実力の四割ってこと覚えてればいいが……」
「モルフォちゃんが他の子より断然強いから、楽しんじゃってるね」
ぐんぐんと捲っていき、その差を詰めるディープインパクト。
最終直線にいち早く入ったのは、やはりブルーモルフォ。
「どれだけ体力を残せているか……脚も持続できるか」
「そうだな……っ!?!?」
思わず、私は目を見開いた。
キンカメも、他のトレーナーも、スタッフのウマ娘も。
ブルーモルフォが、あり得ないくらい加速していた。
「嘘!?」
「ここまでの速度を出せるだけでも十分すぎるのに……まだ先があるのか……!?」
もしかしてディープインパクトから逃げきれるか、そう他のトレーナーが呟いたとき。
英雄は、来た。
いつもと同じく翔んでいる。
天駆ける英雄。
無敗の三冠ウマ娘。
深い衝撃。
「流石に捕まって……え、競り合ってる!?」
「併走グセがあるんだよな……ディープ」
そのまま抜かれずに隣をキープしてるブルーモルフォ。
なるほど、ディープは今回は全力を出せない。
だから競り合い勝負に持ち込んで……
「外から来た!」
「オルフェーヴル……!?」
外から二人まとめて差そうとする、目をギラギラとさせたオルフェーヴル。その姿はまるで暴君。
いや性格変わりすぎだろ!
「ディープ……」
「おい待てあいつ、なんか変なスイッチ入ったな!?」
完全に全力を出して抜け出そうとしてるディープ。
おいおい……。
それに追い縋るブルーモルフォとオルフェーヴル。
むしろそこまでなんで粘れてるんだお前ら。
ディープが残り100で完全に抜け出しゴールイン。
二バ身ほど離れてブルーモルフォ、アタマ差でオルフェーヴル。
「あのディープが最後は本気で走るなんて……」
「まさに新進気鋭の天才、か」
衝撃の三冠馬VS激情の三冠馬VS青い蝶の女王