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エリザベス女王杯を勝利し、有馬記念へ向けて調整していた。
「ブルーモルフォさん、ご実家のほうからお手紙です」
「ありがとうございますたづなさん」
文明の利器に頼らず、質のよさそうな封筒に青い蝋を垂らして蝶のシーリングスタンプを押してある。
相変わらず古いなあ……。
まあおしゃれだしいいか。
「どれどれ……」
どうやら親戚や両親の仕事関係の知り合い、業界関係者などを呼んで秋華賞&エリザベス女王杯制覇を祝ってパーティーを開くらしい。
主役の私は絶対参加してくれとのこと。
「日曜日か。なら授業にも出れるしいいか……問題はレース前なのにトレーナーさんから許可がもらえるかだけど」
と心配していたが……
「日曜日?別にいいよ。楽しんできな」
とあっさり言われた。
「結構いるんだよね、家が名門でパーティー開くから練習お休みしますって子。よくある。」
それでいいのか……え?私がストイックなだけ?
ちょっと拍子抜けしつつも、寛容なトレーナーさんに感謝した。
「ということで……」
久々にやってきた我が実家。
やはりというか……この大きさの家は普通じゃないんだな。
広い庭園は冬になるからか少し寂しい。
門は綺麗にいつも磨かれている。
そして玄関に着くと……
「「「おかえりなさいませ、お嬢様」」」
「ありがとう皆」
ずらっと使用人たち(一部)が並んでお辞儀をしていた。
メイドに荷物を持たせて、ドレスが仕舞い込んである部屋に行く。
パーティーは、戦場だ。
メイクで顔色を偽りドレスで権威を示す社交場。
久々すぎて……服入るかな?
「どうしよう……」
青のドレスにしようとは決めているが何せ多すぎる。
見かけないデザインのものもちらほらあるのできっと母あたりが買い足したのだろう。
女性にとって身だしなみはなにより大切。
それが己が主役となるパーティーに参加するのなら尚更。
「……決めた。これにするわ。靴とアクセサリーはこれと……これ。」
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「モルフォ、レース前なのに予定を開けてくれてありがとう」
「お父さま、私のためにこのような催しを開いてくださりありがとうございます。」
「モルフォ、私は貴女が誇らしいわ。ささ、私たちへの挨拶もほどほどにしてお客さんと話してきなさい」
「はい。お母さま。」
着飾った両親にまずは挨拶し、顔見知りの大人たちのほうへ行く。
まあこの対応は慣れたものだ。
昔から私のことを知ってるひとが多いし。
「有馬も頑張ってね、応援してるよ」
「はい、誠心誠意頑張ります」
ニコニコと人好きのするような笑みを浮かべた人たちばかりだ。
堅苦しい言葉遣いだが、皆お偉いさんなので致し方なし。
一通り挨拶周りを終えて、父のほうを見ると誰かと話している。
あれは……ハーツ先輩?いや、それにしては背が高い……一体誰だ?
じーっと見つめていると気づかれたようで目があってしまった。
恥ずかしい。
「すみません。はじめまして、ですよね。私はこの家の娘のブルーモルフォです。貴方は……」
「はじめましてで合っています。俺は叫谷響。叫ぶ谷できょうたに、と読みます。お父様とは仕事の取引相手です」
「父の、ですか。随分とお若いのですね……?」
「えぇ、何しろ学生時代に起業したもので。ブルーモルフォさんのことは妹からよく聞いています。」
「妹……まさか」
「えぇ、ハーツクライは俺の二歳下の妹です。まあよく似てると言われるし思考も似てるので双子みたいなものですが」
首をすくめた彼は確かに先輩に似ている。
中性的な容姿のハーツ先輩をさらに男らしくしたような感じだ。
「そうなのですね。私ハーツ先輩にはよくお世話になっています。」
「あいつは可愛げがなくいつも俺に突っかかってきましたがモルフォさんのことを話しているときだけ楽しそうなんですよ。」
よく電話をしているから仲が悪いわけではないのかな。
「あの、もう少しだけお話してもよろしいでしょうか?」
私にしてはかなり珍しい提案であった。
なぜだろうか、初めて会った気がしないのは。
二人きりでも安心できる相手……と思ったのだ。
「俺でよければ、外は寒いですし別室で話しましょう。」
手を差し出されたので握ると、スムーズにエスコートしてくれた。
結構場馴れしてるんだなあ……。
そこからかなり親しくなり、目上なので敬語は遣わなくていいと言って敬語は外してもらった。
私はハーツ先輩のこととか仕事のこととかをたくさん聞いてかなり楽しんだ。
「響さんって、ハーツ先輩にやっぱり似てますね。話しているときの表情とか、リアクションとか、話し方とかそっくりです」
「そんなに似てるんだな……俺はよくわからないが」
「えぇ、双子と言われても納得いきます。」
流星の形もそっくりなのだ。
これはすごい……。
初対面の男性にこれだけ親しく話せたのもハーツ先輩に似ているというのが大きいだろう。
「それにしても驚きました。まさかあのチューリップの花束をくれたのが貴方だったなんて」
「一応メッセージカードに名前は書いたはずなんだがな?まあ大方ハーツが教えなかったか隠したか……」
「なんででしょう?」
「……予想はつくが教えないぞ?」
「むう……」
紫のチューリップなんて初めて見た。チューリップといえば赤やピンクの印象だったから。
「もうそろそろお開きの時間だな。いつまでも主役を拘束してるわけにもいかない。」
「そうですね。ありがとうございました。また会ったらお話聞かせてください」
「勿論。……ちなみに質問だが、もし俺と君が初対面じゃないと言ったら、どうする?」
「えっ……。うーん、忘れてすみませんでしたって謝りますね。」
実際そうだとしたら私かなり失礼すぎない?
「モルフォらしいな。……相変わらずだ」
「え?」
「いやなんでも、忘れてくれ。じゃあ俺はこれで。有馬記念応援してる」
「ありがとうございます。頑張ります。」
蕩けるような笑顔で去っていった彼を、私は不思議な顔で見送った。
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車に乗ると、不機嫌そうな妹がなぜかいた。
「おい、なんでここにいる」
「悪いか。直接話があって来たんだよ」
脚を女の子らしくなく大胆に組むハーツにため息をついた。
「手短に。俺は明日朝早いんだ。早く家に帰って寝る」
「お前、モルフォに何をする気だ?」
自分とそっくりの瞳から冷たい視線が。
顔はまあ俺とそっくりだからいいよな、顔は。
「何もするかよ。相手は現役ウマ娘だぞ?レースに集中するべきだ」
「現役を引退したら?卒業したら?」
「……。」
「だんまり、か。ずっと思ってたが、モルフォのことを昔から知ってるなお前。」
思考も似てるからか、鋭いところがある。
はあ……
「そうだ。俺はブルーモルフォのことをそれこそお前より先に知っている。」
「何故?」
「教えるかバカ。」
妹は気づいているのだろうか。
思い出しているのだろうか。
妹は正真正銘ハーツクライだ。
だが俺も、ハーツクライである。
人間であるが、ハーツクライの魂を持ってるのは同じなのだ。
「昔から達観してるというか悟ってて気持ち悪いな……。モルフォに手を出したら許さないからな」
「安心しろ。彼女の走りに魅せられたのはお前だけじゃない。俺もだ。邪魔をする気はない」
可哀想な妹だと常々思う。
恋焦がれたハーツクライの魂を持ちながら彼女と結ばれることはないのだから。
「その言葉、違えるなよ」
「勿論。ほら門限とっくに過ぎてるぞ、送るから帰れ」
紫のチューリップの花言葉は、不滅の愛。
11本の花束の意味は、最愛。
それは生まれ変わっても世界が違くても彼女を思い続けるハーツクライにピッタリではないのだろうか。
ジャスタウェイ「父さんとモルフォ先輩は7歳差です。親子でもおかしくない年齢差なんです。……ロリコンなんですよ父さんは……。」
ゴールドシップ「それメジャー先輩やカメハメハ先輩の前でも言える?」
バリアシオン「僕の同期の女の子相手に片思いしてる父さん……」
ハーツ「ほら、恋はハリケーンっていうし」
ジャスタウェイ「ハリケーンランさんに負けたから?」
ハーツ「ジャス~?言っていいことと悪いことがあるぞ?」
ハーツ 高等部三年
モルフォ 中等部一年
兄 ハーツとは二歳差