突然だが今、私はとんでもないピンチに見舞われている。
「行ってらっしゃいませ」
「………」
自宅を出て僅か1m。玄関から1kmほど先の学校までずらりと続く人人人……
なぜか彼らは私を挟むようにして綺麗に整列している。
しかもこれがクラスに着くまで続くのだからたまったもんじゃない。
もはや恥ずかしいのを超えて呆れ返ってしまう。
それにしても彼らをこうまで突き動かすものは、いったい何なのだろうか?
ぶっちゃけ私なんかにこうまでして構う価値なんてないはずだ。
唯一あるとしたら父親が世界的な有名人だと言うくらいか。
まぁ、かと言って金貸してくれだとか、面貸してくれだとかその手の迷惑がかけられるわけではないが、何か違うベクトルでシンドイのは確かだ。
クラスに着いてみたらみたでまた大変だ。
「おはよう、お嬢! 今日もよろしくね!」
「コラッ、朝倉! 貴様、お嬢様に失礼だろ! 失礼しましたお嬢様。お加減は如何ですか?」
「あ、うん。まぁまぁだよ。桜咲さんは?」
「…感激致しました。私なんかの体調まで気にかけて頂けるなんて……ぐすっ……こんなに幸せなことはありません!」
いや大袈裟過ぎるだろ!
というかお嬢様ってなんだよ…君にとってのお嬢様は別にいるでしょ?
勝手に原作剥離させないで下さい!
「と、とりあえず皆、席に着かない? そろそろ先生来るだろうし」
まぁ先生は先生で問題なんだけどね ……
その後、渋々と言った面持ちで皆が席に着いた。それにあわせて私も席に着く。私の席はエヴァンジェリンさんの隣だ。
エヴァンジェリンさんは、いつも机に突っ伏して寝ているのだが、私が席に着くといつも肩を揺らして反応する。
もしかして本当は起きてるのかな?と思いチラッと様子を見てみるのだが、寝息がほんのり聞こえるだけでそれ以降はなんの反応もないのであまり気にしないようにしている。
…ただ割と頻繁に謎の視線と悪寒に苛まれるのは何なのだろう……
授業は無事終わった。この辺りもまた原作剥離してる気がする。
私的にはありがたいけどな〜んか皆、授業中は大人しいんだよなぁ。
トラブルなんて無用だし寧ろ有難いんだけどね。
で放課後、なんの部活動もやっていないので真っ直ぐ帰宅するわけだが、その際にもまた両隣りを人に囲まれる。
う〜む…今はまだいいがこの先、原作が開始されるわけで、ぶっちゃけ2-Aに所属している私の身の周りにはあんまり近づいていて欲しくないんだよなぁ……いっそどこか部活に入るか。
とはいえ急には決められないし…う〜む……
後は、どこか適当なとこでバイトでもできたらいいな。原作とか関係なく個人で好きに使えるお金は欲しいしね〜。
いくら実家が金持ちでも月々のお小遣いはたかが知れているのですよ。
その日の夜は、何事もなく過ぎ翌朝早速、母に部活を始めたい故を相談した。バイトに関しては、まだ先の話だ。
母は快く了承してくれたので、これでいくらか帰宅が遅れても文句は言われないだろう。
取り巻きは、知らん。もう勝手に判断してくれ。
そして放課後、私はまず部活の見学がてらお料理研究会へと足を運ぼうとしていた。その道すがら階段の上に見えたのは、大量の本を抱えているクラスメイトの一人、本屋ちゃんこと宮崎のどかの姿だった。
と、次の瞬間。
「あっ、 危ない‼︎」
「え? きゃあッ‼︎」
足を滑らせ体勢を大きく崩しながら宙に踊り出す宮崎のどか。
アラレは懸命に駆け出すが、どう考えても間に合いそうもない。
(ダメだ! もっと速く‼︎)
アラレの脚部から発生する耳をつんざくモーター音はまるでロボットそのもののようだった。
だが時すでに遅く、のどかの体は、地面から数センチのところへ落ちていた。
「風よ!」
突如、優しい風が吹き、間一髪のとこでのどかを墜落から救った。そしてアラレはそのままの勢いで彼女を抱え……
「とととと止まらないぃぃぃぃぃぃいッ‼︎」
「きゃあぁぁぁぁぁぁあッ‼︎」
二人はそのまま壁を突き破り遥か彼方まで突き進んで行くのだった。
その様子を目撃して唖然としていた一人の子供教師とクラスメイトがいたと言うが、真意の程はわからない。
魔法なんて最初からなかったんや。
こ れ は ヒ ド イ
だがこれでネギからフラグを奪い取ることに成功しました。ガールズラブ展開待ったなし!……か?