魔法先生ネギま!~おやつにアラレはいかが?~   作:あずき@

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後編です。


第8話

どうにか無事旅館に到着した一行は、各自各々の部屋へと向かっていった。

 

「は〜…やっぱりイグサの香りはいいものですね〜。ね? みんなもそう思ーーーってどうかしたの?」

 

そこにはひたすらアラレをジト目で見つめる、のどかとエヴァの姿があった。

 

「……アラレよ」

 

幽鬼の如くゆらりと立ち上がるエヴァ。

 

「な、なにかな…?」

 

するとエヴァはアラレの真ん前に立ち勢いよく両肩を叩いた。

 

「ひっ!」

 

「よくぞ……よくぞわかってくれた‼︎」

 

「………へ?」

 

「京都と言えば旅館。旅館と言えば畳。畳と言えばイグサ!

 

これ抜きでは、もはや京都を語れはしないのだ‼︎」

 

ひたすら目を輝かすエヴァは最早、明後日の方向へと意識を飛ばしてしまっているようだった。

 

「ふぅ……ところでのどかと絡繰さんはこの後、どうする? まだ入浴までには時間があるけど」

 

「私はマスターを撮影…もといお側に控えて敵の襲撃に備えます」

 

「私は少し疲れたので時間がくるまで部屋で休んでますよ」

 

「え…あ、そう。わかった。じゃあ私は……さ、散歩にでも行ってみようかしら〜〜?」

 

「いいんじゃないですか? 行ってきて」

 

ニコニコと爽やかな笑顔ののどか。

 

「そ、そう? やっぱりそうかな〜。私もそれがいいと思ってたんだよね〜。よし! じゃあ行ってくるね!」

 

「はい。もう外は暗いのでくれぐれもお気を付けて」

 

「うん。ありがとう。それじゃあバイチャ!」

 

バタンと襖が閉まると同時に室内を満たす黒い渦巻き状のオーラ。

 

その中心にはもちろん宮崎のどかが立っていた。

 

「ふふふふ……本当に気を付けて下さいね? 今宵の闇は『深い』ですから………」

 

のどかのくつくつ笑いが夜の闇に溶けていった。

 

 

 

『うぅ……やっぱり生きてる人間の方が怖いですぅ……』

 

そこには、恐怖にブルブルと震えながらそんなことを一人呟く地縛霊入りチャチャゼロ人形がいたとかいないとか。

 

 

 

 

一方、アラレはと言うと夕映達の寝泊まりする部屋の前に来ていた。

 

(来たはいいが問題はここから先……いったいどうすりゃいいってのよ⁈)

 

頭を抱えて蹲るアラレ。

 

「…部屋の前でなにやってるですか」

 

「あ……いや、違うんです! これは別になにか企んでいたわけではなくてですねーーー」

 

「そんなことわかってるですよ。長谷川さんなら今、中で一人きりです。

 

入るなら今ですよ」

 

「‼︎ はい! あの綾瀬さん…」

 

「はい?」

 

「どうしてこんなに親切にしてくれるんですか?」

 

「はい?」

 

「だってそうでしょ⁉︎ 私ってこんな見た目だし…綾瀬さんとは相容れない存在と言うか、そもそも私と綾瀬には一つも共通項がないじゃないですか!

 

……私、綾瀬さんにとって何か有意義なものをお返しできる自信がありません…」

 

「はぁ……アナタ、底無しのアホですか」

 

「うっ…」

 

「私がいつ見返りを求めましたか? 私は私の行動理念に則っているまでで、なにも他人の目を気にしたりはしません。

 

他人の視線こそが地獄とはよく言ったものですが、こと私に関しては無意味ですね。

 

アホの視線は所詮、取るに足らないものですから」

 

「お、お強いんですね」

 

「アナタがチキンなだけです」

 

「うぅ……仰有る通りです。はい…」

 

「で、いつまでそうしている気ですか? 時間は有限なのですよ?

 

わかっらホラ! さっさとする!」

 

「は、はい! 失礼しまーーー」

 

「はいどうぞ!」

 

「ギャフン!」

 

アラレの尻を蹴り、勢いよく室内へ突き飛ばすとすかさず扉を閉める夕映。

 

「ふぅ…まったく手のかかるお二人です」

 

夕映は広いおデコを手の甲で拭い去るとそのままこの場を後にした。

 

 

 

 

方や突き飛ばされたアラレはと言うと…

 

「アイタタタタタ……はっ⁉︎ 長谷川さんは…⁉︎」

 

「ここだよ」

 

突然の声に再びハッとして振り返るアラレ。

 

「よう」

 

すぐ目の前にやんわりと微笑む千雨が座っていた。

 

 

 

 

「………」

 

「………」

 

沈黙の中、時計の針が動く音だけが静かに鳴り響く。

 

(うぅ…やっぱり怒ってるかな? いきなり飛び込みで訪問するなんて…

 

あれ……? これってひょっとしなくても夜這いってことになるんじゃ……

 

マズイじゃん! あーもう‼︎ 最低だよ私‼︎ ……そりゃあ嫌われて当然だよ…」

 

「バーカ。今更そんなんで嫌いになるわけねぇつーの」

 

「へ⁉︎ マジですか⁈ ていうか私、声に出してました…?」

 

「わかってなかったのか…」と苦笑いを浮かべる千雨に対して羞恥から頭を抱えてウンウン唸るアラレ。

 

「わざわざありがとな? 私ならもう大丈夫だからさ」

 

「えっ、あ、あぁ…でもまだ安静にしてなきゃダメだよ! ほ、ほら。自分だけの…自分だけの身体じゃないわけだから…さ……」

 

それを受けて見る見る顔を真っ赤にし、ポンッと湯気を立てる千雨。

 

「う、うん。それもそうだな。うん! じゃあ今日は安静にしてようかな! な⁉︎」

 

「‼︎ う、うん! それがいいよ‼︎ それじゃあ私、『看病』するためにおしぼり持ってくるね!」

 

「おう! なるべく急げよ!」

 

で。

 

「で、ではいきます」

 

「あ、あぁ頼むよ」

 

そう言うと千雨はゆっくりと浴衣を肩から外し背中を露わにした。

 

ゴクリと唾を飲み込むアラレ。

 

「綺麗だ…」

 

「ちょっ、アラレ! 鼻息くすぐったいよ…」

 

「あ、ゴメン。でも…本当に綺麗でどうしても近くで見たくて」

 

「やんっ」

 

思わず声が出てしまう千雨。慌てて口元を抑えるがどうしても漏れ出てしまう。

 

「ふぅ…じゃあそろそろ拭くよ?」

 

千雨はコクリと小さく頷いた。

 

「まずはうなじ…」

 

「あんっ」

 

「だ、大丈夫? もしかして冷たかった?」

 

「うぅん。大丈夫…続けて?」

 

「わかった。じゃあお次は鎖骨辺りを……」

 

艶かしい濡れた女の声が満月が照らす夜空に木霊する。

 

「はぁ〜お盛んだねぇ〜。今時の中学生はけしからん限りだよ。そうは思わないかい? 朝倉の姉御」

 

「いやぁまったくその通りだねぇ。カモっち」

 

木の上に登りアラレ達のいる部屋の内部を撮影する畜生が二匹……

 

「ところでカモっち」

 

「なんだい? 朝倉の姉御」

 

「この後のマクラ投げ大会は、もうスタンバイできてるの?」

 

「くっくっく。もちのろんだぜ! 俺っちからしたらむしろそっちがメインなんだぜ?」

 

「ふふふ。さすがわたしの相棒。頼りになるね〜」

 

「あったぼ〜よ〜!」

 

「じゃあこの先もず〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っとコキ使ってあげるね?」

 

「おいおい。流石にそれはあんまりじゃねぇかい? 朝倉の姉御よ〜」

 

「へ? 私、何も言ってないよ?」

 

「は! 今更そんなこと言ったって遅い「グダグダ言ってないでそろそろ準備しなよ。 毛皮にされたいの?」…へ?」

 

カモと朝倉がゆっくり振り返るとそこには…

 

満月をバックに左右の腕を肘のところで組み枝の上に立つ、宮崎のどかの姿があった。

 

「「WAO……」」

 

「修学旅行規定その一。行動は一分一秒足りとも無駄にするなかれ。

 

その二。ありとあらゆる色恋沙汰を取り締まれ。

 

その三……全ての裏切り者に制裁を!

ギルティ! ギルティ! ギルティ! ギルティ! ギルティ! ギルティ! ギルティ! ギルティ! ギルティ! ギルティ! ギルティ! ギルティ!」

 

「「イエス! マイロード‼︎」」

 

一陣の風が吹くと同時に一人と一匹の姿が消えた。

 

「くっくっく…あ〜はっはっはっは‼︎

待っていて下さいね? アラレさん。アナタには今回の京都旅行で飛び切りの思い出を作ってさしあげますから」

 

 

 

 

「うっ」

 

「ん? どうした? アラレ。風邪か?」

 

「あ、いや。たぶん大丈夫だと思うんだけど…なにか悪寒が……」

 

「おいおい。しっかりしてくれよ。自分だけの身体じゃないんだぜ?」

 

「うん…ゴメンね?」

 

「まったく仕方ねぇな。ホラ。おいで?」

 

「! うんっ!」

 

アラレは誘われるがままに千雨の布団へと飛び込んだ。

 

「こ、コラ! あんまり乱暴にするなよ。あ、バカ! そんなとこ舐め…やんっ ちょっ、そこは弱いんだってば! あぁんっ! だからも〜〜‼︎」

 

本日8ラウンド目開始のゴングが鳴った。

 

 

 

 

 

 

所変わってネギ争奪戦の様子はと言うと…

 

至って順調にことは運び、これと言って盛り上がりもなく終わりを告げた。

 

ちなみにネギに従者はできなかった。

 

 

 

 

 

「どうしたの? 突然こんなところに呼び出したりして」

 

「うん…」

 

「のどか…?」

 

「ゴメンね」

 

「え?」

 

「騒ぎに乗じて呼び出したりなんかして。エヴァさんに聞かれたら絶対怒られるよね」

 

「へ? あはは。どうしたの? なんだからしくないよ?」

 

「私………私、アラレさんが好きよ?」

 

「え?」

 

「世界中で誰よりも好き。例えどんな苦難に満ちた未来でもアラレさんとなら乗り越えられる自信がある。それくらい好きで好きで堪らないの!」

 

「のど、か…?」

 

「でも! ……でもアラレの一番は違う。アラレにとっての一番は長谷川さんだから……

 

だから本当は好きな人のために私は手を引くべきなんだよね? わかってるんだよ? わかってるんだけど…私……」

 

「止めて…」

 

「私、やっぱりアラレのことが大好きだから! ずっとずっと大好きだから‼︎ 私…! 私……‼︎」

 

「もういい! 止めろ‼︎」

 

アラレは涙に濡れて小さくなったのどかの身体を力強く抱きしめた。

 

「お願いだから、もう私のことなんか好きにならないで。お願いだから…」

 

「無理だよ…」

 

「どうして⁉︎」

 

「だって自分の心には嘘付けないもの」

 

のどかはそう言うとニコリと微笑みを浮かべた。

 

「あ……プッ のどかって意外とバカだったんだね? 知らなかったよ」

 

「ふふ。今更知ったんですか? 私、好きな人の前では、猪突猛進で単純一途なんですよ? だから今回は頑張った方なんです。慣れない作戦なんて立てちゃったりして」

 

「まぁ、それもだいぶお粗末なもんだよね。後でエヴァにお礼言っといた方がいいよ?」

 

「え?」

 

「やっぱり気付いてなかったんだ…今、私とのどかが二人きりで会ってることだけど十中八九エヴァはわかってると思うよ?」

 

「え⁉︎ そんな! ホントに⁉︎」

 

「たぶんね〜」

 

 

 

 

「フンッ まぁ、たまにはこうして本妻の余裕というものを知らしめてやらなくてはな」

 

「流石、マスター。絵に描いたようなナイスツンデレですね」

 

「黙らんか! えぇ〜い、なんだかイライラしてきた‼︎

 

今宵は私が飽きるまで存分に巻いてくれるわ‼︎」

 

「お、おやめください。あ〜〜れ〜〜〜………」

 

 

 

 

 

「そうかぁ…エヴァさんには悪いことしちゃったなぁ……」

 

「そんな落ち込むことないよ。言ってもエヴァは、そんな些細なことで怒ったりしないし」

 

「アラレさんにとっては些細なことでも私たちにとっては違うんです! だって愛していますから!」

 

「…まだ言うの?」

 

「そりゃあ言いますとも。いつだって何度だって、それこそ誰にだって叫び続けてやります!

 

『私は則巻アラレが大好きだ』って」

 

「……私は違うよ?」

 

「知ってます」

 

「私は千雨が好き。好きで好きで仕方ないくらい大好き」

 

「それも……わかってます」

 

「私は不器用だから千雨以外のことを同時になんて好きになれやしない」

 

「えぇ」

 

「……それでも諦めないの?」

 

「諦める理由がありません」

 

「はぁ……最低だ」

 

「フフ…どうやら制裁は大成功のようですね。

 

…嫌いになりました?」

 

「う〜ん…正直微妙かなぁ〜…?」

 

「アハハ。やっぱりアラレさんてチキンでヘタレですよね。普通ここまでされたらいくら本人が目の前にいたとしても遠慮なんかしませんよ」

 

「うっ それは言わないでよ。私だってわかってるんだから」

 

「アラレさん」

 

「はい?」

 

「フッて下さい」

 

「え…」

 

「一回キチンとフッてください。そしたら私も踏ん切りが付きます。お願いします」

 

「のどか……わかった」

 

「………」

 

「私はのどかと付き合えない。だから私のこと諦めてくれ」

 

「………わかりました」

 

「今までありがとう…」

 

「? 何言ってるんですか? 私、恋人になるのは諦めましたけど、愛人候補は諦めていませんよ?」

 

「は⁉︎ 何言ってんの⁉︎」

 

「そんなの作らないって? わかってますよ? でも仕方ないじゃないですか。『大好きなんだから』

 

それに今だって既にエヴァさんが似たようなもんでしょ?」

 

どこか遠くの方から貴様と同じにするな〜、という叫び声が聞こえた気がした。

 

「そんなわけでこれからも末長くお願いしますね。旦那様♩」

 

たまらず頭を抱えるアラレなのであった。




デターーーッ! 必殺百合エロ展開『KANBYOU』だーーーーッ‼︎

汗ばんだあの子の肢体を布一枚隔ててさすりさすり……

いやぁたまりませんなぁ〜
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