???「おめでとう!」
時は放課後。
1人教室で掃除しているときに、見ず知らずの女の子か突然僕に話しかけてきたんだ。
びっくりしたよ。
それにすごい美人だし。
こんな美人…うちの高校に居ただろうか。
でもうちの制服着てないし、だとしたら先生?
それはそれで今度は若さと服装にツッコまざるを得ないが。
???「今日からあなたは仮面ライダーよ!」
こちらの衝撃などお構いなしに女の子はニコッと笑うと、こちらに黄色い箱を差し出してきた。
笑顔のまま動かない女の子。
これは…早く箱を受け取れってことか。
またアイツらが何か企んでいるのか。
この子も一枚噛んでいる?
警戒心を抱きつつ僕は持っていた座敷ほうきを置いて黄色い箱を受け取った。
これは…今開けた方が良いのだろうか。
人形のように変わらぬ表情と視線に折れ、僕は箱の蓋を開けた。
これは、なんなんだ?
箱を開けると、中には黒いバックルと白いアイテムが入ってた。
バックルに比べて小さいパーツのようなアイテム。
そしてなにかの動物かと思われるデザインが。
おそらく特徴からしてパンダだと思うけど…なにこれ?
…。
あれ。
これが一体なんなのか聞こうと視線を上げると、そこにいたはずの女の子の姿がいなかった。
たった一瞬目を離した、この隙に?
廊下に出て見てみたが、姿どころか人の気配すらなかった。
なんなんだあの子。
そう溢し視線を再び箱に落とすと箱の底に黒いカードが入ってるのに気がついた。
なんだろう。
バックルとアイテムを出して手に取る。
入っていたカードには、たった一言。
こう添えられていた。
【最後まで勝ち残った者は理想の世界を叶えられる『デザイアグランプリ』】
ーーーーーーーーーー
家に帰ってくると、僕は着替えもそこそこにカバンから箱を取り出した。
帰る途中何度か捨ててしまおうかとも思ったけど、得体の知れない物故にどうにも踏ん切りが付かず、結局うちまで持ってきてしまった。
再び蓋を開け、テーブルの上に出してみる。
バックルにアイテム。
そして黒いカード。
文が添えられている面の裏を見てみると入ってる中身について触れられている項目が載ってた。
まず。
この黒いバックルだが、これは『デザイアドライバー』という名称らしい。
そして白いアイテムは『IDコア』。
項目には名称の他、その使用方法まで掲載されていた。
その1。
まずはこの『デザイアドライバー』を腰に当てる。
『 DESIRE DRIVER 』
おお。
手順通りにお腹に当ててみると、ドライバーが発声して腰に伸びたベルトが巻きついた。
すごい。
こんな自動で伸びるベルト今まで見たことない。
それで次は?
なるほど。
その2。
巻かれたデザイアドライバーの中央にこの『コアID』をはめる。
『 ENTRY 』
IDコアがぴったり窪みにハマった。
その瞬間、意識が急に遠のき始めた。
う…なんだこれ…。
やばい。このままじゃ完全に…。
気づいたら僕は完全に意識を失ってしまってた。
ーーーーーーーーーー
あれ。
どこだここ?
徐々に視界がクリアになっていくと、自分が今いる場所に驚いた。
さっきまで居たはずなのに。
どこだここは。
視界一面の青空に僕が立っていたのは幻想的な作りの神殿だった。
しかもその神殿ははるか上空に位置しており、地上が見えなかった。
嘘だろ。宙に浮いている?
どうしてこんなところに………。
???「皆!こんにちは!」
僕の思考を遮るように、神殿の中央から女の人の声聞こえた。
近づいてみるとここには僕以外の人がいた。
年齢。性別。職業問わず。
無条件で集められたであろう人たち。
けど、たったひとつだけ共通していたのは。
皆僕と同じデザイアドライバーを巻いていることだった。
ツムリ「私はゲームナビゲーターのツムリでーす!ようこそ!デザイアグランプリへ!」
声の主を見て僕は瞬時に学校での出来事を思い出した。
あの子、突然現れてドライバーを渡してきたあの時の女の子だ。
名前を初めて聞いたけど、ツムリって名前なんだ。
なんか、変わった名前。
…ってそんなことより気になることあるでしょ。僕。
ツムリ「今、ワタシ達の世界はジャマトの脅威に晒されています。どこから来たのか、何が目的なのかわからない未知の存在、ジャマト。そのジャマトから世界の平和を守る為誕生したのが、このデザイアグランプリなのです……………」
訳のわからぬまま説明を聞いていると、ツムリは何もない場所に手を伸ばした。
するとモニターらしき映像が出現した。
息つく暇もなくそのモニターから映像が流れ始めると、再び説明を始める。
うわ…
なんだよこの怪物。
気持ち悪い。
この怪物が人々を襲ってるだって?
…なるほど。そういうこと。
ようはこれはそういう『
そう思って見てみると今自分がいる場所と状況に合点がいった。
現実世界に空に浮く神殿がある訳ないじゃないか。
ここはそういう世界観の
こっからじゃカメラがどこにあるか見えないけど、おそらく撮影してるのだろう。
そうと分かれば話は早い。
ツムリ「それでは〜デザイアグランプリを始める前に皆さんの理想の世界をお手元のデザイアカードに願いをご記入ください!」
マズイ。
他のことに気を取られ、全く説明を聞いてなかった。
気がつけば自分の手にペンと白いカードが握られているし。
何かを書くのか。
周りを見るとほぼ全員が血眼になってペンを走らせていた。
どうしよう。
まあいいか。
なんか適当に書いておこうっと。
ツムリ「皆さん書き終えたようですね。それではこれよりデザイアグランプリを開始致します!」
あまり詳細は聞いてなかったけど、これからなにか始まろうとしてるようだ。
撮影の時間、そんな掛からなければいいけど。
家にはすぐ帰れるのかな。
…でもまあ問題ないか。
父さんと母さん。
どうせ遅い時間まで帰ってこないし。