とある高校生のデザグラ体験記   作:@蛇足

2 / 8
第1ゲーム/ハタトリ

 

 

 

 

すっご。

今起きたことをありのまま話すと…

周りの景色が変わって場所を移動した。

何を言ってるかわからない?

でもほんとにそうなんだ。

まるでホログラムが解除されて現れたような、そんな感じ。

 

 

それで今飄々と生い茂った森の中に出てきたんだけど。

木々が空を覆い少しばかり薄暗い。

耳にすっと入ってくるそよ風の音。

少しばかり冷たい。

一気に現実味のある景色が広がる。

 

 

先程までいた人たちはどこに行ったのだろう。

周りに人はおらず僕1人だけ。

他に変わったことといえば着ている服が変わってること。

制服から青い迷彩柄のジャケットになっている。

見たことないデザインのジャケットだけど、右腕にあるロゴを見て理解した。

そこにはデカデカと『DGP』の刺繍があしらえられていた。

何が始まるんだ。

なんかの…ゲームか?

 

 

 

 

ツムリ『運命の第1回戦!最初のゲームは〜ハタトリゲーム!』

 

 

 

 

びっくりした!

え?上から?

ナビゲーターのツムリの声が『空』から聞こえてきたぞ。

 

 

 

ツムリ『これから皆さんにはジャマトに奪われた旗を取り返していただきます。旗の位置は皆さんのいるジャマーエリアのどこかに出現します。隠されている旗を皆さんで見つけ出してください!』

 

 

 

ハタトリゲーム。

どうやら僕らは今からハタトリゲームをやらされるらしい。

 

 

 

ツムリ『旗の場所を突き止めるにはまず参加者とペアを組むことが必要です!エリアの全貌、参加者の情報はお手元のスパイダーフォンにお送りしました!情報を頼りにジャマトに襲われぬよう、ミッションを達成してください!』

 

 

 

 

 

腰元のポーチがぶるぶると震える。

そこには蜘蛛の形を模した携帯端末が入っていた。

すごい。

これ…本物か?

これがツムリが言っていたスパイダーフォン。

起動するとゲームのタイトル画面が大きくでてきた。

ゆっくりボタンでスクロールしていくと、そこにはゲームの詳細が載っていた。

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

○第1回戦 ハタトリゲーム○

 

ジャマーエリア内にいる参加者とペアを組み、奪われた旗を取り返せ!

 

 

一、2人組のペアを作れ。ペアができたらエリア内のどこかに旗の場所が現れる。

 

二、旗のゲット条件は2人揃ってではないといけない。

 

三、ゲーム中ジャマトが出現するので、注意するべし。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

へー。

ゲームの概要まで書いてある。

他にも細かなルールが載っているがおおよそはツムリが言ってた通り。

なるほど。

クリアのためにはやはりペアを組むところから始めないと行けないようだ。

 

 

 

 

ツムリ『ゲーム中、自分たちの旗を奪われまいと奮闘するジャマトたちが出現します!気をつけて挑んで下さいね!』

 

 

 

 

ジャマトが現れるのか。

あの映像に映ってた怪物と同じってことは、当然僕らを襲いにやってくる。

こちらが旗を取ろうとしてるんだから自然っちゃ自然の反応か。

 

んー。

 

ハタトリゲーム…。

別に他にやることもないし、やってみようかな。

ゲーム概要のページを閉じて僕はマップアプリを起動した。

簡易的なマップが出てきて、現在位置を知らせるアイコンが点滅している。

そのアイコンを中心に波状に広がるサークルが出ていた。

他に何も表示されてない。

レーダーだろうか。

自分がいる場所もおおよその位置がわかるのみで細かな位置まではわからない。

多分この表示のされ方からして、ある一定の範囲に入ると反応が出てくるのだろう。

スパイダーフォンには他にもボタンがある。

何か押してみようか。

そう思って指先を他のボタンへ伸ばそうとした時、レーダーに反応が現れた。

 

 

 

♪♪♪

 

 

 

黒い鬼のようなアイコン?

これはどんな反応だろう。

参加者か?

反応が出てるってことは近くにいるってことだ。

こっから東の方角。

耳をすませば微かに物音が聞こえてくるな。

行ってみよう。

 

 

 

 

???「ジャ…ジャ…ジャ…」

 

 

 

 

⁉︎

なんだあれは。

アレがジャマトか?

あまりの驚きに咄嗟に物陰に身を隠してしまった。

もう一度…もう一度見てみよう。

フォルム。色合い。雰囲気。

間違いない。

あれはジャマトだ。

神殿で見せられたジャマトとはちょっと見た目が違うけど。

人型の怪人が動物の毛皮のような服を身に纏い、群れをなしている。

宛ら山賊みたいだ。

それにゴニョゴニョと訳のわからない音を出してコミュニケーションをとっている…。

あれじゃあまるで人間みたいじゃないか。

 

 

 

 

山賊ジャマト「ジャ…ジャ?」

 

 

 

 

背後から聞こえてくるジャマトの話し声が止まった。

僕は慌てて顔を引っ込めて口を押さえ、音が出ないように息をころした。

なんで急におとなしくなった?

立ち止まって辺りを警戒している?

まさか、見つかったのか?

まずい…!

ジャマトの気配が近づいている。

膝下に転がってるスパイダーフォンからはレーダーの反応がビンビンに鳴り始めた。

頼む!静かにしろ!

このままじゃジャマトに見つかる………!

 

 

 

 

山賊ジャマト「ジャッ!」

 

 

 

プレイヤー「くそ!見つかった!」

 

 

 

 

⁉︎

草の茂みに向かってジャマトが如意棒のような武器を突きつけた。

それは僕が隠れていた茂み……にではなく向かいの茂み。

茂みを突くと僕と同じようなデザインと色のジャケットを着た参加者が飛び出してきた。

慌てて逃げ出した参加者をジャマトの群れが追いかける。

上り坂から下り坂へ。

下り坂に入り、ジャマトの群れが参加者に追いつこうとするタイミングで、参加者の姿が見えなくなった。

そして。

 

 

 

プレイヤー「うわあーーー!」

 

 

 

 

ジャマトの群れが参加者に容赦なく襲いかかった。

ここから死角となって見えない位置から絶叫が轟く。

絶叫の中に生肉が引き裂かれる音が混じって聞こえてきた。

そして響いていた悲鳴は次第に聞こえなくなるとジャマトはこぞって立ち上がり、どこかへ去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんだよ。

なんだよあれ!

さっきから心臓の鼓動がドクドク言ってる。

自分の目に映った惨状が今も頭から離れない。

襲われるなんて聞いてない!

これはゲームだろ?

ただ相手から旗を取るだけのゲームじゃないのか!

 

 

帰りたい。

リタイアの仕方は?

くそ。どこにもない。

生きて帰るには…。

ゲームをクリアするしかないのかよ…。

 

 

 

 

 

 

 

当てもなく歩き続けてどれくらい経ったんだろう。

10分?20分くらいか?

頬を伝っていた涙はもうとっくに乾いている。

あれから今のところジャマトに遭遇することなく生き延びているけど。

レーダーに反応があったらすぐ回避して鉢合うことは避けたからな。

でも、同時に参加者に誰1人として出会うことが出来てないでいる。

レーダーに反応が出たことは一度もなし。

このままじゃ旗を取ることは出来ない。

それどころかペアを組むことすら出来ていない。

つまりそれはゲームをクリアすることが出来ないことを意味する。

 

 

…。

クリアできなかったら、どうなるんだろう。

家に帰してもらえるのかな。

まさか、このままここに閉じ込められてあの化け物のエサになる?

…そんなの絶対いやだ!

何がなんでも他の参加者を見つけてクリアしないと。

 

 

 

 

 

♪♪♪

 

 

 

 

更に彷徨うこと10分ほど。

レーダーの反応と供に近くで何かが駆け抜ける音が聞こえた。

急いで確認してみると、画面には白い丸のアイコンが。

初めて見る反応だ。

きっと他の参加者の反応に間違いない。

今度こそ人に会いたい。

この方向。アイコンの移動からして。

このまま道なりに進めば、合流する。

よし。

急いでこの人とペアを組もう!

 

 

 

 

若い男のプレイヤー「原島さん!ありましたよ旗!」

 

 

 

 

駆け出してすぐ。

目の前の茂みから、僕と同じジャケットを着た2人の参加者が飛び出してきた。

確認のためスパイダーフォンを見るとレーダーには白いアイコンの反応が2つ出ていた。

そしてレーダーでは反応が何もないところへ2人が駆け寄っていくと、先を走ってた若い男の参加者が地面に刺さっている旗を掴み取って上に掲げた。

 

 

 

 

若い男のプレイヤー「よっしゃークリアだ!」

 

 

 

 

え。

目の前でクリアされた。

ペアを組む以前にその有様をマジマジと見せつけられるなんて。

旗を掴んだ男の人はとても嬉しそうにそれを振り回している。

反対にペアである遅れてやってきたおじさんは、特にそんな様子は見られない。

むしろ機嫌が悪いのかずっと眉間に皺を寄せていた。

良いのか悪いのか。

僕に取ってはとても悪い結末となった。

またふりだしか。

僕は自分でもわかるほど肩を落として、踵を返すと改めてペア探しのために歩き出した。

 

 

 

 

 

 

暑い。

ジャケットの中からじんわり汗が滲み出している。

日も煌々と照りつけている分体力の消耗が激しいな。

あれからまた参加者との遭遇に時間がかかるのかと思っていた矢先。

スパイダーフォンのレーダーが反応した。

よし。

反応は白いアイコン。

参加者を示すアイコンだ。

レーダーを見る感じ、道から少し外れた茂みの中から反応している。

相手も僕の存在に気づいたのか、アイコンがこちらに向かってぐんぐんと近づき始めた。

 

 

少し警戒心を高めて待つこと数秒。

目の前の茂みがざわざわと揺れた。

そしてそこから人が出てきた。

見慣れた青いジャケットに腰に巻かれたベルト。

間違いなく、ゲームの参加者だ。

意外だったのは現れたのが男の人ではなく、女の人だったこと。

若くて華奢な、とても綺麗な女の人だった。

 

 

 

 

 

???「あ…よかった。見つけた」

 

 

 

 

女性はスパイダーフォンを握る手とは反対の空いた手で、ジャケットにまとわりついた葉っぱや汚れを払いのける。

見た目の印象からして僕より年上。

大人のお姉さんだ。

背丈は自分より少し低いくらい。

それに容姿だが…思わず見惚れてしまうほどの端正な顔立ちをしていた。

 

 

 

 

石崎「その服装…ゲームの参加者だよね。あっわたし、石崎 日梨(いしざきひな)です。よろしくね」

 

 

 

 

そんなことを考えていると、女性が背筋を伸ばして挨拶を交え、右手をこちらに伸ばしていることに気づいた。

僕は慌てて手を伸ばすと、動揺を悟られぬよう握手に応じる。

 

 

 

 

石崎「ゲームが始まってからずっと探してたんだよ〜。全然参加者と出会えなくてさぁ。やっと出会えてよかった。君若いね。もしかして学生さんかな?」

 

 

 

 

石崎日梨…日梨さんか。

挨拶もそこそこに自己紹介を済ませるとポケットの中のスパイダーフォンが震えた。

画面を観ると石崎さんとペア成立を知らせる通知が。

石崎さんもスパイダーフォンを確認していたため、同様の通知が届いたのだろう。

メールを開くとそこには、

『DA・PAAN & JA-CO PAIR AUTHENTICATE』の表記があった。

 

 

 

 

石崎「ダパーンとジャーコ?あっ、これがあれか。あのツムリちゃんとかいうナビゲーターが言ってたプレイヤーネーム…」

 

 

 

 

ん?

プレイヤーネーム?

そんなの与えられてるのか。

 

 

 

 

石崎「あれ?もしかして聞いてなかった?」

 

 

 

 

石崎さんは自身のスパイダーフォンを少し操作するとこちらに画面を見せてきた。

自然と近くなる距離。

すぐそばで石崎さんの一本にまとめ上げられたポニーテールがフリフリと揺れている。

そこから見える汗で濡れたうなじに、不覚にも心臓がドクンと高鳴った。

 

 

 

 

石崎「ダパーンとジャーコ。私がこの紫のジャーコっていう名前で…ほら。君には白でダパーンって名前がつけられてる。私たちだけじゃない。最初にあの場所にいた人たち全員にプレイヤーネームが与えられてるんだ」

 

 

 

 

説明をしてくれながら石崎さんが『DGP』のボタンをプッシュして開いて見せてくれたのは、『ハタトリゲーム』の参加者として登録されている、計32名のプレイヤーたちの一覧。

それぞれ参加者の名前をタップするとより詳細な情報を閲覧できる仕組みになっているようだ。

そこにはいつ撮られたのか、自分たちの顔写真まで添付されている。

動物を模した名前とIDコアに加え、専用のプレイヤー名まで与えられているのか。

 

 

 

 

石崎「これを見てライバルが今どれだけ残っているのか、これからどういった相手と戦うことになるのか知ることができる。生き残るための情報が詰まってる大切なツールなんだよ」

 

 

 

 

ん?

デザ神?

すみません。また聞き慣れない単語が。

 

 

 

 

石崎「えっ。もしかしてデザ神もわかってない?ほんとにツムリちゃんの説明聞いてなかったの?」

 

 

 

 

 

石崎さんがとても驚いたような顔をしてこちらに聞いてきた。

えーっと。

はい。

ごめんなさい。正直あのとき…ぼーっとしてました。

 

 

 

 

石崎「あっ。旗の位置がでたよ。そっちにも出た?」

 

 

 

 

石崎さんとのやり取りの中でまた新しくスパイダーフォンが振動した。

マップアプリを開くと旗の位置を知らせるアイコンが3箇所出ていた。

 

 

 

 

石崎「うわあ。どこもここから結構遠いね…。他のペアに先越されないように急ごっか。デザグラの説明も向かいながら説明してあげる」

 

 

 

石崎さんはそう言って旗をゲットすべく歩き出した。

僕は高鳴る鼓動を抑えながら石崎さんの背中を追った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

石崎「あ、今高校生なんだ。それならやっぱり私だいぶお姉さんだ。今22だから…君の6個上だもん」

 

 

 

歩き出して10分ほど。

デザグラの説明をしてもらった後、僕らはお互いのことについて話していた。

石崎さんは都内に住む私立大学の4年生。

しかも、名前だけ聞けば知らない人は有名大学の大学生。

未だ就活は終わらず内定が貰えてないらしい。

あまり詳しくないけど、4年生になっても貰えてないって遅い方なのだろうか。

どこを目指してるのかは言わなかったけど、頭いいところだしきっと有名企業に就職するつもりなのは僕でもわかった。

 

 

 

 

石崎「小さい頃からの夢なんだ。私が勤めたいところ。中学の頃からたくさん勉強して、高校もいいとこ行って、努力して入った大学ももうすぐ卒業する。苦労して手に入れた大学ブランドもこのためだけに欲しかった。でもそれも上手くいかなくて。周りの子たちは皆内定貰えてるんだ。私なんてまだまだ。書類選考の時点で落ちちゃうし。早く内定欲しくて焦ってる中でね…同じ大学の子が私も目指してる業界から採用貰ったって話聞いた時はさ…流石に悔しくて泣いちゃった」

 

 

 

 

有名大学といえども、同じような実力を保つ就活生はごまんといると石崎さんは言っていた。

ましてや石崎さんより優秀な大学出身の子もいる中でいかに個性をアピールできるか。

まるで蜘蛛の糸を掴むような希望の薄さに僕は聞いて胸が締め付けられた。

 

 

 

 

石崎「そんな時にあの子から招待されたんだ。このデザイアグランプリに。説明を聞いた時、これが最後のチャンスかもって思った。だからね?もし私がデザグラで優勝したら、内定を貰えるようにお願いしたんだ。『キー局のアナウンサーになれますように』って」

 

 

 

 

綺麗な顔立ちからは想像できないほどの石崎さんの目から覚悟の強さが見てとれた。

目標の為に努力を惜しまない。

言葉尻から、今までもそうして自分の夢を叶えるために努力して来たのだろう。

デザグラのことも細かく把握してたのも頷ける。

僕なんかよりもちゃんとしていて、ちゃんと生きている人だ。

なんだかカードに適当な願いを書いたことがとても恥ずかしく感じた。

そんな話を石崎さんとしながら旗まで残り500m地点まで来たところだった。

僕らの前に大きな壁が立ち塞がったのは。

 

 

 

 

石崎「うそ。ここまで来て行き止まり…?」

 

 

 

道に沿って歩いて来た僕らの前に大きな岩肌が聳え立っていた。

高さにして6〜7mぐらい。

普通に行こうとすればとても超えられる高さにない。

旗はこの岩肌を超えた向こう側にある。

迂回しようにも、他の通り道は見られない。

ここは諦めて、別の旗を目指すしか…。

 

 

 

 

石崎「この崖…登っていこう」

 

 

 

 

え?登っていく?

まさか本気で言ってる?

呆気に取られる僕を他所に石崎さんはゆっくり岩の窪みに手と足を這わせ、よじ登り始めた。

とても褒められた行動とは言えない。

あまりにも危険すぎる。

伝っていく姿を見ていても、いつか落ちてしまいそうなほどふらふらしてい気が気じゃない。

 

 

 

 

石崎「どうしたの!早く行くよ!」

 

 

 

 

こちらを見下ろすことなく、プルプルと腕を震わせて石崎さんは登っている。

僕は覚悟を決めて大きくため息をつくと、石崎さんの後を追って崖を登ることにした。

岩から岩へ。

登れる窪みを見つけてはゆっくりと手と足を入れ込んで着実に登って行った。

そして石崎さんに遅れること数十秒。

ほとんど同じタイミングで崖を登りきると、安堵から地面に思いっきり大の字に寝そべった。

 

 

 

 

石崎「はあ…はあ…!ああ…怖かった…!」

 

 

 

 

まったく無茶なことをするもんだ。

ある程度傾斜がある崖でほんとによかった。

もしこれがもっと直立でゴツゴツしてなかったら、きっと僕ら今頃おっこちて地面に叩きつけられていただろう。

 

 

 

 

石崎「はあ…ははっ。こんな無茶なことしたの生まれて初めてだ…」

 

 

 

 

乱れた息を整える中で石崎さんは可笑しそうに笑っている。

自分でも危険な判断したことに驚いてる様子だった。

 

 

 

 

石崎「ごめんね。まだ子供なのに…私のわがままに付き合わせちゃって」

 

 

 

 

まだヘロヘロな状態の石崎さんが立ち上がって僕に謝ってきた。

いやいや。

謝らないでください!

何も悪いことしてないです。

それに僕もう高校生ですから。

そんな守られるほど子供じゃないですし!

 

 

 

 

石崎「ふふ。わかったわかった。そんな必死にならなくても」

 

 

 

 

飛び起きて釈明したことが石崎さんのツボにハマったみたいだ。

口元を抑えて肩を揺らして笑っている。

そんな姿を見て僕はまた心臓がトクンと高鳴ったのを覚えた。

 

 

 

 

ツムリ『皆さんごきげんよう!旗取りゲーム楽しんでますか!』

 

 

 

と、そんな時だった。

上から水を差すようにツムリのアナウンスが響き渡ったのが。

 

 

 

 

石崎「びっくりした!え⁉︎何?」

 

 

ツムリ『開始してから早1時間。まだまだゲームは始まったばかりですが!なんと、もうすでに7組のペアがクリアしています!』

 

 

石崎「うそ。もうそんなにクリアしてるの?」

 

 

 

 

ウソだろ。

もうそんなにクリアしたペアが居るなんて。

こっちはペアを組むだけでも一苦労だったのに…。

 

 

 

 

ツムリ『なんと喜ばしい結果。運営としてもこれだけ楽しめて頂いて非常に気分がいい。しかし少々こちらの想定とは異なる運びとなりそうなので…。急遽追加ルールを発表いたします!』

 

 

 

 

追加ルール?

一体なんだ?

 

 

 

 

ツムリ『現時点をもってペアを組めていないプレイヤーは…残念ながらその場で脱落となります!そして!ペアを組めているプレイヤーの皆さんには今から新しく提示した旗の場所に向かって頂きます!』

 

 

 

 

ブルブルと震えたスパイダーフォン。

急いで開くと脱落となった参加者のデータが届いていた。

 

 

 

『MISSION FAILD』

 

 

 

そしてもうひとつ。

マップを開くと新しく更新された旗の位置が。

全部で3箇所。

僕らがいる場所は3箇所あるうちの北西の位置にある2箇所の中間あたり。

どこを目指すにも同じような距離の位置だ。

こんなの、また振り出しに戻ったも同然じゃないか。

 

 

 

 

ツムリ『この3つの旗がクリアする最後のものとなります!現在のペアは計8組!いったいどのペアがクリアし、脱落してしまうのか!非常に楽しみですね!ではご武運を』

 

 

 

 

さっきまで目指してた旗の場所はもうマップから消えてしまった。

クリアするためには、否が応でも新しい側の場所を目指さないといけない。

石崎さんは、ショックを受けてないだろうか。

命を顧みず、崖まで登ったというのにその努力は水の泡となった。

流石に落胆の色が出てもおかしくない。

そんな折、離れた場所にいる石崎さん僕の名前を呼んだ。

ふーっと息を吐いて立ち上がり自分の髪を結び直す。

 

 

 

 

石崎「たくさん休んで元気になったよね。それじゃあ行こうか」

 

 

 

 

結び終え石崎さんがこちらを振り返る。

こちらを見てニコッと笑った。

いや、その目は僕を見ているようで見ていない。

先を目据えた、強い意志が込められている目。

なんだ。

石崎さん、全然諦めてないじゃないか。

 

 

 

 

石崎「ん?どうかした?」

 

 

 

 

僕はそそくさと立ち上がると押さえきれない笑みを浮かべながら、不思議そうな顔をして先を歩く石崎さんの背中を追いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


○第1回戦 ハタトリゲーム○

ジャマーエリア内にいる参加者とペアを組み、旗をゲットせよ!


一、2人組のペアを作れ。ペアができたらエリア内のどこかに旗の場所が現れる。

二、旗のゲットには2人揃ってではないといけない。

三、ゲーム中ジャマトが出現するので、注意するべし。


追加ルール、新しく提示して3箇所の旗のうち1つに辿り着け。旗は早い者勝ちとなり、3つ取られた時点でゲームは終了となる。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。