とある高校生のデザグラ体験記   作:@蛇足

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『レイズバックル 変身音声 正確なセリフ』






第2ゲーム/ふらっぐでぃふぇんす 弍

 

 

 

 

ジャマーエリアへ飛ばされた場所。

今度は木漏れ日が指す森林公園だった。

そしてここからでも見える位置に聳え立つ大きな旗がジャマトから守り抜く旗。

ペナントのような形をしていて、そこには『デザイアグランプリ』の略称と思われる『DGP』という文字がプリントされている。

そして、そのふもとには。

 

 

???「あっ」

 

 

この旗を守るチームの仲間となる3人の姿が。

僕と同じ、動物を模した頭に黒い素体に身を包んだ"仮面ライダー"がいる。

その中のひとり。紫色の、犬に見える動物のモチーフの仮面ライダーがこちらに向かってやってきた。

 

 

???「もしかしたらと思ったらやっぱり!またいっしょになれたね!」

 

 

驚いた。

その声は聞き覚えのある石崎さんのものだった。

慌ててスパイダーフォンを開く。

最初に出てきたルールやスコアの稼ぎ方が記された項よりも先に、振り分けられたチームの項を確認する。

そこにはやはり石崎さんの名前があった。

石崎さんの名前以外にもチームの詳細が書かれていた。

ブラウザバックして見てみると、1番最初に目に飛び込んできたページが見える。

僕らが守る場所は東西南北4つエリアいる内の西エリアか。

その西エリアを守るチームのプレイヤーは…

 

『ムース』

『シース』

『ジャーコ』

『ダパーン』

 

驚いた。

てっきり別のチームで戦うことになると思ってたから。

まさかまた石崎さんと一緒になれるなんて。

 

 

???「漸く4人目が現れたと思ったら…アンタら顔見知りなのか」

 

 

だいぶ遠くから、腕を組んでこちらを見ているプレイヤーがいるのが見えた。

そばで嬉しそうに跳ねる石崎さんが恥ずかしそうにして離れていくのを確認しながら、その鹿の頭をした仮面ライダーの姿を捉える。

スパイダーフォンを確認する限りこのライダーは『ムース』。

あれ…ムースって確か。

ゲーム説明する時に人数に言及した、ツムリに呼ばれてた人だよな。

 

 

ジャーコ「人数揃うまで時間があったから、こっちはもう自己紹介は済ませてあるよ。君のことは私が紹介するからさ。ついてきて」

 

 

言われるがまま石崎さんに着いて行くと、石崎さんはムースとの間に立ち、名前を紹介してくれた。

 

 

ジャーコ「この方は原島裕司さん。プレイヤー名は『仮面ライダームース』。年齢は37歳なんだって」

 

ムース「年齢まで言う必要あったか?」

 

 

鹿の頭をした仮面ライダー。

仮面ライダームースこと原島裕司さんは先程からずっと腕を組んでいて、壁を作っている。

口数も少ないし、堅苦しい。

でも原島さんと対照的に石崎さんはとても親そうに話していた。

多分だけど…この一連の原島さんの情報は石崎さんの方から聞いたんだろうな。

間違いなく一方的な形で。

この人…ものすごいコミュニケーション能力の持ち主だから。

 

 

ジャーコ「しかもね。この方凄いんだよ。聞いたらびっくりするよ。原島さんね、なんとこのデザイアグランプリ、前にも出たことあるんだって!」

 

 

頭の中を稲妻が走ったような衝撃が走った。

過去にデザイアグランプリに出たことがある⁉︎

それはどういうことだ。

 

 

ムース「…たった1回だけだ。アンタは初めて見る顔だな。デザグラには初参加か」

 

ジャーコ「え?んー…まあ」

 

ムース「そうか。…最初に言っておく。俺はあんたらと馴れ合うつもりはない。理想の世界を叶えるため、俺は何がなんでも勝ち抜くつもりだ。例え相手が若い女やガキでも容赦はしない」

 

ジャーコ「な、なにもそんな敵視しなくても。仲良くやりましょうよ。ね?」

 

ムース「みんなで仲良くお手てを繋いで理想の世界が叶うなら、そうしても良かったんだがな。命懸けの戦いの果てにあるデザ神の椅子は生憎たったひとつしかない」

 

 

再度、仲良くするつもりないと意思表示をするように組んだ腕に力を入れ、原島さんは背を向けた。

 

 

ジャーコ「え、えーっと…チームは4人で構成されるんですよね?最後の1人早く来ないかなー…ははっ」

 

 

雰囲気を変えようとした石崎さんの努力を原島さんは容赦なく切り捨てる。

 

 

ムース「人数ならとっくに揃っているぞ。最後の1人はほら。あそこだ」

 

 

ムースが顎でしゃくるその先は屋久島にありそうな立派に聳え立つ大木が。

その枝の部分。

目を細めて見上げてみると、そこには4人目のメンバーと思われる仮面ライダーが引っかかっていた。

 

 

???「…オーイ! ダレカー! コッカラオロシテェー!」

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

???「うわー……………ーー!!! 痛え!」

 

ジャーコ「原島さん…容赦ないですね」

 

ムース「…ふん。」

 

 

太くて高い木から、最後のメンバーである『シース』が落ちてきた。

僕と石崎さんがどうにかこうにか、ツルツルの木を登っておろそうと画策していたところへ、剛を煮やした原島さんが大木に向かって豪快に回し蹴りを繰り出したのだ。

その衝撃で、シースは地面に叩きつけられ、今目の前で頭を抑えて悶えている。

暫くして痛みがひいてきたのか、シースは両腕を腰で支えながらやっと上体を起こした。

 

 

シース「あたたた…。いや〜ごめんごめん。助かったわ〜!」

 

ジャーコ「びっくりしましたよ。まさかあんな高いところに引っかかってるなんて」

 

 

石崎さんが手を伸ばして立ち上がる補助を行う。

声色からして若そうだ。

多分だけど石崎さんと僕の間くらいか。

なんだかチャラいというか、軽い口調だけど。

大学生だろうか。

 

 

シース「え?君まさか女の子?すげー!感激!あそこにいた人で女の人は1人だけだから…あのめちゃくちゃ可愛い子か」

 

ジャーコ「は…はあ…?」

 

シース「ゔゔん!俺!牧野陽介!21歳の大学2年生で、趣味は雪国出身なんでウィンタースポーツ!特技っつう特技は…まぁ友達かすぐできることっスかね。ちなみにデザ神になって叶えたい理想の世界は、『沢山呑んでも潰れない最強の身体になってる世界』です!よろしく!」

 

 

僕や原島さんに目もくれず、咳払いをして片手で握っていた石崎さんの手を両手で握り返す。

たじろぐ石崎さんのことを気にすることなく、シースは意気揚々と自己紹介を行った。

僕や原島さんには目もくれず、石崎さんにだけ自己紹介とは。

なんだかこの人…いけ好かない。

石崎さんとの距離も近いし馴れ馴れしいし。

…非常に不愉快だ。

 

 

ジャーコ「よ、よろしくね。牧野くん」

 

シース「おねーさん名前は?」

 

ジャーコ「私は石崎日梨です。同じチームの仲間としてよろしくお願いします。この茶色い鹿さんは原島裕司さん。そして隣のパンダさんが…」

 

シース「あー、いいよいいよおねーさんだけで。俺、人の名前覚えるの苦手だからさ」

 

 

この牧野という男の印象がさらに悪くなったそんな時だった。

突然天の声なるツムリの声が『上』から響き渡るように聞こえてきた。

 

 

ツムリ『皆さんお待たせいたしましたー!』

 

ジャーコ「うわ!もうまた!」

 

ツムリ『無事、全プレイヤーのチーム登録と準備が整いました!それではデザイアグランプリ第2回戦!【フラッグディフェンスゲーム】を開始します!』

 

 

色々起こったが、これでようやく第2回戦のフラッグディフェンスゲームが始まるようだ。

ここからは命懸け。

前回は投げるだけだったが、今回は襲いかかるジャマトの前に立ち、向かい討たなくてはいけない。

 

 

シース「あーあ。あのツムリちゃんっていう可愛い子もナビゲーターじゃなければなー。仲良く出来たのに…」

 

ムース「おい若いの。グズグズするな。ゲームはもう始まった。ずっとその調子でいても構わんが、足だけは引っ張るなよ。ここからはいつどこからジャマトが襲ってくるかわからないからな」

 

シース「ちっ。たかがゲーム如きにさあ…いい大人がムキになっちゃって。大人気ないというか、なんかこういう熱い感じ見ると冷めません?石崎さん」

 

 

これから戦いが控えるというのに。

緊張感がない牧野さんはこんな時にまで石崎さんとの距離を縮めようとしている。

 

 

ジャーコ「え…まあ。…ははっ」

 

ムース「…。どんなやつでも今は共同戦線を張らなければならない…か」

 

 

独り言のように漏らす原島さんはベルトに取り付けられたホルダーに掛けていたレイズバックルを取り出した。

原島さんが持っているレイズバックルは僕らが持っているのとは形が違かった。

でも色合いだけは石崎さんのものと同じように見えた。

 

 

ムース「勝ち残るためには仕方ない。ひとつ教えといてやる!バックルの使い方だ」

 

ジャマト「ジャマ…ジャマジャマ…」

 

 

茂みの奥から怪物の影と鳴き声が聞こえてきた。

もう既にジャマトが旗を奪いにやってきているようだ。

 

 

ムース「ちょうどいい…いいか?1度しかやらないからよーく見とけ」

 

 

原島さんはジャマトの気配のする方へ身体を向き直すと、そのバックルをデザイアドライバーの右側にセットした。

 

 

デザイアドライバー(ムース)『SET』

 

ムース「変身」

 

 

デザイアドライバーから認識音声が鳴り、待機音が流れる。

原島さんは掛け声をかけると外側に向いているバックルの摘みを捻った。

ギミックが作動し紫色のバックルが上下に展開する。

 

 

デザイアドライバー(ムース)『(Growl!Clash Out!) ZOMBIE…!(uraaaah…!) READY…FIGHT』

 

 

ムース「ぐっ…」

 

 

紫色のアーマーが原島さんの上半身真横に出現した。

そしてそれが横にスライドされて原島さんの身体を覆う。

先程まで軽装だった黒い素体の上半身が、刺刺した重そうなアーマー姿へと変わる。

スパイダーフォンを開いて見ると原島さんの状態を示す表示が更新されていた。

 

『KAMEN RIDER MOOSE / ZOMBIE FORM』

 

これが今のムースの状態。

変身を終えた原島さんはアーマーと一緒に出現した武器を肩に担ぎながら、首だけをこちらに回して振り向いた。

 

 

ムース「ふう…。まあ、ざっとこんな感じだ。おまえらも早く装備しろ」

 

 

石崎さんと牧野さんが小さなレイズバックルを取り出すのを見て、僕もまた紺色のレイズバックルを取り出した。

 

 

ジャーコ「で、でも私、戦いなんて」

 

ムース「そんなのどうってことねえ。戦えば嫌でも身体が覚える」

 

ジャーコ「…。」

 

シース「大丈夫っスよ日梨さん。なんかあったら俺が助けに駆けつけますから。ね?」

 

 

こんな時にでも、胡散臭い牧野さんの言葉でも多少なりとも彼女の励みになったようだ。

石崎さんは力なく首を縦に振ると、僕らはレイズバックルをドライバーにセットした。

 

 

デザイアドライバー(ジャーコ)『SET』

 

デザイアドライバー(シース)『SET』

 

デザイアドライバー(ダパーン)『SET』

 

 

石崎さんは紫色のバックル。

牧野さんは水色のバックル。

そして僕は紺色バックル。

石崎さんのは小さな刀がデザインされたバックルで、牧野さんのは水道の蛇口がデザインされていた。

そして僕は盾。

僕たちはそれぞれレイズバックルのギミックを発動させた。

 

 

デザイアドライバー(ジャーコ)『ARMED DAGGER. READY…FIGHT』

 

デザイアドライバー(シース)『ARMED WATER. READY…FIGHT』

 

デザイアドライバー(ダパーン)『ARMED SHIELD. READY…FIGHT』

 

 

三者三様の音声が流れ、姿が変わった。

これで皆変身完了。

しかしその見た目は原島さんのそれと大きく異なっていた。

僕らの装甲は右胸と右肩に小さなアーマーがついただけ。

それ以外は各々異なる小さな武器を待つだけの、紫のアーマーと比べてとても質素な変化だった。

 

 

ムース「ダガーにウォーターと…シールドか。チッ。ハズレばかりじゃねえか…。ツムリめ、わざとこのバックルを持つプレイヤーたちとあてがったな…」

 

シース「うお!変わった!なんだこれ。水鉄砲…いや水道管か?」

 

ジャーコ「私は…ナイフだ。でもこんな短いナイフで戦えるかな」

 

 

僕は青い盾。

なかなか大きなサイズをしていて、重量感もある。

けれど、本物はおろかこんなサイズ、おもちゃのですら触ったことがない。

 

 

山賊ジャマト「ジャ!ジャ!」

 

ムース「おい。構えろ。来るぞ」

 

 

周りの茂みが揺らめきが先ほどより大きくなっている。

鳴き声も数も増してきていた。

こちら側…旗を狙う多くのジャマトの視線を感じられた。

 

 

ムース「それぞれ四方に散れ。お互い背中は預けるとして、目の前の敵に集中する。行くぞ!」

 

山賊ジャマトの群れ「ジャー!!!」

 

シース「き…来た!」

 

 

旗を囲むようにして生い茂る草木から山賊ジャマトが大量に現れた。

もうしのごの言ってられない。

僕は手に持つシールドを構えて、ジャマトの仕掛けてくる攻撃に備えた。

 

 

ムース「よし。行くぞ!」

 

 

原島さんの掛け声で僕たちは身構える。

そして各々現れるジャマトに向かって一斉に走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 






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