【完結】愛慾のヒーローもどき   作:土屋 四方

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番外 AFOの雑考2

 個性婚に反対する者からしてみれば、“個性”を強くするための結婚など以ての外なのだろう。

 

 『それでは人が“個性”の奴隷のようだ』とか。

 『一体“個性”をなんだと思っているんだ』とか。

 

 そういった言葉で考えを改めさせようとする。

 

 AFOからしてみれば呑気に過ぎる話である。“個性”を強くする手段は限られるのだから、情も道も捨ててそうすれば良いものをと。

 しかしそのような愚かな態度にも説明は付くかも知れない。

 世の中に強力な“個性”が現れればそれを称えるにせよ畏れるにせよ誰もが意識を取られる。人の無意識は強すぎる力を歓迎していないのかも知れない。安全を求めること自体は生物として自然なことだろう。

 

 ──もっとも、安全を求めるなら最上の選択肢は自分に頭を垂れることだが。

 “個性”をどうしようがそのために子を()そうが、いずれも極めて些細な差に過ぎない。

 

 “個性”とは。

 支配に用いる武器、ないしは鎖。王威の象徴でもある。『AFOにとっては』そういうものだ。

 

 しかし誰でもそうではあるまい。

 ではもっと一般的・客観的な意味では?

 

 仮に問う者があれば、魔王の答えは『実体のない寄生虫のようなもの』。ただし、実際にそんな問答が交わされることはなかった。

 

 

────

 

 

 超常黎明期の“個性”は、今より遥かに多種多様で──中には極めて破滅的なものも存在した。

 “個性”を奪い与える【オール・フォー・ワン】は“個性”を持つ人間相手なら極めて優位に立てる。そういった絶対的な超常性が他の方向に特化した“個性”は、比喩でなく島を引き裂き天候を操り地軸を捻じ曲げた。

 ほんの数名がそのつもりで力を合わせれば、地球を死の惑星に変えることさえ難なく実現しただろう。それを(そこまでのものはごく少数とはいえ)個人が好き勝手に振るっていたのだから、今も滅んでいない人類の悪運は中々のものと言えよう。

 逆に何の使い道もないような“個性”、使えば本人が確実に死亡するような“個性”なども──かつてはそれなりに見かけたものだ。

 

 強弱のいずれにせよ、そのような『尖った“個性”』はぐっと珍しくなった。

 これは何故だろうか? AFOは戯れにその理由を思案してみる。

 

 『“個性”の側も、地球や人類に滅びてもらっては困るから』と考えればどうだろう。『生かさず殺さず、今の関係を続けたいのだ』と。言ってみればこの寄生体は、人類の弱さや脆さに合わせて弱体化したのではないか。

 辻褄は合う。

 

 そのような想像を踏まえて、AFOは“個性”を『実体のない寄生虫』に(たと)える──あくまで暇潰しの、個人的な雑考の中でのみ。

 

 




※早めのお知らせ※
 以前にも書きましたが、本作ではUSJ編以降オリジナル色が非常に強くなります。どうぞ心のご用意を。

 次話……あ、次話も戦闘訓練の日の夜でした。
 夜の話は大事ですからね。仕方ないね。
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