【完結】愛慾のヒーローもどき   作:土屋 四方

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 カリナ様は理解(わか)らせたい


兵怜カリナ:プルスウルトラ!!

 今更だけど、私の“個性”は以前から謎だらけといえた。

 被身子が保須から帰った後の件で色々と分かったものの、だとするとお茶子だけが分からない。

 ──いやだって、やっぱり〔嘔吐(エメト)嗜癖(フィリア)〕なんて“技能”とは違う気がするから。あれは普通にお茶子の性癖(ヘキ)なんじゃないかな。お茶子だし。

 

 透が〔不透膜(インパーミー)〕を使い始めたタイミングは、私が目を覚ました直後じゃなくて体育祭が済んでからだった。恐らく私の因子なら何でも良いわけじゃなくて、〔ベクトル透過〕を作った後のソレが必要だったんだろう。

 でもそれならお茶子だってたくさん取り込んでるはずなのだ。むしろお茶子の方が透より多い。かなり多い。

 四人の中では一番淡白なのが透で*1 、その逆に君臨するのがお茶子だ*2

 どうしてお茶子にだけ目立った影響が無いのか、ずっと不思議だったんだけど。

 

 ──ところが期末試験の直前になって、お茶子は()()()()()()()()()()()

 時間が無いからざっとだけど、手早く確認してみた結果。

 

「透さんの〔不透膜〕同様、【無重力(もとのこせい)】の応用といった風ではありませんわよね?」

「そうだね、それに割とすぐ使えなくなったから……皆と同じで、私の因子を消費してるんだと思う」

 

 ここまでは良い。確実とは言えないけどたぶん“技能”なんだろう。

 効果については──時間をかけて探らないと細かい部分がはっきりしないのはこれまで通りだから、諸々の不明点からはひとまず目を逸らすとして。

 

 それ以外に大きな疑問符が残るんだよね。『もっと早くに使えててもいいはずじゃないか』、という。

 

「なんで今なんですかね?」

「この前の『お仕置き』ってヤツじゃないの?」

 

 これまでやらなかった新しいことなんて候補はひとつしか思いつかない。透の挙げた、先日の『お仕置き』だ。

 いやまぁ、ダメ元でやってはみたものの予想通りお仕置きにはならなかったんだけど。

 

「意識が無い間のことをお仕置き()われてもなぁ」

「意識があってもお仕置きにならないじゃん……」

 

 先日の私に対する緊縛と責めは、被身子と百が『やり過ぎ』と判定した。お茶子もそれを認めた。

 当事者である私の弁護がスルーされたのはどうも納得がいかないが*3

 

 ともかく何かお仕置きが要るだろうと頭をヒネった結果がいわゆる睡姦プレイ。つまりお茶子の寝てる間に──予め同意の下で──アレコレ悪戯しておいて、目を覚ました後はしばらく構ってあげないような流れだ。

 といっても、寝てる間のことは覚えてなくて当たり前だし起きた後の無視(ほうち)もご褒美にしかならないし、やってる最中もその結果にもお仕置き感はゼロだった。

 

 私は楽しかったけどね、合意ありで無抵抗の相手なんて背徳感あるし。お茶子って起きてる時はどんどん昂ぶっていくからじっくりまったりのんびりな楽しみ方は新鮮だったし。

 でもあれの何がお茶子に変化をもたらしたんだろう……?

 

 謎。不明。迷宮入り──かと思いきや。

 

「…………確かめるのは難しいですが、仮説はございます」

「え、教えて。今回は何も思いつかない」

 

 考えた末に呟いた百に視線が集まる。ちなみにお茶子自身も全く心当たりがないようで興味津々。

 ──だけど百はひどく言いにくそうで、というか言えなくて、私に耳を貸せとジェスチャーしてくる。なんだろ、もちろん耳くらい貸すけれど。

 

「(あの……ですね。お茶子さん、流石に寝ておられる際は大人しかったでしょう?)」

 

 そりゃまぁ確かに。お茶子は起きてるといつも激しいもんね。

 

「(いえ、そういう能動的な動きの話ではなく……身体の反射と言いますか、その、()()()の話です)」

「んん?」

 

 ぶんぴつ、ぶつ。

 ……あー。頸管粘液とかバルトリン腺液とかスキーン腺液とか?*4

 

「(確かにお茶子はめちゃくちゃ多い方だね……?)」

「(はい。そのせいでカリナさんの因子が()()()()しまっていた可能性は?)」

 

 お、おう……。そんな可能性は考えもしなかった──でも、うんまぁ言われてみれば。

 あの『お仕置き』の時は全然濡れてなかった(当たり前だ)から、『私の因子がお茶子の子宮(そこ)に入ること』が条件だとすれば達成はしやすかっただろう。

 ……辻褄は合う。合ってしまう。

 

「はっきりしたことは調べなきゃ分かんないけど……」

「説明はつきそうな感じなんです?」

「んー、うん。今分かってることと矛盾はしない……と思う」

 

 被身子の問いに頷き返すと、彼女はあっさり続けた。

 

「ならそれを続ければお茶子ちゃんも練習できますね」

「私がんばるねヒミ様!」

 

 ……科学的な見地で言うなら、上手くいくパターンばかりじゃなく失敗しそうなパターンこそ試すべきなんだけどね。でもこの場合は被身子が正しいかも。

 

 百が言葉を濁した内容を暴かずに済むし……そもそも百がこうして説明を伏せたならそれだけの理由があるはずだって、被身子は考えたんじゃないかな。

 この場合、お茶子の体質的なところがそれだ。

 

 身体の特徴って──分かりやすいのは胸の大きさとか、髪の色でもお腹周りでもそうだけど──事実だろうと正面から指摘されたくないことが多いから。まして『汁気(おつゆ)が多い』なんて尚更でしょ。

 だからまぁ、はっきりさせない方が良いかなぁとは思いつつ。

 

「あれ? じゃあ私寝てる時しかえっちしてもらえんくなるの?」

「そんなことしませんよぅ」

「ヒミ様……!!」

 

 お茶子をよしよしと撫でる被身子と視線を交わして頷き合う。うんうん、“そんなこと(我慢させようとしたってどうせ無駄なので)しませんよぅ”ね。分かるわー。

 

 

 

 ……ところで、だ。

 百との検証を経て(その後お父さんとも赤裸々な討議をして)私の因子は彼女らの子宮へ上っていくものと推測されている。

 改めてエロいと思う。変態(ドスケベ)かよ【自己再誕】。さすが私の“個性”だな。

 

 でもそうするとさ、この件ってつまり。

 

 

ざーこ♡ ざーこ♡ よわよわ因子♡♡ 私のおつゆなんかに負けちゃって(なっさ)けな〜い♡♡♡

 

 

──ってことだよね!!?*5 馬鹿にしてくれるじゃないか……!!!

 

 

 私は固く決意した。成長せねばと。意識のあるつゆだくお茶子にも因子を打ち込めるようになってみせると。

 

 そう、これぞプルスウルトラの誓いである。

 私も雄英生らしくなったものだなぁ*6

 

*1
相対評価

*2
絶対評価

*3
まだ引き返せるので痛みを悦ぶのはやめておけという愛だというのに……

*4
俗にいう愛液である

*5
幻聴

*6
先輩方に申し訳ないとは思わんのか!?




 ※カリナはふざけていません。

 “(個性)因子”という言葉の使い方につき、本編とは関係の薄い裏設定のようなものを活動報告に投稿しました。

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