最強()オレっ子TS魔法少女〜全ての魔法少女を潰し、オレが最強になる!〜   作:布団から出られない

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殴ると色々と痛い

 

 

「やあ、0号。少し話したいんだけど、いいかな」

 

「0号じゃなくてぜろちゃんな」

 

普通に魔獣で肉漁りしてたら、海賊姿の少女に声をかけられた件。

ていうか、オレのことを0号って呼んでる時点で、オレの出自について知ってるってことだよな。ま、西條吹雪でもない限り、オレが遅れを取ることはない。

 

適当に話して、敵っぽかったら適当に逃げれば良い。

 

「この写真、見てくれるかな?」

 

そう言って海賊服姿の少女は、オレに一つの写真を見せてくる。

いや、まず自己紹介しろよ、と思うのはオレだけだろうか。

 

人探しとかで声をかけたわけじゃないだろうし。相手がオレのことを一方的に知ってるっていうのは落ち着かないな。勿論、最強になったらそんな状況は当然のように湧いてくるんだろうが、それとこれとは話は別だ。

 

で、肝心の写真の方だが……。

 

 

 

 

うーん。こまたな。

 

写真に写っているのは、オレがよく魔獣の肉をわけにいってるホームレスの男の人達だ。彼らはロープで縛られており、まあ、要は人質ってところだろうか。

 

大方、研究所から脱走したオレこと0号の身柄を拘束するためにやって来た研究所の回し者ってところだろう。

 

こいつら本当クズだよなぁ。

オレ以外にも、1号と2号がいるらしいが、2号の捕まえ方は本当に酷かったっぽい。

 

性格良い陽キャの魔法少女の子に声かけて、『2号って子ちょっと拗らせてるみたいだから仲良くしてね。できれば研究所に連れて来てくれると嬉しいな』ってな感じで2号を半分騙す形で捕獲したらしい。

 

このエピソードは、オレが他の魔法少女と馴れ合わない理由の一つにもなっている。

 

「で? この写真をオレに見せて、どうしたいわけ?」

 

「ふーん。意外と冷静なんだ? でも、良いのかな〜。あんまり反抗的な態度取ると、この人達、どうなっても知らないよ?」

 

なんだこのメスガキ。

海賊っぽい服装してる癖に、めっちゃハートマーク付けて話してそうな喋り方なんだが。海賊ならもっとワイルドに行こうぜ。もっとこう、野郎ども!いくぞぉ!みたいな感じとか、もしくは、姉御!って感じで、めっちゃ頼れそうな感じのやつ。

 

やばい、語彙力がないな。

0なのはオレの識別番号じゃなくて、語彙だったってか、がはは……。

 

どうも、頭の中がぜろちゃんです♪

 

いや、笑えないよ……。

 

 

くっ、おのれ海賊ガール! お前のせいで、オレが馬鹿であるということを自覚してしまったじゃないか!! これは、ユルセン!

 

 

よし、ぶちのめすか。

 

「ていっ!」

 

オレはグーパンで海賊少女の顔面をぶん殴る。「ていっ!」の割には攻撃力高くない?うん、オレも思った。

女の子の顔に暴力を振るうのはいけない?人質取るようなやつだぞ。そんな悠長なこと言ってられるか。

 

それに、オレはそもそも法律に縛られるような人間じゃない。まあ脱獄犯だし?そのうち最強の魔法少女になる予定だし?

 

まあ………はい、流石にオレもやり過ぎたと思ってます。

いくらなんでも八つ当たりがすぎる……。

 

そもそも、この子自体上に命令されてやってるだけだろうし、そんな子に暴力振るうなんてもしやクズなのでは…?

 

ご、ごめんね………?

 

「っ痛!! な、生意気な、自分の立場もわかってないみたいだね、いいよ、そっちがその気なら」

 

「別に好きにすれば? だってオレ、別にそいつらのこと気にかけてるわけじゃないし」

 

まあ、ここで折れちゃいけない。あくまでもこちらは人質を取られた側。心の中では謝っていても、ここで引いてしまえば、相手に主導権を握られてしまう。

だから、申し訳ないけど殴ったことについて謝ることはできない。

 

うっ、今更ながら罪悪感が………。

 

「は、はぁ…? じゃ、じゃあ何で魔獣の肉分け与えたりしてるのって話に……」

 

「え? オレの自尊心を満たすためだけど?」

 

「は?」

 

「オレが魔獣の肉を分け与えてるわけだから、オレの方が立場は上なわけじゃん? あいつらはオレより下。オレのが上。この事実が、オレに多大な自尊心を与えてくれるんだよね。だから分けてるんだよ、魔獣の肉。別に魔獣の肉分け与えれるんだったら誰でも良いわけ。オレにとっちゃね。だからいいよ。好きにしたら?」

 

「このっ……クズが…!」

 

「それはお互い様だろ」

 

オレの発言に、海賊服の少女はドン引きしたかのような表情をする。

まあ、そりゃそうだろう。オレだってこんな奴がいたらドン引きする。でも実際オレってこういう人間なんだよな。基本クズなんだよ。最強になりたいっていうのも、他人より上に立ちたい、優越を味わいたいっていう感情からだし。

 

あ、やべ。自分がクズだって自覚したら、目から汗が…‥。

 

まあ、確かにオレが自尊心を満たすために魔獣の肉を分け与えているのは事実なんだが。だが別に、それが全てってわけじゃない。

 

魔獣の肉を分け与えれれば誰でも良いって言ってるが、ぶっちゃけオレはあいつら以外に魔獣の肉を分け与えるつもりはない。

 

認めるのはなんだか癪なんだが、確かにオレはあいつらのこと好きだ。人質に取られたってわかった時、ぶっちゃけビビった。なんならちょっと漏れそうになった。

 

じゃあなんで煽るようなこと言ったんだって? そりゃ……。

 

「ふふっ、まあいい。人質が有効じゃないなら、実力でわからせればいいだけのこと……!」

 

海賊少女が、オレに向かって魔法を向けようとする。

 

ま、無駄なんだけどね。

 

海賊少女の動きは、急に止まる。

まるで、凍ってしまったかのように。

 

「時間停止、便利すぎる」

 

そう、オレは時間停止が使える。

つってもこれ、寿命削るから普通に多用しない方がいいんだけどね。

 

時間停止については、結構議論されてて、時間停止したら息ができないぞ、とか、動けるのはおかしいとか、色々あるみたいだけど、オレはよく知らない。

 

少なくともオレの時間停止は、オレ自身は息できるし、物体の破壊もできるし、移動だってできる。

 

ザ・魔法って感じだな。

 

まあ、この能力があるから、オレは海賊っ子を煽ったわけだ。

人質取られてても時間停止で助けれれば良いよね理論だ。

 

それに、オレがクズであることをアピールすることによって、人質作戦は完全に無意味であることを向こうに知らしめるって意図もある。

何度も人質に取られてちゃたまらないからな。

 

ちなみに、研究所の破壊も時間停止によるものだ。

 

え? どうやって時間停止で研究所を破壊するんだって?

 

そりゃもう。

 

鉄パイプ持って研究所を片っ端からぶん殴るだけですよ。

何度も何度も叩けば、いくら頑丈な機械でもいつかは壊れるでしょ? 

つまりそういうこと。

 

魔獣を倒すときも、ちょっとした刃物とか鈍器持ってボコスカ殴ってますよ、ええ。

ちなみに、魔獣は皮膚を魔力で覆っているから、並の武器じゃ本来なら倒すことなんてできない。たとえ銃でも、何十発か撃たないといけない。

 

だから、オレは毎回魔獣を倒すとき、何百回何千回何万回と殴ってやっとこさ倒している。毎回倒した後はゼェゼェ息吐いてるんだけど、そういう姿見られるの恥ずかしいから息整うまで時間停止続行させてるんだよね。めっちゃ無駄な使い方してるね、うん。

 

一応、時間停止なくても魔法少女として戦えはするんだけどね。

え? 時間停止なしならランクどれくらいだって?

 

ま、まあCくらいはあるんじゃないかな?うん。

 

……嘘です、実際は多分D………しかもどっちかといえばEに近い部類の。

 

な、なんだよ。い、いいもん!! オレには時間停止があるもん!!

時間停止があったら、Sランクいけるもん!!

 

と、まあそんなわけで。

 

「じゃあな、海賊ガール」

 

オレは時間停止を維持したまま、その場を去る。ぶっちゃけ殴っちゃったのに謝れてないのまだ引きずってる。本当は謝りたいごめんね海賊ガールちゃん。

 

で、でも、オレも男だ! いや、今は女だけど。

うん。一度やると決めたことはやり通す。で、でももう一回謝らせて。ご、ごめんね……?

 

 

 

 

 

 

あ、囚われてる人質のあいつらを助け出すのも忘れないようにしないとな。


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