最強()オレっ子TS魔法少女〜全ての魔法少女を潰し、オレが最強になる!〜   作:布団から出られない

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べ、別に仲間が欲しいとか思ってないんだからね!

「あはは〜。逃げ回るだけじゃ私は倒せませんよ〜」

 

空中に浮いている水玉、それが美澄の攻撃手段らしい。『時間停止』が使えない以上、オレはこうして無様に逃げ回ることしかできないんだけど……。クソッ、『時間停止』さえあれば……。

 

ん? でもよくよく考えてみたら、オレって『時間停止』ありでも魔法少女とまともに戦闘したことなくね?

 

いや、だってさぁ……。他の魔法少女と戦おうとすると決まって西條吹雪がでしゃばってくるんだもん。そんなの逃げるしかなくね? だって最強だよ? 唯一のSSランクの魔法少女だよ? 敵うわけないじゃーん? 

いや、当然? オレはいつか西條吹雪のことをボコボコにできるくらい強くなる予定ではあるけどさ。いやでも、ほら、戦略的撤退っていうかぁ。ま、まぁ? 時期じゃないよねって。

 

そう、つまり、オレは魔法少女との戦闘の仕方が、一切分からない。セオリーとか、そんなものがあるなら今すぐに教えてほしいくらいだ。

 

うっ、オレはなんて無力なんだ……。ぜろちゃんは実力もぜろちゃんだったのだ……。

 

「逃げ足だけは早いみたいですね。やっぱり、西條吹雪に匹敵する実力って嘘っぱちだったんですかぁ〜? あーあ。せっかく本気でやり合えると思ったのに〜」

 

く、クソ〜! ば、馬鹿にしやがって……! お、オレだってなぁ! じ、時間停止さえあればお前のことなんていつだって……。

 

ん、待てよ?

 

あいつ(美澄)の『無効詠唱(ヴォイドシンフォニー)』って、常に発動してるのか?

だとしたら、魔力消費量って大変なことになるだろう。そもそも、オレの『時間停止』を掻き消すだけの魔力って考えたら、そんじょそこらの魔法少女じゃカバーできないほどの量になる。

 

じゃあ、常に発動させてるわけじゃないんじゃね?

つまり、オレが『時間停止』を使おうとしたタイミングで『無効詠唱(ヴォイドシンフォニー)』を発動させてたってことになる。

 

いや、そんなに都合よく発動できるものか?

言っておくが、オレの『時間停止』は、固有魔法のランク的に言えばSSクラスだ。そんな『時間停止』でさえも、デメリットは存在する。だったら、彼女の『無効詠唱(ヴォイドシンフォニー)』にも、何かしら発動条件や、発動に伴うデメリットのようなものが存在しなければおかしい。

 

オレは天才的な脳をフル回転させる。

無効詠唱(ヴォイドシンフォニー)』。そのデメリット。発動条件。

 

何か………。

 

『〜♪』

 

歌声。

確か、オレがここに来る前、美澄は歌を歌っていたはずだ。もしかしたら、歌声が『無効詠唱(ヴォイドシンフォニー)』の発動条件なのかもしれない。

 

だとすれば、今、オレは『時間停止』が使えるんじゃないか?

 

なーんだ。ちょろちょろじゃねーか。ほな、『時間停止』、使わせてもらうぜー!

 

「???」

 

「あれ? もしかして今、固有魔法を使おうとしました? 無駄ですってぇ。もしかして、歌ってなければ『無効詠唱(ヴォイドシンフォニー)』は発動しないとでも思いましたか? ザンネーン。歌声はあくまでトリガー。一度発動させてしまえば、私の魔力が切れない限り、『無効詠唱(ヴォイドシンフォニー)』はその効果を発揮しますよ」

 

だ、騙された!! 

こいつ……!

 

「それとも何ですか? もしかして、時間停止がないと私に手も足も出ないとか? もしそうだとしたらお笑い者ですね」

 

とことん馬鹿にされてる……。

くっそ〜! お、オレは最強の魔法少女になるんだ……。こんなとこでつまづいてたまるか……!

 

「ここまで煽っても、手の内は見せるつもりはないみたいですね……」

 

マーメイドガール(美澄)がブツブツ呟いているが、この状況をどう打開するか、そのことばかりに頭を働かせていたオレの耳には、彼女の言葉は届かなかった。

 

と、そんな時、水を差すようにオレの背後から炎の塊がマーメイドガール(美澄)に向かって放たれる。

水じゃなくて火なんだけどな。じゃなくて……。

 

「遅かったから来た」

 

後ろを振り向くと、置いてきたはずのいちごちゃんの姿。え、何、助けに来てくれたん?

 

「1号………。流石に2対1では分が悪いですね………。ここは一旦退却とさせていただきます」

 

いちごちゃんが来た瞬間、マーメイドガール(美澄)は額に汗を垂らしながら研究所(この場所)から去っていく。

認めたくないけど、オレ、いちごちゃんに助けられたみたいだ。

 

「き、来たのか。ま、まぁ、ぜろちゃんにかかればあの程度の敵、なんてことなかったんだけどな!!」

 

しかし、年長者としてのプライドが、素直にいちごちゃんに助けられたという事実を受け入れてはくれない。いや、オレだってプライドってもんがありましてね。それに、ほら、ぜろちゃんは0号でしょ? いちごちゃんは1号。つまりオレの方が先輩なのだ。先輩として、後輩に恥ずかしき姿を見せるわけには…。

 

「ふーん」

 

「ま、まあとりあえず! ほら、2号の事助けるんだろ? いこーぜ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

と、無事、2号のいる場所に辿り着いたオレといちごちゃん。マーメイドガール(美澄)が去った後は、特に何か障害があるわけでもなく、ここまですんなりと進むことができた。ちなみに今、オレの前ではいちごちゃんと2号の感動の再会が行われてます。2人とも目の前で抱き合ってらっしゃるが、ぜろちゃんのこと忘れてない?

 

「後ろにいるのは?」

 

「あー。えっと、私達と同じで、別の研究所で実験体にされてた子。ナンバーは0」

 

「……ん」

 

2号ちゃんはオレに握手を求めてくる。いや、オレは馴れ合いはいいんだけど……。

ちなみに2号ちゃんの容姿は、白銀の髪に赤色の目、幸薄そうな表情が特徴的な幼い少女だ。なんか、こう、庇護欲的なものが湧いてくる。だから断りにくいんだよなぁ……。

 

ま、まぁ握手くらいええか。

 

「オレはぜろちゃんだ。生まれ故郷である研究所は自分の手でぶっ潰した。よろしく」

 

「私は、2号。2号って呼ばれるの、あんまり好きじゃないから……。にこって呼んでほしい。よろしく」

 

そう言って2号……にこちゃんはオレににこりと微笑みかけてくる。名前の通り、にこっとした顔が可愛らしい少女だななんて、柄にもなくそう思った。

 

って、オレは何を言ってるんだ。

オレは最強の魔法少女になるんだ。馴れ合いは必要ない。孤高こそ至高。仲間など必要ないのだ!!

 

「……どうしたの?」

 

ぴょこんと、にこちゃんは首を傾げてオレにそう尋ねてくる。

 

「い、いーや絆されないぞ! ぜろちゃんは1人で生きていけるのだ! 徒党を組む必要なし! ということで、ぜろちゃんはここら辺でおさらばさせてもらう! では!」

 

「行っちゃうの?」

 

だ、ダメだ。絆されるなぜろちゃん!

 

「ということで、ぜろちゃんはここら辺でおさらばさせてもらう! では……」

 

「じーっ……」

 

「ん……いや、ぜろちゃんは………」

 

「一緒に行こ?」

 

「ま、まあ後ちょっとだけここにいよう。うん」

 

くっ!

し、仕方ない。後ちょっとだけいよう。うん。ま、まあたまにはいいだろう。

 

後ろでいちごちゃんがニヤニヤしているのが見えるが、違うからな! べ、別に絆されてなんかないんだからな!!

 

「あのさ、提案なんだけど」

 

「ん、どうしたの? いちご」

 

「0号……。ぜろちゃんも、私達と一緒に行動しない?」

 

いや、ダメだぞぜろちゃん。そこまで許しちゃダメだ。オレは最強になるんだ。誰にも頼らない。助けを必要としない。最強の存在に、だ。ここでその夢を終わらせるわけにはいかない!

 

「オレは最強だ。1人でも生きていける!」

 

そう答えると、いちごちゃんはオレにジト目を向けてきながら、オレの耳元まで口を近づけてくる。な、なんだ?

 

(さっきの魔法少女に手も足も出てなかったくせに)

 

ギクゥッ!!

 

(な、なななななななななんのことかな? ぜ、ぜろちゃんは最強なんだぜ? まさか苦戦するなんて)

 

(バレバレ。本当は時間停止に頼ってばかりで、実力なんて伴ってないんでしょ?)

 

(むっ……それは聞き捨てならない…)

 

(別にずっとってわけじゃないから。一時的にでもいいの。私も仲間が欲しいし)

 

…‥まあでも実際、いちごちゃんがいなかったらオレはあのままマーメイドガール(美澄)にやられていただろう。今までは時間停止一本でどうにかなってきたが、マーメイドガール(美澄)みたいな敵がまた現れないとも限らない。オレの時間停止だけでは、どうにもならない事態に陥る可能性もある。

 

そうだ。別に、今仲間がいても、何の問題もないんじゃないか?

 

最終的に孤高で最強であればいいのだから、今徒党を組んでいたって何の問題もないのでは?

 

そう、今は最強になるための準備期間。だったら、一時的な協力関係を築いても問題はないだろう。

 

「わかった。とりあえずぜろちゃんは協力してあげることにした」

 

「よかった……。断られたらどうしようって思ってたから」

 

「ん。仲間が増えて、私も嬉しい」

 

ま、まあ?

たまには賑やかなのも悪くないかな、なんて。

ちょっぴり思ったり、思わなかったり。

 

本当にちょっとだけ、そう思った。

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