【短編】私がユウリとマリィのお嫁にされるまで   作:ウルハーツ

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中編

「そっか。それじゃあ、今ソニアはまた旅をしてるんだね」

 

「そういう事。それで? そっちは急に現れてどうしたってわけ?」

 

「うーん、どうしたって事でも無いんだよね。ソニアの顔を見に来たんだよ!」

 

「どうしてそれが道の片隅で眠る事になるのよ? はぁ~。時が経っても相変わらずね。本当……色々と無防備過ぎるっての」

 

「?」

 

 2番道路にあるマグノリア博士の住まう一軒家。その孫であるソニアは私とその昔、一緒に旅をしていた事のあるお友達。数年会って無かったけど、顔を見た瞬間に彼女だって分かって嬉しかった。私の事も覚えてくれていたみたいで、目を覚ましてから嬉しさの余り抱き着いてしまった。

 

 話によると、ガラル地方特有のポケモンバトルで行われるダイマックスって名前の現象を見つけた第一人者のマグノリア博士から、何時までも家に居る事を指摘されて旅立つ事にしたらしい。何か、それに繋がる様な出来事があったみたい。今回は忘れ物を取りに戻って来たらしいけど、それが無かったら会えなかったかも。

 

「にしても、随分大きくなったね……」

 

「そうかな? 確かに少しは背も伸びたよ」

 

「そうだけど、それ以上に大きくなってるじゃん」

 

 前に出会った頃から数年経ってるから、身体はしっかり成長してる。ダンデは勿論、同じ女性のソニアもスタイルは良いのに対して私はちょっと小っちゃかったから。でもそれも過去の話。今では150cmの壁を超して、155㎝に届きそうな程には成長してる! 何かソニアの目は少し下側を見てる感じがするのは……彼女からすればまだ小さいって事なのかな。

 

「それで? これからどうする予定なの?」

 

「何にも考えて無いけど、取り敢えずルリナのところには顔を出そうかなって思ってるよ。ダンデは忙しそうだから、それで帰るかな」

 

「なら、一緒に行かない? フィールドワークをしながらだけど、ルリナには会うつもりだからさ」

 

「そうだね。それも良いかも」

 

 何時かの旅の記憶を思い出して、少しだけワクワクする。あの頃はダンテと別行動しながらも、時折出会ってはソニアとポケモンバトルしてばっかりだった。私も時折参加してたけど、寧ろ私はバトルよりケアする事の方が多かったから。ブリーダーっていうには少しお粗末だったけど。

 

「それじゃあ、決まりね! 旅する準備は出来てる? 必要な物があるなら、ブラッシータウンで調達するわよ」

 

「うん。外に出る準備はしてここまで来たけど、旅となるとキズグスリ辺りは持っていたいかな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、マリィ!」

 

「ん? ユウリか。これからジム?」

 

「うん。……マリィはもう勝ったの?」

 

「勿論。こんな所で時間を食ってたら、チャンピオンなんて夢のまた夢だから」

 

「むぅ、速いなぁ。私もすぐに倒して進まなきゃ!」

 

「別に意地悪するつもりは無いけど、焦ってたら勝てる試合も勝てない。……どんな時もポケモンの事を第一に考えてあげるべき。それが自分の力になる、たい」

 

「あ……」

 

『どんな時も、ポケモン達の事を第一に考えてあげて。それがきっと、貴女の力になるから』

 

「ユウリ?」

 

「う、ううん。何でもない。そうだね。……それじゃあ、行ってくる!」

 

「? まぁ、よか。……ばり、良い言葉たい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 広大な平原。遠くに見える湖。巨大な街が見える断崖。

 

「う~んっ! ワイルドエリア、久しぶりだなぁ!」

 

「……」

 

「? ソニア? どうしたの?」

 

「……はっ! な、何でも無いっ! ……背伸びしたから、もう。あれは胸囲(脅威)ね。……さむっ」

 

「震えてるの? そんなに寒くないけど……チルタリス。包んであげて」

 

『チルル―!』

 

「わぷっ! あ、あったかい……って締め付けてる!? まさかこの子、私が震えた理由を!?」

 

『チルチル♪』

 

「気付いてる、気付いてるよこの子!」

 

『……」

 

「ん? どうしたの、サーナイト。手、繋ぎたいの?」

 

 チルタリスが楽しそうにソニアを包む中、私はサーナイトに手を引かれながらワイルドエリアの中へ。ここはそれなりに実力のあるトレーナーだけが入る事を許された場所。数多くのポケモン達が生息していて、目前にある大きな街。エンジンシティへ行くだけならそんなに強いポケモンは居ないんだけど、横へそれたりして巣のある場所に行くと更に実力のあるトレーナーじゃないと危険なポケモンが沢山いるんだよね。

 

「ちょ、これ放置!? 暑くなって来たんですけど!?」

 

「久しぶりのワイルドエリアは楽しい?」

 

『……』

 

「聞こえていない!? はっ! まさか、コットンガードで私の声を吸収してるっ!?」

 

『チルチルー♪』

 

 キャンプとかして楽しむのも良いけど、今回は真っ直ぐにエンジンシティへ向かうから一直線。ヌイコグマとか、凄い可愛い。きっとジムチャレンジャーはここでポケモンを強くしたり、新しい仲間を捕まえたりするんだろうなぁ。私はサーナイトとチルタリスが居ればそれで良いかなって思ってるけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「良いバトルだったわ。貴女はポケモンを信頼して、ポケモンは貴女を信頼してる。波で押し流すつもりが、押し流されてしまったわね」

 

 『みず』タイプのジムリーダー、ルリナさんに勝った私はジムバッチを手に入れる。これで2つ目。まだまだ先は長いけれど、着実に目標へと近づいているのが実感出来る。

 

「次はエンジンシティでカブさんとね。ジムチャレンジャーの半数以上はそこで挫けてしまうわ。でも貴女なら、きっと大丈夫よ」

 

「ありがとうございます!」

 

「さっきの子もそうだけど、本当に貴女達とポケモンの信頼する姿には目を見張るものがある。ふふっ、懐かしい子を思い出しちゃったわ」

 

「?」

 

「こっちの話よ」

 

 スタジアムを後にすると、マリィが私を待ってくれていた。お互いに同じ目標を持ち、その理由も同じライバル。チャンピオンになれるのはどっちか1人だから譲れないけど、そこに掛ける想いを分かち合えるのは私達だけだと思うんだ。

 

「お待たせ、かな?」

 

「別に、敵情視察してただけ」

 

「そっか。……次はエンジンシティに戻るんだよ」

 

「分かってる。でもジムリーダーのカプさんは第二鉱山で鍛えてる。お友達が先に行ってる」

 

 お友達。多分ホップの事かな。マリィとは面識はあっても、まだそんなに話した事は無いみたい。真っ直ぐそらをとぶタクシーでエンジンシティへ戻っても、すぐには戦えないって事か。先に帰ってホップが呼ぶのを待つのも手だけど、何だったら私も鉱山に行って強くなりたいなぁ。強いポケモンが居るなら、捕まえておきたいし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぜぇ、ぜぇ……やっと解放された」

 

「大丈夫?」

 

「誰のせいだと……まぁ、少し自業自得なところは否定できないんだけど」

 

「?」

 

 エンジンシティに到着したけど、何故かソニアは凄い疲れているみたい。これから旅をするっていうのに、ワイルドエリアを超えただけで疲れてたらこの先大変だと思うんだけどなぁ。いざとなったらそらをとぶタクシーで彼方此方パパっと行けちゃうけど、それじゃあフィールドワークにはならないだろうし。

 

「はぁ。バウタウンにはそらをとぶタクシーで行きましょ?」

 

「あれ? ターフタウンには行かないの?」

 

「そこまではもう行ったのよ。そこからバウタウンへ行く途中で忘れ物に気付いたって訳」

 

「そっか。なら少し休憩したら、タクシーで行こっか」

 

 こんなに疲れてるのに、もうそこまでは行ってたんだ。もしかして、今日一日の話だったのかな? だとしたら、彼方此方を一日で回ってるって事だから疲れてるのも仕方ないかも。

 

 適当なカフェを見つけて取り敢えず休憩。サーナイトとチルタリスにもお礼って事で少し良いのを選んだんだけど……何か、あんまり嬉しく無さそう。普段食べてる私のよりは美味しいと思うんだけど。

 

「多分、貴女が作った食べ物の方が良いのよ。好みに合わせてるんでしょ?」

 

「え? うん、一応ね。美味しく食べて欲しいから」

 

「下手に高級店とかで食べさせるより、材料集めて作った方が喜ぶって事。きっとね」

 

 ソニアの言葉の後に、彼女へ向かってサーナイトはお辞儀を。チルタリスは嬉しそうに鳴き声を上げる。何かお礼を言ってるみたいで、もしかしたら彼女の言う通りなのかもしれない。

 

「それじゃあ、バウタウンへ行く前に食材を買っておこうかな。夜はそれで良い?」

 

「ならキャンプは確定ね」

 

 嬉しそうなサーナイトとチルタリスを見るに、間違って無かったみたい。後の事も決まったから、食事を終えたら……あれ?

 

「? どうしたのよ?」

 

「ちょ、ちょっと待っててね!」

 

 見覚えのある姿を見て思わず飛び出してしまった。昨日の今日で再会するとは思わなかったけど、見掛けたから声を掛けたかった。誰か他の子と一緒に居るのを見ると、お友達が出来たみたいで少し安心。……でも、見てると不安になって来る。これ、声掛けて良いのかな?

 

「マリィはユウリのお友達を待つつもりは無い。先に行……く……えっ?」

 

「あ、あはは。昨日ぶり、かな? マリィ」

 

「おねぇ、さん……? こ、こんなところで何してるばいっ!?」

 

「マリィが出てから友達に会いに街を出て、そのまま色々とあってね」

 

 迷ってたら見掛けた相手、マリィに見つかっちゃった。少し照れくさくなって頬を掻きながら答えると、嬉しそうにマリィは近づいて来る。疎ましがられなくて良かった。でも、せっかく出来たお友達を放ってこっちに来ちゃうのは、少し良くないと思うんだよね。……って、何か私を見てお友達が呆けてる様な。それに何か、見覚えがある様な……?

 

「えっと、マリィのお友達、かな?」

 

「友達、とは少し違うばい。ユウリとはライバルったい」

 

「そっか、ユウ…………ユウリ?」

 

「お、姉ちゃん……っ!」

 

 マリィからお友達の名前を聞いてすぐに思い出した女の子が居た。私がスパイクタウンへ引っ越す前、仲が良かった年下と女の子。3年以上前の話だから、子供だった彼女はあの頃に比べて大きく成長してるけど……面影は確かにある。まさかこんな風に再会するなんて思いもしなかった。

 

「久しぶりだね、ユウリ」

 

「お姉ちゃんっ!」

 

「きゃっ! ふふっ、大きくなったね」

 

 名前を呼んだ瞬間、私の方へと飛び込んで来るユウリ。昔は簡単に受け止められたけど、前よりも大きくなった彼女を受け止めるのは少し大変。それでも何とか踏ん張る事が出来た。被っていた帽子越しに頭を撫でると、ユウリは私を見上げて目を合わせる。それからもう1度、今度は胸に顔を埋めて来た。昔より甘え癖が付いたかな? 何だかチルタリスみたい。

 

「ど、どういうことばい? 何が起こってると? お姉さんとユウリは……知り合い?」

 

「うん。マリィに会う前、引っ越す前に家が近くでね。私、赤ちゃんだったユウリを抱っこした事もあるんだよ?」

 

 目を丸くするマリィ。まさか友達が私の妹みたいな存在だったなんて、想像もしないよね。世界はとても広いのに、人の関係って言うのは意外と狭い感じがする。

 

「ちょっと! お会計、済ませる羽目になったじゃない……って、なにこれ? どうなってるの?」

 

「あ、居たわ。あなた達お見送りに……あら?」

 

 呆けるマリィを余所に、私達のところへやって来たソニア。お会計、任せちゃったから後で払わないと。しかも別の方角からやって来たのは見覚えのある友人。向こうも私に気付いたみたいで、マリィみたいに目を丸くしてる。傍に居る男性2人はジムリーダーの人かな?

 

「一旦、離れよっか。……ユウリ?」

 

「……」

 

「えっと、一度離れて欲しいなぁって。あれ? 力、強い……?」

 

 急な再会って事もあって道のど真ん中なんだけど、移動したいのに抱き着いたユウリが全然離れてくれない。子供の力なのに異様に強くて剥がせないし、何かこの状況がこのままだと良くない方へと変わっていきそうな予感がするんだけど……。

 

「お姉さん、色々聞きたいっちゃけど?」

 

「お姉ちゃん、色々と聞かなきゃいけない事があるみたいだね?」

 

「久しぶりね。今までどこで何してたか、色々聞かせてもらうわよ?」

 

「あ、あはは……ソニアぁ~!」

 

「ユウリたちの事は知らないけど、ルリナの件は自業自得だから諦めな」

 

 友達のルリナはまだ分かるよ。けど、何でマリィとユウリの目があんなに怖いの? サーナイトも震えてる。え? 流石に『むし』や『はがね』じゃ無いのは分かり切ってるけど、あれってもしかして『ゴースト』タイプの目なの? あ、チルタリス、ボールに逃げないで……誰か、この状況から助けて……!!!




常時掲載

【Fantia】にて、オリジナルの小説を投稿しています。
また、一部先行公開や没作の公開もしています。
下記URLから是非どうぞ。
https://fantia.jp/594910de58
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